*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「29-179-1」で検索した結果

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  • 18-179-1
    冗談っぽく「好きなやついる?」と聞いたら真顔でうなずかれたorz 179 名前:相談したい名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01 51 55 ID QSlQ0VRmO 冗談っぽく「好きなやついる?」と聞いたら真顔でうなずかれたorz 180 名前:相談したい名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01 55 04 ID Gtr5sd23O kwsk 181 名前:相談したい名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01 57 13 ID QSlQ0VRmO こんな時間にごめんな、飲み会の帰りなんだけど、その飲み会の席で言われた 真顔だぜ真顔、俺も真顔で「うん…、上手くいったら紹介しろよ」とかどもっちゃったよ スペックは当方フツメン、向こうイケメン。 182 名前:相談したい名無...
  • 6-179-1
    殺して? 「やっぱりどうやって死ぬかってのはさー、人生の中で一番重要な事項だと思うんだよ」 酒が入ると彼は饒舌になる。 一緒に飲むのは久々だが、それは変わっていなかった。 今日のテーマは『死に方』。 俺が提案したテーマだ。 昔から、彼とは酒の席で「他人に言っても絶対引かれるような独自の理想」を良く話した。 まあ、彼の講釈を頷きながら聞いていられるのは、俺だけだったからかもしれないが。 「俺は病院のベッドの上で死ぬなんて御免だね!美しくない!」 今日は特に舌が回っている。 酒量も多目みたいだから仕方が無いかな。 こうなると彼は止まらない。 今の彼になにか意見をしても、翌日には忘れているはずだ。 「俺はさぁ、余命宣告とかされたら愛する人に殺してもらいたいねぇ」 「それだと相手に迷惑掛かるじゃないか」 「いやいやいや、あくまで理想!理想だか...
  • 2-179-1
    腕白魔法使い×熱血剣士 最近、冒険者仲間の戦士は、様子がおかしい。 特に冒険の終わった日は、何だかそわそわしてて、ふといなくなることがある。 そんな長時間いなくなる訳じゃないけれど、何をしていたのか聞いても答えてくれない。 なんつか、怪しすぎ。 そんなある日。 ある依頼の後、彼は宿で、僕と別の部屋を取った。 「報酬多かったから、贅沢」と笑っていたけれど、僕は納得がいかなかった。 だから、もう一度聞いてみた。いつも何してるんだ、どうして僕を避けるんだ。って。 そんなに問い詰めるつもりじゃなかったのに、戦士がはぐらかすような答えしか 返さないから、僕も引けなくなって、つい問い詰めてしまった。 そうしたら、あいつ、 「子供には関係ない」だって! キレたね。確かに僕は戦士より年下だし、まだ世間的には子供だよ。 でも、自慢じゃないけど僕は、何十年に一度の天才...
  • 5-179-1
    ……なーんて、な! 「好きだ」 言った瞬間、後悔した。 竹村はひどく驚いた、そして少し途方にくれた顔をしていた。 「せ…ん、ぱい」 「お前が、好きだ」 もう一度言いながら、改めて向き直ろうと足を踏みかえる。 途端、竹村の身体がびくんと跳ねた。 あぁ、やっぱり。 そうだよな。同じ男から告白されたって、気持ち悪いだけだよな。 想定どおり、俺は唇の両端を持ち上げた。 「なーんて、な!」 「…え?」 「嘘だよ、う・そ」 言われた意味がうまく理解できないのだろう、竹村は目をしばたたいてこちらを凝視した。 「今日でお前とはお別れだろ。せっかくだから、お前のビビり顔でも土産にしようと思ってさ」 やー面白かった、と背を向ける。 これで大丈夫。竹村だって、こんなこと、じきに忘れるだろう。 後ろ向きのまま、俺はおざなりに手を振った。 「じゃーな。俺、これからクラス...
