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一年はキックロに始まりキックロに終わると申します。
         く´    
    ___    _Σ 申さない。
   冂|    |  |    
   | .|7 _(∵)_ JanaiJanaiイイJANAI!そんなスレが一個あったってイイJANAI!
   凵'__> レN ∠,  
   └──i    / 頭ちょー悪い話落としてもいい?
      ./    〈   
      レi   ∧} ハンパなく長いしキッドが「原作者が引付を起こしかねないレベルの変態」ですが。
        7 /     
      _,,z' く/_   あとフタナリ注意警報発令っていうストーリー。

                       ・はい
                   ニア   ・いいえ
その他の諸注意
  • キックロ+ラグナロク
  • 特殊性癖でいちいちグロい
  • ラブラブで恥ずかしい
  • クロナが容赦なくモッテモテ





立派な長いすには上等なビロードが張られていて、柔らかすぎず固すぎず、かといって肩肘を張る必要がないくらいには使い込まれ手入れのなされた古い家具。
 いい感じに薄暗い落ち着いた部屋は濃いブラウンと更に濃い赤が基調になっていて、目の前にいる年頃の女の子にはちょっと重厚すぎるかな、という気がする。
 「どう、いい色だろう?」
 アンタはうちのご主人と同じくらい色が白いから、濃い色の方が映えるんだろうけど。暗いキャラメル色の長い髪がさらさら音を立てて流れる。どこからともなくどこかで嗅いだことのあるいい匂いがした。
 「アタシはこの金色が好きなの」
 嬉しそうに金の刺繍がたっぷり入ったダークブラウンのカーテンを背にした彼女が言った。彼女の爪にも同じ色が乗っている。キラキラ瞬くように光った長く固い爪は、自分の薄くて子供っぽい形と違ってずっとセクシーだと思う。
 「きっとアンタも気に入るよ」
 アタシのラッキーカラーなんだ。爪の先に刷かれる金色はオレンジ色のランプの光を受けて雫のように煌いている。彼女のうっとりとした青い瞳と同じように。
 「す、すすてきな色だね。ぼ、僕もこの色、好きだよ」
 「……そうかい」
 彼女の憂いを含んだ少し翳る表情に僕はドキッとする。僕は元々女の子と喋るのはニガテだ。というか、ラグナロク以外と感情のやり取りをした事がほとんどないので、人間全部、ニガテなのだけど。
 「大切にしてくれ。アタシのラッキーカラーだから」
 もう一度彼女が言って、僕の手の甲にキスをした。
 「あ、あわわわわ……!」
 慌てる僕の手をぎゅっと握って、眉を顰めた彼女が笑う。
 「おいおい、ダメだって。まだ乾いてない。
 乾くまでこのソファで寝てること。いいね? じゃ、もうじきキッドが帰ってくるからここで待ってな」
 シャラシャラ鳴るストラップが付いたハンドバッグにマニキュアの瓶を放り込んで、彼女が立ち上がる。
 「ど、どどこへ行くの?」
 「よ・あ・そ・び」
 その途端に部屋にあった柱時計の重苦しいベルの音が11回鳴った。
 「おねーちゃん!今なら執事室に誰も居ないよ!」
 「オッケー。んじゃ繰り出すとしますかね」
 こそこそ声の渋いトレンチコートを羽織った彼女の妹がドアの隙間から顔を出し、踵の音も高らかに彼女がドアに向かって歩き出した。
 「いいい、いいの? ぼ、僕だけ屋敷に残すなんて、し、し死武専に怒られるんじゃないの?」
 僕は彼女に命じられたまま、ソファに寝転がって声を上げる。ソファの背もたれの陰になって彼女の姿なんて一切見えない。
 「……クロナ」
 「は、はい」
