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*** 434 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 02:58:21.27 rhEvqTKrO
正樹「ふぅ…。」
俺、鈴木正樹は今日何度目ともしれない溜め息を吐いた。
溜め息の重さが日々増していく。
誕生日が明日に迫っていることも原因だが、一番の要因は…
祐子「な~に溜め息ついてんのっ。」
コイツだ。
今、俺の頭を小突きながら俺の顔を見てにこにこ笑うコイツ。
コイツ香山祐子(俺はゆこと呼んでいる)は、俺の幼馴染みだ。
幼少の頃から一緒なせいか、中学まで通う学校はずっと同じ。
今年入った高校も同じで何の因果か同じクラスで勉強している。
容姿はそこそこ運動神経、学力もそこそこながら、その飾らないのに人を引き付ける性格からゆこの周りにはいつも人の群れが耐えなかった。
必然的にゆこに告白する男も出てくるし、俺も見たことはあるが、ゆこは彼らの申し出をことごとく断っていた。
対して俺は、というと容姿は中の下、学力も学年の最下位から数えたほうが早く、取り柄は少し運動神経が良いくらい。
引っ込み思案で、人付き合いも下手。もちろん異性と浮いた話も無く、異性で気安く話せるのはゆこぐらいなものだった。
長く付き合えば愛着が湧くのは必然だ。
ご多分に漏れず俺もゆこに好意を寄せていたが、それも煮え切らない自己完結をしていた。
*** 438 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 03:20:26.09 rhEvqTKrO
続き
そんなこんなでいつも通りに軽くお喋りしながらの帰宅。
ゆこ「そういえば明日は正樹の誕生日じゃない?」
唐突にそんな風にゆこが俺に言ってきた。
正樹「そうだよ。」
心なしかぶっきらぼうに答える俺。
その姿に訝しそうに首を傾げて見せてから、ゆこは話を続けた。
「明日で16だよね?まーくん(ゆこは俺をこう呼ぶ)は。
そかー、私よりも年食っちゃうんだぁ。ね、プレゼントは何がいい?」
正樹「え?」
その問いに俺は答えに詰まった。
本当は「ゆこが欲しい」そう言いたかった。
16になって、童貞のままだったら女になってしまうとかそんなのはどうでもいい。
ただ純粋にゆこを抱きたいって。
正樹「俺は…。」
けれど、俺の根性無しの口は結局最後までその言葉を紡ぐことは無かった。
ゆこ「俺は?」
正樹「…っ!何もいらねーよっ!」
それだけ言い残して俺は自分の家に駆け込んだ。
ゆこ「まーくん…。」
*** 439 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 03:34:40.27 rhEvqTKrO
続き
結局俺はまた何も言えなかった。
ゆこに彼氏がいないだろう今がチャンスだろうに、
俺はまたそのチャンスを生かし切ることが出来なかった。
正樹「…っきしょう!」
バンっ!
たまらずに俺は、今自分が入ってきた自室のドアに枕を叩きつけた。
ボフっと何かが破裂するような音を立てて、枕がずり落ちるのを目もくれず
俺は自室のベッドに突っ伏した。
明日だ。
明日こそゆこにこの気持ちを伝える。
そして、ゆこに俺の童貞をもらってもらうんだ。
…明日は…来なかった。
正確には「男として」の明日は。
その夜、俺は大量の射精に意識を失い、そして
慣れ親しんだ「正樹」という名前を失った。
需要があれば続きを書く。
とりあえず寝る。
*** 451 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 04:14:33.31 rhEvqTKrO
何故か眠れないから続きを書くんだぜ。
私は、夕方別れた時のまーくんの態度がずっと気がかりだった。
私に「何もいらねーよ!」ってそう言い放って部屋に入っていってしまったまーくん。
いつもはあんなに優しいのに、凄い剣幕だった。
あの時、まーくんは本当に何も欲しくなかったんだろうか。いつもなら誕生日が来るたびに何々が欲しいなんて冗談まじりに言うのに。
私はまーくんが分からない。
あんなにいつも私と一緒にいてくれるのに、まーくんから付き合ってなんて言われたことない。
まーくん私のこと嫌いなのかな…?
幼なじみでしょうがないから一緒にいてくれてるだけ…なのかな?
まーくんにだったら私のあげるのにな…そんなに魅力無いかな私…?