  • 16-179-1
    昨日 昨日のことを思い出した。 村上と、夕方まで一緒にいた。 駅で別れる時間まで、駅ビルのでっかい本屋で心ゆくまで新刊漁ったり、専門書パラ見したりした。 本屋に入る前に公園で飲んだ暖かい缶コーヒーのおかげで、実にゆったりした気分で過ごした。 公園の桜はすっかり散ってしまっていたが、枝変わりなのか、 一枝だけ、もうまばらな花を残している木があって、 それが風に吹かれて最後の花びらを散らすのを、ベンチで見ながら飲んだ缶コーヒーだった。 村上が、 「まるで祝福の」 言ったと同時に、自分でも無意識の正拳突きが奴の腹に決まったっけ。 「さっき食べた天津飯がぁ……」 悶えた村上。これ見よがしに大盛りなんか食べたからだ、馬鹿。 あいつのアパート近くの中華料理屋は天津飯が美味いんだ。ラーメンは不味いけど。 俺の方は少々食欲不振だったから、嬉しそうに注文する村上にちょっとむ...
  • 10-179-1
    一番嬉しかったこと 「一番嬉しかったこと」 「そう。ただのアンケートなんだけどどーにも、思いつかなくてさ。参考くれ」 「俺の意見が参考になるとは思えねーな」 「それでも! 一般論でいいから何かない?」 「……強いて言えば」 「言えば?」 「お前に蹴り倒されてそのまま踏まれたことだな」 「……は?」 「そうなんだよ。俺はきっと、お前に踏まれる為に生まれたんだと思う」 「え?」 「さあ。踏めよ。ていうか踏んでくださいお願いします!」 「てめぇみてーな変態M男に聞いた俺が馬鹿だった」 「ううううさっきみたいな容赦無いビンタも今みたいなシカトも結構クるけど やっぱり踏まれるのが一番嬉しいよ受けー」 「攻め、お前は死ね。お前を殺して俺は生きる」 「そんなどっかのラノベみたいなこと言わないでもう一回踏んでくれよ 受けーあいらびゅーあいにーじゅうぅー」 ...
  • 9-179
    38歳 飲み会の帰り、家が近いからと言う理由で後輩の沢村とタクシーに同乗して帰った。お互い今夜は 相当飲んでいたから酔い覚ましをしようと、家から少し離れた所でタクシーから降りた。元来人懐 っこい性格の沢村は、酔っているからか更に多弁で、俺達の会話が途切れる事はない。月明かりの 下、大の大人二人でふらふらと、ぶつかったり離れたりしながら歩く。ふと、年齢の話になった。 「俺、もうすぐ30歳っすよぉー」 「ばぁか。だったら俺は40だっつーの」 「あれ?あ、そっか。岩田さん俺の10上ですもんね。38。俺はー、28ぃ!」 「んだよ、年食ってて悪かったなぁ!」 「いやいや、でも俺、岩田さんみたいに年とりたいっす。かっこいいもん」 「…おだてても何もでねぇぞ」 軽口で返しながら、肩に置かれている手と「かっこいい」と言われた事にどきりとする。酒で隠して いた10歳下のこの後...
  • 23-179-1
    勇気を下さい! 「お父さん!勇気くんを僕に下さい!絶対幸せにします、お願いします!」 目の前で必死に頭を下げる青年を、私は複雑な気持ちで見ていた。 それなりに真っ当に育ててきたつもりだった次男が、幼馴染である一也くんにもらわれていく。 二人を興奮気味に見守る妻と、ふすまの向こうにいるであろう長男。 男女男男男。本日はお日柄も良くお父さん息子さんを僕に下さい系土下座。 自分のいる空間の奇妙さに軽いめまいを覚えながら、一緒になって頭を下げている次男を見る。 いつの間にこんなに大きくなったのか。 小さい頃から泣き虫で、長男にけしかけられては色々と危ないことをさせられていた。 妻に似た切れ長の目元は、笑うたび綺麗に下がる。 二人が一緒にいるところは、昔から良く見かけた。 勇気の目尻は幸せそうに下がり、一也くんもまた、彼の家族皆がそうであるように口を大きくあけて笑...
