*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「7-499-2」で検索した結果

検索 :
  • 17-499-2
    指舐め 僕が子供の頃、近所にケーキショップがあって、いい匂いをいつも漂わせていた。 甘いもの好きの僕は、毎日のようにショーウィンドウから店内を眺めていたものだ。 奥でケーキの飾り付けをしているのを見て、僕も将来あんな仕事につきたいと思ったのもこの頃。 飾り付けをしている人の指示で厨房をせわしなく動いている人がいる。 ああいうのはやだな、と子供心に思ったっけ。今だから分かるけれど、彼は見習いの若いパティシエだった。 ある日、いつものように店の前に行くと、その日は見習いの彼一人だった。準備中らしく、客もいない。 僕を見かけると、彼は微笑んで、おいでと言うように手招きした。 言われるままに店の中に入ったのはいいが、母親がいる時と違って一人なので少し心細くなる。 「君いつも見てるよね。ケーキ好きなんだ」 僕は答えに困った。もちろん好きだけど、食べるのが好きみたいに思われ...
  • 7-499-1
    攻めを泣かせる受け 「なんでだよ!夜、空けとけって言ったじゃん!」 「つーかマジで空けられるか分かんねーって俺も言ったはずだけど?」 「そうだけどっ・・・ならもっと前に言ってよ!」 「急に仕事入ったっつってんだろーが。 子供じゃねーんだから駄々こねるような真似すんなよ。」 「ッ!!」 「もういいだろ。こんなことでケンカしてどうすんだよ。」 「こんなことじゃないよ、俺楽しみに・・・・・・あー!もういい!もういいよ!」 「はいはい。じゃあ俺は仕事行くから。」 「もう終わりだよ!ほんっと呆れた!」 「あぁっそ!勝手にしろ。つーかいいかげん大人になれよ。  お前、これからこんなことあるたびキレんのか? …これじゃあお前に付き合う奴も苦労するよな。」 「てめえマジ出てけ!ふざけんじゃねえ!!」 「言われなくても出てくけどね。」 ―バタンッ 「くそっ・・...
  • 4-499-2
    ttp //www.excite.co.jp/News/bit/00091129788010.html「抱擁売ります」 「笑うよね。このニュース。抱擁を競売?そんな、たった一度で癒されるんだったら、僕は義兄さんとこんなになってないのに。」 義弟と初めて会った時、俺は17で義弟はまだ15だった。週に一度、訪ねて来てた父親が、お前の義弟だと言って公園で会わせてくれた。 忙しい父親と奔放な義弟の母親のために、幼いころから、孤独に慣らされていた義弟。 「乳母を母親だと勘違いしてたんだ。」 義弟が、ぽつりと話す思い出は、いつも痛い。 義弟が、家政婦とふたりだけで取り残されてた誰も居ない広い家には、無機質で不毛な時間が流れていた。 俺と半分だけ血の繋がった愛情に飢えてた少年。学校の事、友達の事、その日あった些細な話を、聞いてくれる肉親は俺が初めてだったらしい。 本当...
  • 6-499-2
    アメフラシとてるてる坊主 バイト帰りの疲れた体をひきずって、安アパートの古びた廊下を 歩いていると、ドアから味噌のいい匂いがただよってきた。 児玉の部屋だ。アイツ、また朝から何かとってきたのかな。 「…児玉、何か美味いの作った?」 ドンドンとドアを叩くと、「おー」というのんびりした声が 返ってくる。ドアが開くと、満面の笑みの児玉が、エプロンつけて 立っていた。 「あさとぉからよぉござんしたの!」 「は? 何て?」 「いや、気にするな。今日は、俺の実家の名物料理作ってたんだよ。  食ってくか? ん?」 「あー」 いつも落ち着いている男の、珍しいハイテンションさに、徹夜明けの頭が あまりついていかない。しかし、俺の頭は、睡眠欲よりも食欲の方を優先 するよう指示を出した。だって給料日前で、ここ数日ロクなもの食べて いないのだ。カップラーメンカップラーメン、の...
  • 17-499-1
    指舐め 校舎の屋上で、俺と高梨は5限のグラマーをサボっていた。 高梨は、屋上の入り口のドアのところにある段差に座りながら、誰かが置き捨てていったらしい エロ漫画雑誌をどうでもよさそうにめくっていた。立って反対側からそれを覗き込みながら、 ふと思いついて俺は言った 「口でされるのって、どういう感じなんだろうな?」 「口でされる...?」 俺の言葉に、高梨はきょとんとした表情で俺を見上げた。 「フェラだよ、フェラチオ」 「ああ...そういう意味か」 なあんだという高梨の表情に、俺はちょっとむっとした。 「なんだよ、お前、興味ないのかよ...それとも、経験済みか?!誰だ?クラスの女か?!」 「女と経験なんかしてねえよ。興味も、ないわけじゃない」 経験無いという高梨の言葉に、俺はほっとした。 高梨は顔立ちの整った、穏やかな性格で、女子の間でも人気がある。ぱっと見...
  • 27-499-1
    竜騎士と竜 「元々竜になど乗りたくなかったんだ」 嘘だ。 精鋭のみで構成された竜騎士団の一員になるためは、己の技量だけでなく、竜に認められるだけの人格であることが必要だった。 それ故に、俺にとって竜騎士の称号は誉れで、憧れで、騎士を志願した時からの夢は常に竜の元にあった。 「あんたに選ばれて、周りが期待していたから仕方なく引き受けただけだ」 それも、嘘だ。 誇り高い竜に、騎手として選ばれた喜びは何物にも代えがたかった。 築き上げた信頼と、同胞の情。 初めて飛んだ空は綺麗で、その背中になら躊躇いなく命を預けられた。 「気持ち悪い化け物。どこにでも失せろ」 「お前の嘘は本当に下手だな、カイ」 静かな声に呼ばれて、俯いていた顔を上げる。黄金色の目が、静かに俺を見ていた。 ああ、嘘だ。彼は常に気高く、美しかった。 光に照り映える赤銅の鱗に覆われた...
