CHAOS;HEAD NOAH 咲畑梨深ルートED後


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僕は梨深を探しに崩壊した渋谷の街を走る。
梨深が何処にいるかはわからない。
けれど今の僕にはあの「黒い煙」の場所に梨深が居る気がした。
確信はない。ただの直感―。だけど僕はそれを信じて渋谷の街を進む。
黒い煙がたちこめる場所に着くとそこには少女が倒れていて、周りに血だまりができているのが見える。
僕は考えるより先に、少女の元に駆け寄って名前を呼んでいた。
「梨深!!」
少女は何も答えず、ただそこに横たわっている。
そのとき、僕の心の中で何かが崩れ落ちるような音がした。
(まだ、諦めるのは早いよ…)
声が聞こえる。この声は…
「将…軍…?」
(僕はもう力をほとんど使ってしまったから、僕に梨深を助けることはできない…。でも、キミなら…)
「どういうこと?」
(キミの右手を見てごらん)
「あ…」
僕の右手にあったもの、それは細くて長い剣。
「こ、これは…ディソード…?」
(そうだよ…。どうやら今になってキミは、目覚めたみたいだね)
「そ、そんなことより、どうすれば…り、梨深を助けられるの…?」
(妄想するんだ…。強く願って、梨深が助かることを…。今のキミにはそれだけの力がある…)
僕は目を瞑り、妄想する―
妄想というより祈りに近い。
梨深は死なない、僕が死なせない!絶対に助けられる。
ただ、それだけを祈る。
「タ……ク…?」
微かに漏れる少女の声。
それは先ほどまで生死すら判断できないほど傷ついて倒れていた梨深の声。
僕が目を開けると、梨深が目を開いて僕の方を見つめていた。
「梨深…、梨深!!」
僕は梨深を見つめながら梨深の体を見回す。
致命的な傷は全て消えていたが、それでも梨深は傷だらけだった。
梨深は僕を見上げると泣き笑いのような表情で言った。
「力を使ったんだね…。あたしのために…」
「うん、将軍が…、力を使えば助けられるって…」
「そう…、タクミが…」
「とりあえず、ここを離れようよ…。梨深はケガをしてるから治療できるところまでいかないと…」
そこで再び、声が聞こえる―
(助けられたんだね…。梨深を…)
「将軍…、君が居なければ僕は梨深を助けられなかった…。ありがとう」
(僕はもうすぐ死ぬ…。最後に僕の全てを…キミに託すよ…)
その瞬間、僕は悟った。
自分が将軍の妄想によって作られたこと。
自分がノアⅡを破壊するために生まれたこと。
そして、将軍―西条拓巳が死んだことで彼と自分の存在が重なったこと。
西条拓巳の記憶が自分の中に流れ込んでくるのがわかる。
作られた存在―
少し前の自分なら自分を否定して自暴自棄になっていたかもしれない。
けれど、今は違う。梨深が生きていてくれたから。
「タクミが…、死んだんだね…」
梨深が悲しそうな顔をして僕に問いかけてくる。
彼の記憶を引き継いだからこそわかる将軍(彼)の気持ち。
僕はそれを梨深にそっと告げる。
「泣かないで梨深…、僕の中の将軍(彼)は梨深に感謝しているから…。これからは自分のために生きていいんだよ」
梨深の目から大粒の涙が零れる。
「タ…ク…」
「うん…」
「ありがと…、タク…」

梨深は小声で呟いた。
「あ…な…た…が、す……き…」
梨深は気を失う。僕は少し動揺してしまう(いろんな意味で)が、梨深が気絶しているだけだとわかると、少し安心した。
「僕も、梨深が好きです…」
(こんな風に寝ている相手に告白するのは卑怯かな?)
