廣隆 605

    

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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 18:53:06.72 Uhh7zDBm0

―――それは突然起こった。
隕石がこの町にある山に落ちたのだ。
テレビでは何千分の一の確率と言われていたものが落ちたのだ。奇跡のような悪夢としか言い様がなかった。ただ、自分がほぼ無傷だったのは奇跡としかいいようが無かった。
その時、俺は中2で研究授業の一環という事で消防署に居り、そこのトイレで用を足し終わり、戻ろうとしたところだった。
頑丈に作られた消防署、その中で比較的柱が集まっている場所であろうトイレにいたという事が俺を生かしたのだ。
外は地獄絵図だった。
電柱に突き刺さった人、塀に磔のようになった人、電線に絡まってる人もいた。
俺は急いでその地獄絵図をつき進み、家へ、家族のもとへと急いだ。

家があったところには無数の放射状の溝が刻まれた地面と無惨に折れ曲がった鉄筋が数本立っていただけだった。


俺は家族と帰る場所を失った。


俺は手持ちの金と家出用に盗っておいた銀行のカードを使い、町を出た。
それから、親戚と連絡をとり、一時的に住まわせてもらうことにした。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 18:53:57.54 Uhh7zDBm0

そこで俺は死んだと思っていた弟と妹に再会した。なんでも、妹は部活の遠征で、弟は林間学校で、その日、俺が出かけた後にそれぞれ県外に行っていたのだった。

俺は家族がいる幸せを身に染みて実感した。

その後、俺達の兄弟はその親戚のもとで暮らすことになった。
元々、仲が良く、子供も巣立って寂しかったためか、おじさん夫婦の方から誘ってくれたのだ。

その好意に甘え、そこで平和に暮らしていた。

――――そして、あの悪夢から2ヶ月が経とうとしていた。


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 18:55:37.54 Uhh7zDBm0

?「…ーい……朝だ…ー……」
俺「んあ…うるせ…」
?「………はぁぁぁ……」
俺「!!」

?「…朝だって言ってんだろ、こんのクソジジイ!!!」

サッ
ドスン!!

俺「…………な」
俺の丁度腹部があったであろう布団の上には、、、ほら、なんだっけあの…腹筋鍛える時に落とす糞重たいボール…

俺「何しやがんだ!この馬鹿里緒!」
里「いやね、起こすのに丁度いいかな~と思って」
俺「はぁ…ところで今何時だ…」
里「んーっと…7時は」俺「お休み」
里「…オラッ!!」ドス!
俺「み…鳩尾…」
里「そんな事してるからバイトに遅れるの」
俺「知るか…と言っても、そろそろ遅刻を減らさんとな…」
里「ほら、さっさと起きた起きた!」
俺「死者に鞭打つなんてこのひとでなしー」
里「うるさい!ご飯冷めるから早く食べちゃって!」
俺「へーい」

俺は、宇津木 廣隆(ひろたか) 生きていれば、先月で中3になったはず。
「生きていれば」というのは、俺があの事故の時に死んだという事になってるからだ。


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 18:57:23.84 Uhh7zDBm0

さすがに政府もあの吹っ飛ばされた地域の中で生存者がいるなんて思ってなかっただろう。
生きてると名乗り出ても良かったが、ワイドショーのネタになるのは御免だったし、この方が割と気楽だからだ。
今は、バイトと勉強をしながらこれからの身の振りを考えている。
ちなみにバイト先はおばさんの実家で経営しているホームセンターである。

里「何ブツブツとひとりごとを言ってるのさ」
廣「癖なんだからしょうがないだろ」

で、この凶暴な女は俺の一つ下妹の、宇津木 里緒 
厳密には一個下では無い。どういう事かは聞かないでほしい。

悠「兄ちゃーん、早く飯食べないと俺が食べちゃうぞー」
廣「お前は食いすぎだ!お前も里緒も俺に構ってないで学校行って来い!」

今の声は3つ下の 宇津木 悠
とにかくよく食う。俺の2倍ぐらい食う。なのに運動が好きなせいか太らないから里緒から羨ましがられてる。
里緒に似ず、まともな奴で良かった。

