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機械の一部品


 数千年前、それより以前かもしれない太古から機械の部品のひとつがそこにあった。
 誰にも発見されることなく、ひっそりと、ただそこにあり続けた。
 雨にあたり、風が吹き抜け、埃をかぶり、それでもそこにあり続けた。

 機械には「同化」の能力があった。
 他の生物に自身の「機械」を同化させ、生物を機械へと変化させる能力だ。

 同化は些細な偶然から始まった。
 機械には熱を発する力があった。
 そこに、寒さに震えた一羽の鳥が降り立ち身を寄せた。鳥は「機械を利用」し、それを必要とした。それが同化の始まりだった。

 鳥から犬、犬から豚、豚から牛、牛から馬といった順番で連鎖が拡大していった。
 一度始まった機械による同化は加速度的に進行し、ついには最初の機械人間が現れた。

 機械帝國の初代皇帝デュランである。





リューマ


 機械という言葉はアルテア世界には存在しない。中世時代程度の文明しかないアルテアには機械に匹敵する言葉はまだ存在しない。機械は神の業そのものであり、人智を超えた力に対する崇拝と畏怖を込めて「リューマ(神の子)」と呼ぶようになった。
 百年以上経過する現在においてはリューマが神と子と呼ぶにふさわしくない存在であるという結論が出ている。しかし、一度定着した言葉を改めることもできずに、今もリューマと呼ばれ続けている。また、機械人間だけでなく、機械に関係する文明や物をすべてリューマと呼ぶ。

 帝國に抵抗する者たちは、あえてリューマと呼ばずに、ローガ(罪・罪人)と呼んでいる。





新秩序


 「人間は機械となることで病や飢えから解放され、死を超越する」

 永遠の命を得ることで、人間は争いあう必要がなくなる。お互いの財産の奪い合う必要はなくなり、世界は平和になる。機械の力、機械生命体になることで人間は神になるのだ。機械帝國の二代目皇帝ライーザはそう嘯く。

 人間は戦乱が長引くことにより、飢えや貧困、疫病といった問題に苦しみ疲弊しきっていた。平和を語る指導者の存在は画期的であった。
 戦いが終わる。飢えや貧困が無くなる。死の恐怖から抜け出す。人間がまさに神となる術を機械は提示したのだ。人々はその誘惑に戸惑うことなく飛びついた。機械人間の大量発生。





機械帝國への従属


 永遠の命。尽きることのない生命力。死の恐怖からの解放。
 飢えや疫病に苦しまされることがなく、自分が望むままに生きていくことができる。人々の興奮は絶頂に達した。帝國万歳! 多くの人々が帝國の侵略に一切抵抗することなく、即座に白旗を挙げた。帝國の属国となることであたえられるもの、つまり機械の体は自分たちの国や街、自治体、地域に対する伝統や誇りといった思いを遥かに凌駕するものだったのだ。

 機械へと魂を売る。復讐、暴力、強大な力、無限の命、機械のもたらす力は圧倒的である。悪魔に魂を売った者たちが魔術属性の黒へと変わったように、生身の体を捨て、機械の体へと入れ替わるものが続出している。己の欲望に従い、機械によって得た尋常ではない力を存分に行使するのだ。





機械への肉体の変貌


 機械する手段は二つ。機械からの改造と魔導機器の使用だ。

 機械は他の生命体に同化し、新たな機械へと造り替える力を持つ。それが改造だ。
 生命体に接触することでウィルスに感染するかのごとく機械が進行していく。当初は体に大きな変化は見られないため、すぐには機械の体になったことを実感できない。機械としての機能を得るには自分自身で機械の部分を増やしていかなければならないのだ。しかしそれは特に難しいことではない。機械の体は、不便に思うこと、必要であると感じていることの援助・補完を積極的におこなう。膝の痛みを感じれば、膝をサスペンション化する。視力が弱くなってきたと感じれば、目がスコープ化する。速く走りたいと念じれば、足の裏にローラーが出現する。といった具合だ。

 機械化は魔導機器の使用によっても起こる。
 機械剣、機械弓、機械馬、現在のアルテアには魔導機器がそこかしこにある。便利であることはもちろん、兵器として非常に強力であり、戦場に不可欠な存在なのだ。
 魔導機器を使うたびに機械の同化は進み、体の一部へと変貌していく。それは「機械の蟲」を体の中に入れたことと何ら変わらない。