それから僕はすぐに梨深を治療できるところまで運んでただ、見守っていた。

~それから一ヶ月後~

目覚めると僕は病院のベッドに寝ていた。
嫌な予感が脳裏をかすめる。
(ま、まさか…、梨深を助けたのは妄想…?僕は…、梨深を助けられなかったのかな…)
不意に部屋の扉が開き、少女が顔を出す。
「り、梨深…?」
梨深の顔を見た瞬間、僕は安堵した。
(梨深は生きてる…。妄想じゃなかった…、よかった…)
そこで一つ引っかかる。
(僕はなぜ、寝ていたんだろう?僕はあの時無傷だったはず…)
その考えを表情で読み取ったかのように部屋に入ってきた梨深が口を開く。
「タクはね…、力を使ってあたしの傷を治してくれたの…」
「う、うん…」
(そこまでは記憶があった。僕が気にしているのはその先のこと)
「でも、あたしの傷を治した事でタクは今まで眠っていたんだよ…。もうあの日から一ヶ月も昏睡状態で…あたし…」
梨深の瞳に涙が溜まっているのがわかる。
(そうか…、僕はあの後、梨深を治療できるところまで運んで見守ってそのあと…、力を使った反動で昏睡状態に…)
「…タ……」
梨深は涙ぐみながら何か言おうとしている。
梨深の言いたいことがなんとなくわかって、僕は人差し指で梨深の瞳の涙を拭う。
「ぼ、僕は…梨深を助けられたから…いいんだ。泣かないで梨深…」
そういった僕の瞳から涙がこぼれた。
(生きていてくれてありがとう。梨深)
今度は自分の涙を拭うとベッドから起き上がって僕は言った。
「梨深、散歩でもしようか?」
そこにもう梨深の涙はなくて、梨深は満面の笑みを浮かべて頷いた。
「うん、行こっ!タク」
梨深は僕の手を引っ張って部屋の外に連れ出してくれる。
(いつもの梨深に戻ってくれてよかった…)
梨深に連れられたまま、病院の庭に出る。
外の空気。前は外に出ることすら怖くて嫌で仕方なかったのに―
今は外の空気を吸っているだけで、とても心地良い気分になれる。
僕の中で何かが変わったからなのかな?それとも梨深のおかげ…?
今はただ、梨深を居るこの時間だけが幸せだと思えた。
「タク…?」
我に返ると梨深が目の前で僕の顔を見ながら、心配そうな顔をしていた。
「タク…、大丈夫?やっぱり病み上がりで外はキツかったんじゃないかな…」
「ごめん、外に出たのって久しぶり…っていうか一ヶ月ぶり?だったから…つい、ぼーっとしちゃって…」
「そっか~、具合悪いかと思って心配しちゃったよ~。たはは」
梨深はそういうと、楽しそうに青空を見上げながらクルクルと回る。
そんな梨深を見つめながら幸せに浸っていると忘れていたことを思い出す。
「あ…」
「どうしたの…?タク」
梨深は心配そうな顔で僕の方に駆け寄ってくる。
「な、七海はどこ?大丈夫なの…?」
「あ…、ナナちゃんもタクと同じ病院に最近まで入院してたけど、今は普通に家にいるよ」
「そ、そっか…」
僕のたった一人の妹・七海も無事でよかった。
(それにしても、お見舞いに来てくれたのが梨深だけっていうのは七海のヤツも白状だな…)
そのとき、不意に後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「あっ!梨深さん~!」
聞き覚えのある声のほうを僕が振り返ると相手はビックリした様子で言った。
「お、おにぃ!?目覚めたんだね~。よかったぁ~」
噂をすればなんとやら、七海のことを考えていたら本当に七海がお見舞いにくるとはね。
「おにぃ、体の具合は大丈夫なの?外に出ても平気なの?」
「ああ、うん…、たぶん…」
七海は本当に僕のことを心配してくれている。
白状だなんて思ったことは訂正しなくちゃいけないな。
「な、七海…、ありがとう…」

「お、おにぃ…、なんか変だよ?熱でもあるんじゃない…?」
「バ、バカ…、せっかく僕がお礼を言ってるのに何だよ…そ、その態度は」
「よかった~。やっぱりいつものおにぃだね!」
梨深も七海も無事でよかった。本当によかった。
僕は心の底から安心していた。
「グゥ~~!」
安心すると気が緩むもので、僕の腹の虫が勢いよく鳴いた。
「タク?お腹すいたの?」
「おにぃ、お腹すいてるならそう言ってよ~」
二人とも僕の顔を見ながらそんなことを言ってくる。
いくらカノジョと妹だからといって腹の虫の音を聞かれるのはかなり恥ずかしい。
「べ、別にお腹なんか鳴ってないぞ!ところで今って何時?」
「ん~、12時13分…、丁度お昼時ってところかなぁ~」
「じゃあ、食堂で何かたべようよ~。もちろん、おにぃのおごりで~」
(なんなんだよ。病み上がりの僕におごらせるのかyp!やっぱり七海は七海だな…)
「ま、まぁ…、今日だけは特別だぞ!」
「やった~!じゃあ梨深さん早く行きましょ~」
「あっ!ナナちゃん待って~。タクが~」
そして一人取り残される僕。
(ホント勘弁してくれよ…。病人を放置プレイで食堂に駆け込む妹なんて聞いたことないぞ!)