  • 19-179
    弟バカ 先輩の髪を撫でながら首に顔を埋めると、洗髪剤の香りがした。 それがカビ臭い大学の書庫には不釣り合いで、尚のことイケナイ事をしている気持ちになる。 「先輩…このままいいですよね?」 「ば…バカ…お前、ここを何処だと思って…」 机に押し倒された先輩はすっかり真っ赤になっている。2歳も年上なのに、本当に可愛くて仕方が無い 「大丈夫ですよ、こんなところ誰も来ませんから…それより…」 だが、俺の言葉は無機質な電子音で中断された。無粋な音を不審に思う間もなく、先輩が覆いかぶさって いた俺を勢いよく跳ねのける。 「…知樹を保育園に迎えに行く時間だ!!」 どうやら携帯のアラームだったらしい。 俺は突然のお預けに閉口しつつも、半ば諦めを覚えていた。 先輩は年の離れた弟のことを言葉では言い尽くせぬほど大事にしている。 なんでも弟さんが産まれて間も...
  • 6-179-3
    殺して? 「虫だ。ねえ、虫が入り込んでいるよ」 本のページをめくる手を止め、浩太の指差す方を見ると 一寸ほどのコガネムシが、机上に積んだ本の上にとまっていた。 「あぁ、もう暖かくなってきているしね。灯りにひかれて来たんだろうよ」 「こっちに飛んでくるかも、兄さん紙にくるんで殺してしまってよ」 3歳下のこの弟は、虫を過剰に嫌う。 蝶や蝉のぷっくりと膨らんだ腹部や、甲虫のテラテラと光る外骨格が耐えられないのだと。 彼にとって春は一番苦手な季節らしい。 「刺すような虫でもないし、放っておけばいいさ。朝にはどこかへ行ってしまっているよ」 読書を邪魔されたこともあり、少し投げやりに答えてやると、泣きそうな目をして私の持っている本をひったくる。 「やだ!ねえ殺して?眠っている間に行方が分からなくなるなんて気持ちが悪いよ」 自分の小指ほどもない生き物に怯え、当たり前のように...
  • 6-179-2
    殺して? じり、と背後から近づく音がする。 今振り向いたら、お前はどんな表情をするだろうか。 また少しお前との距離が縮まった。 胸が高鳴る、死を意識したからか、お前の吐息を感じるからか。 さあ、その剣を振り下ろせ。 抵抗などしないよ、狙いが逸れては困るだろうから。 目を閉じて誰にも聞こえないように囁くのは、お前の幸せを願う言葉。 じり、と背後から近づく。 お前を殺せば、俺は世界から英雄と称えられるのだろう。 また少しお前との距離を縮める。 胸が高鳴る、この手で命を奪うからか、お前に初めて触れるからか。 ゆっくり剣を構えると、俺はそれを渾身の力を込め振り下ろす。 あっけなく、何の抵抗もなくお前は地に倒れた。 俺は震える手で、魔王と呼ばれた愛しい人の亡骸を抱き寄せた。 殺して?
  • 579-1
    日韓友好 「邪道だ」 俺は激怒した。 必ず、爽やかなはずの朝の食卓に鎮座する、邪悪な赤色の物体を除かなければならぬと決意した。 わりと本気で言っている。冗談を言っているわけではない。 「その赤い悪魔をすぐさま下げろ!不愉快だ!!」 「またそれ?もういいじゃんか。おいしいから食べてみろって。納豆キムチ」 赤い悪魔を食卓に置いた張本人、いわば悪魔を裏から操る大魔王は、実に嫌そうな顔をして言い放つ。 食卓に並ぶのは、まだ米がよそられていない空の茶碗と、白いパックに入ったままの納豆。と、その隣の小鉢にいれられたキムチなる赤い物体。 朝からこの悪魔と大魔王の嫌な顔をいっぺんに見なきゃならないなんて、まったく腹がたつ。 「ふざけるな!納豆はな、ストレートに食うのが一番うまいんだよ。ありのままでうまい納豆になにか別のものを混ぜるなんて邪道でしかない。生卵だ大根おろしだ、そんなチ...