  • 7-499
    攻めを泣かせる受け 雲ひとつない青ばかりが続く空。 日照りはじりじりとアスファルトを燃やしゆらゆらと陽炎を作る。 その上を二人の少年が歩いてきた。 小さなランドセルに大きな体の少年が泣いている。 「ひっく、ひっく」 「泣くなよ。男だろ!でかい図体しやがって情けない!」 同じランドセルでも体格で随分と大きく見える。小柄で良く焼けた肌の少年が叱咤した。 「だってそれ、痛いよ。」 「舐めときゃ治る。馬鹿にすんな。」 左足に大きな擦り傷。どうやら派手に転んだらしい。 「治んないよ!病院いこうよ!  だから真っ暗森の探検なんてやめようっていったんだよう!」 「うるせーな!お前だって乗り気だったじゃねえか!」 「だって行かないって言ったらあーちゃんが僕を嫌うと思ったんだもん!」 「・・・な!・・・あーそうだぞ!嫌うぞ!ちなみに今泣き止まなくても嫌うからな!!」 そ...
  • 27-499
    竜騎士と竜 アズマークは、赤子の拳大の卵を手に、盛大に舌打ちした。 幼い頃に憧れた、竜騎士になって早10年。 今日は、待ちに待った自分の相棒となる騎竜を選ぶ、大切な日だった。 蒼穹を舞う、雄大な竜の背に乗る己の姿を、何度も夢想した。 雄々しく、威厳のあるその背に跨った将軍に続き、剣を振るう己を夢にみた。 だが、突きつけられた現実は、あまりにも残酷だった。 「申し訳ないのですが、貴方の分の騎竜はおりません」 「どういうことだ」 「騎乗用の竜との契約式が、昨日だからです」 「俺は今日だと聞いていた!」 苛立ちから使用人へ当たり散らしていると、彼はアズマークに、くすんだ鈍色の石ころを差し出した。 眉を寄せる彼に、使用人の青年は、困ったようにこう言った。 「そうなると、まだ羽化していない卵しか……」辺りを見渡せば、しっかり自分の竜を確保した仲間がニ...
  • 17-499
    指舐め 「あっ…、ん…」 下半身に与えられる快感に思わず身体を振るわせる。 すると首輪に繋がっている鎖がジャラと音をならした。 僕を拘束する鎖はご主人様に与えられたものだ。 鎖を意識するとさらに快感が身体中に駆け巡った。 「あぁ…っ」 「汚い…」 達した余韻に浸っていた僕の目の前にずいっと指を近づける。 僕が出した精液がご主人様の指に絡み付いていた。 それを躊躇せず口にくわえ、指の間に舌を這わす。 これは合図だ。 ご主人様が僕に抱かれたいという合図。 一通り指を舐めちゅっと音をさせて口をはなし、手首から肘にかけて唇を這わす。 「自分の精液を舐めるなんて、変態だな…」 ふっと鼻で笑い僕を見下ろす。 汚いものを見るような目付きだが、その奥に興奮の色が見える。 「ごめんなさい…」 言いながらご主人様の股間に顔を埋める。 そこは既に硬くなっており...
  • 9-499-1
    もういかなくちゃ ドアを開けて1歩踏み出し、直後戻ってきた。 「寒い」 「……学校行け」 寒いのは分かる。 今お前がドアを開けた瞬間一気に廊下が冷えたし。 路面も凍ってる見たいだし? 「転んだ事は黙っててやるからさっさと行けよ」 「嫌だ。こんな道歩いて行けるか」 「寒くても世の中動いてんだよ。可哀想な受験生はさっさと勉強しに行け」 「……家でもできる」 確かにこんなに寒い日くらいはと思うけれど ここで甘やかす訳にはいかない。 今まで頑張ってる事を知ってるから。 後悔はしてほしくないし。 ……それ以上にオレが困る。 「……バカ兄貴」 「バカで結構」 「なんで兄貴は休みなんだよ」 「大学生は休みが多いの。……お前も大学生になるんだろうが」 お前、オレのところに来るんだろ? 「なる。なってラブラブキ...
  • 4-499-1
    ttp //www.excite.co.jp/News/bit/00091129788010.html「抱擁売ります」 マンションのエントランスに足を踏み入れてゾッとした。 下品な安物の香水の匂いを忘れきれていなかった愚かな自分にだ。 畜生。忌々しくてしょうがない。 「おつかれ」 忌々しいといえばこの男じゃないか。よくもこうノコノコと顔を出せたもんだ。 別れ際家にある包丁全部持ち出して散々脅してやったの忘れたのか。 果物ナイフやチーズナイフまで振り回していた自分が、今考えると滑稽でならない。 「おい、だいじょうぶか。自慢のスーツがヨレヨレじゃないか」 そんな顔してそんな声音で、絡めとろうたって無駄なんだよ。僕だって成長したんだ。 しかしいつもながらお前のタイミングの良さは本当に素晴らしいな。弱りきった最高潮の晩に現れやがって。 お前はタイミングの良さと運の良さ...
  • 6-499-1
    アメフラシとてるてる坊主 うねうねと雲が踊っている。雨雲はそのまんまアメフラシみたい。 暗くなったせいで軟体感を増す空を見上げて、帰ろ、と決めて傘を探した。 馬鹿馬鹿しい。何時間もあいつを待ったりしてホント馬鹿だ。 「今日こそは一緒に帰る!」と言い切ったあいつ。 「イヤ、待つの俺だし。夏前だろ?何時間練習するのさ?」 と聞く俺に、 「今日はミーティングだけだから」と言った。 そうなのかと思った俺も馬鹿だけどね?夏大会前の野球部がミーティングのみで終わるはずもないんだよな。 あぁ、降って来そうだな。今土砂降りになったら野球部も練習終わるのかな。 今情けない顔してるから、あんまり見られたくないな。 ロッカーの奥から折り畳み傘を引っ張り出して、開いてみる。空気は湿っているのに埃が舞って、咳と一緒に涙が出た。 あ、やべ。今から傘置いて帰ったら、泣いてるのバレないかな。...