軽く胸をつついてみた。淡い刺激が体を走った。
違うよね。
待ってるだけじゃ…受け身じゃダメだよね。
明日まーくんにもう一回聞いてみよう。
…でもまーくんは、翌日もその翌日もその翌日も学校に出てこなかった。
*** 453 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 04:40:53.34 rhEvqTKrO
続き
まーくんがいなくなってもう5日が立つ。
クラスの様子はあまり変わる様子も無い。
休んで3日目ぐらいまでは正樹のやつどうしたんだろうななんて話もあったけど今はもうそれも無い。
私の心以外はクラスは正常に戻っていった。
担任が言うにはまーくんは病欠だという。
なんでも風邪をこじらせたらしく起き上がれないぐらいらしい。
お見舞いに行きたい旨を伝えたが断られてしまった。
まーくんどうしたんだろうな…。
そんなことばかり思ってた。
放課後、今日の日誌を届けに行った時のこと、担任の机の前で見慣れない女子生徒が先生と話しているのを見かけた。
肩にかかる黒髪。
整った顔立ち。
モデルのようなプロポーション。
容姿端麗という言葉がまさにぴったりで、同じセーラーを着ているはずなのに何だか私のほうがみすぼらしく見えて、そこにいるのが気恥ずかしくなった。
先生に聞くと彼女は明日から私たちのクラスに転校してくる生徒で、
名前を鈴木真咲さんと言うらしい。
彼女は私たちにぺこりと頭を下げると職員室から出ていった。
まーくんと同じような名前の読み方であることに私は少し違和感を感じた。
*** 456 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 05:01:00.05 rhEvqTKrO
翌日、昨日の話の通り真咲さんがうちのクラスに転校してきた。
先生が彼女にまーくんの席に座るように言ったが私が頑として断った為、彼女はまーくんの席の後ろの席に座ることになった。
真咲さんは凄い綺麗な人で、何をやっても絵になる人だった。転校初日の放課後にはもう数人の男子から告白されていたけど彼女は全部断ったみたいだった。
それから数日立った。
真咲さんはどうも人と話すことは苦手みたいであまり人と話をしているのは見たことが無い。
人と触れ合わないのはもちろんだけど、とりわけ私のことを避けてるみたいだった。
綺麗な顔立ちなのに、何故かいつもどこか寂しげ。
何かまーくんみたいだ。
容姿端麗。なのに、人と触れ合わない所為だろうか。とうとう真咲さんに対しての一部女子のイジメが始まった。
*** 458 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 05:16:56.96 rhEvqTKrO
真咲さんに対するイジメは過酷なものだった。
詳しくは書かないが、真咲さんは精神のほうも少しずつやられ始めていったみたいだ。
最初こそ男子も真咲さんを助けようとしたけど結局それも最後は「お高く止まりやがって」なんて言って長続きしなかった。
たび重なるイジメにひたすら耐える真咲さん。
ノートを破かれても、机に香水をまかれても彼女は抵抗しなかった。
あくる日、真咲さんの態度にしびれを切らしたイジメグループの女子がとうとう真咲さんに手をあげた。
その様子にとうとう耐え切れなくなった私は、「もう止めなよ!」とその女子につっかかり喧嘩になった。
結局その日は先生に厳重に注意をされたけど、私はその時初めて真咲さんから「ありがとう」という言葉を聞いた。
そうして私たちは友達になった。
*** 459 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 05:31:22.10 rhEvqTKrO
それ以来、真咲さんは少しずつ変わっていった。
クラスメイトにも少しずつ話し掛けるようになって、少しずつクラスの輪に入っていけるようになっていった。
イジメグループの子とも仲直りしたみたいだ。真咲さんは元は喋り方が上手いせいか、話し掛け始めた彼女の周りには少しずつ人の輪が出来ていった。
まーくんはまだ学校に来れないようだった。
*** 462 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 05:53:24.11 rhEvqTKrO
ある帰り道、私は真咲さんと一緒に帰った。
ゆこ「真咲さん、学校には慣れた?」
真咲さん「ええ。少し大変だったけど大分落ち着いてきたわ。香山さんのおかげね。」
そう言って真咲さんはにっこりと笑った。
ゆこ「ううん。私は何もしてないよ。真咲さんが頑張った結果でしょ?」
真咲さん「ううん。香山さんがいなかったら私ダメだったと思う。だから香山さんのおかげよ。感謝してるわ。」
真咲さん「ところで…」
ゆこ「ん?何?真咲さん。」
真咲さん「時々、私の前の席を見て考え事をしているようだけど…。」
ゆこ「あ…。」
真咲さん「その…大切な人なの?」
ゆこ「一応…ね。正樹くんとは幼なじみだから。」
真咲さん「そう…なんだ。」
そう言う真咲さんは少し寂しげな顔をした。