  • 10-459-1
    10-459-1 君が代 体育館で彼は言った。君が代を聞いたことがないのだと。 これからこの地域に越してきて初めて聞くのだと。 唖然とした僕を見つめて広島出身なんだ、と笑った。 その歌は彼の親や彼の教師、彼の故郷によって禁忌とされ、どのような歴史があり、 どんな意味でどんな風に国民が歌ってきたかを知っているからこそ歌えないし 絶対に歌いたくないのだと言った。 僕はそのような環境には育っていないし、ましてやその歌を憎んでもいない。 何故歌うのかもその意味も考えたこともない。 無知な自分を環境の違いだ、と恥じもしなかったが、普段共にふざけあい笑う彼の真剣な眼差しに小さな隔たりを感じた。 そっと隣にいる彼をみるとその顔はぐっと口をつぐみ、まっすぐ前を見据えていた。 騙す人騙される人
  • 9-979-1
    息子の友人×父親 「おとうさんを僕にくださいっ!」 それは我が最愛の息子の、晴れの成人式の日のこと。 本日はお日柄もよく滞りなく式も執り行われ、凛々しい紋付袴姿に惚れ惚れと 息子の健やかなる成長を、天国の妻に報告しようと仏壇に向かって手を合わせた時だった。 先ほど帰宅した息子が、友人と二人で引き篭もった奥座敷から、大きな声が聞こえてきた。 何事かと思い襖の陰から中を窺えば、袴姿の若者が二人向かい合い、 我が息子の親友A君が、畳に頭を擦り付けるようにして土下座をしている。 息子は神妙な顔で腕を組み、そんな彼を見下ろしている。 そして再び、 「おとうさんを僕にください」 今度は噛締めるようにしっかりと、腹の底から響くような頼もしいA君の声。 何か昔のテレビドラマなんかであった結婚を許しをもらいに行くシーンみたいだなと、 少しワクワクしてみたけれど、ちょっ...
  • 9-879-1
    探偵と○○※○○は助手でも刑事でも犯人でも誰でも 「先生! 何を呑気に食事してるんですか!」 「やあ黒木君。ここのモーニングは美味しいね。スクランブルエッグが半熟で絶品だ」 「卵の固さなんかどうでも……」 「一流の美術館の向かいにある喫茶店は、モーニングも一流なのだね」 「そんなものいつだって食べられるでしょう!」 「モーニングは午前中にしか食べられないよ。君はおかしなことを言うねぇ」 「あの泥棒を捕まえてから食べればいいじゃないですか!」 「まあまあ。いいじゃないか、そんなに急がなくても。怪盗君が逃げるわけじゃなし」 「逃げますって! 寧ろモーニングの方が逃げません!」 「予告の時間にはあと二十分ある。あの怪盗君は時刻には正確じゃないか」 「先生は泥棒の言うことを信用するんですか。怪盗を名乗っても所詮は犯罪者ですよ」 「手厳しいね」 「今回は先生宛に挑戦...
  • 9-579-1
    かごめかごめ 「かごのなかのとり、とは腹の中の赤ちゃんのこと。夜明けの晩に滑って流産したって比喩だ。 しかし一説には息子を溺愛する姑に背中を押されたって説もある。いずれにしろ悲しい唄なんだ。軽々しく口にすんな」 まーた始まった。 『日本の民話童謡研究会』なるサークルの一員である彼は、何かにつけ俺の話の腰を折る。 「じゃいいよ。明日ははないちもんめで遊ぶから」 「花一匁とは花=子供、匁=金銭単位。つまり口減らしのための人身売買の唄だ。 あの子が欲しい、この子が欲しいと売られていった子供の気持ちを考えた事あるのか」 「…。」 そんな唄なんかよ。 「あっえっとさ、今日さ、初めて絵本読ませてもらったんだ。純真無垢な瞳に見つめられてドキドキしたよー」 「何読んでやったんだ?」 「ピーターパン!ちょっとトチッちゃったけどどうにかうまく、」 「ピーターパンなんて野蛮な話...
