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『1』


一週間前の誕生日に、私は女になってしまった。
女性化症候群。15,6歳の童貞男性は女性化してしまう病。

男の時は小学校時代に虐められていた。
高校になって誰も行かない学校に行った。

気軽に話せる性格じゃなかった。
だから友達は新しく出来なかった。

私にとって、友達は幼馴染の志歩しかいなくて、

志歩は虐めを止めたり、一緒に映画とか漫画読んだり
一番の親友だった。

女体化の日、私は朝から気分が悪くて学校を休んだ。

髪の毛が抜け落ち、身体が熱く、声が出なくなって
私はベッドで倒れていた。

「志歩…ごめん、もう僕…

意識がもうろうとする中、私は倒れた。

起き上がって鏡を見たけど、不思議と驚く事は無かった。
女性になったら、今までの全てを変えて生きようと思っていたから。

でも、志歩との関係は壊したくなかった。
気軽に話して、気軽に笑って…

その後、女性として生きるために口調も変えた。

少しずつ慣れ。。。

志歩は性別が変わっても相変わらずそのままで

いつか、私は志歩を好きになっていた。


でも、志歩と私の誕生日は一週間しか離れていなかった。

女性化症候群を止める為には
女性化現象が起こる前に性行為をしなきゃいけなかった。
それは、大体誕生日1ヶ月前まで。個人差があっても最低2週間前まで。

志歩と付き合うことは出来ないんだ。
ちょっと悲しかった。


志歩の誕生日一日前、私は学校カバンに私服とまだ着ていない下着を詰めた。
下着はサイズがちょっと大きくて合わなかったもの。
志歩もいつ、女体化するか解らない。
その時、そばに居てあげたかった。

「おっはよーう!月曜の朝はだっるいねー!」
私はいつもの私らしく気軽に話しかけてた。
「お、美奈じゃん。制服変えたのか。」
私は土日に届いた早速の女性用制服を着ていた。
「慣れるまで時間かかったけどね。スカートはすーすーするし。ま、志歩の姉貴に色々教えてもらったよ。」
口調は少しこの頃は志歩の前だと男っぽいところもあったっけ。
志歩の姉さんは元男なんだけど、何年前か女体化したんだ。
それで色々教えてもらいました。

「姉貴じゃなかったんだけどなw何か言ってた?」
「慣れるまで時間の問題って。実際そうだった。スカートってのもずっとはいてたら結構慣れるね」
服をそれほど持っていないので一度履くと中々脱げないし、だからずっとはいてた。

「男をキープする為にやらせてくれって奴がしつこくてさー」
私は先日、男から告白とか言われた。
女体化したくない奴がそう言う事を言ってくる。
あまり喋った事ないおとなしめの性格だからだろうか。
何人も言ってくる度に断ってる。

「男とやるわけねぇだろ。キモイぜ?」
志歩は笑いながら言った。言われた…
ちょっと痛いよ。私は志歩が好きなのに。
それはキモイ事なの?
「そのうちしたくなるかもね」
…私は志歩が好きってきちんと言えなかった。
ちょっとは気付いて欲しかった。
「何だそりゃ…」
「…いや、意外としたくなるかもねって事」
志歩は気付いてくれなかった。

「お前さぁ、、、俺でもしたい訳?」
「……さぁ、解らないやー(笑)」
するだけは嫌。だから解らない。
「何だそりゃ…おい!」
…っ…
「もう無理なんだよ…だって」
だって、志歩は女になっちゃうんだから…


志歩の女体化は進んでいる。
変な所へ行って志歩が倒れたら…

午前の授業が終わって、昼飯になった。

「購買行こっか?」
といつものように私は志歩を誘う。
「何か腹全然すいてないんだわ。」
志歩、やっぱり…
「あ、そっか…すまん」
私は、謝ってしまった。
「何で謝るんだ」
「えーっと、、、うーんっと」
口元に人差し指を当てて首を傾けている…
こうやって考える女性が好きだから考えるときはこういう仕草をあえてしている。
「いや、何で考えるんだ」

「女体化する前って何故か身体が腹減らないんだよね。」
…志歩がずっとこちらを見ているのに耐え切れなくて言っちゃった。


言った途端、志歩は教科書をカバンに詰め込んだ。
「あれ?次移動教室?」
また首傾げポーズで聞いてみたら、
「いや、男最後の日だし、思い切り男を満喫したいって。
教師には女体化日だから午前中で失礼するって言えば良いし。」
…二人っきりになれる…カナ?
「あー、なるほどね。なら職員室行こうか」