まぁ、そんなこと思っていても放置された事実が改変されるわけもないので仕方なく、僕は一人で食堂まで歩く。
「あ~!もぅ、おにぃってばおそーい!」
(はぁ…、何で病人なのに怒られなきゃいけないんだ。それに僕のおごりだっていうのにコイツときたら)
僕は七海への怒りに耐えながらも梨深の隣に座る。
梨深は申し訳なさそうに小声で僕に呟く。
「ごめんね~。先に行っちゃって…タクのおごりなのに」
(梨深って意外と策士…?これじゃ僕がおごる選択肢しか残ってないじゃないか…)
「いいよ…。二人とも何食べるの?」
「ん~っと、ナナはうどんがいいかなぁ~」
「あ、あたしはおそばがいいなぁ~」
「じゃあ、僕はラーメンにしよっと」
僕がそういって立ち上がろうとすると七海が先に立ち上がって言った。
「ナナが買ってくるから梨深さんとおにぃはここにいて!」
命令するな!といいたいところだけど、二人きりにしてくれるなんて七海GJ。
「ね、ねぇ…タク」
「ん…、何?梨深」
「タクって…いつ頃退院できそう?」
(そう言われても、まだ医者にもあってないしなんともいえないんだけどなぁ)
「あたし…、早くタクと一緒にまた学校に通いたいな…」
「た、たぶん、数日中には退院できるんじゃないかな?ただ眠ってたってだけだし…」
「そっかぁ~、あ…あと、これからもこうやって毎日お見舞いに来てもいいかな?」
それはちょっと恥ずかしいかも、と思ったが、梨深の顔を見ていたら拒めなくて頷いてしまう。
「よかった…。ありがと」
「そういえば…、梨深は…、あのあとケガは直った…んだよね?」
「うん…、このとおり、バッチリだよ。ビシィ!!」
「よかった…。今日、病室であったときも、梨深のケガが直っているか心配だったんだ」
「タクは優しいね…」
梨深と視線が合う。この距離はまずい。
だけど、視線を逸らせない。梨深が目を瞑る。
(ダ、ダメだ…。こ、こんなところで、そ、んなこと…落ち着け拓巳…素数をかぞえるんd)
「おっまたせ~!」
不意に七海の声が聞こえて梨深も僕も驚いて目を逸らした。
「あっれ~、もしかして…、オジャマしちゃった?」
その七海の顔に罪悪感などは皆無で、ただニヤニヤして僕と梨深を交互に見つめている。
(コイツ、わざとやったんじゃないのか…。なんか僕の周りの女子って策士ばっか…)
そんなことを思いながら、僕は自分のラーメンに手を伸ばして食べ始める。
七海も僕と梨深をしばらく観察していたが、すぐにあきらめて自分のうどんを食べ始めた。

梨深は相変わらず驚いているようだったので僕は梨深に言った。
「梨深、そば伸びちゃうよ」
「うわぁ!うん…、そうだね…」
そんな感じで梨深は素っ頓狂な声を上げた後、そばを食べ始めた。
それから皆、沈黙したまま食事を終える。
「「「ご馳走様~」」」
食事を済ませると七海は用事があるというと僕の耳元で「うまくやりなよ~」と囁いて行ってしまった。
「えっと…、僕は病室に戻ろうと思うけど…。梨深は…どうする?」
「ん~、あたしはもうちょっとタクと居たいから、あたしも一緒に病室に行ってもいいかな?」
「うん、もちろん」
病室に戻ると僕はベッドに座り込み、梨深もその隣に座る。
「なんか久しぶりだね~」
「な、なにが…?」
「こうやって…、タクのそばに座って話してること」
「ああ、うん…そうだね…」
梨深はカノジョだ。梨深に自覚があるかはわからないけど、少なくとも僕はそう思ってる。
でも、梨深との距離が近づくにつれて緊張して、マトモに喋れなくなってしまう。
(やっぱり、僕ってダメな男なのかなぁ…)
そんなことを考えて塞ぎこんでいると、梨深が耳元で囁く。
「ねぇ、タク…」
顔が熱い。梨深の囁く言葉がむず痒いのと同時に極度の緊張で顔が赤くなっているのを感じる。
「な、何…?」
「キス…しよっか…」
その言葉に僕の頭は一瞬真っ白になった気がした。
しばらくの沈黙。そして―
「うん…」
僕はそう答えて梨深のほうを向いた。
梨深は目を瞑って待っている。
唇と唇が重なる。
梨深のフローラルな香りとともに感じる。梨深の柔らかい唇の感覚。
コンコンッ!
