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歩(2) ◆PqUOSvmR0w
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722 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:16:03.34 FilLwOiP0
148の続きから投下
====
待合室に戻ると波多野が待っていた。
俺は目に浮かんだ涙を慌てて手でこすり飛ばして言った。
「波多野、待たせたな」
「おまえいったいどんだけ粘ってるんだよ。もう待ちくたびれたぜ」
「悪い悪い。ちょっと色々あってな」
2人連れだって受付の方へ戻ると、さっそく受付の事務員さんから声がかかった。
「水原さん。すいませんがちょっとこちらの方へ」
怪訝な顔をしている波多野を尻目に、俺は受付カウンター脇の出入り口から事務室へ入る。
部屋の一番奥の、パーテションで区切られた一角に案内された。
ソファに座ると、案内の事務員さんと入れ替わりに中年の頭の薄い男性職員が入ってきた。
その男性はさっきお姉さんの所で聞かされた話と同じようなことを言った。
そして最後に紙を一枚渡される。
「これは未処理証明書というものです。これを提示すれば全国どこの施設でも処理を受けることができます。使用期限はありませんが、女体化してしまうと当然無効となります」
「…」
「水原さんのようなケースはなかなかありませんが、女体化が起こるまでは処理を受ける権利が法規で保障されています。この証書はそれを担保するためのものです」
「…」
「この証書は再発行いたしませんので、決してなくさないようにお願いします」
「…」
「おわかりになりましたか?」
「あ、はい」
「それではお渡しします。あ、封筒があった方が良いですかね?」
「お願いします」
男性は一旦席を立つと封筒片手に戻ってきた。
待合室に戻ると波多野が待っていた。
俺は目に浮かんだ涙を慌てて手でこすり飛ばして言った。
「波多野、待たせたな」
「おまえいったいどんだけ粘ってるんだよ。もう待ちくたびれたぜ」
「悪い悪い。ちょっと色々あってな」
2人連れだって受付の方へ戻ると、さっそく受付の事務員さんから声がかかった。
「水原さん。すいませんがちょっとこちらの方へ」
怪訝な顔をしている波多野を尻目に、俺は受付カウンター脇の出入り口から事務室へ入る。
部屋の一番奥の、パーテションで区切られた一角に案内された。
ソファに座ると、案内の事務員さんと入れ替わりに中年の頭の薄い男性職員が入ってきた。
その男性はさっきお姉さんの所で聞かされた話と同じようなことを言った。
そして最後に紙を一枚渡される。
「これは未処理証明書というものです。これを提示すれば全国どこの施設でも処理を受けることができます。使用期限はありませんが、女体化してしまうと当然無効となります」
「…」
「水原さんのようなケースはなかなかありませんが、女体化が起こるまでは処理を受ける権利が法規で保障されています。この証書はそれを担保するためのものです」
「…」
「この証書は再発行いたしませんので、決してなくさないようにお願いします」
「…」
「おわかりになりましたか?」
「あ、はい」
「それではお渡しします。あ、封筒があった方が良いですかね?」
「お願いします」
男性は一旦席を立つと封筒片手に戻ってきた。
723 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:30:46.68 FilLwOiP0