─────

職員室で教師に
「女体化するかもしれねぇんで早退させてほしい」
と告げてそさくさと校門を出た志歩…と…
「何でお前さぁ…」
「うん?」
私。

「職員室で『志歩の親居ないので私が付き添いますー』とか言うのか…
とりあえず、男しか出来ない事してぇよなー」

どうやら私が一緒にいても良いみたいだった。良かった。


「カラオケでも行く?女になるとなかなか声でないよ?」
私はそっとカラオケを提案して…
二人っきりになりたかった。

「んじゃカラボな!駅前」

私は志歩の後ろで女の子乗り(まぁ、普通に前向いて座らず身体横向きに座るアレ)で座って
「女体化後は駅前までチャリなんて死ぬから宜しくー」
とか無理やり理由作って、、、
「そこまで体力落ちる訳ねぇだろー!!」
とか言われつつ、二人乗りでゆったりと駅前に行った。


─────

店内で学生証を見せて入る。
私の性別欄には既に「女化」の文字。

女体化した人の性別を「女化」として
本来の性別は「男性」「女性」となっている。

「 ルールーールーーー♪♪♪♪」
女性の音楽って女体化すると凄く歌いやすい。
「女体化してからカラオケ始めてなんだよねー。意外と私、歌えるじゃん」
志歩に音痴な歌聞かせなくて良かった。
「そうだな。男の時も上手かったけど、こりゃ、昔なら歌手いけそうだな」
「なれないよ。私は絶対音感無いし」
世間では、歌の上手い女性が急増で歌手のレベルも非常に高くなってるから、
今じゃ絶対音感ってのは歌手の必須条件なのでした。

演奏終了の文字が消えると同時に見慣れた志歩のカラオケ定番
VIP STARの文字が現れる。

「 それなんてエロゲェェェェ♪ テラバロ…」
曲を乗り良く歌っていた志歩が突然止まる。少し震えていた。


…症状だ。

「だ、大丈夫!?」
…志歩の肩を持って聞いた。
肩の震えなんて収まって。

「ヴァ・・・ダ・・・ダイジョウブ」
…志歩…!?


「飲み物持ってくるから休んでて!」
大丈夫だよ。志歩…

戻ってきたけど、何も言わなかった。言えなかった。

「泣かないで。大丈夫だから。死ぬ訳じゃないから」
…言葉にならない小さな声で呟いた。
「フォロー・・・あ・・・りがと」
…苦しいよね。
「大丈夫だから。大丈夫だから」
支えてあげるから…
「寝る?寝たほうが良いと思う。時間延長はしておくから
大丈夫だから…寝た方が良いよ。」
これ以上、悲しい志歩を見たくないよ。
だから安心して寝て。支えてあげる…

「起き・・・たら・・・女に・・・なってた・・・りしてな」
……

耐えられなかった。何も言いたくなかった。
「寝なよ。」
志歩にキスした。ちょっとしたワガママだった。
もう、私は限界だった。最後のチャンスを捨てたくなかった。

「…なにすん…」
志歩は口を離した。

「落ち着くと思って。」
「…男だぞ。俺…キモいと思わないのかよ」
「キモかったんだ。ごめん…」
…ごめん。やっぱり変だよね。私。
「…私はもう志歩の事好きになってたから。小学校の時、虐められても志歩だけは味方してくれて。
それから、私たちはずっと一緒だった。」
悲しい。何を言ってるか自分も解らなくなってきた。
「女になるのは正直、自分も怖かった。志歩ともう一緒にふざけあえないのかなって。
でも、志歩は何も変わらなかった。
そんな時、好きになってた。
付き合うのは難しいって解ってたし。
志歩に好きって言ったら関係壊してしまいそうで言えなかったんだ。
だから、最後のワガママくらい許してよ…」

目は溢れていた。
志歩にきちんと言えた。それだけで嬉しかった。
決して悲しいから泣いてるんじゃないよ?

「…大…丈夫…全…然キモ…くなかった…し。
…なぁ、今…から…エ…チして…も遅い…よな」
…志歩…
「…うん…もうエッチしても志歩は女になる。
…女体化は始まってる。」

嘘は言えなかった。今、志歩に嘘は言えない。

「…俺からも…ワガママ…言わせて…くれ。
女になったら…好きでは居られなくなるけど…親友だから…」

「うん…親友だよ。これまでと一緒で」
…私の気持ちは、ちょっと辛かったけど。
でも、後悔はしなかった。

そっと、志歩は私に顔を近づけた。
私は目を瞑って…

暫くの間、キスをしていた。

そして口を離すか離さないか解らない時間、
私は志歩が寝ていくのを見て…そっと膝枕してあげた。


男の時はずっと支えてくれてありがと。
これからは私が変わりに支えてあげるから。
大丈夫だよ。志歩…
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