 「明日、アンタの爪に塗ったマネキュアが剥がれたり寄れたりしてたら、お姉ちゃんは怒る」
 「えっ?」
 「大切にするって約束だよ。アタシのラッキーカラーなんだから」
 バタン、とドアが閉まる音がして、ドアの向こう側で足音が遠ざかる。
 「?? ど、どういう意味だろうねラグナロク」
 僕はパートナーに尋ねてみるけれど、彼は僕の背中の傷から出てくる様子は微塵も無い。いつもは嫌と言ったって無理矢理にでも出てくるくせに、なんだよ。
 僕は天井に手の平を翳し、ランプに透かすように指を広げた。真珠のように深く輝く金色の10本の指の先に光る色。着飾ることも装う事もしたことのない僕もなんだかウキウキとしてくる。
 ゆっくり動かすと、ぬめるような光の加減にうふふ、と笑みがこぼれた。
 「きれい……まるでキッドの瞳みたい」
 自分で言ってはっとした。
 『アタシのラッキーカラーなんだ』
 彼女は言った。そう言った。
 「…………そっか……僕がここに居るってことがどういうことだか……知ってるんだ」
 だから彼女は気を利かせて、夜遊びと称してこの屋敷から出て行ったのだ。
 「――――――浮かれて、バカみたいだね」
 マカの家に泊まったことを僕がぽろりと零した次の週末、つまり今日なのだけれど、キッドとトンプソン姉妹が『先週がマカん家だったなら、今週はうちだ』と招いてくれた。
 夕食が済んでしばらくまどろんだ後、キッドが死武専に用事があるから二時間ほど出てくる、とふらりと出て行ってしまった。
 「あれ嘘なんだよ。ホントは死武専にある自分のコレクションルームに恍惚としに行ってるの。ちょっとキモいよねー。でも日課だからカンベンしてやってよ」
 パティが窓の向こうで小さなボードに乗ってぶっ飛んでゆく真っ黒のはためくローブから目を逸らさずに言った。
 「ききき、キモイなんて思わないよ」
 あわてて否定した言葉を聞いているんだか聞いていないんだか、パティは闇夜に溶ける黒い点から視線を外さない。
 「神経症? 強迫観念っての? あたしにはわかんないけど、キッドくん真面目だからさぁ」
 逃げらんないしね。ぽつぽつ、詩を諳んじるようにパティが長いまつげをぴくりとも動かさずに言う。独り言のように。僕はその横顔を見て酷く切なく思う。
 知ってる。この顔、僕、知ってるよ。
 ――――――――同じ顔だ。人を、あの人を、恋しく思う……僕と。
 大人っぽくて優しいリズ、可愛らしくて楽しいパティ、それに比べて捻くれてちっともいい所のない僕。惨めになってくる。
 胸を掻き毟りたい。
 絶叫して全身をどこかへ打ち付けたい。
 ああラグナロク、僕と共鳴してくれ!悲鳴で!
 「……爪に塗ったソレが汚くなったらあの髪の長いねーちゃんにぶっ殺されるぜ」
 服の中でラグナロクがぼそりと言った。
 「なんだよ、さっきは返事もしなかったくせに」
 「テメェ、何か勘違いしてるだろう? 俺様はテメェのカウンセラーでもお友達でもねーんだ」
 「……解ってるさ」
 「慰めて欲しいのなら他をあたりな」
 「慰めてなんか――――――」
 そこまで言った時、ドアが開いた。ノックの音は聞き逃したみたいだ。
 「うん? あいつらはどうした」
 「りりり、リズとパティなら、その、えっと……で、出かけるって、さっき」
 「……ったく、どうやって執事長の目を盗んだんだ……出て行ったのは何時ごろだ?」
 「じゅ、じゅ、11時ぴったりに」
 「――――――なるほど、巡回開始の時間か。ではこれからはもう少し早くに帰るとしよう」
 キッドがクロナの右側の一人掛けのソファに腰を下ろす。ふわっと空気が動いて、キッドの香りがした。
 「十分にくつろいでいるらしいな」
 人の悪い笑みを浮かべて彼が少し笑った。僕はハッとして自分の体勢を思い出す。
