保管庫

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622 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 02:54:47.55 CmGKxMgQ0

めいっぱい頑張りますので駄目出しとかありましたらお願いします・・・ 

「ただいま・・・・・・」
妹の見舞いを終えがらんとした家に帰る。当然「おかえり」の声はなかった。
「なんか期待しちまうんだよなぁ・・・・・・」
俺は苦笑しながら後ろ手で玄関を閉め鍵をかける。
飯を食おうと思ったが最近どうにも体がだるくて食欲がない。
とりあえずフロに入ってから適当に済ませようと思い給湯器のスイッチを入れた。 待っている間なんとなしに思い出す。
      • 半年前、両親が死んだ。 交通事故、即死だったそうだ。 かろうじて生き残った妹は意識が未だもどらず機械に生かされている。
俺の家は誕生日はいつも外食して祝うことになってて
その日は妹の誕生日のために中華を食べに行くことになってた。


623 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 02:58:18.61 CmGKxMgQ0

しかし、運が悪く文化祭の実行委員に任命されていた俺は遅れて行かざるをえなくなる。
妹は実に意地の悪い奴で「来る頃には智にぃ(俺の名=智季、だ)の分ないかもよ?」
などと俺が中華好きなのを知りながらのたまいやがったので、俺にもスイッチが入った。
「・・・箪笥・・・三段目・・・冬服の間・・・俺が何言ってるか わ か る よ な?」
「っ!??・・・ な・・・なんで・・?アレの場所を智にぃが・・」
愕然としてる妹君を見て俺の溜飲も多少は下がる。
「へっお兄ちゃんは君の事で知らないことはないんだよぉ?フヒヒ・・」
とびっきり気持ち悪い感じで言ってやると妹は顔真っ赤にして食って掛かってくる。
「このっ変態!変態!変態!変態!! 私の部屋勝手にいじったわね!!」
「知らないな~? あと本棚の裏に隠してあるウホッな写真集のことなんかも知らないんだぜwww」
「~~!!このっ!お母さんに言ってやる!! お前今日からホームレスになれ!!」
っとやばいやばい。親はまずい。ホームレスはないにしても今日の中華は絶望的になってしまうだろう。
「ちょっ落ち着け・・ 俺チクッたらお前のコレクションもばれちまうんだぜ?相殺だと思ってとどまれ、な?」


624 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 03:01:42.52 CmGKxMgQ0

妹は俯きながら葛藤してる、といきなり顔を上げてニヤリとした。
「相殺・・・ね? それなら最初の「智にぃの料理が消えてなくなる」ってのはもう無防備だよ?」
「ぇっ?しまったぁぁぁぁ!!!orz」
今度は俺が愕然とする番だった。ホントに血は争えない。こういうとこだけは鋭いのであった。
俺が反撃の切り口を探していると母さんが来た。
「あんた達朝から何やってるのよ・・・時計を見てみなさい、遅刻するわよ?」
『あっ』
時計はかなりきわどい数字を指している。チャリ通の妹はまだ余裕だろうが俺は電車通学だ。それはこれを逃すと
遅刻確定というわけで・・・
「行ってきます!! 30分ぐらい遅れると思うから!!んじゃ!」
俺は多少呆れ顔の母を尻目にかばんをつかんで外に出る。気をつけていきなさいよーと声が聞こえたが
この年では恥ずかしいと感じるだけだった。
マンションの外に少し出たところで妹がチャリで追いついてくる。
「さっきは負けたけど次は負けないぜ・・・?」
悔しかったので言ってみる。するとあきれたようなため息のあとに意外な言葉が返ってきた。
「はいはい・・言ってなさいよ。・・あと智にぃの分まで食べるってのは冗談だからね?」
「えっそうだったのか・・ 普通に本気だt・・痛っ!蹴るなよ!」
「黙られ。 ・・・せっかくの誕生日だし家族全員で楽しくしたいじゃない?だからできるだけ今日は早く来ること!」
「ああっ分かったよ。 早めに切り上げる。」
「おk~ ・・・あと!私の部屋の件だけど家に帰ってから話あるから逃 げ ち ゃ 駄 目 だ よ ?」
そう言うと妹はチャリを加速させて走り去った。


626 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 03:07:39.79 CmGKxMgQ0

      • 最後のセリフにはゾクッときたが、妹は普段意地悪なくせしてたまにとてもやさしい時がある。
俺はニヤニヤしながら駅へ向かう。・・と、電車はすでに出発していた。
妹と歩いた時間がなければ乗れたかもしれない・・・
「まさかあいつ確信犯じゃねぇだろうな・・・?」
(とりあえず家に帰ったら謝っとこ・・・今回は少し悪乗りしすぎたかもしれないな・・・)
そんなことを考えながら次の電車を待つのであった。
思えば妹とは万事こんな感じだった。これが最後の会話だったんだからしまりがないのにも
ほどがある。 でも俺はこの何でもない時間をホントに気に入っていた。まぁそれに気付いたのは
妹が死んだ後になってからだったが・・