扉をたたく音が聞こえて僕はあわてて唇を離す。
もう少し梨深の唇の温もりを感じていたかったけど、仕方ない。
「西條さーん?」
看護師の声とともに扉が開く。
「あ、はい…」
目覚めたことは一応知らせていたけど、その後すぐ居なくなったので向こうも困っていたんだろう。
「何処に行っていたんですか?とりあえず、熱だけ測ってくださいね~」
「わ、わかりました…」
看護師は体温計を僕に渡すと空気を読んだのか出て行ってくれたが、
その間、梨深は顔を真っ赤にさせながら呆然と立ち尽くしていた。
「り、梨深…、大丈夫?」
「あ…、うん…。ごめんタク…ちょっと用事思い出したから今日はもう行くね。また明日」
梨深は顔を真っ赤にしたまま、部屋を飛び出すように出て行った。僕は梨深が出て行った扉をしばらく見つめて、溜息をつく。
(はぁ…、梨深も行っちゃったし僕一人で居てもあまりやることがないなぁ…)
この病室にはテレビもなく、暇をつぶせる物が何もない。
学校の鞄の中には携帯ゲームとソフトが数本入っているけど、梨深を探しに外に出た時は当然手ぶらだった。
殺風景な部屋を見渡した後、再び溜息をついて僕は体温計を脇に挟んだ。
(とりあえず熱は計っておかないとな…、計り終えたら看護師に返してまた外に散歩に行こう。)
体温計で体温を計り終えるまでの時間は案外苦痛だ。
音で知らせてくれるヤツなら早いけど、水銀タイプは10分ほど挟んでないといけない。
僕が渡されたのは水銀タイプの方。とりあえず、何か考えてこの苦痛から逃れようと僕がひたすら思考をめぐらせる。
(そういえば、学校はどうなっているのかな?梨深も七海も私服だったからまだ休校?いや待て、いくら渋谷が崩壊したっていっても一ヶ月もあればさすがに回復するだろう)
わからないことを考えても仕方ない、と僕は思い、別のことを考える。
(あやせは無事かな…。あ、でも…、セナとこずぴぃは…)
あやせの事を考えると、セナやこずぴぃの事まで思い出してしまう。
あの二人はベースの前で…。そこまで考えて、僕はこれ以上考えてはいけないと思い、思考を中断する。
(何か楽しいことを…。そうだ、梨深と一緒に居ることを考えよう…)
扉が開く音が聞こえた。
僕ははっとして扉のほうに目を向ける。
そこには用事があるといって帰った梨深が居た。
「り、梨深…?ど、どうしたの?用事があるって帰ったんじゃ…」
「あ、あのね。ちょっとタクの顔が見たくなっちゃって戻ってきちゃった…」
「へ、へぇ…、そうなんだ…」
僕はいきなりの梨深の言葉に動揺してしまい、返事がそっけなくなる。
「ダメ…だったかな?」
「い、いや…、ぜ、全然OKだよ…。ちょっと驚いたっていうか…」
「そっか~、よかった!」
そういって梨深がベッドの方に近づいてくる。
「ねぇ…、タク…」
「な、何…?」
「しよっか…」
「??」
僕はその言葉によって思考が麻痺していく。
(する?何を?キス?それはさっきやった。じゃなくて…、ま…、まさか)
僕は恐る恐る梨深に問いかける。
「何を…するの?」
「気持ち良いこと…」
梨深がいきなり上着と服を脱ぎ始める。
「ちょ、ちょ…、梨深…なにを…」
「タクも、服脱いじゃおうよ…。あっ…タクって着たままのほうが好きなのかな?」
「た、たしかに僕は着たまま派だけど…、じゃなくて…ちょっと落ち着こうよ梨深」
ますます自分の思考が混乱していく。
何をするかは理解した。
何で梨深がいきなり積極的になったのかは知らないけど、これは僕にとって好機だ。
しかし、看護師がいつ扉を開けて体温計を取りに来るかもしれない状況でさすがにこれはまずい。
すると、梨深は僕の心を読んだかのように言った。
「大丈夫だよ…。この病室は今、誰にも見えてないから」
「り、梨深がそう妄想したってこと…?」
「うん…、そうだよ。さっきみたいに、タクとあたしの二人きりの空間を邪魔されたくないし…」