 「ちちちちがうよ!こ、これは!リズがマニキュア乾くまでこの格好で居ろって!」
 「……ほう? どれ」
 免罪符を突きつけるように両手を突き上げて慌てる僕の手を取り、キッドが身を乗り出した。
 「なるほど、今しがた塗ったばかりのようだな」
 何かに擦れたら一大事だ、とキッドが立ち上がって僕を見下ろす。
 「この色は見覚えがある。リズがせがむもんだからおれが買ってやったんだ。その場で組み合わせて色を作ってくれるって代物だったから、一点ものだぞ」

 顔に深い深い影が差していた。
 キッドの服は真っ黒のYシャツ。真っ黒のズボン、真っ赤なタイ。髪も黒い彼は殆ど黒尽くめでランプの光さえ物ともしない漆黒の形をしている。暗闇に慣れているはずの僕でさえゾクゾクと背筋が総毛立つような迫力。
 「お、おお怒ってるの?」
 「何故そう思う?」
 「だ、だだだだって、りりりリズとの思い出の品をぼぼぼ僕がつけてるから」
 ずいぶん言葉の突っかりも減ってきたと僕自身思っていたのに。癖がぶり返すほどの圧迫感。
 「怒るなんてとんでもない。リズを褒めてやりたいくらいだ」
 そこまで聞いたら、身体が浮いた。
 「あ、ひえぇぇん!むゅ~……」
 叫び声も殺されて、僕は両手を天井に突き出した格好のままキッドに抱きかかえられ、部屋の中にある螺旋階段を上がってゆく羽目になった。
 声を出したくても出せない。両手はリズに塞がれて、キッドの両腕を撥ね飛ばすには勇気の要る高さだから……なんて言ったらラグナロクは笑うだろうか。
 ……哂うだろうな。
 器用にドアを開け、二階の客間に二つあるベッドの片方に下ろされた。ビリビリ痺れてものが考えられなくなってる熱い肌に、冷たいベッドカバーが心地よかった。
 「クロナ、抱くぞ」
 低い声。忙しない呼吸。釣りあがった目に、口角の持ち上がった唇。キッドの興奮してるときの顔だ。
 「………………すす、好きにすればいいいいじゃないか」
 ふん、とあらぬ方を向いた。胸がドキドキしてるのを知られたくなかったから。
 「ではそのようにしよう」
 最初、仕掛けたのはラグナロクだった。色仕掛けで死神野郎を誑かせ、と言われた僕は最初その意味が良くわからなかったけれど、つまりメデューサさまが時々人間の男を使って僕にする折檻と同じことというのが解って、すごく嫌だったけれど従った。
 “折檻”は気持ち悪くて痛くて嫌だったけれど、やってる間は頭の中が真っ白けになって、何も考えなくて済むことを知ってたから。
 死武専で取調べを受けて、メデューサ様が死んだことを教えられたばかりの僕は、本当に空っぽで頭の中がめちゃくちゃでマカも鬼神も何もかもどうでも良くなって自棄になっていた。僕の世界の全てだったメデューサ様が、死んだのなら。
 『ねぇ死神くん、僕と楽しいことしない?』
 ラグナロクが僕の声を操って彼に掛けた第一声。僕は自分の手がスカートの重さを知っているのに、どこか遠くでそれを見てるような気分だった。
 不思議なんだよ。ラグナロクが僕の身体を操ってるわけじゃないのに、全然現実味がなくて、身体はいつもみたいに熱くなってるのにちっとも真っ白になれない。ガラスの箱に閉じ込められたみたいに。
 『……なんだ、お前、泣いてるのか』
 僕の身体の下で眉を顰めた彼がそう尋ねた。僕の身体はいつもと同じように跳ねて絶好調だったのに。
 ちょっと筋肉質の腕が伸びて、僕の身体が引き倒され……胸に抱かれたときのことは多分一生忘れないんじゃないかな。そのくらい驚いたよ。
 『おかしな奴だな、強姦してる方が泣いてどうする』
 涙なんか当然出てない。顔だって笑ってる。声すらはしゃいでいるのに、キッドはそう言って僕の頭を撫でた。
 僕は笑顔の形に固まった顔のまま、出ない涙を堪えながら、笑い声を出し続けて、泣いた。