廣「ったく、あいつら…」
叔父「やっと起きたか、寝坊ゾンビ」
叔母「おはよう廣くん、今日は主に積み込みの方お願いね」
廣「おはようございます、おじさんおばさん」

この二人は俺の叔父・叔母にあたる 野中 好隆・佳澄さん夫婦
佳澄さんは優しくて綺麗な人だ。羨ましいぞ、おじさん。
好隆さんは子供の頃からのいわば師匠だ。サバイバルやら勉強やら喧嘩やらいろいろ教わった。これでも国家公務員(しかも割と重役)だからいろんな意味で尊敬している。


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:00:20.69 Uhh7zDBm0

廣「今の時間に叔父さんがいるなんて珍しい」
好「今日は休みでな。久々にゆっくりできるってもんだ」

叔父さんはソファから立ち上がると、俺にお茶を入れてくれた後TVをつけた。
朝食を採りながらぼんやりとニュースを見てると、あの隕石の話題になった。

廣・好「…」
俺は朝食を食べるのを一旦辞め、ニュースを食い入るように見た。
あれから、俺は自分が体験したからか隕石の事に興味を持った。
おじさんの協力もあり、判った事は
  • 元々、それていく筈だったのが、別の隕石とぶつかり軌道が変わって落ちたものだったこと。
  • 隕石は俺の予想していたものよりも大きかった事。
  • 落ちた地点の調査によると、今のところはクレーターさえ何とかすれば復興できるとの事。今のところは。
  • 隕石には未発見の鉱物が所々にあり、それについて調査中だということ。
  • その鉱物が含まれていない部分は博物館などに展示するため、砕かれ全国に渡ったという事。

廣「…」
好「…あれから2ヶ月か…。…ん、おいゾンビ。そろそろ行かないとまた遅刻だぞ」
時計は8時40分を指していた。
廣「…ん。…んお!?やっべ、い…行ってきまーす!!!」
急いで、残りを平らげ俺は、ホームセンターへと急いだ。


これから、俺の身体に変化が起き始めるというのは知る由も無かった―――



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:01:33.77 Uhh7zDBm0



―――――――最初の症状は突然だった。
9月26日。俺も6月に15歳の誕生日を迎え、俺も里緒や悠もすっかり野中家に馴染んできて落ち着いた生活を過ごしていた。
そんなある日。
草木も眠る丑三つ時。
いつもはしょうもない夢を見つつ眠っているのだが、今日は違った。
身体の内側が火でも近づけられたかのように熱い。
まるで自分が火か太陽にでもなった気分だ。
それは一晩中続いた。
熱い。
まるで身体の中から何かを追い出そうとしているのだろうか。


AM6:00―俺は耐え切れず目を覚ました。
廣「はぁ…はぁ…まっ…たく……一体何だったんだ…」
とりあえず明かりをつけ、水でも飲みに行こうとした時――
廣「な……え………?」
俺が見たのは、俺の汗で濡れた布団。それと、その上に汗ではり付いた夥しい量の毛
廣「なんだよ……これ…」
身体を触ってみると、脛毛、腕毛が無くなっていた。
それから身体を調べてみたが特に変化は無かった。
あの悪夢の影響かもしれないと思い、日記をつけていく事にした。


今思えば、これが始まりの合図だったのだ。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:02:43.99 Uhh7zDBm0

11月20日
バイト中、突然喉が締め付けられるような感覚に襲われる。
それは、少しゆっくりしていれば治るものだったので、別段気にはしていなかったがもしもの事を考え、
俺は店長に頼み、数日程バイトを休む事にした。

俺はその数日を家で過ごすことにした。外で症状が起きたら大変だし、なにより死んだはず人間が病院に行くわけには行かない。
廣「!…ぁぐ…またか………!!」
それは、だんだん回数を重ねるたびに強くなっていき、酷い時にはほんとに息が止まるかと思ったほどだ。
最近は、食事もろくに食えていないので、半ば絶食状態である。
11月30日
さすがに心配になったのか、佳澄さんが様子を見にきた。
この頃になると、喉の方もだんだんと引いてきたのだが、ここは好意に甘えておこう。
佳「廣くん、喉を見せて」
廣「…」
俺は黙って口を開ける。

