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*** 27 名前:歪三角形 投稿日:2006/09/03(日) 18:44:47.01 mMCobcbx0 【名前は付けなかった】 もうすぐ16歳の誕生日… そろそろ女性化が始まってしまうかもしれない頃だ 僕はまだ経験がない、でも望みが無いわけでもない 恋人、というには微妙だけど好きな女の子はいる 幼馴染でずっと仲良くしてきた、彼女も僕に好意を持ってくれていると思う…たぶん 今までなかなかはっきりと言い出せなくて、ずっと友達の延長のままずるずると来てしまった 今日こそ、はっきりと告白するんだ… 僕はそう決意して、帰りのHRが終わるなり彼女を探しに行った *** 28 名前:歪三角形 投稿日:2006/09/03(日) 18:46:18.16 mMCobcbx0 彼女はわりとすぐに見つかった、運がいいのか周りに人も少ない 早速声をかけようとする けれど、声を出そうとした瞬間に後ろから誰かに肩を掴まれてしまった 男「よう、何やってるんだ?」 クラスメートの男だった、いつも僕と一緒にいる一番仲のいい友達だ 僕「えっ!?い、いや…何も…」 変な声を出してしまった、自分でも顔が熱くなるのを感じた 男「ふーん、そっか、…あ、女じゃん、おーい、ちょっと今日付き合ってくれないか?」 女「えっ、男君?うん、別にいいけど」 そう言うと男は彼女を連れていってしまった 1人取り残された僕はしばし呆然として、なんだかやるせない思いで帰宅した *** 29 名前:歪三角形 投稿日:2006/09/03(日) 18:47:51.96 mMCobcbx0 …あれから数日、機会を見つけては彼女に告白しようと機会をうかがう…けれど 僕が話しかけようとすると、いつも彼女の傍には男が現れる 最近は学校が終わるといつも2人で遊びに行っているみたいだった 認めたくは無かった…けれど、いつまでも未練を引きずっていてもしょうがない 男は僕から見てもカッコよかったし、彼女も僕なんかより男の方が良いに決まってる なんだか大きな喪失感…学校に行くのが辛かった 休み時間には男がいつもどおりに話かけてくる 僕は男の顔をまともに見づらくて、気の無い返事をするのが精一杯だった …放課後、男は用事があるらしく久しぶりに彼女と二人で帰ることになった だけど今更、何を話していいのか判らない 2人きりの長い沈黙、こんなことは初めてだった 家が近所同士なのをこんなに辛く思ったことはなかった 女「ねぇ…あのね」 彼女の静かな声が沈黙を破る 僕は自分が震える音を聞いた気がした 女「私、男君のことが好きみたい…」 心臓が止まるかと思った そんなことはもう判ってる、聞きたくなかった 判っていたはずなのに、改めて言われると身体が、心が崩れ落ちてしまいそうになる 未練がましいだろうか… どこかでまだ、2人の関係を事実として認めたくなかったんだ *** 31 名前:歪三角形 投稿日:2006/09/03(日) 18:49:14.79 mMCobcbx0 僕「そう…、い、いいんじゃないかな?あいつカッコいいし、いい奴だし…」 精一杯の返事だった、身体の震えが止まらない、ちゃんと自然に言えたんだろうか 女「ごめんね…」 僕の中で何かが壊れた気がした 僕「あっ、僕ちょっと寄るとこあったから…っ!」 僕は逃げるように別の道へと離れていった もう一瞬でもあの場に居ることに堪えられなかった 情けなさと悔しさでどうにかなりそうだった 今すぐこの世界から消えてなくなりたかった *** 33 名前:歪三角形 投稿日:2006/09/03(日) 18:50:44.48 mMCobcbx0 人間失恋したくらいで簡単に消えたり死んだりなんて出来はしない 僕は翌日からも何事も無かったかのように学校に通う …ただ、彼女と男とはなんとなく気まずい感じだった 一番大切な幼馴染と親友を一辺に失い、僕はただだらだらと日々を過ごしていった 今更新しい恋人を探そうなんて気も起きない 少しして僕が女性化してしまったのは当然といえば当然だった 女性化してしまい戸惑いはあったがすぐにどうでもよくなった 男のままでも好きな人はもう自分のものにはならなかったのだから… とはいえ、いきなり女らしい格好をするのにも抵抗があった 髪を適当に短く切り揃え、いつもどおり男子用学生服を着る 服がぶかぶかなのは仕方ない、髪は…学校が終わったら美容室にでも行こうか そんなことを思いながら学校に行く こっちは人生の一大事があったばかりだというのに、周囲の反応はほとんどない 最近、影が薄くなっていたからしょうがない 他人への関心なんてそんなものなんだろう *** 34 名前:歪三角形 投稿日:2006/09/03(日) 18:52:12.61 mMCobcbx0 席についてしばらくすると、一番見たくない顔が飛び込んできた 男「あれ、お前まさか…女性化?」 