夏輝(3) 「笑顔の欠片」 夏輝(74)の人

    

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21 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/07(土) 21:03:06.47 f63wSum+0

今回の投下は薫視点→浩介視点に変わります。なんかコロコロ変わるな、おい
───
「話しって・・・何をだ?父さん。」

俺は、地面に広げてあった新聞紙を畳み、テーブルの上に乗せあがら疑問符をぶつけてきた。

「まあ聞けば分かるよ、二人共そこに座って」

父さんはいつも通りの笑顔を浮かべながら、俺と薫に座るよう促す。
父さんは俺達が座ったのを確認した後、俺達とは向かい側の椅子に座った。

「さてと、実を言うと話しって言うのは夏貴君の事なんだよね。」
「・・・・・」

夏輝の事か・・・・。
まあ、今後の学校生活の事もあるし、当然と言えば当然の話しか。

「それで?どんな話しなんだ、父さん。」

俺は話しが気になり、父さんに先を促す。
父さんは俺の催促に頷くと、言葉を続けた。

「単刀直入に言うと、君等は今までと同じ様に夏輝君と接して欲しい。そして、夏樹君を守ってあげて欲しい。」
「え?」
「───」


24 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/07(土) 21:07:10.25 f63wSum+0

何だ、そんな事か。
どんな重要な事かと思えば───いや、重要な事か。
今の夏輝は外面は平気を装っているが、精神的に結構まいってるはずだ。
俺達が普段通りに接する事で、少しでも心の負担を減らせればいいがな。

「今の夏輝くんは、外面は平気を装っているけれど、精神的にダメージを受けていると思う。だから、君等が支えてやって欲しい。」

そんな事を考えていたら、父さんは俺が思っていた事と、殆ど同じ事を言った。
確かに精神面でのダメージもあるだろう。
だけど、それより───
そう、言いかけようとした時に、

「清人さん、そんな事言われなくても私達は分かってますよ、わざわざ話さなくっても・・・・・。」
「うん、その事は分かっているよ薫ちゃん。でもね、話しはそれだけじゃあないんだ。」
「?」
「・・・・・」

首を傾げる薫。だが俺には、その話し続きを分かっている。
父さんは相変わらずの笑顔で、俺達を見つめていた。

「君達も知っての通り、女体化の現象は20年前から発生しだしたものなんだよ。」
「・・・・」

俺達は父さんの言葉を黙って聞いている。
その言葉に口を挟むなどという、無粋な真似を出来るはずがなかった。


25 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/07(土) 21:12:31.32 f63wSum+0

「当時は女体化の理解も全くなく、女体化した人への苛めも多発し、自殺者まで出てしまった程なんだ。」
「そして──」

父さんが言葉を続ける。俺はそれを、

「今でも女体化した人への苛めは、あるかもしれないと?」

引き継ぐ形で、言葉を紡いだ。
俺の言葉に父さんは、まあねっと、頷いた。
当時の女体化現象での苛めが、それ程のものなのかを、俺は知らない。
だけれど、苛めがどれ程人の心にショックを与えるかは、十分に知っている。

「だから、そう言ったものから夏輝を守ってやって欲しいんだ。」

そんなの、言われるまでもない。
今となっては、夏輝は唯一人、血の繋がりのある兄弟なんだ。
それを守らないはずがない。

「父さん、そんなのは言われるまでもないさ、夏輝は俺達が守るよ。」

俺の言葉に薫も同じ考えなのか、笑顔で頷く。
父さんは満足気に、君達が居て良かった、と笑顔を浮べる。
だが、一つ腑に落ちない事がある。

「父さん、夏輝を守るのは良いが、それは千夏ちゃん達の方が適任じゃあないのか?」

千夏ちゃん達はクラスも一緒だし、学年が違う俺達よりも夏輝を守り易いはず。
第一、俺達は言われなくても夏輝を守る。それは、父さんも分かっている事、改めてお願いされる程の事でもない。

「浩介君、分かってないね~。」


27 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/07(土) 21:16:42.39 f63wSum+0