俺は証書を入れた封筒を手渡され、席を立つ。
波多野が受付前の椅子に腰掛けて待っていた。
「待たせてごめんな波多野」
「いいって。ちょっと問題あったようだな」
「ああ。まぁちょっとな」
相当ヤバいと感じているのか、波多野はそれ以上話しかけてこなかった。
家に帰るバスに2人並んで座った。
ゆらゆらとバスに揺られながら、2人とも無言のまま進む。
あいつから聞いてこないから、話す必要はなかったのかも知れないが、俺の方から話を始めていた。
「…あのさ、俺さ、失敗しちまった」
「…」
波多野は俺には目を合わせずに無言のまま聞いている。
「…再挑戦、できるらしいけど…俺自信ねぇ」
「…俺、このまま時間切れなのかな…このまま女になっちまうのかな」
「…もう、どうすればいいかわかんねえ…」
「とりあえず、親父と母さんになんて言えばいいんだろ…」
考えても考えても気が滅入るばかりだ。
前座席の背もたれについた手すりを握ったまま頭を深く垂れる。
波多野が受付前の椅子に腰掛けて待っていた。
「待たせてごめんな波多野」
「いいって。ちょっと問題あったようだな」
「ああ。まぁちょっとな」
相当ヤバいと感じているのか、波多野はそれ以上話しかけてこなかった。
家に帰るバスに2人並んで座った。
ゆらゆらとバスに揺られながら、2人とも無言のまま進む。
あいつから聞いてこないから、話す必要はなかったのかも知れないが、俺の方から話を始めていた。
「…あのさ、俺さ、失敗しちまった」
「…」
波多野は俺には目を合わせずに無言のまま聞いている。
「…再挑戦、できるらしいけど…俺自信ねぇ」
「…俺、このまま時間切れなのかな…このまま女になっちまうのかな」
「…もう、どうすればいいかわかんねえ…」
「とりあえず、親父と母さんになんて言えばいいんだろ…」
考えても考えても気が滅入るばかりだ。
前座席の背もたれについた手すりを握ったまま頭を深く垂れる。
724 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:37:31.08 FilLwOiP0
しばらくそのまま揺られていたら、あいつが口を開いた。
「…なんにせよ、正直に報告は必要だな…。変に隠すとよけいおかしくなる」
「…」
「親父さんが厳しいようだけど…親はどこまで行っても親だしな。信じるしかないだろう?。向こうもおまえを信じていると思うぞ」
「…」
「失敗したってのは…おまえの意志とは無関係かも知れないし…おまえはやるべき事はやった、それで良いんじゃね?」
「…」
「…」
やるべき事はやった…か。
できなかったのが俺の意志じゃないとしたら、俺は既に時間切れ…だったのか。
…やはりあの夢か?
いや、夢は問題じゃない、あれだけの夢を見ながら身体があるべき反応をしていなかった、それが重要なんだ。
…そういえば、あの夢以来ヌいてなかったな。
また涙が溢れてきた。
こんなに涙もろいはずじゃなかったのに。
『…次は、橋本町、橋本町…』
「おっと、俺次だわ」
あいつはそう言うと、壁のボタンを押した。
『次、止まります』
「…なんにせよ、正直に報告は必要だな…。変に隠すとよけいおかしくなる」
「…」
「親父さんが厳しいようだけど…親はどこまで行っても親だしな。信じるしかないだろう?。向こうもおまえを信じていると思うぞ」
「…」
「失敗したってのは…おまえの意志とは無関係かも知れないし…おまえはやるべき事はやった、それで良いんじゃね?」
「…」
「…」
やるべき事はやった…か。
できなかったのが俺の意志じゃないとしたら、俺は既に時間切れ…だったのか。
…やはりあの夢か?