  • 3-499-1
    元気いっぱいの中学生と貧弱な死神 「おい、おっさん!今日は水曜だかんな!部活終わったら行くからな!」 威勢のいい声はマンションの隣りの中学2年生。野球部の補欠。 声をかけられた貧相な男は彼を振り返り、おはようとぬぼーっと片手を挙げた。 朝6時。 朝練のために早めに登校する少年と健康のためだという早朝散歩の男は、 よくこうして一緒になる。世慣れたフリーライターだと言う、でもちっとも 世の中を渡っていけそうにないひ弱な体つきの男の部屋に、勉強を教えてもらいに 少年は週に何度か通っていた。半分は男の部屋にあるゲームソフトのためだけど。 少年は知らない。そのどこか年齢不詳の男は、実は死神なのだ。 少年が1年前の事故で死にかけた時、魂をとろうとしてとれなかった死刑執行人。 死神はなぜ彼を死なすことができなかったのか。 答えは簡単でありきたり。死神は少年に一目惚れし...
  • 16-499-1
    次男 「ただいま」 がちゃり、と扉の音と一緒に聞こえた声で、一気に気分が落胆する。 俺の隣で本を読んでいた佐藤が、あれ、といってからすぐに本を置いて振り返る。 「お邪魔してます」 「あれ、佐藤。久しぶりだなぁ」 「そうですね。え、いつもこんな時間に帰ってきてましたっけ?」 「今日から中間テストなんだよ」 二人の会話を背中で聞きながら、心の中で舌打ちする。ああ、テストか。 俺と佐藤の高校ではテストは再来週なので、兄が早く帰ってくることなんて 忘れていた。なんでもいいから、早く、部屋を出て行け、と思う。 結局それからしばらく佐藤は兄と喋り続け、兄がこれから塾に行くから、というまで終わらなかった。 兄が部屋を出てすぐに、佐藤が俺の腹を裏手で軽くはたく。 「一言くらい喋りなよ」佐藤の顔は笑っていた。少し困っているようにも見えたが。 「うるせえよ」はたき返し...
  • 9-499
    もういかなくちゃ 来る気はしていた。 だから今日だけは、部屋で一人待っていた。 気がつけば、俺の前にヤツは立っていた。 「…最後だから」 つぶやくようにヤツは俺にそう言った。 「うん」 色々言いたいことはあったのに、何も言葉にはならず、胸の中で溶けて消えて、 体の隅に黒く暗く溜まっていった。俺は手を伸ばすこともできず、ただ目の前に 出てきたその姿を見ていた。 ちょっと悲しそうな顔。丸めた背中。落ちた目線。 そんな顔するな、と言いそうになって、やめた。 「…あと何時間かいるんか?」 「いや、一言だけ言いにきただけ」 「何?」 俺の声は震えてなかった。 ただただ静かに、俺達は向かい合っていた。 「ありがとう」 あいつは笑顔を作ってそう言った。 「…最後にそんなこと言うな」 「俺、お前に会えて良かったわ」 「その言葉は、俺じゃないやつに言え」 ...
  • 19-499
    女の子が大好きです 「決めた、俺やっぱ彼女作るわ」 騒がしい昼休みの食堂。向かいに座る林に井上はそう宣言した。 「なにを言ってるんですか井上さん…既に僕と付き合ってるくせに」 後半は小声でそう続ける林の落ちついた態度が井上には余計にしゃくに障った。 ―俺が折角衝撃の告白してるんだから、少しは驚けよ そういう態度だから俺も女の子と付き合いたくなるんだよ 「うるさい。それは何かの間違いだ、そもそも俺別に男好きなわけじゃないし」 「僕も男好きじゃないですよ井上さんだから好きです」 「あ…今はそういう話はしてないだろ」 「はいはい」 「ほら、純情可憐な女の子と付き合う方が絶対楽しいし」 「僕は井上さんと付き合うまでに何人か女性とお付き合いしましたけど 素直とか純情な女の子なんて都市伝説でしたよ。井上さんの方がよっぽど可愛い」 お前は...
  • 3-499
    元気いっぱいの中学生と貧弱な死神 地獄勤務歴2年、イマまでは『あの世への入り口』で、来た人の書類に地獄ハンコ押す仕事やってたAKUMAくん。 でもあんまりにも体力無いもんだから、ハンコ40個押しただけで腕がつかれちゃう。疲れて息が切れちゃう。 そんなデキナイAKUMAくんが、周りの同僚からしたら可愛くてしかたないもんだから 「もうオマエの列の残りはもう皆天国行きでいいじゃん」みたいな感じになっちゃって、天国の住人急増。 閻魔さまも代激怒。閻魔さまに「オマエ、向いてないよ。」って言われて人事異動になったのはいいんだが 人事異動になった先が『死神課』。 「いやだなあ…。人の死の知らせなんか止めたいよお。何でこんな役職ついちゃったんだろう。」 仕方なくの初仕事のターゲット、学校でPSPに夢中の中学生。 「あ、あの。あのう。」 「なんだよ、いまゲーム中・・・ってな...
  • 1-499
    ヘタレ攻め×高慢ちきな受け ヘタレ×高慢ちきという設定から学園モノを想像した。しかも幼馴染。厨設定でスマン。 攻はごくごく一般的な高校生。 受はわがままだけど、そのルックスで許されちゃうようなキャラ。 受と攻は周りからみりゃ両思いなんだけど、ヘタレな性格、高慢ちきな性格で お互いに告白できずにいるわけですよ。 受がキー!と怒って、攻がヘコヘコ謝っているのを見て今日も夫婦喧嘩かぁ、 と周りが思うような感じ。 なんか、ヘタレ×高慢ちきというより、下僕×女王になってる気がするけどキニシナイ( ゚3゚) 赤いきつね×緑のたぬき
  • 8-499
    夢見る頃をすぎても 「…終わったな」 疲れた顔をして帰ってくるなり一言つぶやいたあいつ。 あまりスポーツに詳しくないので判らんが、あいつの好きなチームがどうやら負けたらしい。 そういえば、今日は試合を見に行くとかいってっけな。 「負けたのか…ま、明日も試合とかあるんだろ?」 「…あるけど、後はもうだらだらやるだけに近いな。順位も決まったし」 「…じゃあ、どうして順位が決まったのに試合やるんだよ?なんか無駄じゃないのか?」 「無駄だけどな。消化試合というぐらいだし。」 「それでも、来年のために試合をするんだ」 そのあと、新人育成だとか、来期の構想とやらと、俺にはさっぱりわからないことを語りだしたが。 多分、今年の夢は潰えても、あいつの夢は続くんだろうな。 来年は、あいつと一緒に見に行くのもいいな、と、まだまだ語るあいつの口元を見て思った。 ...