 機械化した当初は毎日が楽しくて仕方ない。新たな発見の連続だからだ。
 今日は昨日よりも速く走ることができるようになった。あしたはもっと速く走れるようになることだろう。その次はもっとだ。成長の限界を知ることなく、希望に満ちた思いでさらなる進化を求める。機械はその思いにこたえるべく、次々と肉体を改造し変貌させていく。本人が恐怖するまで。

 人間は当然、徐々に老化が進んでいく。足腰が弱くなり、心臓が働かなくなる。視力は弱まり、記憶力がなくなっていく。そしていつしか病にかかり、死んでいく。飢えや事故、戦いによって命を失うものも多数いる。それらの人々の共通の悩み、死。蟲の成長、つまり機械による肉体の改造の最終段階は常に不死である。体のパーツをすべて機械化してしまう。目も鼻も口も、心臓も内臓も、筋肉も骨も、脳味噌さえも機械化する。本人の意識以外はすべて機械の体であるといっていい。

 機械化による外見の変化は様々である。
 あきらかに機械の部品が剥き出しのばあいもあれば、人間となんら変わらない外見を保持する者もいる。重力を無視した乳房などはある意味理想的ですらある。ただし、変化の基本は、体の変調を補う、もしくは便利なものへの進化であるため、およそ自分の理想とする形にはならないことが多い。顔は変化しないものだと勝手に決め付けて、朝目覚めたときに顔の真ん中に大きなスコープ(視力の落ちた目の代わりとして)があるのを発見し、以降、絶望的な人生のまま永久の命に苦しむ者も珍しくない。自らの命を断つという選択が可能であれば、迷わずにそうしているのだろうが、機械の体は簡単に破壊できない。

 機械化を美と感じる者もいる。生身の肉体に並べられた剥き出しのメーター類を美しいと感じるのだ。そういった者たちにとって機械化は歓迎するものであるが、行き過ぎても困るという微妙なジレンマの中にある。ただし、一度機械化した肉体は二度と元に戻すことはできない。それがどれだけいびつなものあっても。

 改造され、もしくは機械機器に浸食されて機械生命体へと変貌しても、自分自身の意識を失ってサイコ化してしまうことに抵抗する者は少なくない。「自分は自分でありたい」と願うことは当然であり、例え、それが無限の命を手に入れるための代償であろうとも黙って受け入れられることではない。

 肉体の全部が機械であっても心が自分自身のままであれば、それは人間なのだと、叫ぶ。





人間性の欠如


 永遠の命を得た機械人間たちは自分たちが特権階級として地位を得たと錯覚する。人間を凌駕する機械の機能は自尊心を満足させるに十分な働きをする。また、労働からの解放、食事が必要でなくなることは、それら瑣末なことに縛られる生身の人間への軽蔑となる。機械の体を手に入れれば解放される。すべてから。機械人間にとって機械化しない人間たちは愚図で臆病で間抜けな存在にすぎないという結論に達するのだ。
 軽蔑の対象に対して機械人間は上位者として制裁を加える。それは神があたえた権利であり、決して咎められるものではないのだ。すくなくとも機械人間たちはそう考えている。それはまた、生身の体をもつ者への嫉妬、生への渇望、生きることの意味を見失った自分への後悔の反動であるとも言えるのかもしれない。





ロストシティ


 機械人間によって支配された街、ロストシティ。
 退屈な機械人間たちが昼夜問わず徘徊し、新たな退屈しのぎを探して回る不夜城。
 そこは生身の人間が住める環境ではない。

 人間が機械化することにより、街もまた変貌する。
 共同体の解体。機械人間は人間としての生活の意味を失う。それは、共同体として暮らすことの必然性がなくなることを意味する。食べる必要はなく、眠りもいらない、服も着替える必要はない、何もする必要がない。必死で生きていかなくてもいい。何も努力せずに、否、何もせずに生きていくことが可能であり、生活が自己完結している。そんな機械人間たちにとって街はすでに退屈しのぎの場所に過ぎない。人間としての感情が一人でいることの寂しさ、生きることを見失いつつある自分の孤独を癒すための場所として寄り添いあうための場所。