佳「変ねえ…特に変な所は無いけど…」
廣「…」
佳「あら?廣くんって、もう15なのに喉仏が無いのね。珍しい」
廣「(え…?)」


そんな馬鹿な。




以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:04:27.35 Uhh7zDBm0

佳「あっ!廣くん!?」
佳澄さんの一言を聞き、俺は急いで洗面所へ行き、自分の喉を見てみる。

廣「無い……」
俺の喉には男の特徴の一つである、喉仏が無くなっていた。

廣「俺の身体は…いったいどうなるんだ…」


廣「ふぁ…おはよ…叔父さん叔母さん」
佳「あら、おはよう廣くん。今、ご飯用意するわね~」
好「やっと起きたかリビングデッド。さっさと飯食って来い」
廣「あいよ~」
好「ん?おい、廣隆」
廣「なに、叔父さん」
今のは内心ちょっとドキッとした。叔父さんに名前を呼ばれる事があまり無いからだ。
いつも、「おい」とか「糞ガキ」とか「チビ」とか…あの事件以降は「ゾンビ」だの「リビングデッド」だの「マグロ」だの…ブツブツ…
好「なに独り言言ってんだ。そういや、お前の声、な~んか妙に高いな」
廣「え……。ああ、アレが治って気が緩んじまったのか、風邪引いたみたいだ…。ははは…。」
好「…」
叔父さんは「そうか」と一言呟き、書斎へ戻っていった。




以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:05:46.17 Uhh7zDBm0

2月17日
骨盤のあたりに違和感を感じる。
その違和感は徐々に痛みへと変わっていった。
ただの痛み方ではない。骨盤全体が軋むどころか文字通り歪んでいくようだ。
病院には行けないので、部屋の布団で寝たきりになる事にした。
横になってる時でさえ、痛いのに運動でもしたら冗談抜きでぶっ壊れる。そう思った。

まるで何かで身体の中から圧迫されるように…

まるで骨が押し広げられるように…

廣「ふぐっ……っ……ぐぁ………つぅ………はあはあ……」
寝る事すらまともにできない。たとえ、寝たとしてもすぐに痛みで起きてしまうのがオチだ。

廣「ふぅっ…ふぅっ…ふ…!っぐっ…あぁ!…ぁ……」
たまに気絶しそうになった事もある。気が狂いそうだった。

廣「(糞ッ!糞ッ!俺が…この俺が…一体何したって言うんだ!!!)……っ!!ああああ!!!」
里緒や悠、佳澄さんが入ってこないのは、俺が叔父さんに頼んだからだ。
下手に世話を焼かれると痛みを耐えるに集中できないし、なによりこんな姿を見られたくなかった。
食事も叔父さんが手軽に取れる栄養食を大量に買ってきてくれていた。その中には叔父さんなりの気遣いなのか、睡眠薬や鎮痛剤らしきものも紛れていた。


この地獄は約3週間ぐらい続いた。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:08:26.15 Uhh7zDBm0

2月26日
だいぶ痛みも静まってきた時、トイレに行く事にした。
この頃になると、少し違和感と痛みを感じながらも、家の中を徘徊する事はできた。
用を足すため自分のモノを出した。

廣「え……………」

違和感の正体はこれだったのかもしれない。
自分のモノが半分、いや、半分以下に縮んでいたのだ。

廣「あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

俺は急いで部屋に戻り、布団を被った。
これは夢だ。夢なんだ。自分にそう言い聞かせつつ眠りについた。

―――――夢を見た
自分が炎に飲まれる夢。
自分が燃え尽き、灰になる夢。そして、燃え尽きた自分からなにかができあがる夢。


頭が熱い。顔が熱い。肩が熱い。脚が熱い。身体が熱い。
アツイ熱いアツイあついあツいアツイアついアツイあツイアツいアイアつイ―――――――――


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:09:44.91 Uhh7zDBm0

廣「―――――――っっっ!!!!!!!!!!!!!!」
悪夢から逃れるために俺は起きた。

廣「はあっ…はあっ…はあっ……糞…!なんて夢だ!!!」
思わず叫んだ。
廣「え…?」
その声はいつもの声ではなかった。声は少し高く、まるで女性が出すような―――
嫌な予感がした。俺は灯りをつけようと立ち上がる。
廣「……」

自分がみたものは胸の膨らみ、そしておそらく腰あたりまで伸びている、長く細くやわらかい髪。
灯りをつけ、鏡を探す。
そんなはずがない。そんな事があってたまるか。そんな事が―――――

廣「………」

鏡に映っていたのは、誰かの面影を残した端正な顔立ちの背の高めな女の人だった。

廣「…俺は」


―――――――――オ レ ハ ダ レ ダ ?


