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*** 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 03:48:50.81 hBlEYeJO0 一昨日、女になった。 父は少しばかしの悲しみを抑えた含み笑いをしていたが、母や姉は大喜びだった。 その日の夜、12時に壊死したチンチンがポロリと落っこちた。 チンチンは、へその緒を処理するように乾燥させているが、まだ湿っている。 当の本人には、まだ実感がない。いや実感はある。 ここ数ヶ月で筋力は落ちに落ちたし、体は柔らかくなるし、腰がずんぐりしてくるしで、とにかく動きづらくなってきていた。 しかし、気持ちのほうは何の変化もなく、そのギャップ、違和感に戸惑っていた。 普通の女体化は、ホルモンの関係で、女になる前の月くらいから男の子に興味が出はじめるんだが、 俺はそんな気配は一切なかった。 好きな人がいる。今でも好きな女の子がいる。 昨日は学校を休んで、今日からいつもどおりに学校に行く。以前どおりの男子制服で教室に入った。 「おはよっす。」 と隣の席の友達に挨拶して、他愛のない話をしだした。少し話をしてると後ろから、 「ぉ!新生よしもっ」 と、張り切った声が聞こえた。小学校から一緒の女子。名前は西川。「よしも」は俺のあだ名で、 「新生って言うなよ。」 気のない返事を返すと、それを無視して、 「女子らしくなってきたねぇ。制服、新しいのを買ったほうが良いよ?」 と、また張り切った声で押し切ってきた。 「新しいのぉ~・・・。来期・・つーか、来年からでいいんじゃない?冬服もったいないしさー。」 *** 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 03:50:19.54 hBlEYeJO0 西川の疑問文に一応返答すると、それを無視して、 「中学までさー、ほら、何の気なしに話せてたけど、高校になるとちょっと喋りづらかったじゃん?  晴れてよしもが女になったし、遊び放題だね。」 と、また張り切った声で押し切ってきた。 「だねぇー。服とか買いに行きたいし、暇が合えばつk・・」 言っている途中で始業のチャイムが鳴った。 「ぁぁ、うん!いいよ。暇になったらメールするw ういじゃ!」 張り切った声で快諾してくれた。 「ありがとー。ういじゃ。」 先生が入ってきて、授業が始まった。 女にならなくたって、中学校の頃のように一緒に遊びたかった。 まだ、西川のことを好きでいる。 授業を受けながら、自分で言ったことなのに、さっきの誘いはデートだったんじゃなかろうかとどぎまぎした。 どぎまぎしている間に、メールがきた。西川からだった。授業中だけど、そういうことに頓着のあるやつじゃない。 『いつでも良いなら、今日の放課後にでもデートしようぜ。カワイイ店を紹介するよ♪』 で、ででで、デートちゃうわ! 動揺したが、こちとら願ってもいなかった。 『ぅ・・うん。デートって言うな!』 短く返信すると 『^^』 さらに短く返ってきた。 *** 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 04:45:30.81 hBlEYeJO0 放課後に俺から西川に話しかけた。 「デートしようぜ!」 少し張った声を出すと、自分でも驚くような可愛らしい声になってしまう。 彼女はすこしビクっとして、 「わっ。よしもか。誰かと思ったよう。」 「そいで、どこ行くんだ?」 「隣町。」 「へぇー。この辺じゃないんだ。知ってるねぇw」 「舐めるな。」 二人で、へへへ。と笑いあった。 *** 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 04:46:59.16 hBlEYeJO0 駅を降りて、お勧めのお店に行くまで、ちょっと歩いた。 歩く間、何人かの人の視線が気になった。 やっぱり俺みたいな人は珍しいんだろうな。と思ったし、それを言った。 「そりゃあ、よしもが男子制服着てるのもあるんだろうけどさ、よしもが可愛いからだよっ」 実際、この症状を発症した男子は以前の容姿に関わらず、絶品に美しくなるケースが多い。 が、やはりまだ実感がない。 