琉璃と真珠 缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo

    

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

19 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:06:01.16 i92t8eSE0

じゃあ覚えてる人もいるっぽいけど最初から


「なぁ、琉璃(るり)。お前って暗いよな」
「…………それについては余計なお世話、とだけ言わせて貰おうか」

俺の名前は琉璃(るり)
こんな名前でもれっきとした男だ
今俺に話しかけているのは真珠(しんじゅ)。
俺の唯一の悪友だ
ま、悪友が唯一ってわけではなく、友達自体居ないんだけどね………

その昔名前の事で馬鹿にされてからは微妙に人と付き合うのが怖い。
同じ様に宝石の名前を付けられている真珠だけにはどうも親近感を覚えてしまう

真珠は俺とは違って明るい性格で、友達も多い
その上顔も良くてスポーツ万能………何処のヒーローなんだろうな、コイツは
唯一の欠点と言えばゲームに嵌りすぎてる事だ。「ギャルゲーみたいな恋がしたい」とか言ってやがる。だから未だに嫁さんももらえん

因みに俺は人と付き合わず本だけが友達な生活を送ってきた訳で、真珠に勝てる要素は頭ぐらいだろう。顔もそれほど良いとは思えないしな

でもまぁ周りから淡白、クール、冷血漢、鉄仮面とまで言われる俺にもそれなりに悩みはある訳で

明日……そう、明日だ
明日になれば俺は17歳になってしまう。それが何を意味するか?
16~7歳まで童貞だった場合は………女体化してしまうのだ

幾ら俺でも、性別が変われば困惑ぐらいするだろうしさ


20 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:07:33.23 i92t8eSE0

「…………ム、特に変化は無いな……」

放課後、自宅。

俺は鏡の前で自分の顔をペタペタと触っている
女体化、と言う現象はしない場合もあるらしい
漠然とそんな事にならないかな、と言う希望的観測も持っていた。女になると色々と面倒だしな。月一度のアレとかそれとかな

「まぁ、悩んでも仕方ないよな」

自分の気持ちにケリを付けるかの様にそう呟く。なるものは仕方ない、よな
何時もの如く眼鏡を枕元へと外し、電灯を消した


「ひ〇らぁしがな~く~♪あ〇ずのもぉりへ~♪」

どれ位経っただろうか?携帯の着信音にした少々不気味な音調が流れてくる。
真珠の勧めで設定したんだが、夜に聞くとかなり怖いな………
そんな思考を流しつつ、手探りで眼鏡をかけながら届いたメールを読む

「誕生日オメデトw見事女体化した暁には俺に言えよ?良い男紹介してやr」
パチン

最後までメールを読むことなく俺は携帯を閉じた。シャレにならんよ
大体女になると決まった訳じゃ………うん、決まってないよな。10%ぐらいの確立はあるよな

とりあえず惰眠を貪る為、俺は布団を頭から被った


22 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:08:46.42 i92t8eSE0

ふふ、窓から差し込む朝日はまるで俺を照らすスポットライトのようで、小鳥の囀りはまるで俺への歓声の様じゃないか……
とまぁ、現実逃避な訳だ。朝起きると体に違和感が無いといえば嘘になる
眼鏡をかけられない。今はボンヤリと移っている其れをはっきりと認めてしまう事になる

……ええい

我ながら女々しいな。此処はいっそ男らしく。いや、女なのかも知れんが
鏡の前まで裸眼で行き、深呼吸の後眼鏡をかける

「…………おお」

思わず声が漏れる
男のときはお世辞にも格好良いとはいえなかった顔は、何と言うか……美少女へと変貌し、短かった髪は腰の辺りまでの長髪へと変わっている
ピッタリだったはずのパジャマは女になって小柄になった為か少しだぼだぼで其れが絶妙なエロスを(略)
そしてオプションの眼鏡も相俟って見事な委員長の様な眼鏡っ娘が其処に立っていた。って俺だ
因みに男の頃には会ったはずのものは消失しており、代わりにパジャマ越しでも存在が確認できる大きめの乳房が二つ存在している
他に変わった場所は無いかと身体に手を回す
若干細めになった俺の身体に艶かしくその存在を確認するかの様に二本の触手の如き腕が這いずり回り(略)
その、まぁ、なんだ。とりあえず男の頃の場合絶対触れることの出来ない場所などを触って確かめたんだが割愛させて頂く

そんな状態になると色々と悩むこともあると思うが、俺が考えたのはコレだった

「服、どうしよう……」

妙に高い声でそんな事を言う自分を客観的に眺め、「ああ、やっぱり淡白なのかもしれない」と言う思いが俺の中によぎった


24 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:10:12.56 i92t8eSE0

「アラまぁ……女体化ねぇ」

母の反応はそれ程でもなかった。まぁ生きてきて彼女どころか友達の影すらなかった訳だし、当たり前か
因みに家族構成は父・母・姉・俺という具合だ。
今は普通に朝食を食べているが、自分の子供がこんな事になった場合もっと焦るべきなのではないだろうか?