627 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 03:14:00.70 CmGKxMgQ0

側溝ミスりました・・・ >>626は
×妹が死んだ後に
○妹が事故にあった後に
に直しておいてください。

「ちかー、 完成のメドも立ったし軽く打ち上げしないかって話なんだけど~?」
光の速さで文化祭の仕事を消化して帰り支度をしていたところ級友の遥が声をかけてくる。
      • ちなみに、ちか、っていうのは俺の名前の読みを悪変させた忌むべきあだ名だ・・・
「誰が、ちか、だ!俺には、ともき、って立派な名前が・・・!」
「そう読めるんだからしょうがないじゃない~、でちかちゃんは来るの?来ないの?」
「ぐぐぐ・・・」
今まで数え切れないほど呼ぶなと言ってきたがヤツはやめたためしがない。
顔では笑いながらすさまじい殺意を込めたガンを飛ばして俺は答える。
「今日は妹の誕生日だから外で飯を食べるんだ。だから打ち上げには付き合えないや、悪い。」
ヤツはガンを涼しい顔でうけながしながら、あろうことか大声でこう言いはなつ。
「あぁ!今日ずいぶん働いたのにはそういう意味があったのねぇ・・・ちかちゃんはシスコンでしたかぁ!」


629 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 03:19:37.28 CmGKxMgQ0

「ちょっ!なんでそうなるんだよ!!」
ザワザワ
教室で後片付けをしていたやつが好奇の視線を向けてきた。ヒソヒソ話も聞こえてくる。
「おいー!?完璧に誤解されただろうが!みんな誤解だからな!誤解!」
そう叫んでもみなニヤニヤしながらこっちを見てくるのみ。
「くそ・・・遥さんよ?屋上へ行こうか・・・久々にキレちまったよ・・・」
「屋上鍵かかってるし。別に決着つけてもいいけどお食事、行かなくていいの?一分でも惜しいんじゃなかったっけ?」
熱くなって忘れていたが、そうだった。死ぬほど悔しいが今日は引かざるをえない。
「・・・明日だ。今日中に親しい奴らに別れを済ませとくことオススメするぜ。」
「あなたこそ、妹さんと最後の晩餐を楽しみなさいな、シスコンのちかちゃん?」
最後までケンカを売ることを忘れていない。遥は多分ツンデレなんだろう。・・・いまだにデレを見たことはないが・・・


630 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 03:26:17.71 CmGKxMgQ0

急いで、学校を出て駅に向かう。 一応今から向かうことを伝えておこうと思い親父の電話にダイヤルする。
1回、3回、10回コールしても親父は出なかった。不審に思いもう一度かけ直そうとしたとき、
その電話は、唐突にかかってきたのだった。
激務のせいで完璧に脱力していたので着メロにおおいに驚かされたことを覚えている。
番号を見てみると知らない番号だった。しばらく放置したがなかなか鳴り止まないので
俺に本当に用事のある奴だと思い通話のボタンを押す。
「はいっ?どちらさまですか?」
「吉岡智季様ですか?こちらは市内の市立病院ですが・・・」
「はぁ・・・どうしました?」
「今どこにいらっしゃいますか?」。
「(はぁ?)えと、よく話がわかりませんが学校帰りですけど・・・」
「そうですか・・・。では今すぐ市立病院へ向かってください。ご家族が交通事故にあわれまして・・」
流行りのオレオレ詐欺という言葉が脳裏に浮かぶ。


633 名前:620 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/26(佐賀県教育委員会) 04:12:54.17 CmGKxMgQ0

「えっ・・・?今何て・・・?」
「ご家族が交通事故にあわれになりました。詳しくは病院でお話しますので大至急市立病院にお向かいください。」
実に馬鹿馬鹿しい。そんなことで騙せるとでも思っているのだろうか?
「わかりました。市立病院ですね?10分ほどで着くと思いますので。」
とりあえずそう言って病院からだという電話を切った。もちろん信じてはいない。
詐欺野朗にイマイさんばりのリダイヤル攻撃をしてやろうと思ったがその前にもう一度親父の携帯ににダイヤルしてみる。
      • やはり電話は通じなかった。 
「は、ははは・・・・・・ まさかなぁ?」
笑った顔が引きつっているのが自分でもわかる。

今のとこは、ここまで書きました。 TSまでもうちょっとなのでなんとか今日中に
そこまでいっちゃいたいです。。
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