 悲しくて泣くんじゃない。悔しくて泣くんじゃない。嬉しくて泣くんじゃない。
 でも、泣いた。
 それから僕はラグナロクがキッドをいたぶる算段をする度に血が踊るのを抑えなくてはいけなくなった。……血が踊る、なんて皮肉な慣用句だ。
 僕は神様も、地獄も、奇跡も信じない。
 僕が信じられるのは目の前にある現実だけ。
 だけど、今の僕は神様も奇跡も信じてしまいそうだ。

 襟が開かれる。両方の中指にはめられている指輪が冷たくてゾクゾクする、それを彼は知っていて、勾配のない僕の胸に押し当てるのだ。
 僕の目を見ながら。
 「………………。」
 少し首を傾げて金の目が僕を覗き込んでいる。言葉は発しない。どちらかが降参して口を開くまで。
 「………………。」
 僕の手はベッドの枕留めのパイプを掴んで離せない。爪に細心の注意を払う。リズとの約束を破りたくない。
 「………………。」
 彼はそれを知っているのか、今日は腋をくすぐったり舌を這わせたりはしない。その代わりに、執拗に首筋と耳を舐めた。ビチャビチャぐるぐると音がする。ぞわぞわ背筋が狂いそう。
 「………………ッ!」
 意地で声を殺す。嫌いだけど得意なんだ、コレ。
 「……わかった、今日はおれの負けだな」
 声がして、食いしばってた歯が舌で割り開かれ、たくさんの唾液と生ぬるいベロが僕の口の中を這い回る。甘いような、酸っぱいような、不思議な味。
 「んあぁぁ……んぷいゅ……!」
 相変わらず変な声が出る。キッドが唇を離す瞬間は、いつも。
 頭がくらくらする。何も考えられない。真っ白になるんじゃないのに。キッドで頭の中がオーバーフローするみたい。ズキドキ眉間が煩くて仕方がない。
 「……服を脱がす間も惜しい。直ちに足を開け、クロナ」
 「――――――――ズイブン興奮してるね」
 「もちろんだ、この屋敷にお前がいるんだぞ。
 精神安定を図るためにコレクションルームに二時間も居たのにちっとも治まらない」
 ベルトの金具がこすれる音とチャックと衣擦れの音がいっぺんにした。歓喜とも恐怖とも取れるものが背筋を駆け抜ける。ああ、また、あれが僕の中に入ってくるのだ!
 「き、き、キッド!キッド!まって!ちょっとまって!」
 「断る。もう待たん。これ以上待ったら発狂する」
 膝が乱暴に開かれて、思わずパイプを握っている手から力が抜けた。それを目敏く見つけたキッドが電光石火の速さで手で押さえる。
 「まだ乾いてもない爪を台無しにしたいのか?」
 言うや否や、キッドの剛直が満足に濡れてもいない僕の中に進入したのが判った。声も出ない。
 「~~ッ!!」
 痛い。苦しい。突っ張る感じ。いつもならしつこい位に弄って僕にせがませるくせに!
 「~っ!~~!!」
 動くな、と言おうと思えば言えたのかも知れない。けれど結局言わなかった。こんなに早急に求められたことが今までなかったからかな。それともキッドがちょっと不自然なくらい興奮してたからかも。もしかしたら僕自身、キッドの屋敷という要素に酔っ払っていたとか。
 理由はわからないけれど、雄雄しく突き上げる彼の身体が、服の上からしっかり掴まれた腰や背中が、はぁはぁと途切れては繰り返すキッドと自分の吐息が、僕の身体を変えてしまう。
 痛みに怯えて縮こまるいつもの僕の身体はどこかへ消えてしまって、快感と安楽を求めて自分自身に貪欲に振り回される。まるで他人のそれのように。

 「あっあっあっ!……~~き、ど、き、っど!」
 なのに、自分の口から出るのは
 「いやぁ……め、らめ、もっ、ゆっく……っ!」
 蕩けるような呂律のはっきりしない
 「あひ、ぁひぁぁ……あぁぁ~…いぃぇ、いぇ、いぇぇ~……!」
 獣みたいな鳴き声ばっかり。
 胸がドキドキする。キッドの心臓みたいにばくばくばくばく……恥ずかしい!