「……服とかどうしようかしら?」

一番に悩む所はそれですか。流石は親子
心なしか母と姉は嬉しそうだし、父にいたっては目がおかしい。変。てか怖い。大丈夫か、この家族

「とりあえず女物の服買いに行きたいし、今日は学校休むよ」
「そう。じゃ、学校に電話しとくわね」
「あ、じゃあ私も休む。琉璃の付き添いー」

矢張りどこか嬉しそうに言う。母も其れを二つ返事で受け入れる。まともな理由になって無いと思うんだが

「ん、それなら父さんも仕事を休んで付き添いn」
「いや、其れは無理だろう」

矢張り、どこか目がおかしいよ。この親父


25 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:11:22.58 i92t8eSE0

「服買いに行くといっても、何処から手をつけたら良いものか……」
「そりゃあやっぱり下着じゃない?」

姉は意気揚々と言い放つ
俺は今姉の昔着ていた服を着ている。サイズはピッタリだ。何故か

とまぁそんなわけで俺は姉の勧めでらんじぇりーしょっぷとやらに来ているわけで
元々男の俺には入るのに抵抗がある訳で
それでも姉はぐいぐいと店内に引っ張っていく
この店は姉の行きつけで、色々と顔が利くらしい
店内に入って早々俺は店員に引き渡され、奥の部屋で下着のサイズを測ることになる
まともに見た事の無い二つの山が顕になり、自分の物とわかっていても眼を背けて終う俺の仕草に店員のSっ気が目覚めてしまった様で、
触れられる度に慣れない感覚の所為で小さく「ぁんっ……」などとか細い声を出してしまう俺に対しての行動は段々エスカレートしていき、
最終的に店員は一昔前のお代官のように「よいではないかよいではないか」と俺の体を弄(略)

サイズを測るだけでかなりの時間を費やした様だ。
いつの間にか加わっていつの間にか消えていた姉は既に幾つかの下着に目星をつけていたらしい

「とりあえずいくつか選んでみたけど、胸のサイズとかどうだった?」
「…………C」
「じゃ、こんな所かしらね。」

姉は持っていた幾つかの下着を俺の前に出した


26 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:12:18.28 i92t8eSE0

「で、初めてのスカート着用の感想はどう?」

帰り道、今の俺の服装は白地のブラウス…というのだろうか?それにチェックのスカートといった服装である
姉は今「女の子らしさ」について語っており、とりあえず一人称は私でなければならないらしい
姉が語った中には幾つか姉が自分で守ってない物があったけど、

「琉璃は眼鏡っ子なんだからおしとやかじゃなきゃいけないの」

とか言う良くわからない理論で説き伏せられてしまった。空はすっかり夕暮れになっている。女の買い物の長さは心底不思議でたまらない

「あれ……」

家の前に誰か居る。夕暮れの所為で遠くからははっきりと顔が確認できなかったが……

「真珠?」

そう呼びかけてから俺は姉の後ろの隠れた。女体化して女の格好をしているのが妙に恥ずかしく感じたからだ

「あ、琉璃。夏祭りの知らせのプリントなんだけど、体の具合はどう……?」

言葉の終わりに近付くにしたがって声が下がっていく。恐らく俺の身体の変化に気付いたんだろう

「………………眼鏡っ娘、か」
「ふ、貴方、中々分かってるじゃない」

姉がそんな事を呟いて握手を求め、真珠は其れに応じた。二人の間に奇妙な結束が芽生えた
………何やってるんだ、お前等は


29 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:14:17.64 i92t8eSE0

家に帰ったとき、妙にハイテンションな父母が迎え入れてくれた
何故かクラッカーを鳴らしてはしゃぎ回り、買ってきた服のファッションショーの様な事をやらされた。親父の目が変だ。なんなんだろう、この家族

「ふぅ………」

疲れた。なんかもう、色々と
今の服装は今日買ったばかりのピンクのパジャマ(勿論姉の一存で買った)
電気を消し、ベットにぐったりと倒れこむ
疲れた体は休息を求めるように眠気が襲ってくるが、とある気配を感じた