「浩介君、分かってないね~。」

そんな俺の考えを読み取っての事か、父さんは難しい表情をしている。

「今まで男だったのが突然女になったら、誰だって少なからずショックを受ける。」
「そして、そこから苛めに発展するのも、少なくはないんだよ。」

何処か、自分に言い聞かせる様な喋り方。

「つまり、父さんは千夏ちゃん達が夏輝を、逆に苛める側になるかもしれないと?」
「その可能性は捨てきれない、特に──」

そこで一度言葉を区切る、昔を思い出すように。
そして、次に出てきた言葉は。

「千夏ちゃんは、要注意だろうね。」

怒りと憎しみが篭った──まるで、忌々しいものを思い出すかのように、吐き捨てた。



239 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/08(日) 16:50:58.05 K1I8dkXZ0

保守ついでに次回予告投下。
────

真「熊さんから学んだ、ジョディーさんキック!」
竜太「フハハハハハ!甘いぞ生徒会!そんな事で俺の鶴さんボディに追いつけると思うか!」
浩介「俺は鶴さんより猫さんの方が好きだ。」
清人「そこは安藤さんボディで攻めるべきだと、僕は思うね。」
晃「後2分で学園長が覚醒するね。」
薫「ぐ・・・なんて無様!」
緋佳梨「もう既に500は超えてるね。」
瀬流彦「今からじゃもう間に合わん、諦めろ・・・。」
夏輝「も、もう・・・・・駄目、限界だよ。」
耀二「俺のインディアンパワーを、受けてみろぉぉぉぉぉぉ!!!」

次回、「鶴さんから学んだジョディーさんキック!、俺は鶴より猫が好き!?」お楽しみに!

────
台詞だけじゃ誰が喋ってるのか分からないんで、台詞の前に名前を付けてみた。



697 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/09(月) 23:05:52.89 zE1iD0AN0

恐らく2、3レスで終わる長さ・・・短いorz
───
「なっ・・・・」

正直その言葉は、予想外だった。
夏輝のクラスメイトがどんな奴らかは知らない。
だが少なくとも、千夏ちゃん達は大丈夫だと思っている。
特に、千夏ちゃんはそんな事で態度を変えるような子ではないと、俺は知っている。
だが今、父さんは何と言ったか。
──千夏ちゃんは、要注意だろうね。
怨念や憤怒が篭った声。
まるで、恨みでもあるかの様に、父さんは言った。

「ち、ちょっとお父さん!千夏ちゃんが要注意ってどう言う事?」

納得のいかない顔で、薫が父さんに食ってかかる。
納得がいかないのは、俺も同じだ。
だがそれ以上に、

「さて、話しはこれで終わりだよ。薫ちゃんは学校を休んで夏輝君の服選びとか手伝ってやってくれ、僕はもう少ししたら仕事に行くから。」

父さんの顔が、これは紛れも無い真実なんだと、告げていた。

「お父さん!」
「・・・・下着は薫ちゃんのお古を貸してやってくれ。服は僕が用意するから、胸はサラシでも巻いといてね。」


707 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/09(月) 23:22:20.63 zE1iD0AN0

親父は薫の質問を無視し、自室へと入っていった。

「お父さん・・・・。」
「・・・・・・・」

薫はまだ納得がいかない顔をしている。
俺もまだ、納得していない。
納得していないが・・・・、
何処か、心の奥底で納得している自分が居た。



「・・・・・」

あの話しの後、清人は自室に戻り、アルバムを見ていた。
古いアルバムだ。凡そ20年程前の、清人が高校生の頃のアルバムだ。

1986-四月九日。


恐らく入学式の写真なのだろう。真新しい制服を見に包み、バックに桜の花びらを咲かせている。
5人の男女が笑いあい、何処にでも居そうな。仲が良い5人。

「・・・・・・」

清人は無言でアルバムを捲る。
正直に言えば、こうしてアルバムを見るのは初めである。事実、清人がこれを取り出すまで、アルバムは埃まみれになっていた。
写真は止め処なく、過去を写している。
調理実習にクッキーじゃなくて煎餅が出来た時の写真とか、体育で長距離走を走っている写真とか。
清人は少しだけ懐かしさを覚えたが、アルバムを捲る手を、止める事はしなかった。


709 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 投稿日:2006/10/09(月) 23:29:46.83 zE1iD0AN0

1987-四月十日。

アルバムは幾多の季節を回り、再度春の写真を見せた。
その写真に4人の男女の姿はなく、一人の少年が寂しそうに笑っていた。

「・・・・・・」

パタン、と。アルバムを閉じる
椅子の背もたれに背を預け、天井を見上げる。

「柄にもない事を、したな・・・・。」

呟きが漏れる。先ほどの行為は、清人にとって珍しい事だ。
確かに夏輝の事は心配だったが、あそこまで念を入れる必要もなかった。
少しの間考える。
      • 考えた先には、やはり

