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「ユーナとアツシ ◆IGfK3fyxFE」(2006/10/20 (金) 12:19:39) の最新版変更点
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***687 名前: ◆IGfK3fyxFE 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 21:40:13.98 TG+M3NJ60
人がいないようなので投下
目の前で可愛らしい女の子が楽しそうに微笑んでいる。
――――また、これか・・・
俺は狼狽した。
――――そういや、もう2年だっけ。
胸がズキズキと痛んだ。しかし意識はだんだんと遠のき、
俺は沈んでいくような感覚とともにまたこの幻夜に抱かれていく・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一面に桜の積もる川辺の道を親友の家に向かって俺は急いでいた。
俺とそいつは部活で最高のパートナーだった。
だけど、そいつは最近調子が悪いらしく、1週間ほど部活に来ていなかった。
電話も全く通じなくて、メールも返ってこなかった。
流石にここまでくると俺も心配になってきたので、昨日しつこくメールしたら、1通だけ返信があった。
用件はとにかく今日家に直接して欲しいということ。
*** 690 名前: ◆IGfK3fyxFE 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 21:43:06.56 TG+M3NJ60
体の調子は大丈夫なのかとか、今までどうしてたのか問い詰めたかったが、それも今日来れば全て分かると言って
結局昨日はほとんど何も分からなかった。なんだか俺は無性にいやな気配を感じた。
――――わけが分からない事ばっかりだ。
心の中でそう呟く。俺はなんだか不機嫌だった。無意識の不安感がそうさせるのかもしれない。
気が付くとそいつの家の前まで来ていた。いつの間にか桜の風景も過ぎ去っている。
――――考え事してると時々時間の感覚がなくなるな。
そう思いつつ俺は呼び鈴を鳴らした。しばらくして反応が返ってくる。
『どちら様ですか?』
女の子の声が返ってくる。
「アツシだけど。あいついるかな?」
俺は声から相手はそいつの双子の姉のユウカちゃんだと思っていつもの調子で話しかけた。
*** 693 名前: ◆IGfK3fyxFE 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 21:46:05.28 TG+M3NJ60
彼らは珍しい二卵性双生児という奴で性別が男と女だった。
ガチャリ
扉が開いてユウカちゃんがひょっこりと顔を出す。快活で元気な子だが今日は何かあったのか少しいつもと様子が違った。
可愛い顔してるのにそんな表情してたらもったいないぞ、と言おうとしたが雰囲気がそうさせてくれなかった。
俺の周りでは性格も容姿もトップクラスのユウカちゃんに密かに惹かれていたが、そいつとの事もあってなんだか手が出しずらかった。
「ああ、ユウカちゃん。あいつ大丈夫?なんか今日来いって言われたんでけど。
あいつが今どんな状態なのか全然教えてくれなくてさ。」
そう話しかけるとユウカちゃんは何故か一瞬悲しそうな顔をした。俺にはまるでその理由は分からない。
――――俺なんかしたっけ?
今日はわけがわからないことばかり続く。そんな俺の様子をみて、まるで押し出すように声を出した。
「アツシ、とりあえず家に上がって。」
――――アツシ?いつもは桐原君って苗字で呼ぶのに。
何故か普段より暗くなっているのに親密に呼ぶユウカちゃんに戸惑いながら俺は玄関に入った。
*** 694 名前: ◆IGfK3fyxFE 本日のレス 投稿日:2006/09/24(日) 21:50:20.85 TG+M3NJ60
「え・・・?」
俺は目の前の光景に呆然としてしまった。そこにはなんと二人のユウカちゃんがいたのだ。
「あれ桐原君来てたの?」
片方のユウカちゃんが俺を見て、もう一人のユウカちゃんに驚きながら聞く。
聞いたのはいつもと同じユウカちゃんだ。どうやら俺が来るのを知らなかったらしい。
――――俺は夢でも見ているのか?
「何がどうなってんの?」
俺はとりあえず疑問を口にした。
「アツシ来て。」
わけが分からないまま俺は出迎えてくれ方のユウカちゃんに突然手を引っ張られてあいつの部屋に連れて行かれた。
そこはビックリするほどいつも通りのあいつの部屋で、でもあいつの姿は見えなくて、
そして何故か俺はユウカちゃんと密室に二人きりで。
――――何なんだ、今日はいったい!?