真咲さん「じゃあ…私はここで。香山さん気をつけてね。」
ゆこ「うん。真咲さんもね。あ…そだ。」
真咲さん「え?」
ゆこ「今度、真咲さんの家に遊びに行ってもいい?」
真咲さん「ごめんなさい香山さん、それは無理よ。」
そう言って真咲さんは路地の向こうに消えていった。
*** 468 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 06:12:46.90 rhEvqTKrO
まーくんが学校に来なくなってもう2ヶ月ぐらい経つ。
このままじゃもうそろそろ1学期が終わってしまう。
まーくん、このままだったら学校退学になっちゃうんじゃ…
よし
担任の許しは出ていないけど、まーくんのところにお見舞いがてら激励しに行くことに決めた。
ゆこ「見舞いに果物でも買っていこうかな…」
白いワンピースに、サンダルをつっかけ、麦わら防止を被り、私は外に出た。
*** 470 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 06:25:00.93 rhEvqTKrO
まだ夏の始まるか否かの微妙な時期とは言え、今日の外は十分なほど暑い。
セミが合唱をして 道路からは陽炎が立ち登っている。うだるような暑さとはこのことだろうか。
ワイシャツを着て歩いている人がちょっとだけ可愛いそうになった。
早く涼しいところに入りたい。必然的に足が早くなる。
途中果物屋さんに立ち寄った。みずみずしい果物がたくさんあって、店頭にはスイカが冷えてるケースが並んでる。
ここに手を当てて冷たいんだか、暖かいんだか分からない水の感触を楽しむのが好きだったなあ。昔まーくんと一緒にやったっけ。
そんな淡い思い出にちょっとだけ浸ってから、二房の葡萄を買って私は果物屋さんを後にした。
*** 476 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 06:45:05.03 rhEvqTKrO
歩道橋の上を通り、車の往来が激しい大通りを越える。以前来た時はこんな歩道橋は無かったし、そもそも道が大通りじゃなかった。
こういう道を歩いていると、自分がまーくんのところに遊びに行かなくなってたっていう事実が良く分かる。
多分、まーくんが休む前に教えてもらった道順で合ってるならそろそろ見えてくるはずだ。 果たして、言われた通り5階建てのアパートの姿が見えてきた。
はやる気持ちを抑えられず、アパートに歩み寄り足早に階段を昇る。
あと少しでまーくんに会える。
あと少しでまーくんに会える。
あと少しでまーくんに会える。
会ったら何を話そう、何をしよう。
一緒に葡萄を食べて一緒に笑って
一緒に…
このまーくんがいない2ヶ月で、自分がどれだけまーくんを大切に思っていたのかを再認識した。
そのまーくんにやっと会える。
はやる気持ちを抑え、「鈴木」という表札を確認して、チャイムを押す。
まーくんに会える。
まーくんに会える。まーくんに会える。まーくんに会…
ガチャ
「え?」
ドアの向こうから出てきたのは
真咲さんだった。
*** 481 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/04(月) 07:05:59.46 rhEvqTKrO
ゆこ「真咲さん…何で…?」
目の前の事態が分からない。
何で?
どうして真咲さんが?
まーくんに会いに来たはずなのにどうして真咲さんが目の前に立っているんだろう。
真咲さん「…っ!」
何を思ったか、私の前を通り過ぎて駆け出していく真咲さん。
ゆこ「真咲さんっ!?」
???「ゆこちゃん!」
彼女を追おうとする私の背中に見知った声が飛び込んできた。
???「ゆこちゃん。来ちゃったんだねぇ…」
ゆこ「おばさん…?どうして…?まーくんは…?」
おばさん「ゆこちゃん…正樹はね…。」
私の手から、
買ってきた葡萄が
ボタリと落ちた。
ひとまずこれで中断、続きは夕方から夜のどちらかから書くかも。
*** 894 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/05(火) 00:51:59.48 ZaKPyGb9O
続き
翌日から五日間、真咲さん、いやまーくんは学校に来なかった。
正樹だった時のまーくんよりも、真咲としてのまーくんのほうが人気があるみたい。
正樹の時のまーくんの噂は三日で止んだけど、真咲としてのまーくんが休んだって噂はまーくんが学校に来る前日まで続いた。
私はと言うと、私の横にぽっかり空いた二つの空気に、以前とは違う不思議な感じを抱いていた。
*** 925 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/05(火) 01:51:13.37 ZaKPyGb9O
五日と土日を挟んだ約一週間の後、つまり月曜日に、まーくんは学校に来た。
朝早く学校に来たまーくんは、教室に入るや否やクラスメイトに囲まれた。
大丈夫だった?どうして休んだの?そんな質問攻めの中。にっこり笑いながら人と話しをするまーくんは、