いや、夢は問題じゃない、あれだけの夢を見ながら身体があるべき反応をしていなかった、それが重要なんだ。
…そういえば、あの夢以来ヌいてなかったな。
また涙が溢れてきた。
こんなに涙もろいはずじゃなかったのに。
『…次は、橋本町、橋本町…』
「おっと、俺次だわ」
あいつはそう言うと、壁のボタンを押した。
『次、止まります』
725 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:43:31.75 FilLwOiP0
脚が冷えてきた…最近手とか足とかよく冷えるんで困る…昔はこんな事無かったのに。
====
「ん?泣いてる…のか?」
あいつが俺の様子に気づいて言った。
「…平気」
俺はそう答えるのが精一杯だった。
ほどなくバスが止まる。
「じゃ、俺下りるわ。また明日な」
「うん」
あいつがバスから降りる。
行って欲しくないのに。
ドアが閉まり、バスは再び走り始める。
あっという間にあいつを追い越して、俺は前に進む。
振り返っても見えるのは椅子の背もたれだけ。
俺は先に進みたくない。
あいつと同じ場所を歩いていたいのに…
『次は、高橋3丁目、高橋3丁目です』
無機質な女性の声が響いた。
その声が耳に貼り付き、俺は鳥肌が立った。
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「ん?泣いてる…のか?」
あいつが俺の様子に気づいて言った。
「…平気」
俺はそう答えるのが精一杯だった。
ほどなくバスが止まる。
「じゃ、俺下りるわ。また明日な」
「うん」
あいつがバスから降りる。
行って欲しくないのに。
ドアが閉まり、バスは再び走り始める。
あっという間にあいつを追い越して、俺は前に進む。
振り返っても見えるのは椅子の背もたれだけ。
俺は先に進みたくない。
あいつと同じ場所を歩いていたいのに…
『次は、高橋3丁目、高橋3丁目です』
無機質な女性の声が響いた。
その声が耳に貼り付き、俺は鳥肌が立った。
726 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:47:04.26 FilLwOiP0
無言のまま玄関を開けて、俺はそのままこっそりと自分の部屋にはいる。
もう涙は乾いたけれど、たぶんひどいことになっている顔を誰にも見られたくなかった。
辺りはすっかり暗くなっていたけれど、明かりも点けずに部屋の端に畳んで置いてある布団にもたれかかる。
天井を見上げて目を見開いたまま横たわっていると、外から虫の声が聞こえてくる。
今日のことが走馬燈のように脳裏に蘇り、また涙が溢れそうになるのを必死でこらえる。
こらえては思いだし、またこらえる。
暗闇の中で人知れずそんなことを繰り返していた。
どれだけ同じ事を繰り返したかわからない。
どれだけ時間が経ったかも分からなかった。
しかしそれは一条の光と人の気配で終焉を迎える。
「歩?いるんでしょ?」
人の気配はズカズカと部屋の中に押し入り、次の瞬間目の前が真っ白になった。
「うっ…。まぶし…」
「アンタ何やってんの電気も点けずに!?」
俺はまだまぶしい白色の中に、ようやくその声の主を認めることができた。
「ほらっ、晩ご飯できてるよ。早く食べに来て」
「…ん」
声の主は姉貴だった。
姉貴はそれだけ言うとさっさと部屋を出て行く。
俺はのろのろと起きあがり、ぐずぐずと部屋を出た。
もう涙は乾いたけれど、たぶんひどいことになっている顔を誰にも見られたくなかった。
辺りはすっかり暗くなっていたけれど、明かりも点けずに部屋の端に畳んで置いてある布団にもたれかかる。
天井を見上げて目を見開いたまま横たわっていると、外から虫の声が聞こえてくる。
今日のことが走馬燈のように脳裏に蘇り、また涙が溢れそうになるのを必死でこらえる。
こらえては思いだし、またこらえる。
暗闇の中で人知れずそんなことを繰り返していた。
どれだけ同じ事を繰り返したかわからない。
どれだけ時間が経ったかも分からなかった。
しかしそれは一条の光と人の気配で終焉を迎える。
「歩?いるんでしょ?」
人の気配はズカズカと部屋の中に押し入り、次の瞬間目の前が真っ白になった。
「うっ…。まぶし…」