 ロストシティ、街はいつしか、そう呼ばれるようになった。


 機械による同化の影響は街自体にも及ぶ。外観は依然と何ら変わらない中世の建物であっても、ドアを開けて中に入ってみると、黒塗りの壁に各種メーター類が壁や天井に所狭しと並べられているといった状態になっているばあいがある。機械化は人間やモンスターといった生物だけに同化するのではなく、アルテア世界にあるものすべてに影響し、世界自体を変貌させようとしているのだ。

 機械化によって造りかえられた建物が機械人間の基地と化し、奥へ進むにつれて複雑なダンジョンのようになっているばあいもある。呪装の侵入を防ぐべく、警備役の機械生命体や各種の警報装置、罠といったものが配置されているばあいもある。





魔導機器


 魔導機器は本来機械生命体がもつ能力ではない。魔術属性「黒」の介入によって研究開発されたことで進められた全く新たな技術だ。魔導機器自体も機械生命体と同様に同化の性質をもつため、危険度は機械生命体と何ら変わらない。むしろ魔導機器を機械生命体だと言っても差し支えない。違いは、魔導機器は意思を持たず、喋らないということ。そしてその多くは道具として、大変便利に利用されているということである。特に、兵器類は圧倒的な破壊力により、戦線を大きく揺るがす重大な役割を果たす。

 魔術属性「黒」は魔界の力であり、人間の常識をまったく無視した現象をたびたび引き起こす。しかし、それほど強力であっても土台となる材料なしで魔導機器を作り出すことはできない。剣や矢の先を作るには鉄が必要だし、食事を作るには食材が必要だ。肉や魚が。魔導機器の材料は生命体である。つまり人間や動物。この世界に生きるものたちこそが材料となって機械機器は作り上げられているのだ。ライターは人の指からできている、剣は女性の足、電子サーベルも。
 一般人は魔導機器の材料については一切知らない。もし、その話を聞かされたところで到底受け入れられる事実ではない。機械製品自体には一切痕跡は無く、製造の現場を突き止めた者は誰もいない。





広大なネットワーク


 協同生命体。機械生命体同士による意識の統一。
 ネットワークで結ばれている者同士が情報を共有し合い、その膨大なデータから最も効率的な判断を下すことで、一人ずつの負担を軽減する働きをもつ。構成は、ネズミ講式であり、下位へいくほど裾が広がっていく繋がりを持つ。下位にいる者にとって、上位者は命令系統上の指揮権を持ち、下位の者は無条件に、その命令に従わなければならない。
 機械による同化の性質に、ネットワークによる協同生命体としての組織を作り上げたのが初代皇帝ライーザである。自身が人柱となって、その根幹を築き上げネットワークの最上位に鎮座している。

 ネットワークの下位の者は、初期設定では行動の判断が付かないばあい、直接の上位の者に指示を仰ぐ。尋ねられた側も判断が付かないばあい、さらに上位へ指示を仰ぐ。





意志の力


 情報の共有によって、効率的な行動方針が全体の意見として伝わる。個々の意志決定の必然性がないことは、巨大な組織としての統制が容易である。全員が同じ考えで、同じだけの知識と経験を持って行動できる。理想的な組織である。

 軍隊は個人の個性を殺す。集団に個は求められない。統制をとるためには単純な目的と明確な号令が必要だ。人間を機械人間にしてしまったとき、奴等は人間の個性を削り取る。ネットワークに組み込まれ、意志決定が必要なくなった時、自我は失われていく。あがくのも無駄だと。





ネットワークの分断


 ネットワークの上位の者が破壊されたばあい、その下位にあるネットワークは分断される。再構築には時間を要し、場合によっては修繕が不可能なばあいもある。
 分断された者たちが独立したグループ( カルト )を作るばあいや、 暴徒 と化すばあいがある。





カルト


 事故(上位者の破壊など)によるネットワークの分断により、以降、そのネットワークにおける上位者が強い個性(自我)を持ち始め、カルト化するばあいがある。
 上位とのアクセスを拒否し、独断と偏見により、下位の機械人間を引き連れて行動する。活動目的は多種多様。





暴徒


 ネットワークによる統制を失った機械人間は、一切の制約から解放され、まったくの自由に行動を始める。そのほとんどは破壊活動を目的とした暴走行為へと突き進み、人間の社会に甚大な被害を与える。
 元々は人間だった機械人間のばあいは、自由を取り戻したことで社会への復帰を果たそうとする者も少なくない。ネットワークから外れたまま寿命を終える者もいる。