 ぶちゅずちゅにゅちにゅちゅくにゅくちゅぬちゃねちゅ、頭がおかしくなりそうな粘液のこすれる音。コイツ、わざと音を出すのが好きなんだ。その音が恥ずかしくて嫌だと言ったその日から。
 「――――――――クロナ」
 「あぁ…………な、なに?」
 「死神の嫁になる覚悟はあるか?」
 そう言えばゴムつける暇もなく突っ込みましたねキミ。
 「あるわけないだろ!」
 「薄情なことだ」
 「バカかてめぇぇぇ!抜け!切り刻むぞ死神野郎!!」
 「ははは、お転婆めががさつ言葉を使う。これは仕置きが必要だな」
 「ば!……やめ、やめろ!あっ!イヤっ!うそうそうそうそ!!」
 音が早くなる。ぐちゅぐちゅぐちゅという肉を踏む音がやけに大きくなった気がする。お尻から背中を伝って頭の芯の感覚が滲んでイカれてワープする。駄目駄目駄目だめー!必死に肘で彼の顔を突き放したりした健闘空しく、叫び声さえ取り上げられてしまった。
 身体は弓のように反らされ、高々と持ち上がった頂点から扇に開く自分の足。その間に正座するように折りたたんだキッドの足、上半身は僕の身体に覆い被さり、大きく開いた口に指を突っ込まれて舌を押さえられて、声も出ない。悔しくてパニックで何度か指を噛んでやた。
 「戯けが、女の顎の力で死神の身体が傷つくとでも思ってるのか。それともおれを浮かれさせるのが目的か?」
 「やあぁぁあ!がひゃー!はへぇぇ……うひゅぅぅ~……!」
 ぬチュ、と音がして僕の身体に差し込まれていた性器が力づくで引き抜かれて身体を急に横にされた。開いてた足が急に閉じられて変な違和感。腿に抜き差しされる熱い死神のペニス。
 死を司る存在に性器があるなんて変なもんだな、という初回の自分の感想が何故か脳みそから引っ張り出された。
 「ん、ん、ん……~はぁ……あ、あ”ぁぁ……!」
 キッドの変な声。どんどん抜けていく力。じんじんうるさい自分のあそこ。
 「す、ま、ん……イカせる余裕、なかっ……」
 余計なお世話だよ、と嘯く余裕はこっちにだってない。全身を駆け巡る余韻を振動する脳髄で堪能している最中なんだから。
 足の間が気持ち悪い。お腹とか太腿とか、ぬくいヨダレみたいなのが垂れている。ああもう最悪。
 敏感な肌が粟立ってるみたいで笑いそうだなぁとぼんやり思ってたら、左の胸の先端に吸い付く馬鹿がいた。
 「わ、わぁぁぁ!ば、ばか!も、もう!なに、すんだよ!またいっちゃうだろ!」
 「手がパイプから離れないならまだ余裕がある証拠と取っていいな?」
 ぬれん、ぬりゅんとひたひたの舌が乳首を転がし押し込んで弄ぶ。
 「鬼!アアア悪魔!」
 「死神だ」

 ぴくぴく、ブルブル、肉体のそこここが快感と悦びで痙攣して飛び跳ねている。皮膚の下に小人でも這いまわるかのように。僕はそれが煩わしいのに鼓動が求めて止まない。
 「あ、あ、あ……!あぁ……っ!くへゅぅぅぅぅうぅー……」
 鎮まる気配のないキッドの軌跡に耐えて堪えて我慢していると、僕にしか分からないうねりが身体の中を波打った。どくん、と、まるでオシロスコープが波形を記すみたいに。
 あ!あ!あ!だめ、いけない!そう思った僕が一番知っている。どうにも出来ないことを。
 「楽しそうだなぁ、死神野郎」
 ウンザリした表情で面倒くさげな声を絞り出し、背中の傷から這い出した黒光りするラグナロクが僕の身体の状況を一瞥しながらキッドをからかった。
 「……たまにはおとなしく引っ込んでいたらどうだ」
 これまたウンザリした顔でキッドが僕の身体から少し距離をとる。
 「満足そうに遊んでるガキから人形を取り上げるのが趣味なんだよ」
 ビチャリと長いラグナロクの舌が唾液と共に僕の胸に降ってきた。生ぬるくて、鉄のにおいがする。自分の血液なのだから、当然なのだけれど。
 「ら、ラグナロク、ごめん。勝手なことをして悪かったよ」
 「何故謝る!クロナがラグナロクに詫びねばならんことなど何も無いはずだ」
 「だ、だって、この身体は僕のだけじゃないし」
 僕がそう言ったら、キッドの表情がぐっと険しくなった。睨みつけるように僕の背後を見ている。