「珊瑚!貴様、見ているな………?」

姉の珊瑚がベットの下から出てきた

「え、そっち?…………何してる?」

眼鏡をかけ直しつつ聞くと、珊瑚はニヤニヤと笑いを浮かべた
突如珊瑚が覆いかぶさり、ベットに押し倒される

「キャッ!」
「可愛い妹に、女の悦びを教えてあげようと思ってね?」

馬乗りになって笑う姉は妖艶な魅力と共に恐怖を感じる
姉は人差し指をペロリと舐め、ボタン式のパジャマを脱がしに掛かった

「う………」

姉の手は慣れている様にボタンを外していく
2、3個外した所で胸が顕になり、その形が現れる
今最後の一個を外し――――――


38 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:24:39.37 i92t8eSE0

馬乗りの状態で、珊瑚は太腿を撫で、膨らみの先端を軽く突いた。だけなのに、琉璃の体に軽く電流が走る

「ひゃぅっ……」

まるで女子の様な声が出た事に驚くが、珊瑚はより一層笑みを浮かべる

「可愛い………ふふ、実は期待してる?」

珊瑚は太腿の辺りを撫でていた腕を徐々に上へと移動させ、下着の上から

(省略されました。全部読むにはここを押した所で何の意味もありません)


42 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:34:32.66 i92t8eSE0

「イヤッ!」

気が着くと俺は姉の手を払っていた。少々涙目になっているのがわかる
姉のほうは狐に抓まれた様な表情で、徐々に罪悪感をあらわにして行く

「………ごめんね、なんか妹が出来た事で舞い上がっちゃって」

珍しく沈んだ声でそう言った。馬乗りの体勢から解放し、姉は部屋から出て行った
俺は其れを確認すると、震える手でボタンをかけ直した
………震える?
あぁ、そうか。俺は今姉を怖がったのか
男だった時は多少のブラコンなものの、美人の姉を誇りに思っていたが、怖いと感じたことはなかった。コレも女に変わった事で……俺の中で何かが変わってしまったんだろうか?

俺は無言で外されたパジャマのボタンを付け直す。胸の内を支配していたのは恐怖だった
今迄の自分が知らない内に変わってしまう恐怖……思えばさっき感じたのも、この所為だったのかもしれない

「…………」

最後のボタンを付け終わった後、眼鏡を外すのも忘れてベットへ倒れこみ、眠った


43 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:35:50.36 i92t8eSE0

日差しを感じて眼を開けると、天井がはっきりと見えた
どうやら眼鏡をかけたまま眠ってしまったらしい。幸運にも眼鏡が壊れたりはしていない
暫く天井を眺めていたが、ふと時計に目をやる

「あ」

何時もならとっくに起きてる時間だ
パジャマのまま扉へ向かう。
多分朝食は用意されてるだろうケド、制服は……

ゴンッ

そう考えながら開けた扉が、何かに当たる

「………何やってるの?」
「いやぁ、無防備な琉璃の寝姿を愛眼してたらいつの間にか睡魔に襲われちゃって………」

深く深呼吸。腕を振り上げ、思いっきり落とす。
ゴンッ、と言う音と共に命中。軽く溜息

「………やっぱり、姉さんはいつもの姉さんか」

ちょっとだけ、ホッとした


45 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:38:27.48 i92t8eSE0

「付き合って下さい!」
「断る」

学校、一人の少年の告白を眼鏡をかけた美少女が一蹴に帰す。
ふられた少年はとぼとぼと歩き去った

「………コレで七回目だ」
「アッハッハ、モテる女は辛いな」

他人事のように笑う真珠。それに呪いでも送るかのごとくじっとりとした目で睨みつけた
因みに制服は何故か用意されていた。姉の卑猥な手つきや父の妖しい目線から逃れるのが大変だったけど

「私が男の時は無視したくせに、女になった途端……男って現金な生き物ね」
「ま、見た目だけで清楚、おとなしそう、眼鏡という三種の神器を揃えているからな。モテない筈がない」
「何それ………」

呆れたような声を出すと共に、六時限目のチャイムが鳴った
覇気の感じられない教師から学校の主催する夏祭りの説明を聞き流しながらなどの外を眺める
どうやら其れも男子にとっては魅力の一つのようで、この後四人ほどから告白される事になった


46 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:40:48.08 i92t8eSE0

「全く………」

コレだから男は、と続けそうになったが、先日までは自分も男だったので滅多な事は言えない。
今は商店街に来ている。行きつけの本屋まで行って適当に2~3冊買う。それから真っ直ぐ家に帰るつもりだ

ふとショーウィンドゥに映る自分の姿が目に入る。腰の辺りまでの黒髪に、幼い顔立ちに眼鏡をかけた(自分で言うのもアレだが)美少女……
だが、少々無愛想だ
男の頃から笑顔なんてそれほど作ってきた訳じゃないから其れはそれで仕方ないと思うが……やっぱり女の顔になると気になる