「俺、可愛いのかよ。よぉ分からん。」 「分からないかなぁー。私、うらやましいくらいだよ?」 「女に可愛らしさを羨ましがられてもなぁ~。逆に辛いっての。」 自分の正直な心境を言ったつもりだった。するとふいに、 「え?そうなの?可愛いことがよくないの?女の子なのに?」 西川は、女体化した“女子”はみんな女の気持ちになるものだと思っていたようだった。 「俺はまだそんな気持ちになんないんだ。カッコイイ方が良い。前とおんなじ気持ちっすよ。」 と言うと、 「ふぅ・・・ん・・・。」 少しうつむいてから、ぐいっ!と顔を俺に向けて 「じゃあ、今日は私が身も心も可愛くしてあげるよ!」 と、張り切った声だった。それに対して、 「心もかよっ!」 突っ込みを入れて、そうすると、お決まりのように、 「「あははははは!」」 二人で笑った。 楽しかった。 *** 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 05:16:52.82 hBlEYeJO0 これはデートだ。これはデートなんだぁー! お店の中で西川は俺に似合いそうな服を考えてくれている。 服の種類がどうであっても、これはデートだぁ!有頂天になってニヤニヤしていた。 「ひらひらとかどーなのぉ?」 西川が手招きをしながら聞いてきた。 「いやだ。いらない。絶対に着ない。」 手でさえぎって応答すると 「やはは。まだ早いか。」 「まだって・・・。着たくないだろぉ・・・。」 それでも、彼女の選ぶ服はセンスがよかった。ありがたいです。 *** 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 05:18:21.88 hBlEYeJO0 買い物を終えて、駅まで歩く。その頃にはもう日が落ちかけていた。綺麗な夕日だった。 坂を下る途中に公園があったので、すこし休憩しようか。と言うと 「うん!私も思ってた!」 と張り切った声で返ってきた。ベンチに二人で腰掛けて夕日を眼前に見据えて、一息ついた。 「だな。」 と俺が言うと、 「だね。」 とまるで『君の言いたい事は分かってるよ。』と言わんばかり。それでも一応、言葉にした。 「綺麗だなぁ。紫の雲・・・。」 「本当。紫ぃのもだし・・・ほら!!あの辺りのピンク色とか・・・」 指を差して雲の方向を見て目を大きく開かせている西川は、夕日に照らされてとても綺麗だった。 「すごぃ・・・。」 西川の声が小さくなった。 そこで会話がなくなった。俺はどう会話すれば良いか分からなくて、なんとなしに口を開いた。 「西川。」 「うん・・?」 俺の方を向いてニコっとした。その笑顔を見て、告白しようと思った。 夕日、公園、二人きり。こんなロケーションはもう二度とないと思った。今しかないと思った。 *** 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/10/02(月) 05:19:05.43 hBlEYeJO0 「西川・・・俺、西川が好きだったんだ・・・  今でも好きだ!」 言ってしまった。でも、女になったから、と言う保険のようなものが心の中にあった。実際は逆だった。 瞬間、西川の顔から笑顔が消えて、うつむいた。沈黙が続いた。 その沈黙に耐えられずに、だけど、何を言って良いのか分からないから、また彼女の名前を言おうと 口を開くが、声が出づらい。 「にし・・・・かゎ・・・・」 なんとか言い切ってから、また少し時間を置いて、今度は彼女の口が開いた。 「どうして・・・・」 消え入りそうな小さな声。 「え・・・?」 「どうして今になって言うのよ!  どうして友達になってから言っちゃうのよ!そんな可愛くなっちゃってから!」 一生懸命に大声を出していた。うつむいた顔はまだこっちを見てくれない。 なんといえば良いか分からない。 「ごめ・・・ん。」 これ以外いえなかった。 「・・・・なんで私が頑張って頑張って諦めてから・・・」 その一言で気づいた。そして、お互いに救われないことにも気づいた。 「でも俺!!気持ちだけでも伝えたかっ・・」 「そんなこと言うのよ!!」 震えた声で押し切られた。

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