 ただし、自由を得た後で、再びネットワークに組み込まれ、機械人間によって利用されてしまうこともままある。
 また、元々は人間であっても、長くネットワークに組み込まれていた影響によって自我を失ってしまっているばあいがある。その場に立ちすくみ呆然となる者や周囲の機械人間に同調して暴徒化するばあいなど様々である。





眠り


 機械生命体に眠りは不要だ。24時間稼働しても全く問題ない。日々蓄積され続ける一時的に溜まった不要なデータを抹消するばあいや、大量のデータをネットワークに効率よく送るばあいなどに、あえて「活動停止」の状態になるばあいがあるが、それ以外では全く問題なく動き続ける。
 人間から機械化したばあいは、それが体の一部分だけであれば眠りは普通に必要だ。しかし、機械化が進むにつれて眠りは不要となっていく。すべての部品が機械と入れ替わった時点で眠りは不要となり、眠ることはなくなる。眠ることができなくなる。





食事


 眠りと同様、機械生命体に食事は不要だ。24時間稼働しても全く問題ない。しかも、機械生命体である機械生命体は特定の動力機関を必要とせず、部品一つ一つがその「生命力」によって活動するのだ。当然、燃料や電力の供給も必要がない。
 人間から機械化したばあいは、それが体の一部分だけであれば食事は普通に必要だ。しかし、機械化が進むにつれて食事は不要となっていく。すべての部品が機械と入れ替わった時点で食事は完全に不要となり、食事を摂ることはなくなる。食べたり飲んだりすることができなくなる。





リューマ


 人間はネットワークに組み込まれることでリューマとなる。個人の意識は記憶ごと刈り取られ、人間としての感情を失い、一切の思考を失う。ネットワークによってあたえられた情報によって完全管理されるロボットになる、帝國の劣兵と化す、この状態になった者をリューマと呼ぶ。
 「目が変わる」と表現されるが、あきらかに目力(めぢから)が弱まるのだ。まったく自分の意思が無く、心ここにあらずといった様子に見える。そのため、サイコ化した者を一度でも見たことがあれば、以降、サイコ化を簡単に判別(一目見るだけで)することができる。初めて見るばあいでも、すぐに様子がおかしいことに気づく。ただし、目がスコープ化するなどの変貌を遂げていて、目を確認できないばあいは、話し方や行動からサイコ化していることを判別するほかない。

 何十年経過してもリューマにならないばあいも多々ある。上位者からの呼び出し(コール)が無いままネットワークによるリューマ化を知らぬまま、自らの意識を持ち続けて生き続けるのだ。永遠の命を持て余す苦悩はありつつも、自己を維持できることで生きる意味を模索することができる。大いに悩むことができる。

 ネットワークから人間(機械化している者)への強制的な接続を「コール」と呼ぶ。
 コールは機械生命体からの一方的な都合によってもたらされる。機械生命体が管理下に置いた時点ですぐにコールするばあいがほとんどだが、何十年も放置するばあいもある。

 リューマは、即座に実行すべき行動がネットワークから伝達されないかぎり、上級者の傍へ移動する習性をもつ。より管理されやすい環境へと移動するのだ。上級者からの命令が無いかぎりは、長期に渡って単体で行動することはない。





機械貴族


 特権的地位をもつ機械人間たちがいる。彼等には貴族として爵位とコールチェックの能力があたえられている。彼等自身はリューマ化しておらず、自分の人格を保持している。彼等のほとんどは、機械人間となる以前に高い地位にあった者たちであり、機械帝國への従属によりその代償として機械貴族の地位をあたえられているのである。

 機械帝國の侵略による成り行きによって機械貴族になった者の多くは、機械帝國の推進する「人類機械化」に何の興味も示さない。むしろ機械化を阻害し、自らの王国を無限の命をもって支配することに満足し、愚行を繰り返しているばあいがほとんどである。