  • 5-499
    相方  お前は俺の最高の相方。卓球でも、日常生活でも。 「行こうぜ。思いっきり楽しむぞ!」  茶色の癖毛を揺らして無邪気に笑うお前を見れば、いつだって緊張は 無くなった。 「……ああ。高校最後の試合だもんな。勝てば全国制覇だ」 「勝つに決まってんだろ!俺とお前は最高のダブルスなんだから」 「……」  俺の肩をバシバシ叩きながら、お前は恥ずかしいくらいの大声で言った。 お前にはきっとその気は無いんだろうけど、俺にはたまらなく嬉しい言葉を。 「そういや、お前この試合に勝ったら好きな子に告るんだよな」 「……誰に聞いた」 「中野が言ってた」  中野の野郎、余計なこと言いやがって。俺が眉間に皺を寄せるのにも気に せず、お前はまた俺の肩をバシバシと叩いた。 「いやー、しかしお前に好きな子がいるなんてなあ。試合観てんのか、その子?」 「……ああ、見てる。1番近く...
  • 2-499
    毒舌×毒舌 頭打った。目からお星様。 あっ願い事言わなきゃ。死ね死ね死ね。 がっついてるヤツはこれだから困る。クソ野郎。 でもって思った事を、素直に口にしてやった。 まあ予想通り、クソ野郎は拗ねました。 そして、俺のナニを握り締めましたとさ。……それは予想外だ。 「いだだだだ!!」 「あれ、ちゃんと神経あるのね。  にぶいのは口とアタマだけですか」 「つーか死ねおまえ。殺すぞ。ていうか離せ。死ぬ」 「違うなあ」 そう言って悪そーに笑う。唇の端を持ち上げてニンマリ。 悪魔の笑顔が超素敵。なわけねえだろ。おかしくねー。 でもってこんな風に言う。 「あのね。死ぬほどの思いをさせてやろうっての。  だからこれでいいの」 「俺、昇天?」 「うん」 俺は同じく笑った。 「じゃあ、早...
  • 4-499
    ttp //www.excite.co.jp/News/bit/00091129788010.html「抱擁売ります」 「やあ…君が?」 「ええ。お届けにきました」 早速金を払おうとする客に、刃ミッシュは手で制す。 「後でいいですよ」 客はゆっくり首を振った。 「…幸せな気分を残したまま、かえって欲しいんだ。  素敵な送りものを受け取った後に、こんな生臭いことなんか」 肩をすくめて言った客に刃ミッシュは笑って金を受け取った。 そして、腕を回す。 優しく、壊さないように、そっと。 相手が首に顔を埋めたと判ると、ゆっくり腕に力をこめはじめる。 客は目を閉じて数を数えた。 1,2,3。 ああ、懐かしくて気持ちがいい。 刃ミッシュは年下なのに、まるで父親に抱かれているような。 5,6,7。 じっと二人は抱き合った。 会話はない。ただ、二人で...
  • 6-499
    アメフラシとてるてる坊主 ぼくは きみに こいをしました ・・・おい、お前は何でそんなとこに釣り下がってんだ? 僕はてるてる坊主だからさ。神様に雨が降らないようにお祈りしないと。 じゃあ、俺の敵だな。 そうだね。そういうことになるね。でも安心して?僕はすぐ消えてなくなるから。 何で? だって、他の仲間もそうだったんだけど・・・用がなくなると僕達は捨てられる運命だから・・・。 ・・・。 ごめんね。君のお仕事の邪魔しちゃって。できれば僕も君と同じ種族に生まれたかったなぁ。 おれは こいつに こいをした ・・・なんで?何で同類になりたい?俺たちアメフラシは人に嫌われる妖怪だぜ? うん。でも、ぼくがてるてる坊主じゃなかったら君と二人でいられるでしょ?多分ずっと。 俺と・・・?一緒に・・・? ぼくは・・・君に恋をしてしまったようです。 ・・・・・...
  • 7-099-2
    優しく踏んでね? 「待って…いた…い…ッ。」 「痛い?それくらい、我慢しろよ。」   ユウヤは何とか体勢を変えようとしているようだが、痛みと俺の重みで身じろぐことも出来ずにいるようだった。 「ごめん、俺、上は、初めてだから。」  少し冷た言い方をしたと思った俺は、バランスを取りながら言い訳をした。 「わかって…るから、…ッ…ごか…ないで。」  些細な揺れも感じ取るのか、息を詰めながら話すユウヤを見て俺は出来る限り動きを止めた。  しばらくして笛の音が聞こえて、俺はユウヤの上から降りた。  立ち上がったユウヤが自分の足に付いた砂を払う。  膝に食い込んだ砂粒が痛そうだ。 「足、痛そうだな。」 「ううん、もう平気。でも次はもうちょっと優しく踏んでね?」  ユウヤの笑顔にどきりとして下を向く。  笛がまた鳴った。  組体操なんて考えた奴はきっとサドかマゾ...
  • 11-499
    塾講師 「お前さあ」 塾の空き教室で、先生と二人きり。絶妙なシチュエーションに俺が酔いしれていると、 ため息が聞こえてきた。 「俺の話、聞いてる?今、進路指導中なんだけど」 「聞いてる聞いてる」 机に肘を載せて、頬に両手をつけてにっこり微笑む。 わざとらしい可愛いこぶりっこだけど、たいていの大人はこれで許してくれる。こいつ以外は。 「はぁ…。じゃあこの進路調査票の『第一志望:先生と同じ大学 第二志望以下同文』 っていう最高に頭悪い項目書き直せ。ほら、ここ」 素直に調査票と先生が差し出すペンを受け取って、「どこ?」と紙を覗き込むふりをする。 こっそり机の下で靴を脱ぎながら。先生は少し身を乗り出して「こーこ」と指で指した。 髪の毛伸びたね、先生。可愛い。 「なんて書きなおすの?」 「知らないって。お前の行きたい大学名書く……」 先生が異変に気づいて、俺の顔を...