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:16:24.19 Uhh7zDBm0

とりあえず、この姿をなんとかしよう。どうすれば…どうすればいい…

ガチャッ
廣「!!!」
好「おい、やっと起きたかゾン…ん?んん~?」
廣「あ…あ……………」
好「変だな…?ゾンビが女に見えるぞ~?」
見られた…こんな姿を見られた…

廣「うわあああああああああ!!!!!!!」
見られたくなかった…!こんな俺であって俺じゃない姿を見られたくなかった!

好「おい!落ち着け!…とりあえず、落ち着け。落ち着くんだ。俺のフルネームは?わかるな?」
廣「え…野中好…隆…」
好「よし。じゃあ、俺はお前のなんだ?」
廣「今の…保護者兼…師匠」
好「佳澄の弱点は?」
廣「わき腹と…うなじ…」
好「里緒のおかずは?」
廣「ベッドの下のジャ〇ーズのしゃs…なんで知ってんだ!」
好「よし、廣隆だ。とりあえず、顔洗って飯食え。話はそれからだ」
廣「あ、うん…」
ぐしゃぐしゃになった顔を洗い、テーブルがあるリビングへ。こんな時にも冷静なのが、俺が叔父さんを尊敬している理由の一つでもある。
ちょうど夕飯が終わった所だろうか、そこには里緒、悠、佳澄さんの姿もあった。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:20:17.13 Uhh7zDBm0

好「ゾンビが復活したぞー!」

里「へ…?」
悠「おおー。やっぱり姉ちゃんよりでけえや。80…2かな?」
好「84だ。もっと修行しろ」廣「いつの間に仕込んだんだ、あんた…」
佳「もう!好隆さん!…廣君、おはよう。夕飯の用意してくるわね~」

狐につままれたような顔をしている里緒、いつの間に仕込まれたのか、出会い頭でB計算をしだす悠、普段通りの佳澄さん。

里「誰…?」
悠「だから兄ちゃんだって。」
里「……なんでわかるの?」
悠「実は一昨日、こっそり忍びこんだから。いやー、あんな風になってるとは思わなんだ」
里「って事は…………ええええええええ!!!!!」
わかりやすい反応が返ってきたところで、佳澄さんが夕飯を持ってきてくれた。
佳「はい、廣君。おかわりはまだあるから、たくさん食べなさい」
廣「あ…はい」

佳「それにしても、廣君の面影があるとはいえこんなに変わっちゃうなんてね~。前から、変だな~とは思ってたけど」
佳澄さんには声変わり含めばっちり異変には気づかれてたみたいだ。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/21(木) 19:26:06.92 Uhh7zDBm0

里「……」
廣「なんださっきからじっと見つめて、俺に惚れたか?」
里「いや…ほんとに廣なんだな~って」
廣「何を今更。女になろうが俺は俺だ」
里「さっき、大泣きしてたのは誰かな~?」
廣「誰だって自分の身体が変わってたら驚くだろう。ただ周りの反応が変わらなかったからすぐに立ち直れた。それだけ」
里「そんなもんかねぇ…」廣「そんなもんだろ」
珍しく本音を言った気がする。周りの反応が冷たいものに変わってたら、俺はまた布団の中にに伏せていただろう。
少なくともこの家族は変わらず接してくれた。それが、嬉しく心地よかった。