機械化の阻害


 機械人間はすべての人間が機械化することを望んではない。

 機械帝國やリューマ(共同生命体)が推し進めるのはすべての人間がリューマとなって、ネットワークで接続され、共同生命体として効率的に共存することである。しかし、機械人間たち(リューマではなく、個人の意識によって行動している)が求めているのは、自己の欲望を満たすことだけに過ぎない。彼等にとってリューマは「頭のいかれた連中」にすぎず、決して望んでまで到達すべきステータスではないと考えている。

 機械人間にとっての人間は「退屈しのぎの玩具」であり、「羨望の存在」である。

 機械化することは決して難しいことではない。むしろ簡単に機械化することができる。
 すべての人間が機械人間になってしまったのでは、機械人間にとっては利点が無いのだ。つまり、玩具が自分と同格になったしまうためだ。彼らが望んでいるのは、人間が自分たち機械人間より下の存在であり続け、暴力やその他非道な行為の的となって苦しみや絶望に耐え続ける様を見ることなのだ。自分たちの仲間を増やしたいわけではない。自分たちが特別な地位でいたいだけなのだ。

 「人間は機械人間である自分たちに持っていないものを持っている」

 機械人間たちは十分承知している。
 人間として生きる喜び、女を好きなだけ抱く、上手い物を食う、熟睡する、温まる、涼む、生きる活力、達成感、使命感、充実感、言葉では全部言い尽くすことのできない、たくさんの、そして瑣末な出来事までがすべて大切なことであったということを機械人間たちは分かっている。分かっているのだ。分かっているからこそそれを認めない。認めるわけにはいかない。認めれば自分の存在を否定することになる。自分が存在する理由、永遠の命を燃やし続けるこの体を手に入れるために代償として支払ったものの大きさを後悔しないためにも、絶対に人間が機械人間よりも優れているのだという感傷を口にするわけにはいかないのだ。人間が機械人間によりも劣る存在であること、人間であり続けることがどれだけ大変なことで、自分たちが人間であった頃に感じた喜びだとかいったものがどれだけ脆弱なものであったかを証明するためにも、人間という存在は不可欠なのだ。もし、人間がすべていなくなり、機械人間だけの世界になってしまったなら、彼等は無限の命で人間だった頃を夢想し、後悔し続けることになるからだ。人間がいて、それを痛めつける自分たちがいれば、「機械人間でよかった、奴ら人間は馬鹿だ」と安心できる。





機械人間の死生観


 人間は死を迎える。死ぬことができる。

 白と竜の属性にとって、人間の死は神の世界(死後の世界)への旅立ちを意味している。人間として一生を全うした者にだけあたえられる「救い」である。人間としての意識は神の世界へ往き、コアはアルテアの大地へと還って再び命を得るという考えだ。

 黒の属性にとっての死は転生を意味する。彼等は死んでも意識を持ち続け、新たな体を得る。より地位の高いデーモンであるばあいもあれば、下の地位へ移されるばあいもある。幾度も転生を繰り返すことで、より高い地位へと上がっていくことこそが彼らの目的なのだ。ただし、本人の意識(人格)は維持できるばあいもあれば、すべて消えてしまうばあいもある。

 機械人間は人間としての魂を捨てた存在、コアを機械へと塗り替えた異端である。破壊された機械人間は、死によって神の世界へと向かうことはできない。コアは機械化されたアルテアの大地へと還る。それは機械によって変化を遂げた、まったく異質なコアである。「救い」はなく、自らの魂がどこへ行くのかもわからない絶望の中で「機械人間の死」がある。それはリューマの形成するネットワークからもしれないし、まったくの「無」へ向かうかもしれない。自分が死んで(破壊されて)、その先にどんな世界が待っているのかが全く分からないことは、真の恐怖と言える。





コメント

  • 一部不適切と思われる表現の修正 - Face 2009-06-26 13:03:47
    • 了解しました。 - おほおほ 2009-06-27 04:17:36
  • ライン分割が多すぎて、かえってわかりにくかったのを修正 - Face 2009-06-30 11:28:15
    • 了解しました。 - おほおほ 2009-07-01 22:20:32
  • 「食事」「眠り」を追加 - おほおほ 2009-07-10 15:39:44
  • 加筆修正しました。 - おほおほ 2009-09-27 00:14:38
  • サイコ化、機械人間への肉体の変貌を加筆修正しました。 - おほおほ 2009-10-12 08:58:05
  • 誤植修正 - おほおほ 2009-11-19 22:04:23
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