 「そうだぜぇ、クロナ。お前の身体は俺様のモンだよなぁ? お前は俺様の言う事だけ聞いてりゃいい。そうすりゃ快も不快も思うがままに与えてやる」
 つつぅ、と太く重い舌が腹から胸へと辿る。修道服の下で動くラグナロクの舌が生臭くてちょっと嫌だったけれど、もうそれすら慣れっこになっているので声も出す必要がなかった。
 ラグナロクの太い指は僕の手首ほどもあって、自分の体温と全く同じ温度の大きな手に捕まえられるのは実は嫌いじゃない。
 「フン、人形遊びとはよく言ったものだ。そんな安堵の表情なんぞ見飽きたわ。
 全身で絡みつく獣のようなクロナの顔を知ってるか? 幼い頬でおれの名を呼びながら腰を振るクロナの顔を見たことあるか? 瞼を涎塗れにしておれの下半身から離れないクロナなど、無気力なクロナを翻弄することしか能のないお前には考えも付くまい」
 勝ち誇ったようにキッドが腕組みしながらラグナロクを見下してそんなことを言った。
 ああ、そりゃあ想像を絶する。
 そんな覚えないもの。
 「ハァァアァ!? フカシ入れてんじゃねぇぞ死神野郎!」
 ラグナロクが僕の抗議を耳に入れる前に僕の頭を肘で踏んづけて乗り出した。
 「嘘かどうか指を咥えて見ているがいい、クロナがおれを求めるところを」
 ドン、とラグナロクを突き飛ばして僕をその胸に掻き抱いたキッドが僕に聞こえるか聞こえないかという小さな囁き声で早口に言った。
 「屋敷で主人に恥をかかせんでくれよ、お客人」
 知らないよ!……と、言えるような根性が欲しい。もしくはここから逃げ出す脚力が欲しい。
 キッドはお屋敷に居る時、凄く堂々としててサマになっている。使用人や高価で重厚な家具に囲まれている立ち振る舞いが自然で、どこか何にも怖れを見せないメデューサ様に似ているような気がする。
 僕はそれを見ていて、ああこの人は本当に高貴な人なんだなぁという思いを新たにした所に、これだもの。
 居丈高に傲慢を振りかざす。……いや、別に、こういう人に接するのは慣れてるからいいけど。
 「……………………。」
 僕は声を出さない。
 「……………………。」
 そういう遊び。

 「……………………。」
 指が性器に差し込まれる。中身をかき回されるのは不愉快じゃない。キッドの爪の形を粘膜で知る。少し憂鬱。視界がぼやける。息が上がって恥かしい。背後にはラグナロク。魂の波長はいつも通りピッタリ離れない。
 こうしていると明日を見紛う。肌が引き攣る。嗚咽が出そう。
 「おいクロナ、お前、その身体しか見せないのか?」
 ビクッっと自分の意識とは別の場所で身体が震えた。
 「……なに?」
 キッドの低い声。怒ったような。
 「まぁお子様の死神野郎にはそれがお似合いだな。なんだ、ガッカリだぜクロナ。やっぱりお前は俺以外には心を開いたりしないんじゃないか」
 ヒッヒッヒッヒ。底意地の悪い笑い方をするラグナログの影が僕の視界に被さってゆく。
 「やっとお前も俺様以外に信じる奴が出来たのかと感慨深く眺めていたのに」
 ラグナロクは嘘を付く。僕にだけ見抜ける嘘を付く。僕に優しい言葉をかけるっていう嘘を付く。
 「……し、信じてるよ!マカも、キッドも、死武専のみんなを信じてるよ!」
 「嘘だね。少なくとも俺と同じくらい信用してるのなら見せるはずじゃねぇか、自分の本当の身体をよ。見せた事ないんだろう? 死神野郎が気持ち悪がると思ってるんだ。本当の身体を晒したらもう二度と抱いてくれないと考えてる。俺様にチンケな嘘なんざ通用しないぜ」
 またビクッと身体が唸った。気持ち悪い、二度と抱かれない、ラグナロクは僕の嫌がる言葉をよく知っていて、一番のそれを選んで僕に突きつけるのが本当に上手い。
 「……どうやら苦し紛れのハッタリではなさそうだな」
 キッドの金色の丸い瞳孔がすうっと小さくなって、眉がガンと吊りあがる瞬間を見た。
 「クロナ、見せるんだ。お前の身体に唾液の掛かっていない場所があるなどデス・ザ・キッドの沽券に関わる」
 「や、やだよ!絶対気持ち悪がるもの!」