472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:08:20.13 MJm7j4R60

前スレ>>625からの続きです
表現に生生しいところがあるので、見たくない人はスルーしてくださいな。
~~~~~~~~~~
それから俺はバイトを辞めた。十分に金は貯まっていたし、なにより―――――
好「ああ、そうだオカマ」
廣「?」
好「これ」
廣「〇〇大教授の名刺なんか渡して、どうかしたか?」
好「俺とお前の親父の恩師であり、隕石の影響を研究をしてる……お前のその変身について何かわかるかもしれんな」
廣「…!」
好「お前も大学には行きたいだろうし、あの人も丁度その事について知りたい事があるそうだ。どっかの馬鹿大学行くよりゃよっぽどいいだろ」
廣「入試とか優遇してくれる?」
好「その事については、『そんな虫のいい話があるか、バーカ。入りたきゃ実力で入りな。一応、あいつの息子って事で期待はしてるから。』だそうだ」
廣「…なんか叔父さんの恩師ってのがわかる気がする」
好「まあ、目標があった方が勉強も捗るだろ。まあ、がんばれ」

というわけで、俺は〇〇大を目指す事にした。ぐだぐだとFクラスに行くよりましな人生を送りやすくなるだろうし、
なによりこの身体の事について情報を得られると、俺にとっては一石二鳥だ。
バイトを辞めた分、家で佳澄さんに女としての振舞い方を教わっている。里緒の外面を見てる分、覚えるのも身に付けるのも楽だった。
佳澄先生曰く「まあ、男の子だったのが嘘みたいだわ~。まるで妹でもできたみた~い。」
里緒曰く「むうぅぅぅ…(なんで!なんであんな女らしいのよ!胸も大きいし!悔しいぃぃ~~!)」
里緒の反応は大体の予想だが、7割ぐらいは当たっているだろう。
とまあ、こんな感じでだんだんと適応できるようになっていった。

―――――――ただ、一つの異変を残して…


476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:10:31.16 MJm7j4R60

472

廣「…?」
里「どうしたの?廣。しかめっ面なんかして」
廣「ん?ああ……。なんか変な臭いがするんだよ」
里「また~?………ふんふん…別に変な臭いなんてしないわよ。そんな事よりほら、また地が出てるぞ」
廣「む……少しぐらいはいいでしょう…疲れるんだから、この話し方」
里「まあ、元が元だしね~。…えっと次は何買いに行くんだっけ」
廣「ホームセンターで洗剤でしょ。お一人様2パック限定の」
里「そうだったそうだった。それじゃ、行きますか」
廣「うん…」


6月2日
あの変化が起こって以来、ことあるごとにある臭いが鼻についた。
その臭いはどこから発生しているのか、またなぜこんな臭いなのかわからなかった。
その臭いは買い物でスーパーに行った時や、運動のためのジョギングの時、
時には、家でもその臭いを感じた事があった。

それはまるで、錆びた鉄のような臭いだった―――――



477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:12:03.26 MJm7j4R60

ぬお、かぶってしまった…。だが、続行します。
476

しだいにその臭いの事が頭から離れなくなってきた。
その臭いを感じているとある事を思い出すのだ。
それは、平凡な町が豹変した姿―――――
そこには人だったものがたくさんあった。
白い骨がむき出しになった腕。その腕の持ち主はどこかで息絶えているのだろう。
下半身が無くなり、呆然とその地獄を瞳に移す人。
ビルだったものはただのコンクリートの破片の山と化し、そこからは黒い煙が立ち上がっていた。
そこからは瓦礫の山が崩れ、何かが燃えている音しか聞こえない。人の声さえも―――――

廣「っうっぶ………」
思い出しただけで吐きそうになる。
この悪臭の原因はなんなのか、それを知ってしまうのが怖かった。
知ってしまったら、自分が自分でなくなってしまう気がしたから。

それに魅入ってしまいそうな気がしたから―――――

6月24日

その臭いの正体は意外にも身近な所で判明した。
この日の夜、俺は女修行の名目で料理をすることになったのだ。



478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:13:55.20 MJm7j4R60

佳「廣君、ちょっとお鍋の火を見ててくれる?」
廣「わかりました。里緒、俺は火を見てるから、人参と大根きざんでおいてくれ。後、じゃがいもの皮も」
里「りょうかーい」

品目は鯖の味噌煮、豚汁、南瓜の煮物だ。
なんでも、「女の子なら、これぐらいの和食ぐらい作れないと駄目よ♪」との事。
そんなこんなで、今は豚汁の下ごしらえをしているのだ。
そんな時―――

里「痛っ!」