気づくと梨深は上も下も下着姿になっていた。
「梨深…、可愛い下着だね…ふひひ」
そんな言葉はつい口から出た。
言ってすぐに「しまった」と思ったけど、梨深は顔をほんのり染めて恥ずかしそうな顔をして、だけど僕の顔をじっと見つめていた。
「タク、外してくれないかな?」
「!!」
僕の心臓の鼓動が速くなるのを感じる。
(もうだめだ…。僕はこれ以上理性を保てない…)
僕は梨深の背中に手を回しブラのホックを外す。
外したことは一度もないけど、それはあっさりを外れた。
あらわになる梨深の形の良い胸と桃色の乳首。
僕の心臓鼓動がますます速くなる。
「さ、触ってもいいかな…?」

考えるよりも先にその言葉が出た。
「いいよ…。でも、優しくしてね」
梨深は恥ずかしそうに僕から目線を逸らしながら言う。
梨深の胸に僕の手が触れた瞬間、世界が反転した。
「あ…れ…?」
そして、世界は暗転する。
「西條さん、大丈夫ですか?」
声が聞こえる。この声は看護師の声。
(待てよ、この部屋には今誰も入れないはずじゃ…)
目を開けると、僕の世界が戻ってくる。
そこには看護師が僕のことを見つめていて、そこにいたはずの梨深はいない。
(あれ…?)
「西條さん、大丈夫ですか?」
看護師は確認するようにもう一度僕に問いかける。
「あ…、はい…」
「よかった。体温計を取りに来たんですけど、部屋から物凄い音が聞こえて部屋に入ったら西條さんがベッドから転げ落ちていてびっくりしましたよ~」
「あ、すみません…」
僕は恥ずかしさで顔を赤くしながら看護師の顔を見ずに体温計を差し出す。
(はぁ、今のエロ梨深は妄想か…。にしても、妄想でベッドから落ちるなんて、僕はどんだけ溜まってるんだよ…)
「熱は無いようですね~。あ、あと…、もうベッドからは落ちないでくださいね~」
看護師はそういって部屋から出て行く。
(はぁ…、散歩でも行こうかな…)
僕は梨深の妄想を忘れるために部屋を出た。

梨深は病院を出た後、公園にいた。
病室での出来事が恥ずかしくなって出てきてしまったのだが、病院を出たあとは何かに引き寄せられるようにこの場所に来ていた。
(なんで、こんなところに来ちゃったのかな?)
梨深は公園の端の方に走っていく。
自分では理解できていないが「何かに呼ばれたような」その感覚に従って走る。
「あ…」
梨深の視線の先には小さな墓標があった。
梨深は悟った。
この場所に引き寄せられた意味を―
「タク…ミ…」
確信がないのになぜかわかる。これは彼の墓だと
「でも、なぜ?」そんなことを考えていると声が聞こえた気がした。
聞きなれた彼の声。
(君は自分のために生きていいんだよ…。幸せになって)
梨深は思った。
ここ一ヶ月、梨深は「自分は本当に幸せになっていいのだろうか?」という疑問と悩みを抱えていた。
彼はそのことに気づいている。
そして、死んでなお、自分の幸せを願ってくれている。
梨深の瞳から大粒の涙が溢れた。
「タク…ミ…、あり…が…とう」
自分の心の悲しみを洗い流してくれるような綺麗な歌声が聞こえる。
「Fly and cross Fly and cross  約束は今」
梨深はその歌声に耳を傾ける。
「Fly and cross Fly and cross 果たされるから」
歌声がやみ、梨深は歌声の聞こえた方を向いた。
「あら、来ていたのね」
少女は泣いている梨深を見てそういった。
「岸本…さん?」
「あの日…、邪心王・グラジオールが目覚めた日。いつもとは別の声が聞こえたわ…」
梨深はその言葉で気づく。その声の主がニシジョウタクミだということを
「その声は私に言ったわ…。梨深に、咲畑梨深に言葉を伝えてほしい、と」
「タクミが…なに…を?」
「そう、彼もタクミっていうのね…」