「アンタ何やってんの電気も点けずに!?」
俺はまだまぶしい白色の中に、ようやくその声の主を認めることができた。
「ほらっ、晩ご飯できてるよ。早く食べに来て」
「…ん」
声の主は姉貴だった。
姉貴はそれだけ言うとさっさと部屋を出て行く。
俺はのろのろと起きあがり、ぐずぐずと部屋を出た。
727 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:50:30.34 FilLwOiP0
食堂に行く前に、洗面所に立ち寄って鏡を覗き込む。
「うわ…ひど…」
予想以上に乱れた顔と頭がそこにいた。
髪を手櫛で荒く整え、顔を水で洗う。
目の下はくっきりクマが付いていた。
俺はようやく食卓に着いた。
食堂にはじいちゃん以下家族全員が着席して、すでに晩ご飯が始まっていた。
俺は自分の席に座ると、いただきますの仕草だけして味噌汁を一口すする。
親父は俺の方を見ずにもくもくと食べている。
他も取り立てて俺の方を見ている者はいなかった。
感覚的にお腹は空いていなかったけれど、食べ始めたら普通に入っていく。
一番最初に食べ終えたのは親父、次は姉貴。
親父は食べ終えると隣の居間に移って食後の一服。
姉貴も居間に移動してTVを点ける。
いつもと変わらない光景がそこにある。
俺は拍子抜け気味に食を進めていた。
すっかり食べ終わって最後のお茶を飲んでいると、親父の声がした。
「歩、今日行ってきたんだろ?結果はどうだった」
それは安心していた俺の心に不意に刺さった。
「…ちょっと待ってて」
俺はそう言うと食堂を後に自室に戻る。
そして例の書類の入った封筒を手に、居間へと戻った。
「うわ…ひど…」
予想以上に乱れた顔と頭がそこにいた。
髪を手櫛で荒く整え、顔を水で洗う。
目の下はくっきりクマが付いていた。
俺はようやく食卓に着いた。
食堂にはじいちゃん以下家族全員が着席して、すでに晩ご飯が始まっていた。
俺は自分の席に座ると、いただきますの仕草だけして味噌汁を一口すする。
親父は俺の方を見ずにもくもくと食べている。
他も取り立てて俺の方を見ている者はいなかった。
感覚的にお腹は空いていなかったけれど、食べ始めたら普通に入っていく。
一番最初に食べ終えたのは親父、次は姉貴。
親父は食べ終えると隣の居間に移って食後の一服。
姉貴も居間に移動してTVを点ける。
いつもと変わらない光景がそこにある。
俺は拍子抜け気味に食を進めていた。
すっかり食べ終わって最後のお茶を飲んでいると、親父の声がした。
「歩、今日行ってきたんだろ?結果はどうだった」
それは安心していた俺の心に不意に刺さった。
「…ちょっと待ってて」
俺はそう言うと食堂を後に自室に戻る。
そして例の書類の入った封筒を手に、居間へと戻った。
728 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 06:54:43.88 FilLwOiP0
「これ…」
俺は封筒ごと、親父に差し出す。
親父は怪訝な目でそれを受け取ると、書類を取り出して目で追う。
親父の眉が動く。
そして怒りとも落胆とも取れない表情になって、書類を封筒に戻した。
「…できなかった、ということか?」
親父が低い声で聞く。
俺は首を縦に振る。
「…そうか」
親父はそれだけ言うと、タバコをもう1本取り出して火を点ける。
「ふー…」
親父がタバコを吹かす。
秒針が遅い。
10秒が10分にも感じられた。
「どうする?再度やってみるのか?それとも…もうムリか?」
冷静に問う親父の表情に戸惑いながら、俺の脳はフル回転する。
回転するけど出てくる答えは『NO』しかなかった。
俺は震える唇からようやく声を絞り出した。
「…ムリ、だと思う」
親父がまたタバコを吹かす。
「…そうか…」
親父はそれ以上、もう何も言わなかった。
俺は封筒ごと、親父に差し出す。
親父は怪訝な目でそれを受け取ると、書類を取り出して目で追う。
親父の眉が動く。
そして怒りとも落胆とも取れない表情になって、書類を封筒に戻した。
「…できなかった、ということか?」
親父が低い声で聞く。
俺は首を縦に振る。
「…そうか」
親父はそれだけ言うと、タバコをもう1本取り出して火を点ける。