廣「!!!!」

その臭いは里緒の指から流れる血から発せられていた。
その時、里緒の悲鳴を聞いた佳澄さんがやってきた。

佳「里緒ちゃん、大丈夫!?とりあえず止血するね」
傷が少し深かったのだろう。血がぽたぽたと床に滴り落ちている。

里「…?廣、どうしたの?怖い顔して」
廣「…ん、あ、ああなんでもない、気分がちょっと悪いから横になってくるよ…」

佳「…」

そう言い残し、俺は台所を後にした。


481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:21:18.00 MJm7j4R60

478

部屋に戻る。それでもあの臭い、血の臭いが頭から離れない。
もし、佳澄さんが来なかったら、俺は何をしていただろう、里緒の怪我に、里緒の指に、里緒の身体に――
廣「(考えるな!考えるな!)」
必死でその考えを頭からかき消そうとすれば、するほど、頭に浮かぶ。
そんな事をしているとしだいに意識が朦朧としてきた。
そして、俺は布団に倒れた。

……………




483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:25:19.99 MJm7j4R60

481

あれからどれぐらい経っただろう。
酷く喉が渇いた。
水を求めて身体が動く。しかし、頭が働かない。
身体がまるで勝手に動いているようだ。

ノドがかワいた。

部屋を出る。時間はもう深夜なのだろう、外は真っ暗だ。
気づかれないように家を出る。どこへ行くのだろう。
しばらく歩いているうちにある街灯がある場所が見えた。そこには、野良猫が1匹生ゴミを漁っていた。

あレニしよウ。

俺気づかれないように近づく。なぜだろう。今なら、影にでもなれるような気がした。
その途中で割れたビール瓶を見つける。それを拾い、さらに近づく。
何故、この猫は気がつかないのだろう。だが、こっちにとっては好都合だ。
猫の背後にまで近づき、そのビール瓶を持った腕を―――――

イたダキマす――――――



485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 01:30:55.36 MJm7j4R60

483

ザクッ
「フギャッ!!!!!」
それがその猫の断末魔だった。
ザシュッ ザシュッ
そしてさらに、ビール瓶を振り下ろすのを痙攣している猫に2,3回行う。
止めを刺され、猫は動かなくなった。傷口からは、血と赤く染まった内臓がはみ出していた。
俺はビール瓶を捨て、その猫の死体を両手で持ち上げる。そして、その傷口から流れる血を―――


廣「っっっっっっ!!!!!!!!!!」
…まったく自分はいつから吸血鬼になったのだろう。
廣「それにしちゃ、リアルな夢だったな。スネークとか、あんな感じで食料確保してたんだろうな」
悪夢を振り払うため、そんな事を思いつつ伸びをする。

いつもの平和な朝が始まると思っていた。

ネチョ…
手になにかがついている感触があった。
手からあの臭いがする。
まさか、あれは夢なんだ―――――
そう思い、手を見てみる。

廣「う………そ……………」
その両手には、赤々としたあの猫のものであろう血によって赤く染め上げられていた。

廣「あ…ああ…うわああああああああ!!!!!」

576 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/27(水) 18:43:51.98 M92UaWe80

前スレ>>485からの続き~
投下する度に新しいスレになってるのは仕様ですか('A`)

――――――――――――――

それから、俺はそんな吸血鬼まがいの事を続けていた。
飲む対象は野良犬や野良猫が標的だった。さすがに、人間を襲うまで理性は吹っ飛んでいなかったのだろう。
ただ、慣れとは恐ろしいもので、血などに対する恐怖などが薄れていっていた。
最近は、この行為が自分を満たすなによりの方法なのではないか、という事まで考えるようになっていた。

そんなある日―――――

8月3日

その夜、俺は働いているのかいないのか判らない頭に動かされ、獲物を探していた。
夜とはいえ、夏真っ盛りである。体中から汗が吹き出て、着ているTシャツが身体に張り付く。
邪魔だと思ったが、さすがに上半身裸同然でうろつくのは不味いと思い、脱ぐのを辞める。

しばらく川沿いを歩き、小柄な犬を1匹飲んだ。

初めの頃ならこの時点で辞めていただろう。しかし、半ば味をしめた俺にとっては物足りなくなっていた。
その時、堤防の近くの道路で1人の女性を見つけた。かなり酔っているのであろう、足取りが覚束ない様子だった。

あレニしヨウ。

俺は近くに何かないか探した。河原に少し錆びた包丁が落ちていた。おそらく、どこかの家族がバーベキューをやった時に置いていったのだろう。