  • 18-499
    はじめての一人暮らし 「こんなもんかな」 掃除を終えた後の部屋にダンボールを運び込み、家具を配置。 とりあえず必要最低限のものを取り出して、とりあえず当面の生活の場は整った。 業者に手伝いを頼んだとはいえ、やっぱり一日仕事だったな 俺はテーブルの上に烏龍茶のペットボトルを置くと、コップに注いで誰ともなしに 乾杯の動作をとってみた。 今日からここが俺だけの部屋。 兄弟が多い家で育ったせいでプライベートというものに縁の無かった俺にとっては 小さなアパートの一室でもここは聖域だ。 思い浮かぶのはこれからの新生活。もちろん不安もあるが、一生に一度の大学生活に はじめてのひとり暮らし…期待の方も当然大きい とりあえず今日の夕飯は何にするかなぁ…その前に実家の家族に電話入れた方がいいかなぁ などと考えていた俺は、ふと本棚に置いてある写真立てに目を留めた。 ...
  • 15-499
    もう一度だけ 「結婚するんです」 俺と?なんてふざけて切り返してやろうかと思ったけどしなかった。 震える声で告げられたそれは、冗談なんかじゃなかった。 遠くない先に、俺から離れていくのはわかっていたことだ。 その時が来たなら、手を離してやろうと決めていた。 こいつが幸せになれるのならそれが一番だと思っていた。 「最後にもう一度だけ、抱きしめてもいいですか」 「……やだよ」 もう一度なんてそんなことしたら、俺はそのままお前を離せなくなる。 俺だってお前を好きだったんだ。お前が会うたび俺に言った分、もしかしたらそれ以上。 ふざけてちゃかして、俺からは言うことなんて少なかったけど、大好きだったんだ。 無理だ。お前の幸せなんて願えない。お前の幸せなんてぶち壊してしまいたい。俺といることを選ばせたい。 もう一度だけでいい。好きだと言いたい。 ...
  • 25-499
    十代の性欲なめんなよ!? 先生好きです愛してます、なんて言葉も冗談だと思っていた。 真面目で優秀な生徒会長も、そんなおちゃらけた冗談を言うんだなあ、と。軽く考えていた。 だから今までずっとハイハイ、とかわしてきたのだけれど、どうやら彼は本気だったようで。 教材室で書類整理をしていると、その、なんだ。……押し倒された。 「前野っ、てめ、離、せっ!」 「やだ、絶対やだ。先生が本気で考えてくれるまで離さない!」 いつのまにやら敬語も解除されていた。眼鏡越しの瞳はまるで獣のようにぎらついていて、正直怖い。 通常時に力比べをしたら確実に勝てる自信はあるけれど、机の上に倒された状態にくわえ、 身体全体で覆いかぶさってくれば、流石に無理だ。身長は目の前のコイツのほうが高いし。 灰色のデスクに縫い付けられた手も動かない。前野は切れ長の瞳でじっと見つめてくる。 目をそ...
  • 28-499
    生意気な後輩に手を焼く先輩 「だ・か・ら! どうして白い靴下をはく、ただそれだけのことができないんだ!」 「やる気ないからじゃないっすかね」 へらへら笑うバカの頭を一発はたく。 どうして校則が厳しいことで有名なうちの学校に来たのか疑問なレベルで、こいつは校則違反常習者だ。 だから毎日下級生の指導担当の僕が呼び出されては指導する羽目になる。 「御託はいい、やる気を出せ! お前は張子の虎か!」 「出していいっすか?」 表情は相変わらずへらへらしているが、心なしか目が鋭くなった気がする。 「できるなら最初からやれ! そもそも何でこんなに違反ばっかりするんだ!」 それはもう、校内新記録を塗り替えるレベルでひどい。むしろ狙ってるんじゃないだろうか。 「何でって、そりゃ違反する度に先輩と二人っきりでデートできるし」 「……は?」 何を言い出すんだこいつは。 「怒り狂...
  • 17-599-2
    立ち切れ線香 初めて会ったのは、大学の落研だった。 人情物や心中物が好きな俺に、アイツは笑ってよく言ったものだ。 「いやー!あかんあかん!江戸落語は辛気くっさいのー!」 ゙立ち切れ線香゙…俺の大好きな噺。繰り返し繰り返し、テープが擦りきれるまで聞く俺に、 「何回目やねん!」 アイツは毎回呆れた顔で突っ込んだ。 周りを標準語に囲まれながら『オレは関西を捨てへん!』と息巻いていたアイツの関西弁は、その時にはもう崩れていた。 「お前が悪いんやぞ!なんつーか…ほら…、一緒に居りすぎて東京弁がうつったんじゃ!」 アイツの言葉通り、2年になる頃には俺たちは四六時中一緒だった。 『お前らは夫婦か!』と周囲に突っ込まれると、なぜか嬉しくて心が踊った。 大学4年生の夏。 実家に帰省したっきり、アイツは帰って来なかった。 携帯は不通で、アパートも空。 周りの誰に聞い...