最近はずっと無視していたのに、それでも男は毎日話しかけてくる (あぁ、お前のおかげでな) そんなことを一瞬思い、すぐに自己嫌悪に陥る 僕「ん、…あぁ」 それだけ返すのが精一杯だった 逃げるように教室を出て行き、授業が始まる直前まで人気の無いところに隠れるように蹲った 休み時間になると、僕が女性化したことはクラス中に広まっていた 服とか髪型とか化粧のこととかうるさい講義が勝手に始まる ふざけた男子が付き合ってとかデートしようとか言ってきて煩わしい 僕がそっけない態度を取り続けると、飽きたのか皆散っていった (荒んでる、のかな…) 今の自分がダメだという事は何となく理解している でも、まだ吹っ切れていないのか直そうという気分にはなれない 何も考えたくなかったが、自己嫌悪で頭がいっぱいだった 気分が悪い、今日は帰ったら早くお風呂にでも入って寝てしまおうか そんなことを考えながらぼーっとしているうちに放課後になる 早く帰ろうと思っていたはずなのに、まだ席に着いたままぼーっとしていた *** 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/03(日) 18:53:36.62 mMCobcbx0 放課後、誰も居ない教室 いつまでもこうしているわけにもいかない、そろそろ帰ろう 席を立ち、帰ろうと振り返ると、男が立っていた 僕「お前…何で?」 男「こっちの台詞だよ、お前最近おかしいし、俺を避けてるだろう」 僕「そんなこと…ないよ、別になんでもないから」 男「本当かよ、何か悩みがあるんじゃないのか?」 僕「なんでもないって言ってるだろ、お前、何しに来たんだよ」 男「そうだな、告白しに来たんだ。お前のこと好きだ、付き合って欲しい」 一瞬呆気に取られて頭の中が真っ白になった そしてすぐに頭に血が上っていく 僕「お前まで僕をからかいにきたのかっ!」 今まで抑えようとしていたものが一気に溢れ出たみたいだった 憎いのか、悔しいのか、自分でもよく判らなかった ただ、涙が溢れて止まらなかった それが、その姿を男に見られるのがまた余計に悔しかった *** 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/03(日) 18:54:25.16 mMCobcbx0 男「悪い、そんなつもりじゃなかったんだ…そうだな、いきなりこんなこと言われても困るよな、でも、俺は本気なんだよ、 それだけは信じて欲しい」 僕「何を言って…お前には彼女が、女がいるだろ!?」 男「彼女?女はただの友達だよ、付き合ってるわけじゃない」 僕「でもっ!…女はお前のこと好きだって…っ」 男「そんなことは関係ない、俺は女を恋人にしたいとは思わないし、俺が一番好きなのはお前なんだから」 僕「ならなんで…いつも女と一緒に…」 男「お前が女のこと好きみたいだったから、どんなやつなのか気になって…」 男「でも、あいつはお前のことなんて好きじゃないんだ、いきなり現れた俺なんかにすぐ転がるような…」 僕「うるさいっ!!…それ以上言うな、彼女のこと悪く…言うな……」 男「すまん…お前まだ、女のこと……」 男「悪かった、今日はもう帰るよ。でも、お前のこと一番好きなのは俺だし、俺はお前のこと諦めるつもりはないからな」 そう言うと男は静かに教室を出て行った 僕は、崩れ落ちるようにその場に蹲り、動けなくなってしまった 混乱して、身体の震えが止まらなかった 人は何でこんなに悩み苦しまなくてはならないんだろう その日、僕はどうやって帰ったのか覚えていない…                                         未  完 *** 879 名前:3スレ目>>37 投稿日:2006/09/08(金) 02:15:48.57 eBpiPKrr0 扉が開く、明かりが眩しい… なんだかずっと暗いところにいた気がする 急に違う世界から引き戻されたような感覚… しばらく呆然と立ち尽くしていた 景色が揺れる、あれはお母さんだ 変な顔して、慌ててるみたいだ 何か言ってる?