577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/27(水) 18:45:23.71 M92UaWe80

そして、その女性の後ろ、距離は数メートルぐらいだろう。そこで、どの様に処理するか考えていた。
その時の俺は、人をただの獲物としかとらえていなかったのだろう。

『血が飲みたい』

その事だけが頭をかけ巡っていた。
処理の段取りを決め、その獲物に近づこうと歩き出したその時―――――

トンッ

首筋に衝撃を受け、俺は意識を失っていった。
気を失う直前、俺が見たのは―――

廣「お…じさ………」
好「……まったく」


しばらくして目が覚める。
辺りを見回して、状況を確認する。
俺は、家のリビングのソファーに寝かされていた。
状況の把握がまだしきれていない時に、叔父さんがグラス2つと、赤ワインを持ってきた。



579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/27(水) 18:47:11.54 M92UaWe80

好「目が覚めたか」
廣「叔父さん…」
好「まったく…ここ最近、猫や犬の死骸が多いと思ったら…」
廣「…」
好「ま、たまに佳澄が血の着いた洗濯物を持ってきたりしたから、うすうす関係あるんじゃないかと思って後をつけてみたら、これだ」
廣「ごめん…なさい…」
好「ごめんで済んだら警察はいらんよ。つっても、通報なんてしないけどな」

廣・好「…」

沈黙が流れる。

廣「あのさ…叔父さん……」
好「…なんだ」
俺はある決心をした。

廣「俺さ…この家…出て行こうと思うんだ」
好「…」

廣「実は…さ…前々から、考えてたんだ。大学ここから通っていくのはキツイし…」
俺の目指す〇〇大は首都にあり、新幹線や電車を乗り継いでも、5時間はかかってしまう。

廣「それに…今回の事で思ったんだ…。このままじゃ、いつか里緒や悠、叔父さん佳澄さんも襲ってしまうかもしれないから…」
自分の家族を2度も失うわけにはいかないという思いがあった。


580 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/27(水) 18:50:09.95 M92UaWe80

好「そうか…」
叔父さんはそう呟き、「後悔しないな?」と尋ねた。
俺は、叔父さんの目を見据え、黙って頷いた。

好「…それじゃ、買い物をしなけりゃならんな」
その言葉は叔父さんが俺の決意に手を貸してくれる意思の表れだった。

廣「…買い物?」
好「お前は、死体が大検受けたり、部屋借りられると思ってんのか?」
廣「あ……」
戸籍を買うのだと俺は気づいた。

好「大部分は俺の方でなんとかするから、お前は名前考えておけ」
廣「名前…」
好「別に今のままでもいいなら構わんけどな」
廣「いや、変える。女なのに廣隆ってのもおかしいし」
宇津木廣隆は、あの時死んだのだ。そんな死人の名を名乗るつもりも無い。

しばらく考えた後、

廣「…うん、決めた」
そして俺は、叔父さんに自分の名前を伝える。

いつまでも里緒や悠の兄である事を忘れないよう、お世話になった叔父さん夫婦と過ごした日々を忘れないように、
それぞれ兄妹の名前と叔父さん夫婦の苗字から1文字づつ取って、


581 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/27(水) 18:52:39.32 M92UaWe80

好「廣隆の『廣』、野中の『野』、悠はまんま『悠』、そして里緒の『里』で『廣野悠里』か…お前らしいな」
廣「…」

好「それじゃ、届けは出しておくとして、いつまで居るんだ?」
廣「とりあえず、住むところを探して、いろいろと荷物まとめて……後は、戸籍の確認ができ次第」

好「ん…わかった。佳澄や、里緒達にも言っておけよ」
廣「うん」

8月9日

廣「…それじゃ、今までお世話になりました」
好「たまには、顔見せろよ。後、アレは程ほどにな」
佳「がんばってね。叔母さん応援してるわ」
悠「言いたい事はいろいろあるけど、とりあえず…いってらっしゃい」

里「ねえ…」廣「ん?」
里「廣はどこへ行っても廣だよね…?」
廣「何訳のわからん事を言ってんだ。どんな名前だろうが、どんな格好だろうが、俺はお前と悠の兄貴さ」
里「そうだよね…うん。それじゃ、いってらっしゃい!」

家族に見送られ、俺は廣野悠里としての人生を歩み始めた――――――――


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とりあえずここまで。大学に入った所も書いていきますですよ。他に書いてない事もまだあるので。
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