歌声の少女・岸本あやせは落ち着いた様子で話を続ける。
「彼は、あなたが一つ上のステージに上がることを望んでいたわ…。あなたは幸せになるべきだと…」
梨深は彼を救うつもりだった。でも
「またあたし…、救われたんだね…」
「私が伝えることはそれだけ…、じゃあ、いくわ…」
「ありがとう…、岸本さん…」
梨深はあやせに頭を下げて振り向くと、もうそこに墓標はなかった。
梨深は涙を拭くと走り出す。拓巳のいる病院へ

(とりあえず、気分を変えよう。また変なことを妄想しないように…)
僕はそんなことを考えて外に出た。
病院の狭い庭を散歩するのは嫌だったので、部屋にあった制服に着替えて病室を抜け出した。
(さて、外に出たのはいいけど…、何処に行こうかな…)
元々、外出嫌いでほとんど外に出ない僕だ、外に出ても行くようなところは「まんがだらけ」と「アニメエイト」くらいだ。
財布はポケットの中に入っているから買い物をしてもいいけど、せっかく外に出ても今までと同じ場所に行くというのはあまり気が進まない。
(ん~、どうしようかな…)
思考を巡らせつつ病院を出る。
ゴン!という音と共に体に衝撃が走る。
「うわぁ!」
「あ、ごめんなさい…。立てますか?ってタク!?」
ぶつかった相手は梨深だった。
「梨深、どうしたの?用事があったんじゃ…」
梨深の瞳の周りが赤い。
普段なら気づかないことだけど、なんとなく泣いた後だということに気づいてしまった。
「ちょ、タク!?」
僕は思わず梨深に抱きついていた。
なぜ、そんなことをしたのかはわからない。ただ、梨深の悲しい顔はみたくない。そう思っただけ。
「あ、ごめん…」
冷静になると恥ずかしくなってすぐに離れる。
「どうしたの?タク…、顔真っ赤だよ」
自分でやっておいてなんだけど、これはかなり恥ずかしい。自重しろ僕。
「そういえば、タクはなんで制服なの?」
「あ…、ちょっと散歩しようと思って病室ぬけだしてきたんだ…」
「え~!それって大丈夫なの~?」
「ま、まぁ…、体はなんともないし、平気だよ」
それでも梨深は僕のことを心配そうに見つめている。
「ねぇ、梨深。これからどこか行かない?買い物とか…」
「けど…、タク。大丈夫なの…?」
「ああ、僕は全然平気だよ。なんかずっと眠っていたせいで外に出たくてしょうがないんだ」
まだ少し梨深は心配そうに僕を見つめていたけど、しばらくするといつもの笑顔に戻った。
「じゃ~、何処行こっか?タクは何処かいきたいところある?」
「り、梨深が一緒なら何処でもいいよ…」
「!?」
(しまった。僕は何を言っているんだ…。梨深が顔真っ赤にして固まっちゃってるし…)
「じゃあ、107に行こうか…」
「え…、あっ、うん…」
(107なんかまともに行ったことないけど、自分の行ったことあるアニメエイトやまんがだらけに梨深を連れて行くわけにもいかないしなぁ)

そんなわけで107前。
いつみてもここは人が多くて空気が悪そうだ。
僕が知っているのは一番上の階にクレープ屋があることだけ。
とりあえず、クレープ屋に行くか。
「り、梨深…、甘い物は…好き?クレープとか…」
「あっ…、うん、甘いのは好きかも…」
「一番上にクレープ屋があるから…行こうか」
「お~、タクってこういうとこあまり来ないと思ってたけど案外詳しいんだね~」
「TVとかでもたまにでたりするからね…。詳しいってほどじゃないけど…」
エスカレーターに乗って最上階へ。
梨深はブルーベリーとチョコのクレープ。
僕はストロベリーと生クリームの奴を注文した。当然、僕のおごり。
「いっただっきまーす!」
「いただきます…」
実は僕は甘い物はあまり好きじゃないんだけど、たまにはこういうのも悪くない。
「ねぇ、タク~。ストロベリーも味見させてよ~」
梨深の言葉に心臓が高鳴る。
(も、もしかしてそれは…か、間接キス的な…意味で…?)