  • 14-499
    歩けなければ這ってでも 歩けなければ這ってでも、 貴方の元に向かおうか。 痛みさえ今は、 とこしえに続く甘美な旋律。 死など恐るるに足りやせん、 いずこにも貴方のいない世界こそ死だ。 「久し振りに舞台の上で台詞をそらんじたら本当にそんな気分になったんだ」 「とんでもないな、それで人の腰を立てないようにしに来たのか」 ああ愛しい人よ、だからどうか今だけは這い蹲って鳴いてくれ。 へっぴり腰で艶めいた声のする君の元へ、必ず俺は帰るから。
  • 26-499
    夏祭りの再開 俺の言葉に、ユキノリは一瞬ぽかんとしてから「はあ?」と怪訝な顔をした。 「だから、夏祭り。俺が子供の頃は毎年やってたじゃないか。それを今年復活させる」 「子供の頃って、何十年前の話だよ」 「二十年前だな」 答えると、彼は「大昔じゃん」と言ってけらけらと笑う。 「こんな過疎った町で祭やったって誰も来ねえって。やめとけやめとけ」 「町の人達が来ればそれでいいじゃないか。町の祭なんだから」 そう言うと、ユキノリは大袈裟に肩をすくめて、わざとらしくため息をつく。 「お前さ、採算性って知ってるか?祭やるつっても金と人手がかかんだよ。  『お祭楽しーい』って喜ぶのはガキだけで、大人にとっちゃ利益があがらなきゃただの骨折り損」 小馬鹿にしたような物言いにムッとするが、言い返せなかった。黙って地面を睨む。 確かにユキノリの言う通りなのだ。 そもそも、夏祭りが...
  • 24-499
    忙しい吹奏楽部×そうでもない帰宅部の夏休み前日 ワシは真っ青な空の下でトランペットを吹いてるアイツが好きや。 けどな、夏休みの間中、ずうっと部活でワシと遊べんってのはどういう事やがな。 確かにワシには夢も青春も無いでっせ? お前はんの夢を応援したいちゅーのも本当でんがな。 そもそもワシが帰宅部なのはお前が夢に向かって全力で頑張ってる姿を見つめていたいからや。 でもな?夏休みに用も無いのに学校行ってお前見つめとったらストーカーやがな。 それは堪忍しておくれやす。 ワシにかてプライドはありまんがな。 じゃあ一緒に部活をやろうって? 無理や、ワシ暑いの苦手やもん。 ついでに言うと寒いのも苦手じゃ。 集団行動も嫌いやで。 そんなワシが好きなんてお前も変わりもんじゃの? 照れるがな、やめなはれ人が見とる…。 まあ、ごち...
  • 10-499
    鬼畜受 頭の中が真っ白になった。 唯一無二の親友…と思っていた男の胸ぐらを掴む。 「なんで…こんなことしたんだよッ」 「単なる嫌がらせ」 今までになかったぐらいに強く怒鳴っても、コイツはしれっと告げてくる。 「俺があんなに…」 苦労した記憶が脳内を駆け巡る。 コイツは俺がつらいその時も、そばにいて励まし支えてくれていた。 にも関わらず、最後の最後で全てを台無しにしたのだ。 「あんなに……なに、言葉もない?」 その言い方があまりにもバカにしたような言い方で、 俺はとっさに拳を振るおうとして、寸前で止めた。 一方的な暴力は好きじゃない。 それは、コイツも知っていた。 「俺ね、お前のそういう紳士ぶった態度、結構嫌い」 すっと目を細め、爽やかな微笑みを浮かべながら毒を吐く。 「だからずっとやりこめたかった」 そういう、元親友の言葉に衝撃を覚える。 「でも...
  • 21-499
    恩返ししたい攻×ありがた迷惑な受 ちょ、まじいらねえから。 上等な織物って何それ。米百俵相当分って何それ。 知ってんだよ、あんたが自分の羽毛むしって織ってんの。 日に日にやつれてんじゃん。しかもちょっと禿げてきたし。 ほんっと、勘弁して下さい。ああああ助けなきゃよかった。 おれは、あんたに、優雅に、自由に、空を、飛びまわってほしかったの。 あああああ何しょぼーんな顔してんの。 いらねえっつったからか?覗いたからか? ちげーよ、助けたくなかったんじゃねえよ、めんどくせえやつだな。 自分を、もっと、大事にしろって、言ってるんです! あんたほんと心配だからずっと・・・おれのそばにいればいいんです。 人恋しい夜
  • 13-499
    夏だったね。 全力で走ってる間って何で周りが見えないんだろう。 毎日練習練習で、でもすごく楽しかったんだ。 前だけ見て集中して、みんながいてあいつがいて 先輩も後輩も隔てなく目標に向かって汗を流した。 スタメンに残れた最後の試合で君とプレイできたこと 思うような結果が残せなくて流した悔し涙 みんな疲れて眠ってた帰りのバスの一番後ろの席で ぽつりぽつりとあいつが話してくれた言葉 全部忘れない。 部室から私物を引き上げて、引退式なんて変なものやって 新人戦も冷やかしに行くよなんて軽口たたいて。 でもまだ明日の朝錬メニューなんだろうってぼんやり考えてた。 帰り道、暗くなるの早くなったねって誰かが言った。 もう秋だもんなぁと他の誰かが返す。 そっか。 ってことは俺、部活本当に引退なのか。 ってことはあいつとの接点なくなっちゃうのか。 っ...
  • 16-499
    次男 あいつは本当に気に食わない奴だ。 媚び上手甘え上手で先輩たちに可愛がられいつもおいしい所ばっかり持っていきやがる。 今年この陸上部に入部した一年生はあいつと俺の二人だけ。 俺は夏の新人戦に向けてがむしゃらに努力を重ねてきた。 それとは対照的にあいつは努力のかけらも見せずに要領良く生きている。 あいつと倉庫の掃除をしているときに、可愛がられる奴はいいよな、などと皮肉を言ったこともあった。 「俺、次男だから。兄ちゃんいるから甘えたりすんの得意なんだ」 そう言ってへらへらと笑ったあいつが可愛がられる理由がなんとなく分かった気がして、俺にはそれがとても悔しかった。 それでも努力を重ねれば、こいつより、誰よりも頑張れば、誰かが俺を認めてくれる気がした。 だからこの新人戦で一回でも勝って、今までの努力を証明する。 そう思っていた。 遠くに誰かの勝利を祝う歓声を聞き...