なんだろう…よく判らないけどとりあえず頷く 僕「うん…大丈夫」 お母さんには大体こういっておけば大丈夫 あれ、おかしいな…いつもならこれですぐに離れていくのに 今日のお母さん、どうしたんだろう *** 880 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:18:51.66 eBpiPKrr0 お湯を浴びる、なんとなく意識がはっきりしてくる 今日はいろんなことがありすぎてちょっと混乱してたみたいだ 僕はお母さんに言われてお風呂に入っていた お風呂に入ったらだいぶ落ち着いてきたみたいだ さっき、お母さんすごい慌ててたな… 僕は一体、どんなひどい顔をしてたんだろう ふぅ…ため息が漏れ、視線が落ちる そこには、今まであって当然だった筈のものがなかった そういえば、まだ自分の身体もちゃんと見てなかった 自分の身体を眺めているとまだ違和感を感じる ある筈のものが何もない…そうだ、胸も… こんなもの、なんだろうか…元が痩せていたせい? 新しい身体は随分と貧相に感じられた、まぁ男の時も貧相だったのだけれど 変に太ったりするよりはマシだったのかな、まぁパッとしないのは僕らしい お風呂はいい…何もかも洗い流してくれるような気がした 洗った髪をタオルで拭き、乾かそうとする 「あっ…美容室…行こうと思ってたんだっけ」 *** 881 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:19:58.53 eBpiPKrr0 もう夜だ、美容室なんて当然開いてない 簡単にだけど、お母さんが髪を切り整えてくれた 「大事な時に、側に居てあげられなくてごめんね」 母さんの言葉に、僕は胸が締め付けられそうになった 多分女性化のことを言ってるんだろう でも、僕の頭の中には…あの放課後の出来事が浮かびあがる 温かいものが頬を伝う、自然と涙が溢れていた 「大丈夫だから、何も心配しなくていいからね?」 違う、そうじゃないんだ…僕が悲しいのは…… 言葉を出せず、ただ僕は涙をこらえようとすることしか出来ない 静かに抱きしめてくれる母の優しさが…僕の堪えようとする心を粉々にしてしまった *** 883 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:21:18.19 eBpiPKrr0 僕が女性化したことを知っても、お父さんは「そうか」としか言わなかった 家は共働きで両親とも朝早くから家を出る、お父さんの帰りはいつも遅かった 家族で話すようなことも最近は殆どなくなっていた、お父さんも何て言っていいのか判らなかったのかもしれない ぽん、とお父さんの手が僕の頭に乗る こんなのどれくらいぶりだろう?久しぶりに感じる父の手は、以前よりも大きく感じた 「今日は早めに、ゆっくり休め」 そう言ってすぐにお父さんは自分の寝室へと行ってしまった 僕は少しだけ落ち着きを取り戻すと、食事を軽く済ませて自分の部屋に向かった 自分の部屋、いつもと同じ筈なのに…僕だけが違う 僕という思い出の中に影を落とす、まるで僕自身が不純物になったようだった こんなに落ち着かないなんて…本当に疲れていた、身体も、心も… また倒れこむようにベッドに横たわる 今日はもう寝よう…眼を閉じる でもそう簡単には寝かせてくれない、眼を閉じると男の顔が浮かび上がる 僕はあいつに彼女を取られたと思っていた、僕もそれで良いと無理やり納得しようとしていた なのに、あいつは…僕のことを好きだといったんだ 昨日まで男だった僕を…女になった今でも信じられはしない お風呂で確認した女の僕もお世辞にも魅力的とは思えなかった 「やっぱり、からかわれてるのかな…」 独り言…暗い部屋、夜の静寂に静かに響く 自分の声に少しびっくりした、あの時のような怒りはなかった ただどうしようもなく気だるく、そして寂しかった 何もかも失くしていく、塗り替えられていくようで苦しかった *** 884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:23:00.43 eBpiPKrr0 -朝、どれだけ寝れたんだろう? 