「…………」にぱっ☆

…………笑顔を作ってみたが、やっぱ無理。恥ずかしい
火照る顔を抑えながら、本屋へと向かう

「か~のじょっ!今暇?」

………今時こんな古風なナンパがあるのだろうか?
金髪ロンゲの尻軽男と、スキンヘッドの鼻ピアス、小悪党風の悪役面
まぁ、特徴だけを端的に上げるならこんな所だろうか。
この三人に今俺はナンパされている

………また、面倒な事に巻き込まれたなぁ


48 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/19(火) 22:44:20.27 i92t8eSE0

「退いてくれませんか。用がありますので」

あくまで感情を込めずに冷たく言う。ナンパ男達はやれやれ、といった感じのポーズを取る。言動はそれほどでもなかったが

「連れないねぇ?ちょっとお茶するだけで良いんだよ?」
「生憎お茶なら家で飲んだ方が美味しいので。失礼させていただきます」

その場から立ち去ろうとすると、ナンパ三人組は俺を取り囲む。何処の悪役だ?こいつ等

「お茶だけで良いっていってんじゃん?こっちがこんなに下手に出てるのにさぁ?」

何処が下手……
そういう意味を込めた溜息をして、呆れ顔を浮かべる。笑顔よりこっちの方が得意だ
さらに歩を進めるとナンパ組の剣幕が凄くなった

「おい、ちょっ、まーてーよ!」

え?出川?
何ていう突っ込みも虚しく心の中で渦巻き、肩に手を置かれた事で常に感じる熱さが限界になった。

ゴッ

鈍い音を立てて、俺の振った鞄が金髪ロンゲの鼻にヒットした


726 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/21(木) 23:06:28.49 EXQZ7m760

725おk

48の続き

「―――ってぇ!何しやがるこの女!」
………さて、どうしよう。勢いでやった物の男3人に敵う自信はない。「ムシャクシャしてました」じゃ流石に無理か
等と考えている内に金髪ロンゲの怒りのボルテージは最高潮。さあどうしよう
「金ちゃん!大丈夫か!」
「鼻血は出てないか金ちゃん!」
「だぁー!!俺をその名前で呼ぶなぁーー!!!」
名前っつーかそれニックネーム。金髪ロンゲこと金ちゃんは鼻を押さえながらこっちを睨みつける
金ちゃんは徐にポケットを探り出し、バタフライナイフ(刃の部分が普段は柄に収納されてる奴。多分)を取り出した。其処までしますか
「出来れば穏便に済ましたかったんだが……顔に傷の一つでもつけられたら大人しくしてくれるだろう?」
どこぞの悪役の様な台詞で、ナイフを俺の頬へ触れさせる
鉄のひんやりとした感触が気持ち悪い
「オイ」
唐突にその声は響く
少しマヌケな声を出して振り向いた金ちゃんは左頬を殴られ、地面に這い蹲る。散々な扱いだ

まるでヒーローの様なタイミングで現れたそいつは、真珠だった


727 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/21(木) 23:07:35.63 EXQZ7m760

空手で全国大会に行った事もある所為か、徒手空拳での真珠は強かった
金ちゃんと愉快な仲間達は各々負傷した部分を抱えて逃げ去ってしまった
「大丈夫か?琉璃。お前結構可愛いからな、気をつけろよ?」
さらっと言い放たれたその言葉に少々顔が熱くなる
え?おかしくないか?今日告白された中には真珠よりも格好良いと思える人が居たのに、それでも何にも思わなかったのに……
漫画みたいに助けられたぐらいで男の時からの親友にそんな感情…………いやいやいやいや
そんな葛藤を他所に、真珠が俺の顔を覗き込む。やめてくれ、何か、もう………
「顔赤くないか?体調悪い?」
内心はもの凄くうれしかった。自分を気遣ってくれてる、気にかけてくれることが。だけど不幸な事に感情を隠すのが得意だった
「なんでもないわよ」
なんでもない様に言う。それから少し考えて、言葉を付足した
「………助けてくれて、有り難う」
後ろに居たので真珠の表情は見えないが、多分ニヤケ面をしていた事だろう
「………そうか、琉璃はクーデレなのk」

ゴッ

…………ホント、何でこんな奴の事を


728 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 投稿日:2006/09/21(木) 23:09:14.93 EXQZ7m760

