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女体化相談室 サトル編 347 +9foWnL20

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268 名前:女体化相談室 投稿日:2006/09/05(火) 22:56:26.92 eBq496DG0

神が来てるな。乙。

ところでネタ考えてみたんだがこの線で短編落としていい?



女体化相談室

全国の中学・高校に「女体化問題」専門のカウンセラーを配置するよう文科省から
通達があったのが20xx年。少子化の時代とは言え、学校ひとつで毎年100人単位の
男子生徒が重大な選択を迫られている現状に、現場の一般教師や現任のスクールカウンセラー
だけでは不十分というわけだ。

そんなワケで、俺は三年前からvip高で常勤している「女体化相談員」だ。
今日は俺が関わった女体化生徒の事例を紹介しようと思う。
俺はカウンセラーよりも、家族、友人そういう身近な人こそ彼らの力になれると思っているんだ。
だから皆に女体化についてもっと知ってもらいたい。まあ、俺の目的はそんなトコだ。
もちろん、事例は匿名だ。俺達の仕事は秘密を守ることが第一だからな。
もしここに「自分もいつか性別が変わる日が来るんだろうか」と悩んでいる人がいたらいつでも力になる。
そして、今日は「十分に悩むべきことだけど、恐れる必要はない」このことを、知ってほしい。


それじゃあ、まずひとつめの事例だ。


347 名前:女体化相談室 サトル編 投稿日:2006/09/06(水) 01:03:17.72 +9foWnL20

女体化する年齢がいつ頃だか知ってるかい?
そう、大体15歳~16歳。おっと、これはあくまで目安だから、「自分はもう18なのに」とか思わなくていいんだ。
最新の統計では、早くて11歳、遅くて21歳で女体化が始まったって人もいるから、これはもう、個人個人でバラバラなんだ。
生徒と関わっていく中で、俺は、思春期の男の子にとって「女の子になるかも」って考えることは、生き方や人との関わりについて考えるいい機会になっているんだなと実感することがある。
昔は中高の男子なんてガキだって言われてたし、実際そうだったのかも知れないが今はどうだろう。女子のみんな、「最近アイツ変わったかも」と思ったら、そいつが初体験の後だったりする、なんてこともあるんだぜ。

さて、そんなわけで最初はサトル(仮名)の話を紹介しようと思う。

サトルは、「先生、オレ女になっちまうの?」なんて相談室に駆け込んでくるやんちゃなボウズだった。
元気のよさは折り紙付きの15歳。高校に入学したてだったから、少し幼い感じの、だけど感じのいい男子だ。
サトルは相談室に来るなり「女なんてやだなぁ」、「へろへろじゃん」なんて冗談交じりに繰り返してた。
なんとなくわかった人もいるかな。そう。サトルは陸上に目を輝かせるバリバリのスポーツマンで、
自分の足が遅くなるのがイヤだってぶつくさ言ってたんだ。
女体化すると、さすがに男性並みってわけにはいかなくなるからね。
だからサトルは悩んでた。
「女にならないためにはヤるしかないけど、付き合ったり、好きでもねぇのにできねーよ」ってね。


348 名前:女体化相談室 サトル編2 投稿日:2006/09/06(水) 01:03:57.53 +9foWnL20

知ってる人も多いと思うけど、精通が始まった男子は登録して「性別選択」できるって制度がある。
つまり、望めばサトルも、そして誰でも、初体験を済ませることができるわけだ。
俺も「「男」に決めることはできるよ」と勧めてみたけど、サトルはこれもうんと言わなかった。
なぜか。サトルと話をしててわかったんだが、サトルには幼馴染の女の子がいて、付き合ってる
ってわけじゃあないが、なんとなく気後れするくらいには気にしてるらしかった。
「逆にオレがこのまま男だったら、適当な奴とヤっちまってるってことだろ?アイツ絶対フケツとかって言うよ」
なんてね。

ここからは半分恋愛相談のノリだ。だけど俺も与太話のために雇われてるわけじゃないからね。
サトルとは顔をつき合わせて話した。まずは自分がどうしたいのか。男でいたいってのはわかる。
だけどそのためにセックスをするとなると、サトルはその女の子じゃないと具合が悪いらしい。
俺達はふたりで大原則を決めた。「その女の子の気持ちを第一に考えること」だ。
サトルは少し子供っぽかったけど、根は素直でいい奴だ。無理にセックスをするってのが相手を傷つけてしまう
って自分から考えることができる奴だった。
それからたくさんのことを二人で決めた。告白をするまでだって、いかにカッコよく決まるか、要はその女の子と
サトルにとってどうするのが一番いいか、30過ぎたオッサンの俺とサトルは喧々諤々の秘密会議だ。


350 名前:女体化相談室 サトル編3 投稿日:2006/09/06(水) 01:05:25.69 +9foWnL20

そんなこんながあって、サトルは相談室には来なくなった。
一冬越して、「そういえばアイツはうまくやったかな」なんて考えていた頃、相談室に控えめなノックが鳴った。
立っていたのは、ショートカットがかわいらしい、少し背の低めの女の子だった。
「やあ、こんにちは。どうかしたかい?」
初めて見る生徒だったから、俺はひとまずそう言ったんだ。
バン!
と、胸に一発、手荒い平手が飛んできた。
「オレだよ。センセイ!」
サトルだった。
「先生。オレ、アイツにヤりたいって言わなかったよ」
「どうして?」
サトルは少し恥ずかしそうに言った。
「部屋にいてさ。一回そういう雰囲気になったけど、アイツ、「サトル、いいよ」って言うんだ。「男の子でいたいんでしょ」って。先生と一緒にここで話したろ。誰かが我慢するんじゃダメだって。
だからオレ、それは違うって言ったんだ。大喧嘩さ。「アタシがいいって言ってんのになんで?」って」
サトルが言うには、その子、震えてたんだって。「ほんとにいいのか」ってサトルは何回も問い詰める。
最後はふたりとも大泣きで、その日はそのまま眠ったって聞きました。
サトルはそれから半年間、彼女と付き合ってたけど、「セックス」の話はしばらくやめよう、ってふっと思ったんだって言ってた。
そしたら、サトルは女の子になってしまった。
「別にいいよ、もう」
女の子のサトルはかわいらしい、大きな笑顔を見せてくれた。
「男も女も、ガッツだしな!」
今サトルは女子陸上の世界に夢をかけてる。くっきり引き締まった太ももはないかもしれないけど、軽やかなステップで
トラックを駆ける姿を、サトルは見せてくれた。


351 名前:女体化相談室 サトル編4(終わり) 投稿日:2006/09/06(水) 01:08:05.49 +9foWnL20

女体化はいつ来るかわからない。だから、男でいたければできるだけ早くセックスをするしかない。だけどそのことばかりじゃなくて、
サトルは「なんかやだな」ってセックスしなかったけど、「自分が男でいるため」と思ってセックスをすることは決して悪いことじゃない。
大事なのは、自分のことを思ってくれる人のことにも目を向けるってこと。
独り善がりや自分勝手な気持ちに待ったをかけて、立ち止まって考えることを、サトルは自分の女体化って時期に考えたんだと思うんだ。

さて、今回の話はここまでだ。ちょっと長くなっちまったな。それと、俺の話はあくまでひとつの例にしか過ぎない。
絶対こうでなきゃいけない、なんて考え方はない。ただ、ひとりひとりがじっくり考えるってことは悪いことじゃないだろ?
ってなわけで、これが一つ目の話。またみんなの前で話すことがあるかもしれないから、その時はよろしく。
普段は相談室にいるから、気軽に声をかけてくれると嬉しい。それじゃあ、また。
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