身体のだるさはまだ抜け切れていない 昨日の今日だというのに、お母さんは女子用の制服や、下着を用意してくれていた だけど、僕はそれを拒んだ それを着てしまうと、また僕を失くしてしまいそうだったから お母さんを振り切って、僕はいつもどおり男性用下着のまま 少し大きくなってしまった制服の裾や袖を折り曲げて調節する やっぱり、ちょっと不恰好かもしれない だけど今日はこのまま登校することにした お母さんはしぶしぶだが、明日までに予備の制服を裾直ししてくれると言ってくれた 現実逃避…かもしれない、でも僕はそんなちっぽけなものにでも縋り付いていたかった この身体になって二度目の登校 なかなか進まないのは歩幅が狭くなったから、だけじゃないだろう 学校に行くのを躊躇ってる…でも、そんなわけにはいかない… 教室に入る、逃げるように自分の席へ…そして俯く、何かを拒むように こうしていれば誰も話しかけては来ない…自分の弱さ、駄目さに自分で呆れてしまいそうだ それでも、声はかかる…こんな時にもかかる声は、今一番聞きたくない男の声 呼ばれている、その声に身体が跳ね上がりそうな感覚を覚える じっと…眼をつぶり、ただじっと俯いていた…まるで嵐が過ぎ去るのをまつように 僕が無視し続けると、彼は今日はわりとあっさり僕から遠ざかる 彼も、昨日のことを気にしてるんだろうか? *** 885 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:26:18.36 eBpiPKrr0 授業なんてまるで耳に入らない、休憩時間もただぼーっと無為に過ごす 抜け殻になったようだ、僕はいつからこんな駄目な人間になってしまったんだろう だけど、何も考えたくない、頭を動かすとただ苦しい思いで一杯になってしまうから 「…帰らなきゃ」 放課後、1人取り残された教室 ゆっくりと歩き出し、下駄箱へと向かう 懐かしい顔、ずっと見ていたかった筈なのに、今は見れない…見たくなかった顔 幼馴染の女の顔、僕の初恋の…そして失恋の相手 女「女性化…本当になっちゃってたんだね」 僕「…うん」 消え入りそうな声で答える、何故彼女はまだここに残っていたんだろう 女「これが、あなたの復讐なの?」 静かな、でも重い声… あまりに突然すぎて、彼女が何を言っているのか理解できなかった 僕「何を…言って……?」 女「どうして…、どうして彼があなたと…あなたなんかを…!」 僕の頭は真っ白になった、彼女の言葉が、視線が突き刺さる 抜け殻になった僕の中を昨日のアイツが占拠する アイツは、僕のことを好きだと言ったんだ… でも、そのことは…僕にはまだ受け入れられないことだった *** 886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:27:20.23 eBpiPKrr0 僕「僕は、何も……」 女「私が振ったから?だから彼のこと誘惑して…嫌がらせしてるの?」 そんなこと、あるわけがない 僕はもう勝てないと思って逃げたんだ…彼となら、それでいいとさえ思おうとしてたんだ 僕は彼女のことが一番好きだったのに、異性としてだけじゃない、幼馴染として大切な存在だと思ってたのに なんでそんなことを僕がしなくちゃいけないんだ、彼女は…僕がそんな奴だと思ってたのか? 悔しかった、情けなかった…そしてもう、何もかもどうでもよくなった ふと彼女の顔を見る、泣いてる…彼女も苦しいのか、悩んで混乱してるんだろうか どうしてこんなことになったんだろう?何故ふられた初恋の人に、嫉妬されなきゃいけないんだろう 僕が女になってしまったから?僕が女にならなければこの2人はうまくいったかもしれないんだ 何もかも、僕が悪いって言うのか… 何を言っていいのか判らなかった、ただ彼女の泣き顔を見ているのが辛かった 僕「ごめん…」 ただそれだけ、僕の口から漏れていた 僕はその場に居られず、早足に逃げてしまった 背中から嗚咽が聞こえる、聞きたくない、走り出す 僕も、泣いていたんだと思う 本当に、あの日消えてなくなってしまえばよかったのに… *** 887 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/09/08(金) 02:30:50.19 eBpiPKrr0 とりあえずここまで、駄文をgdgdとスマン この先はもっとダークでgdgdになりそうでまだ書いていないし書かないかもしれない

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