それから二週間ほどは、俺の身の回りが変わった
毎日姉には口調等の注意を受けたし、少なからず女子から声をかけられることも多くなり、興味本位の告白なども減った
そして間近に控えている夏祭り……
複数の学校主催の夏祭りで、学校内に収まらず町中に生徒が店を出すことになっている。うちのクラスはお化け屋敷だ
まぁ其れが近づいている事もあって、夏祭りをキッカケに友達以上の関係になろうとする男子女子もちらほらと見受けられる

…………因みにお…じゃなかった、私もその中の一人だったりするんだけど
やっぱりイザとなると元々男だったと言う事実が足枷になる

(………いいさ。女子の中では一番近くに居れるんだから)

そんな消極的な考えを、私は、やっぱり後悔する事になった


夏祭り、前日―――――
「真珠さん……ずっと好きでした!付き合って下さい!」

私は告白の現場に、遭遇した


259 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 01:04:21.19 S0LuYSVd0

それじゃあ…

~今迄のあらすじ~

この物語は、ある日女体化した少年……いや、少女、琉璃の日常生活を描いた物語である
ブラコン(シスコン)の姉、珊瑚の執拗な攻めによるロストバージン、
親友からの身体中を嘗め回すような視線、
同姓からの妬み、
露出狂の出現、
等等の逆境に耐え抜く、ハートフルコメディである!!



まぁ、勿論嘘だけどね(´・ω)

288 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 02:01:01.89 S0LuYSVd0

287

別に偶然、と言う訳ではない
真珠の態度がよそよそしく感じ、好奇心から後をつけて見た結果がコレだ

「あ…………」

私がそう呟くと、いち早く相手の女の子が気付く。それに釣られて真珠も

「あ、はは………お邪魔してゴメン、ね?…………ごゆっくり!」

最早文は支離滅裂、私はその場から走って逃げた。
女になった私の脚力ぐらい本気の真珠なら追いつけるけど、幸か不幸か、真珠は追ってこない
私は目頭が熱くなるのを感じて、こみ上げてくるものを必死で我慢した
とにかく走った、走った、走った
息が切れて立ち止まる頃には、家の近くまで来ていた
その時にはもうこみ上げてくる物がなかった

心が、怖いくらい冷たかった


289 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 02:05:06.75 S0LuYSVd0

288

夏祭り当日、なんだか懐かしい心境だった
心を閉ざして自分を創っている、中学までの自分。それに戻っただけじゃないか………

………駄目だ、やっぱり、辛い。高校に入ってからはご無沙汰だった、孤独な感覚
いつの間にか真珠に癒されてたんだろうな………男の時から、惹かれていたんだろう
それが女になった事で発覚して………でも真珠にはもう彼女が………
頭の中に、真珠の笑顔が浮かぶ
始業式の次の日に話しかけてくれた事や、体育の時間に張りきりすぎて転倒した事や、自分の趣味について仲間に熱弁してることや、
自分の理想の恋愛を語って女子にドン引きされてた事や、自分が女になってから初めて顔を会わせた時の驚愕の表情や、
ナンパされてた自分を助けてくれた事や…………女子になっても変わらず接してくれた事や…………
悪ふざけで抱きついたら妙に意識されちゃって、顔を真っ赤にしてたことや……………

そして、告白されていた時の照れたような表情が、よぎった

「ひっ………ひぐっ………うっ………!」

涙が出る。我慢する事が出来ない通学路、電柱の陰に隠れて、声を押し殺して泣いた………



290 名前:缶詰の中の人 ◆FP9rUXa9Eo 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 02:07:12.13 S0LuYSVd0

289

涙を止め、赤い眼を「寝不足で充血した」程度まで冷やしてから学校に着いた
夏祭り当日と言うのも有って、皆最終調整に余念がない
かくいう私のクラスのお化け屋敷もお化けの演技の確認、通路の調整等を決めていた。大抵こういうのは仕切り屋な物好きが居るものだ
私は真珠に依存しすぎたんだ。優しいからって、それに甘えていた
真珠を吹っ切る良いチャンスじゃないか。コレをきっかけにして新しい友達を作ればいい……
そう自分に言い聞かせ、ふいんき(なぜかへんかんry) 作りの為の蛍光塗料を塗ったりしていた
自分に嘘をついてるってことは、充分に解っている。でも、そう思わなきゃ駄目なんだ
真珠にはもう彼女が出来た。もう私みたいな女に構ってる暇は無いんだ

「オイ、琉璃」

背筋が固まる。此処で甘えちゃ駄目なんだ。自立しなきゃ……

「琉璃ちゃーん、こっち手伝ってくれなーい?」
「はーい、今行きまーす」

聞こえないフリ。我ながらワザとらしい。でも、コレで良いんだ。コレで………
|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|