 「お前の尻の穴でさえ喜んで舐める男になにを言うか」
 「きききキミの変態ぶりはこの際問題じゃない!」
 「……やだなぁこの会話の当事者なの」
 珍しくげそっとした表情を作った漆黒の魔剣。気が合うね、ラグナロク。
 「とにかくいいから見せろクロナ!例えお前が急にエロマンガみたいなバランスのなってない巨乳になろうが、8分の5頭身の幼女になろうが、体積が8倍になろうが絶対に引かない!」
 拘るね、8に。
 「問題なのは魂だ!姿形などでおれが引くか馬鹿者!」
 背後でラグナロクの歯がギラリと光ったのが分かった。獲物を捕らえたって、そういう笑い方。
 そして僕も笑う。魂を必死で揺さぶる目の前の死神のゾッとした顔が見たくなった。
 ……本当は違うのかもしれないけれど、僕にはこれ以外の表現方法が分からない。見たかったのは本当なんだ、本当に、彼が、僕の身体を見る顔が見たいと思ったんだ。
 「言ったね。なら目に焼き付けなよ」
 想像して。
 考えうる最高の地獄を。
 孤独、嫌悪、汚泥のように張り付く苦痛、取り返せない過去、思慕、圧迫、暗闇、恐怖、欲求。僕は狂うしかないのだ。そういう風に作られた。そういう世界に落とされた。狂わない僕に意味はないそうだ。唯一愛すべき母親がそう言うんだ。狂え、狂え、世界をひっくり返せと。
 トランスする。頭の中を自分の事で一杯にする。ラグナロクの両手に捕まりながら身体をくねらせ、性器を弄る。頭の中の地獄から逃げるために肉体を狂わせる。コントラストでようやく正気を保つ為に。
 「ほら、よく見てキッド。目を逸らしちゃ嫌だよ」

 僕の修道服はラグナロクが形作っている。何度も破いているうちに変な芸当を覚えた彼が、一つ指を鳴らせば重い生地に化けた彼の身体の一部がドロドロと黒い血に戻る。
 襟の白いカラーと腕の袖口を残して僕の身体がキッドの目の前に晒された。いつもは恥かしくて嫌だけれど、今日、この時だけは特別に気分が高揚している。
 指で性器をえぐり出す。粘液の粒が散らばってシーツに軽い音を立てた。
 「あっ……イッ、あいぃぃぃ……っ!」
 嬌声も間抜けで嫌いだ。自分の悦んでる声なんか吐き気がする。なのに今は誇らしい。
 僕の股を凝視するキッドの目は真剣そのもので、胸のどこかが勉強熱心な彼にきゅんとしている。その隣りで舌を思い切り出して嘔吐の真似事をする僕も居るけれど。
 ずるずる鎌首をもたげるそれがヴァギナの少し上から顔を出し、僕の手のひらの中に収まる。こういうフリークスは珍しいとメデューサ様が僕を見て声を上げて笑った事を覚えている。惨めで暗い記憶。さあキッド、僕を蔑んで悲鳴を上げろ!
 「……すばらしい……」
 「――――――はへぇ?」
 鼻から出た声が消えるか消えないかという間にキッドの饒舌が炸裂した。
 「素晴らしいぞクロナ、お前の性器をここまで間近で見るのは初めてだが、ほぼ完璧にシンメトリーだ!小陰唇というのは筋肉が無いから普通は形が乱れるものなのだ!
 だが見てみろ、色といい形といいここまで見事な女性器をソウルが色々貸してくれた文献でさえおれは見たことがない!」
 「……え、あの、いや……ちゃんと見てた? 僕、ちんこ生えてますよ?」
 「そんなものおれにだってある!」
 …………それは大問題なんじゃ……
 「お前とんでもない奴とまぐわっちまったなァ」
 「……ギャフン……」
 左右対称左右対称とはしゃぐダメ神さまは僕の股座にいきり立つ男性器に目もくれず、僕の背中には黒髪を見下ろしながらダメだコイツ早く何とかしないとと呟く相棒、M字開脚のまま襟が開いただらしないカラーと袖口だけという酷い格好の自分。
 ……何だこの空間。
 「きききき、キッド……ぼ、僕の身体気持ち悪くないの?」
 「どこが」
 「……いや、だから、僕アンドロギュヌス(半陰陽)なんですケド」
 「だから?」
 「コレが胸ない理由なんだよ?」
 「……どうも話がかみ合わんな、はっきり言ったらどうだ」
 「だだだ、だから!みんな僕のことを女の子だと思ってるでしょう!? 違うんだよ!女性器の方がおまけなの僕!おしっこする時こっちからするんだよ?」