「ダメかな?あたしのも一口あげるからさぁ~」
(なんてふしだらな…、お父さん許しませんよ!!なんちゃって…。さて、どう答える…落ち着け僕、素数を数えるんだ…)
「ねぇ、タク聞いてるの~?返事しないなら…えいっ!」

梨深は僕の手の中のクレープめがけて食らいついた。
そのあと、照れながら上目遣いで僕の様子を伺う梨深。
(ちょ…、そのアングルは反則でしょ!!やばい…、なんか変な気分に…正気を保つんだ僕…)
「タク、顔赤いよ~?ひょっと変なこと考えてた?」
「う…そんなことは…」
「誤魔化したってあたしにはわかっちゃうよ~ビシィ!」
「ご、ごめん…」
「なんで謝るの~?あ、そうだ。はい…、タク、あーんして~?」
そういって梨深は自分のクレープを僕の口元に近づけてくる。
(だ、だからり、梨深さん…、そ、そんな恥ずかしいことを平然と…)
そんなことを思いつつ、気づいたときには僕の口にクレープが一口はいっていた。
「どう?美味しい?」
「う…、うん。美味しい」
(なんだこれ…、ていうかこれなんてエロゲ?)
そんなちょっと幸せなイベントもありながら、僕たちはクレープを食べ終えた。
「タク、次は何処いく~?」
外には出たかったけど、実際に人混みの中にいると結構疲れる。
「じゃ、じゃあ…、ベースに戻ってもいいかな?色々持っていきたい物があるんだ…」
「うん、いいよ~」
外に出ると空は赤くなっていて、夕日が出ていた。

107から出て、ベースに戻った時には外は暗くなっていた。
(病院抜け出して散歩するつもりが結構時間かかっちゃったな)
ベースに着いた後、病院のことを考えながら僕はふとため息を漏らしていた。
「タク?大丈夫??」
「あ、うん…、なんでもないよ」
梨深は相変わらず僕のことを心配してくれている。
彼女を心配させないためにも抜け出した話はあまりださないでおこう。
「じゃあ、梨深。少しソファーで待っていてくれるかな?持っていくもの整理しないといけないから…」
「あっ…、それならあたしも手伝うよ~」
「い、いや…、大丈夫。すぐに終わるから。それに、今まで梨深に頼ってばかりだったし…」
(まぁ、本当は携帯ゲーム機とかソフトを入れるところを見られたくないだけなんだけどね。サーセン、フヒヒwww)
でも、梨深があんなことになって、その責任の一端が僕にあると気づいたあの時、梨深に頼りきっていた自分を責めた。
「お~、タクからそんな言葉が出てくるとは思わなかったよ~。えらいえらい♪」
僕は梨深の視線を受けながらも鞄の中に必要な物を詰め込んでいく。
「よし、おまたせ梨深。じゃあ、出ようか」
「うん~、あっ、病院まで送るね」
梨深はまだソファーに座ったままで、僕もソファーの方に足を踏み出した。
「うわぁ!!」
僕は足元の雑誌に足を取られて梨深のソファー目掛けて倒れこむ。
「タク…」
目を開けると梨深の顔が物凄く近くにあって、僕は梨深の胸に埋もれていた。
「う…、ごめん梨深…」
しかし、すぐにこのポジションから離れたくない。
もう少し、この感触を味わっていよう。
そう思ったそのとき梨深が消えそうな声で何か言った。
「………していいよ…」
「??」
よく聞き取れなくてとっさに僕は聞き返す。
「梨深…、何…?」
「タクの好きにしていいよ…」
梨深は相変わらず消えそうな声で僕から目を逸らしながらそんなことを言った。
「妄…想…?」
僕は意外に冷静だった。
正確には冷静じゃなかったかもしれないけど、昼間の事もあって全てを疑ってかかっていた。
まずは辺りを見渡してここがベースであることを確認する。
(よし…、ここはベースだ)
念のため、カギをかけたかもチェック。
(かかっているな。よし)
最後に妄想かどうか確かめるために自分の頬をつねってみる。
(い…痛い…、これは夢でも妄想でもない。現実だ…)
僕の一連の行為を見ていた梨深は目を細めて僕を見つめてくる。
「む~、タク…どうしたの?」
「い、いや…、梨深が変なこと言うからも、妄想なんじゃないかって…」
(しまった。安心してつい本当のこと言っちゃった…)
「で、そ、その…好きにしていいって言うのはつまり…」
そこでツバを飲み、押し倒している梨深の顔を見る。
「いいよ…。タクなら…」
僕の理性はすでに崩壊を起こしかけていて、それに気づいた時、僕と梨深はキスしていた。

舌を梨深の口の中に潜り込ませる。
「…んっ……」
梨深も僕の舌にねっとりと絡み付いてくるのがわかる。
「んっ……ふ…ぅ…ぁ…んっ…」
自分の鼻息がどんどん荒くなる。
「ぅっ……ぁ…ん……んぁ…」
(やばい、気持ちよくてアッチのほうが起き上がってきてる…)
そう思ったときには既に遅く、梨深は自分のフトモモにあたる違和感に気づいて口を離す。
梨深はズボン越しに膨れているソレを見つめて驚いたような顔をしている。
「梨深…?」
まさかココまで来て断られるんじゃないか、という不安が僕の頭をよぎる。
「あっ…ごめん…」
(ごめんってもしかして、怖くなっちゃったとかそういうこと…?)