「罪滅ぼしのつもり、なのかな。」


そんな言葉しか浮かんでこない。
そして問うような声に返事はなく、

「ねえ、」

その白い頬には、

「祐喜・・・・・・」

止め処なく流れる涙が、伝っていた。


721 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 本日のレス 投稿日:2006/10/19(木) 03:07:08.72 7LiwkjjL0

眠い時に文章書くもんじゃないね、つーか視点が度々変わって困る
─────
「来てないな・・・・」
「来てないね」
「来てない・・・ね」

竜太、晃、緋佳梨が口々に同じ事を口にする。
来てない、というのは恐らく夏輝の事だろう。3人が夏輝の空席を見ている事から、それが伺える
一方、千夏は窓の外に目を向け鬱苦しい程の青空を見上げている。
千夏には分かっていた。夏輝が来ない事が
朝起きたら、夏輝の家から絶叫の声が聞こえた。高い女性の声だったが十中八九夏輝の声だろう
ただ、それだけではまだ確信は持てなかったが、昨日の一言が決め手になった。

『駄目だ、それはできない。』

夏君は気づいてたのかな。
あの言葉にどれ程の憎悪と憤怒が篭っていたか、
あの瞳にどれ程の嫌悪感が篭っていたか。
そしてあの顔が物語っていた。はっきりと、迷惑だと。
恐らく、無意識なんだろうな。
夏君は誰にでも優しい、こんな私でも優しく接してくれる。
昨日みたいに、感情をはっきりと表に出すのは滅多にない事だ。

「はぁ・・・・」

溜息。学校に来てから何回目の溜息だろう
私は夏君が好きだ。
だから昨日、夏君が男から女になると聞いた時、思わずあんな事を口走ってしまった。



722 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 本日のレス 投稿日:2006/10/19(木) 03:12:42.45 7LiwkjjL0

『私を・・・・・抱い・・・・て?』

傍から見れば頭がイカレタ様にも思えただろう。それぐらい、私の言動は支離滅裂だった。
私自身、言ってからハッとしたけど、後悔はなかった。
好きな人に抱かれるのだ。それも好きな人が女の子になるのを止める為に
好きな人の役に立てるのなら、それは幸せな事だろう。
なのに、夏君は。

『駄目だ、それはできない』

あの言葉が、再度リフレインする。次いで溜息も出る
夏君は私の事どう思っているの・・・?
夏君は私の想いを知っている。
だってそれは、私自身から暴露した事実なのだから

『好きです、私と付き合ってください!』

それは中学3年生の秋、夏君が笑顔を見せなくなって丁度一ヶ月経った日。
彼は私の告白を断った。

『どうして、なの?』

その時の私は、問いたださずにはいられなかった
良く考えて見れば分かった事なのに、あの時の私には分からなかった。
彼は溜息を吐きながら、静かに告げた。

『はっきり言って迷惑なんだよ、そういうの』


723 名前:夏輝(74)の人 ◆Pu1E589.Z6 本日のレス 投稿日:2006/10/19(木) 03:13:21.23 7LiwkjjL0

嫌悪が篭った声に、私は黙らざるを得なかった。
彼は踵を返し、私を置いて歩いていった。
取り残された私は、ただ静かに泣いていた。

「千夏嬢、さっきから黙りこくって溜息ばっかりついているが、具合でも悪いのか?」

昔の事を思い出していると、竜太君がそんな事を言ってきた。
ボーッとしていたつもりだったのだが、どうやら心配させてしまったようだ。

「え?・・ううん何でもないよ。」

私はすぐさま否定するが、竜太君は難しい顔をしたまま私から視線を外さない。

「まあ、気持ちは分からなくもないがな」
「え?」

何を言っているのか、最初は良く分からなかった。

「心配しているのだろう?夏輝の事を。」
「・・・・・・」

言われて、気づいた。
なるほど、私は心配していたんだ。
言われてから気づくのって、変だけど私は夏君の事を心配しているんだ。
        • にしても。
私は竜太君を改めて見てみる。
時々思うけど、竜太君は結構鋭い時がある。
まるで、人の心を見透かしているような・・・・。
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