 「ふうん。まあそういう事もあるだろうな。人体の神秘は誠に奥深い」
 うんうんと頷きながらキッド。
 「そーじゃない!そーじゃないよ!分かってる!? キミ今まで男とセックスしてたんだよ!マカなんか男とベッドで寝てたんだよ!これ凄くない!? ねえ!? 僕がおかしいの!?」
 「おれはあんまりそういうの気にせんな」
 「気にしろよ!!頭に虫ワイてんじゃねぇのか!? 裏切りもいいとこだろこれ!!」
 「魂というのは」
 冷静なキッドの声にひゅっと息を呑む。
 「素直なものでな、どんなに表面を取り繕っても性質ってやつは隠せないんだ。
 マカがお前をベッドに招いた理由もなんとなく分かる。彼女はおれなんかより数倍いい奴なんだ。
 死神の子も魔女の子も魔法使いの猫も差別しない。捻くれ者の魔鎌も兄殺しも人殺しの末裔も頭の悪いヤンキーだって平等に扱ってくれる。浮気性の父親だって心の底ではちゃんと尊敬してるんだぞ」

 優しい声が辛くて、苦しくて、痛くて、声が出ない。
 「おれはさほどいい奴じゃないから、心のどこかでお前を信用してなかった。いつかおれを裏切るんじゃないか、おれを捨てるんじゃないかっていつもビクビクしている。
 だからクロナの一世一代の大告白が『ちんこ生えます』でよかったよ。ホントはマカが好きですとか言われたら史上初の死神の自殺者が出るところだった」
 「~~ぃうっぅぅぅぅ~~~……!」
 両手で顔を覆う。みっとも無い泣き顔を封じた筈なのに、指の間から漏れる慟哭が殺せない。
 「ここが空いてるんだから飛び込めば良かろう」
 くっと少しだけ引っ張られて、あとは倒れこむみたいにキッドの胸にしな垂れかかった。苦しい、苦しい、苦しい。息が出来ない。喉が張り合わされたみたいに、小石が詰まったみたいに、熱いものが込み上げて来るみたいに。
 「ううううううううぅぅ……!!」
 「………………。」
 声を出したら負けの遊び。
 愛してるって言う遊び。
 身体を弄る夜の遊び。
 どれも悪くなかった。刺激的で面白かった。恥かしくて照れるのも笑いのうちだった。
 僕の髪をキッドが撫でる。黙ったまま、僕の肩に暖かいその手を回し、心臓の鼓動を訊かせる。むず痒くて怖くてたまらなく不安になるのに全然動けない。ああ、キッド僕を呼んで。僕の名前を呼んで!
 ただそれだけを念じる。思いを捧げる神を僕は信じないけれど、何かを拝みたいような心境。
 「き、き、きっど」
 「……なんだ」
 「もっと、もっと言って!」
 「何を?」
 「クロナって、名前呼んで!」
 「なんだ、クロナ。どうした、クロナ。この泣き虫クロナめが」
 「もっと!もっとだよ!足りない!全然足りやしない!」
 「クロナ、クロナ、クロナ、クロナクロナクロナクロナクロナクロナクロナクロナクロナ!!」
 僕は神を信じない。どんなに誓っても祈っても助けてくれなかった神様なんて信じない。だけどこの神経質で容赦の無い小さな死神だけは信じてもいい。裏切られても殺されてもいいから、信じていたいと、そう思った。
 「許さねぇぜクロナ、そんなママゴト」
 地獄ってのがもしあったとしたら、そこから聞こえる声ってのがコレだろうという声が背後でする。かと思ったら頭を易々と掴まれてもう二度と離れないって程くっ付いていたキッドの身体から剥ぎ取られてしまう。
 「や、やだラグナロク!離して!キッド!やだ!やだよぉ!」
 「……おい魔剣」
 ジタバタ暴れる僕を小脇に抱えたラグナロクに、キッドが意外なほど静かな声で見得を切る。
 「なんだね死神」
 「哀れみさえ感じる。お前はクロナの何だ? パートナーですらないのか。彼女の何を知っていた? この我慢強いクロナの泣き顔なんて見ておきながら、まだ足りないというのか」
 にやっとラグナロクが笑った。ラグナロクは声を上げて笑う。美味しいものを食べた時、僕を存分にいたぶる時、自分の思い通りに事が運んだ時。でも彼が静かに笑うのは――――――好敵手が現れた時だけだ。