「ちょっと驚いちゃって…」
その一言で僕の心は不安から開放されていった。
「いいかな…?」
「うん…、初めてだからちょっと怖いけど…。タクなら…いいよ…」
その瞬間に僕の頭の中のスイッチが入った気がした。
僕はすぐにズボンの中のモノを取り出すと梨深のスカートの中を弄り、下着を脱がす。
梨深の秘所はヒクヒク動いていて、ところどころ光っていた。
「もしかして…梨深。ココ…、濡れてるの…?」
「え…、いやぁ…そんなこといわないで…」
顔を赤くしながら梨深は僕から顔を背けた。
「じゃあ、いれるよ…」
「う、うん…やさしくしてね…」
ゆっくり、ゆっくりと、僕のモノが梨深の秘所に入っていく。
「うっ…あぁ…」
悲鳴を押し殺すような声に僕は少しばかりの罪悪感を覚える。
(僕はこれから気持ちよくなるだろうけど、梨深はきっと痛いんだろうな…)
梨深のナカはとても温かくてキツくて締まっていた。
「気持ちいい」という言葉がもっとも的確だと断言できる感覚。
「あぁ…梨深のナカ、気持ちいぃ…動いてもいい…?」
「う…ん、いいよ…」
「ごめんね…。僕だけこんな…」
梨深の表情を見ていたらついそんなセリフがこぼれ出た。
梨深は僕のその言葉を聞いた後、かすかに微笑む。何もかも包み込んでくれるような笑顔
僕はその笑顔を見ながらゆっくり腰を動かしていく。
「り…梨深、気持ちいいよぉ…。凄く締まってる…」
「タク、恥ずかしいよぉ…。あんまりそんなこと言わないでぇ…」
僕は腰を振る速度を徐々に上げていく。
梨深は依然、笑顔のままだが、瞳からはかすかに涙がこぼれている。
僕はその大きな瞳に手を伸ばして梨深の涙を掬い取る。
梨深は痛みに耐えながらも僕を絶頂へといざなってくれる。それが僕は嬉しい。
「梨深…、そろそろ限界…ナカでいいかな…?」
「いいよ…。ナカで出して…」
次の瞬間、僕の頭の中は真っ白になり、達した。
梨深のお腹に僕の精液が注がれていく感触が伝わってくる。
しばらくの間、僕達はお互いを見つめあっていた。
そのあと僕は梨深をシャワーコンテナまで案内して、自分は部屋と自分たちの行為の後片付けをした。
梨深がでたあと、僕もシャワーを使って二人ともベースに来たときの格好のまま、また外に出た。
「梨深…、大丈夫?」
梨深は痛みを耐えているような顔で無理に立っているような感じがした。
「平気、平気♪じゃあ、病院に戻ろうか」
「あ、そのことなんだけど…。僕は一人で平気だから…」
梨深に無理をさせないために言っているのだが、なぜか素っ気無い口調になる。
「というか…、僕のほうが梨深を送るよ…。今日は色々付き合ってもらったし」
「え…、タク…」
「駄目かな?」
「ありがと…、じゃあお言葉に甘えちゃいま~す!」
そして僕は夜の道を「彼女」と一緒に歩いていく。
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