  • 23-499
    童貞×童貞 全く経験の無い者同士が事に及んだとして、はたしてうまくいくんだろうか? ――何故俺がこんな下世話極まりない心配をしているかといえば、目の前で惚気話を繰り広げる我が兄とその恋人の関係がまさにそれだからだ。 若くして聖騎士を勤める俺の兄は、清廉潔白を絵に描いたような人物である。 ガキの頃から教会の孤児院という、色事とは一切無縁の生活をしてきたたため、そっち方面における鈍さだけは随一であると断言しよう。 そもそもそういった事に興味があるのかすら疑わしい。 何しろ今小一時間も恋人の話しかしていないというのに、惚気ている自覚がさっぱり無いのだから。 そんな純粋培養な兄の恋人である副官は、傭兵団からうちに引き抜かれた異色の経歴を持つ。 一体兄はこいつのどこに惹かれたのかといつも思うが、そこは外野がとやかく言っても仕方のない事である。 で、だ。 荒くれ...
  • 9-699-2
    ふみなさい 「お、早いね。じゃあ八さんいってみようか」 ふ ふざけあってた少年時代 み 見つめる横顔 頬に朱さし な なぜか苦しい胸の内 さ 再会してから気づいた恋は い 言い出せもせず、笑みの悲しき 「まとまってるね。一枚あげとこうか……はい、菊ちゃん」 ふ ふうん、こういうのが好きなんだ? み 見せ付けてやろうぜ な 啼けよもっと さ 桜にさらわれるかと思った い イキたいか? 「おーい、座布団全部持ってちゃいなさい」 ふみなさい
  • 9-299-1
    屈辱 唇が離れ、二人を繋ぐ透明な糸が途切れる。 ほうっと吐いた息が妙に卑猥に聞こえて口元を押さえる。 「もっとしたい?」 その質問に少しだけ頷いて視線を合わせる。 「したいなら、「もう1回して。」って言って。」 「い……嫌だよ。」 そんな恥ずかしい台詞言えるわけが無い。 「嫌だから聞きたいんだよ。」 あいつはくすくす笑って俺の髪を梳く。 「それとも、もうしたくない?」 耳元で囁かれるくすぐったさに首をすくめる。 「……も、っかい、して。」 震える声に耐え切れずぎゅっと目をつむる。 あいつの顔が近づく気配を感じながら、今なら恥ずかしさで死ねるかもしれないと思った。 ========= 何かエロい雰囲気のを書きたかったの。 変人でサイコな攻と、それにおびえつつも離れられず、ついついチョッカイを出すツンデレ
  • 5-299-2
    アリとキリギリス 兄は何もできない。 針を持てば指を刺し、鍋を持てば髪を焦がす。 「あーもう、何やってんだよ。貸せよ」 「ごめん、ごめんねケンちゃん」 そのたび、僕は横から手を出す。 仕事を奪われ、兄は突っ立って泣くばかりだ。 兄は何もできない。 兄は何もできない。 人見知りの激しい兄は友達も作れない。 それどころかいじめの対象になっているようで、毎日どこかしらに傷を負って帰る。 「ケンちゃん、」 「いいから。腕、見せて」 「ごめんね、ごめんね」 血の滲む肘に消毒を吹き掛けると、兄はか細い悲鳴をあげて泣く。 兄は何もできない。 兄は何もできない。 僕がいないと何もできない。 「あ、ケンちゃん、ケンちゃ、あぁっ」 ただひたすら、僕の下で鳴くだけ。 君はキリギリス、僕は獰猛なアリ。 ...
  • 6-599-2
    あの舞台に立ちたかった もう動かない足に爪をたてる。 もう立てない足に憎しみを込める。 「何やってんだよ。」 勝手に部屋に入ってきたのは今度の公演で俺の代わりに主役をするあいつ。前は二人で頑張ってきたはずなのに、今は殺したいほど憎々しいあいつ。めりこんだ爪を足から離された。 血が、出てた。 「せっかくの綺麗な足が台無しじゃねぇか。」 その言葉に泣き叫びすぎて枯れたしまった声が蘇った。 「・・・もう・・・いらない・・・こんな足、いらない・・・・・・。」 ああ、まだ溢れ出すほどの涙が残っていた。声と共に枯れたと思っていたのに。 「・・・事故って恐ぇもんだな。あんな強気だったお前が今じゃまるで人形だ。」 ゆっくりと顔を上げる 「人形・・・?」 俺を見下ろすあいつはとても綺麗に見えた。 「ああ、人形だよ。綺麗なまんまなのに、まるで生きてる気がしねぇ!足...
  • 19-099-2
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった ショータが放課後、女子と一緒に何かしてたのは何となく知ってたけど、まさかフェルトでぬいぐるみを作っているとは思わなかった。 「ソウマ、これやるよ。お前もエナメルに付けとけ」 「おー、なにコレ、作ったん?」 「おうよ」 「すげー。さんきゅ、かわいいじゃん」 「サッカー部で貰えてないのはお前だけだからなあ、かわいそうで見てられね」 関東大会出場が決まってから、部の連中のエナメルバッグにはお守り代わりの手作りぬいぐるみがぶら下がるようになった。 いる奴は彼女とか、ファンの子とかがくれるのだが、俺は全部断っていて、ショータもそれはよくわかっていた。 多い奴は10個ぐらいぶら下がってるが、俺のはシンプルに飾りは無い。 ショータがくれたものをまじまじと見る。 手が込んでるのかどうなのか俺にはよくわからないけど、目がちんまいビーズだ。...
