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精臭が部屋の中で霧を巻く。意識はおぼろげで。
なんだかもうどうでもいいのかもしれなくて、たぶん決してそんなことはなくて、でも、…もう、わからない…
そういえば、最初からわからないことだらけだということだけ、僕はいつもわかっていた。
埃が散る床に仰向けになる。冷たかった。心地よかった。吐いた息だけが生臭く、生ぬるい。

「相変わらず品性の欠片もない連中だ。好き勝手やってくれる。」
「…キ、ッド?」
「…動けるか?なら、着替えろ。そんな格好でいたら俺の気が滅入る」

ろくすっぽ顔も覚えていない、それどころか人間であるかも疑わしい粗野な男たちの乱雑な指。
食い込むのは感情のないただの熱。ずたずたにしてもらえるかなと思っていたのだけれど、そうなったのは服とかだけで、
気持ちはあんがい揺れていない。それどころか身体が下卑た瘴気に侵食される。

「…ね、キッド、触らない、の」

不愉快にとろとろ鳴る臭いを丁寧に拭き取りながら、「友人」は笑った。

「部屋に帰ったらな」
「触れたいとか、…おもわない?」
「正直すごく思うが」

何もかもを覆い隠すような真っ黒い夜を切り取ったと見紛うコートを肩にかけられた。
白濁で酷く汚れてしまうよと見上げたら少し目を逸らされた。

キッドの手のひらからはなんでも出てくる、僕を拭う布、僕を包むコート、僕の好きな本、
僕の苦手な君の体温…
すべてが僕専用にあつらえられているような幻想を感じるたびに、僕は自嘲して、自嘲して、気持ちのすみでなく。

「誰かの特別でいたかったのかも…」

ああ、わかるとも。
そうストライプの乱れた黒髪は笑って、僕に手を差し伸べた。僕はおずおずとその手を取った。
キッドからは何でも出てくるけれど、結局のところはなにも出てこないのだ。
吐く息すら痴れていて、もうおかしくなってしまいそうで、とっくにおかしくなっているのを見ないふりをして。
部屋に戻るなりやさしく僕を扱うその指は、けれど僕が、今、望んでいるものなんかではなくて、
そもそも僕は望んでいいものなんて何も無いわけで。
だから僕たちはきっと友達でしかありえない。
どうか涙が枯れなければいいなと思う。





著者コメント


148の、クロナを慰撫するキッドってフレーズに萌えたので、
ちょっとだけ未来の二人を想定して魔女の放蕩な血で苦しんでるクロナ(輪姦され)とキッドで。


こんなん書いといてあれですがキックロ和姦が一番好きなのでたくさん見たいです。