「ふー…」
親父がタバコを吹かす。
秒針が遅い。
10秒が10分にも感じられた。
「どうする?再度やってみるのか?それとも…もうムリか?」
冷静に問う親父の表情に戸惑いながら、俺の脳はフル回転する。
回転するけど出てくる答えは『NO』しかなかった。
俺は震える唇からようやく声を絞り出した。
「…ムリ、だと思う」
親父がまたタバコを吹かす。
「…そうか…」
親父はそれ以上、もう何も言わなかった。
923 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:13:44.54 4QYNMOOX0
728の続きを少しだけど
====
もっと修羅場になるのかと思っていた俺には、今の親父の反応は意外だった。
部屋に戻って今度は布団をちゃんと敷いて横になる。
とにかく疲れていた、身体的にも、精神的にも。
横になって何分もしないうちに、俺は深く眠りに落ちた。
もっと修羅場になるのかと思っていた俺には、今の親父の反応は意外だった。
部屋に戻って今度は布団をちゃんと敷いて横になる。
とにかく疲れていた、身体的にも、精神的にも。
横になって何分もしないうちに、俺は深く眠りに落ちた。
…白いもやの中を一人で歩いている。
前はもちろん、後ろも、右も、左も、そして上も下も、真っ白で何もない空間にいた。
しかし足下には平面のある感覚がある。
どんどんと歩いていくと、遙か前方に黒い点を見つけた。
俺はその黒点に目をこらしながらさらに歩いていると、その黒点はあり得ない早さで丸く大きな姿を現した。
黒点だったものは、今や俺の目の前に立っている。
表現しがたいが、空間にガラスの表面だけがある、そんな感じだ。
拳の裏で軽くノックすると、硬い感触が返ってきた。
前はもちろん、後ろも、右も、左も、そして上も下も、真っ白で何もない空間にいた。
しかし足下には平面のある感覚がある。
どんどんと歩いていくと、遙か前方に黒い点を見つけた。
俺はその黒点に目をこらしながらさらに歩いていると、その黒点はあり得ない早さで丸く大きな姿を現した。
黒点だったものは、今や俺の目の前に立っている。
表現しがたいが、空間にガラスの表面だけがある、そんな感じだ。
拳の裏で軽くノックすると、硬い感触が返ってきた。
…手のひらをその面に置いた。
それまで黒かったその表面が急速に光を取り戻す。
と同時に、1人の人の姿を映し出していた。
それまで黒かったその表面が急速に光を取り戻す。
と同時に、1人の人の姿を映し出していた。
924 名前:水原歩の話 ◆PqUOSvmR0w 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 02:15:46.20 4QYNMOOX0
俺?じゃなかった。
映し出された影は俺とは違っていた。
が、俺が右手を挙げると左手を挙げ、左足を上げると右足を上げた。
どうやら鏡のようになっているらしい。
しかし映っているのは俺ではない。
どう見ても女、俺と同じくらいの年頃の少女が映っていた。
そこで俺はあることに気がついた。
少女の着ている服が俺の服と同じ物であることに。
映し出された影は俺とは違っていた。
が、俺が右手を挙げると左手を挙げ、左足を上げると右足を上げた。
どうやら鏡のようになっているらしい。
しかし映っているのは俺ではない。
どう見ても女、俺と同じくらいの年頃の少女が映っていた。
そこで俺はあることに気がついた。
少女の着ている服が俺の服と同じ物であることに。
『オマエハオレナノカ?』
ハッと目が覚めた。
部屋の明かりは点けっぱなしのまま、時計を見ると午前3時だった。
たっぷり8時間近く寝ていたようだ。
俺は夢の最後のシーンを思い出して、あわてて視線を自分の身体に向ける。
手で身体のあちこちを触れまくる。
いつもと変わらない感触。
いつもと変わらない光景。
部屋の明かりは点けっぱなしのまま、時計を見ると午前3時だった。
たっぷり8時間近く寝ていたようだ。
俺は夢の最後のシーンを思い出して、あわてて視線を自分の身体に向ける。
手で身体のあちこちを触れまくる。
いつもと変わらない感触。
いつもと変わらない光景。
安堵した俺は気がゆるんだのか、再び眠りに落ちた。