  • 12.5-499
    喫茶店にて 「……という訳なんだ。どうすればいいと思う、マスター?」 またそのお話ですか。 何回喧嘩すればいいんですか、貴方とその愛しい人は。 「悪いと思っているなら、素直にそう言えばいいんです。コーヒーでも飲みながら、ね」 「あいつを連れてきていいのかな。ここ穴場だし、マスターは静かなの好きだろ? あいつ騒がしいもん」 「いえいえ。楽しみにしていますよ」 私を狂わせた貴方をそんなに困らせる憎き恋敵、一度見てみたいじゃないですか。 何度も何度も喧嘩して。 私は貴方が本当に好きだから、応援していますけれど。 ですがもし直接会って、相応しくないと判断したなら―――――― 真夜中に届いた、たった1行だけのメール。
  • 19-399-2
    友人だけど主従 寝台の傍らで、常玄はまんじりともせずに過ごした。 相変わらず伯頼は目を覚ます気配をみせなかった。 血の気の褪めた顔を仰向けて、昏々と眠り続けている。 どこか遠くで夜の鳥が鳴いた。 その声が冴え冴えとしじまを渡り、残響となって消え入る頃、とうとう空が白みはじめた。 それまで部屋の隅に控えていた老医師が進み出て、気遣わしげに声を掛けた。 「常玄様、後生ですからもうお休みください。 私がついていて、何かあればすぐにおしらせ致します」 常玄は黙って首を横に振った。その場を動くつもりはなさそうだった。 「……昔」 どこか遠い一点を見つめながら、常玄は静かに話し始めた。 「―――今の道を選んだ私を、誰もが止めようとした。  この男だけが、私を支えると言ったのだ。ゆえに支えてもらうことにした。  その日から、奴は私の配下になった。随分と昔の話だ」 医...
  • 4-699-2
    裏切り者 舞台は少し前の時代、東西ドイツ分断間もない頃なんかどうでしょう。 国境を越えようとして逮捕された受けを、攻めが助けるというシチュ。攻めには国境警備隊の長を勤める父親がおり、攻めもその下で働いていて、仲間と肉親を裏切って受けを助けるわけです。 ふたりで逃亡して行くのも萌えですが、この場合、受けは攻めとは別の男、西側にいる攻めBに会いたくて国境を越えようとしていたというのもいい。 三人は幼馴染みだったりして、攻めAも、受けの気持ちが自分には向かない事を知っているし、受けも攻めAの気持ちを知っている。 で、 ガチャガチャと牢獄の鍵の開けられる音に、また取り調べかと瞼を開けるのも億劫に横になったままでいると、 「ヘルムート、ヘルムート!」 良く知った声が名を呼んだ。 「何しに来た?」 幼馴染みのマイヤーだった。 「早く、逃げろ。」 「放っておけ...
  • 21-599-2
    充電器×携帯 「よろしく」 そう言って笑いかけてきたのが初めてだった。 よろしく、なんて人間みたいな挨拶だなと思ったのをよく覚えてる。 なんだか口にした事の無いそのよろしく、という言葉を真似て返すと彼が笑った事まで俺の中には残っている。 彼と俺とはいわゆる多分仲間、というやつなんだろうか。仕事仲間、とか? まあきっとそういう感じに呼ぶんだろう。人間だったら。 俺は携帯で、彼はその俺を充電してくれる充電器で、俺にとって彼は必要不可欠だった。 ぐったりとしている俺に力をくれるのはいつも彼で、 「お疲れ」 「大変そうだねぇ」 「俺がいるからもう大丈夫」 だなんてそんな事を言う。 俺は充電器って言ったら彼しか知らなかったし、もしかしたら他の充電器もそうなのかもしれないけど。 でも彼のあのゆったりとしたトーンでそうやって声をかけられると熱を持った俺の体からすうっと力...
  • 22-899-2
    雪の降る町降らない町 「雪が見てみたい」 『突然どうしたんです』 「此処は雪が降らない。私は文献の記述でしか、雪というものを知らない」 『そうなんですか。僕は知ってます。こちらではたくさん降りますからね』 「嫌味な奴だな」 『そんなつもりで言ったんじゃありませんよ。気に障ったのなら謝ります』 「雪とは冷たいものだそうだな。雨よりも冷たいのか」 『それはまあ、気温が低くないと雪にはなりませんからね。雪も雨も元は同じものです』 「お前の手よりも冷たいのか」 『さあ、どうでしょう。ああでも、僕が冷たいと感じるのだから、僕の手よりも冷たいのかも』 「そうか。まったく想像がつかん。お前の手より冷たいものなど存在するのか」 『それ、僕は喜んでいいんですか?それとも悲しむべき?』 「好きにしろ。……お前は雪が好きなんだな」 『は?』 「雪はお前よりも冷たいのだろう。お...
  • 7-149-2
    今年の紫陽花は何故か青い 「これ、一緒の買おうよ」 そう言われたのは確か、大学二年の夏だったと思う。 二人で出掛けた神社の縁日で恵介にそう誘われて買った指輪は、つけるのが恥ずかしいほどチャチな作りだった。 どう贔屓目に見ても子供の玩具にしか見えないそれは、けれど当時の俺たちにとって確かに宝物だった。 安っぽく、下品な輝き方をする、ギラギラしたアルミの指輪。 それを人気のない陰で、結婚指輪か何かのような慎重さで互いの指に嵌めあったのを覚えている。 頬を真っ赤に染める恵介にその場で口付けて、「ずっと一緒にいような」と囁く。 それにこくんと首を頷かせる彼をきつく抱きしめて、もう一度、今度は深いキスをした。 ――大抵のカップルは、自分達に終わりがあるなんて予想していない。 俺たちも当然その例に漏れず、この指輪を外す日が来るなんて事は夢にも思っていなかった。 ...
  • 27-299-1
    ひょろい×筋肉質 リストバンドを買いにスポーツ用品店に行ったら、 レジの前でクラスメートの峰と鉢合わせした。 峰が手にしていたのはダンベルだったので、俺は少し驚いた。 峰は、勉強は得意だが運動は苦手な典型的なインドア派で、 肌が白く体型もひょろりとしている。 女子には案外人気があるようで、クラスの子が「峰くんて中性的で素敵」 「王子様みたいだよね」と話しているのを聞いたことがる。 女の子から「王子様みたい」と言われるなんて、 ラグビー部所属で色黒がっしり系の俺からすれば少しばかり羨ましかった。 そんな峰とトレーニング器具の取りあわせは、だから全くしっくりこない。 「よぉ」 「あ、佐々原…」 「ダンベル、買うの?」 「あ、うん」 「なんか意外だな。お前がそういうものに興味持つの。スポーツとかさ、あんまりやらないじゃん?」 「うん、そうなんだけど…...
  • @wiki全体から「7-499-2」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索