*** 697 名前: ◆IGfK3fyxFE 投稿日:2006/09/24(日) 21:57:37.21 TG+M3NJ60
>>696エンディングはグッドになりますよ。「エンディングは」といっておきますw
俺は心の中で絶叫する。さっきから全く状況が飲み込めていないので俺は目の前にいるユウカちゃんに疑問をぶつける事にした。
「えっ、まずはどこから聞けばいいんだ・・・?
そうだ、あいつはどこ?俺は今日あいつに呼ばれてきたんだが?」
「・・・目の前」
目の前のユウカちゃんがそう告げる。
「いや俺の目の前には君しかいないじゃ・・・。」
そこで俺は言葉に詰まる。
――――まさかっ!!
「もしかして・・・えっと、君があいつで。ってことはあいつはトランスしちゃって。」
まるで目の前で一瞬にしてパズルが組みあがっていくみたいだった。
しばらく部活を休んでいた期間。今日はいつもと違う雰囲気の、そして何故か二人いるユウカちゃん。
なにもかもがそう考えれば辻褄があう。
*** 699 名前: ◆IGfK3fyxFE 投稿日:2006/09/24(日) 22:03:50.16 TG+M3NJ60
>>698ごめん、俺鬱書けない・・・
「お前まだ童貞だったのか?」
これは今目の前にいる人物が元男つまりあいつであることを確認するための質問でもある。
「うん。」
決まった。この子は間違いなくあいつだ。
「なんで!?政府のサービス使えば簡単に童貞なんか捨てれただろうに。」
「うん、でもなんか俺そういうの嫌で・・・そんでだらだら考えている内に気が付いたら兆候が出てて。
そんで、急に意識がなくなって一昨日気が付いたら女に・・・。」
最後の方はほとんど涙声でよく聞き取れなかったが口調もあいつのままだった。
ユウカちゃんの顔でその口調は強烈に違和感があったが、そのせいで現実味がよりはっきり襲ってきた。
*** 704 名前: ◆IGfK3fyxFE 投稿日:2006/09/24(日) 22:12:16.83 TG+M3NJ60
「・・・ユーナ。」
「え?」
「俺の新しい名前だってさ・・・。」
――――なるほど、双子の姉妹ってことでユウカとユーナか。
「いい名前だな。」
俺は素直に思ったことを口に出した。しかしユーナは黙りこんでしまっている。
「まぁ、なんだこんなことでいろいろまいってると思うがせっかく親御さんが付けてくれたんだ。
なるべく早くお前に順応して欲しいって事なんだろ?」
「わかってる・・・けど・・・。」
ユーナは悲ししそうな顔で呟く。その横顔は今にも泣き出しそうだった。
「ま、お前が困った時には俺がなんとかしてやるって。後はお前が慣れるしかないだろ。」
俺はその表情が痛々しくて見てられなくて、つい無責任なことを言ってしまう。
*** 707 名前: ◆IGfK3fyxFE 投稿日:2006/09/24(日) 22:15:08.32 TG+M3NJ60
「アツシ・・・。」
それでもユーナ少しは気が軽くなって安心したのか急に泣き出して俺にもたれかかって来た。
「ぅぅ・・っく・・・」
ユーナは俺に支えられるようにして胸の中に顔をうずめて泣いている。
自然に抱きとめてしまった俺はついユーナの女っぽい匂いと感触を意識してしまうが、
幸いこの時の俺にはやらしい事を考える余裕はなかった。
ユーナが落ち着くまで、俺達はしばらくそうしていた。
嗚咽がやんだ頃まだ顔をうずめているユーナの頭を撫でながら言い聞かせる。
「ほら、もう十分泣いただろ。いつまで俺の自由な時間を奪う気だ?」
本当はいつまででもこうしていても良かったけど気恥ずかしくなってそんなことを言ってしまった。
「・・・泣き顔を見られるのが嫌。」
ぽそっとユーナは呟く。
*** 708 名前: ◆IGfK3fyxFE 投稿日:2006/09/24(日) 22:16:45.76 TG+M3NJ60
「アツシなにぼうっとしてるの?」
「え?あ、ああ。悪い。じゃあ帰るよ。またな。」
見とれてたなんて口が裂けても恥ずかしくて言えない。動揺を隠し切れずに俺は慌てて帰ろうとした。
帰り際の玄関でユーナはまた不安そうに問いかけた。
「アツシ、俺達これからも友達だよな?」
俺は元気つけてやろうと精一杯明るく答えた。
「あったりまえだろ?」
最後に見たユーナの顔は今日で一番うれしそうな表情だった。
to be continued‥‥
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