しかし時折に私に向ける眼差しは真咲として会った頃のあの頃の瞳に逆戻りしていた。
ゆこ「真咲さん。」真咲さん「何?香山さん。」
ゆこ「放課後話したいことがあるから教室に残っていてくれるかな?」
*** 942 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/05(火) 02:39:30.68 ZaKPyGb9O
女「真咲さん、今日は私達と帰らない?」
真咲さん「ごめんなさい。私は今日は学校に用事があるから…。」
女「そうなんだ。残念。じゃあまた明日ね!」
パタパタと言うローファーの音が遠ざかっていく。
昼間の喧騒とは打って変わり、今は教室を斜陽の火が照らしす。
教室にいるのは今はもう私とまーくんの二人だけ。気まずい雰囲気が私達の間に落ちる。
ゆこ「あのっ…!」
押し潰されそうな雰囲気の中、私は必死で紡ぐ言葉を探していた。
本当は問い詰めてやろうってそう思ってた。
けれど、話そうと思ったこといざ話そうと思ったら出てこないもんなんだって思った。
目の前に立つまーくんの瞳が、射竦めるように私を射抜く。
夕陽に照らされたその顔は私から見てもムカつくほどに綺麗だった。
何を聞きたいのか分からない。
何を聞くべきなのかも分からない。
頭の中で色んなことがごちゃごちゃになる。
ごちゃごちゃになって何を言っていいのか分からない私の口がようやっと紡ぎ出した言葉は
「女言葉、練習したんだね。」
というある意味ですっとんきょうなものだった。
*** 944 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/05(火) 03:09:20.24 ZaKPyGb9O
真咲さん「…話したいことってのはそれかよ…」
ゆこ「違っ…私が聞きたいのはそういうことじゃ…」
真咲さん「じゃあ何が聞きてぇんだよ!」
突然の激に私は身を強ばらせた。
さっきよりもつり上がった眼差しで私を一層にらみ付けるまーくんの目には、憎しみの炎がありありと見える。
そこにいたのはクラスの人気者の鈴木真咲としてのまーくんではなく、私が見知る鈴木正樹としての、「女」ではない。「男」としてのまーくんだった。
正樹「そうだなゆこ、さっきの質問答えてやってもいいぞ。」
ゆこ「え?」
正樹「女言葉練習したかどうかって話さ。ああしたよ?必死に練習したさ。元々俺は男だからな。こういう言葉は気持ち悪くて仕方ねぇよ。
~だわ。~よね、なんて正直精に合わねぇよ吐き気がする。まあでも俺はもう女だしな?これから使っていってやるさ。
で、どうよ?俺の女言葉上手いだろ?ハリウッドの主演男優賞ものだろ?ああ俺は女だから女優賞か。」
私をねめつけるように見てた正樹が、今度は自らを責め立てるかのようにまくし立てた。
*** 947 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/05(火) 03:37:27.08 ZaKPyGb9O
ゆこ「それなら私に相談の一つぐらいしてくれたって…。」
真咲さん「相談…ハッ!出来るのかお前は?自分を好いてくれてるかも分からない女に『女体化しちまうから俺の童貞もらってくれ』って?」
ゆこ「!!」
「俺は言えなかった。言えなかったよ。言おうと思った次の日には女になっちまってた!
お前に分かるか?俺の気持ちが。自分よりも人気者の幼なじみを好きになっちまって、俺みたいな引っ込み思案な男とは釣り合わない。
じゃあ何でこいつは俺に付き合ってくれるんだ?そんな風に思った俺の気持ちが!
何で俺がイジメられた時俺を助けんだよ…!何でもう好きになっても無駄なのにそういうことをするんだよ!」
いつの間にか、その言葉は嗚咽に。
(何にもいらねーよ!)
まさかあの時、正樹が私に言いかけたことは…
「そうだよ…。これが言えなかった馬鹿野郎の姿だ!
根性無しだった俺に対して神様が愛想つかしたのがこの姿だよ!
笑えるだろ?なあ笑えるよな?
笑えって言ってんだよ!
笑えって、笑…笑…ウ…ウワァァァァァァ!!」
…笑えない…そんなの全然笑えないよ正樹。
私の胸を叩き泣きじゃくる正樹に対して、私は抱きしめることも出来ず。立ち尽くすのみだった。
*** 950 名前:保守がてら 投稿日:2006/09/05(火) 03:56:49.98 ZaKPyGb9O
あの後、正樹は一人で家に帰った。
送っていこうとした私の好意は拒まれた。
知らなかった。正樹がそんな風に思っていたなんて。
私はずっと正樹が思いを伝えてくれる日を待つばかりで、正樹のことを見ようとしなかった。
正樹は正樹の精一杯のパスを私にしてくれたのに私はそれに気づかなかった。
あの時、何で私は正樹にもう一度聞き返せなかったんだろう。
何で正樹の腕を掴めなかったんだろう。
正樹が誕生日迎えるってこと、私は知っていたのに。
その夜、私は一睡も出来なかった。
ひとまずここで中断して寝ます。
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