  • 9-279-1
    点と線 「俺は【線】だから」 そう言って誇らしげに奴は笑った。 邪気なんて微塵もないその笑顔に胸の奥がもやもやする。 「…お前、それでいいの?」 俺の言葉にきょとん、と奴は首を傾げる。意図が伝わらないことに少しイライラする。 「だって、吉田のやつ、最近お前放置で吉田と仲良いし…あとお前、酒井のこと、好きだったんだろ?なのに」 「嬉しいよ」 遮った声にも暗い影は見当たらない。 「ただの点同士で繋がりのなかった奴らが、俺っていう線で繋がって仲良くなって幸せになるんだぜ?」 それって凄いことじゃん、なんて、やっぱり笑顔で奴は言う。 …凄い事なわけあるか。 仲の良かった友達が自分経由で知り合った別の友人と自分より仲良くなる。 想い人が自分経由で知り合った別の誰かと付き合い始める。 …それが笑い事なわけがあるか。寂しくないわけがあるか。 そんな俺の苛立ちをよそに...
  • 16-179-2
    昨日 実は僕は超能力者でしてね、妙な時間に俺を呼び出したそいつは素っ頓狂な事を言い出した。 「といっても気づいたのは最近で、どうやらある『1日』を何度もループさせる力があるんみたいなんです」 じゃあお前は『今日』を何度も体験してたりするのか? 「その通り。かれこれ1週間は今日…というか僕にとっては、昨日であり一昨日でもありそのまた前の日でもあるというややこしい状態なんですが、4月20日が続いています」 ずっと同じことをやり続けているのか? 「仮説ですが、僕が今日という日にやり残した事を悔やむ思いから、こんな力が芽生えたのかと思いまして」 起きる時間、通る道、食事のメニュー、話相手などなど、とにかく片っ端から違う『今日』を試してみたのだと言う。 「試行錯誤した結果、やはりあなたしかいない、と思いまして」 確かに俺は明日から結構な期間海外研修に出る身だが、なんか俺に恨み...
  • 9-229-1
    たんぽぽ 春になると幼稚園以来の友人がよく持ち出す話題がある。 幼稚園の頃オレがあいつを苛めて困らせた思い出話だ。 当時あいつはタンポポの綿毛を飛ばすのが大好きで、 綿毛になっているのを見つけては吹き飛ばしまくっていた。 あいつがあんまりタンポポに夢中だったから、まわりの子どもや先生も あいつにタンポポの綿毛をあげたりしていた。 でもオレはそういう奴らの差し出すタンポポの綿毛を横から ぷうぷうと吹き飛ばしまくった。 オレは結構そういう悪戯をする子どもだったけど、あの時は 徹底的に邪魔をした。 そうするうちにタンポポはどれも葉っぱだけになった。 「あれすごく嫌だったなあ」 「…ほい、どうぞ」 友人に綿毛のタンポポを差し出した。 友人は笑みを浮かべて受け取るとふうっと校庭に向かって吹いた。 友人にタンポポの綿毛を差し出すのが昨年以来の二人の遊びになった。...
  • 9-829-1
    ノンケ親友に片思い 兄さん、お元気ですか。そちらは相変わらず暑いですか。 今日は下宿先に春日が、貸していた本を返しにやってきました。 上は白い袖なしのランニングシャツに、紺色のジーンズを履いて、 足元は健康サンダルと、いつも通りの気安さでした。 春日とオレは本の好みが似ているみたいで、 この時の本も気に入ってくれたようでした。 板塀沿いの木戸をくぐったら裏庭があって、犬小屋があって、 縁側が張り出していて、棹に干した洗濯物が揺れていて、 お世話になってる下宿先のご夫妻は旅行に行ってて、だから今日は 日がな一日オレが留守番をしていて、冷蔵庫を開いて麦茶のグラスに 氷を入れて、しま模様のストロー立てて、 風鈴がちんちろ鳴ってる下で、サンダルの足をぶらぶらさせながら、 春日とオレは本の話をしました。今度映画になるのもあって、 それは見てみたいなあと、春日は言っ...
  • 9-729-1
    お墓参りの帰り さっきから小さな足音がついてくる。 振り返るのがこわい。 逃げるのもこわい。 (大丈夫。きっとばーちゃんが守ってくれるから) 最後にばーちゃんから貰ったお守りをギュッと握りしめて、何度も自分に言い聞かせていた。 今日は三年前に死んだばーちゃんの命日だった。 お墓には花とまんじゅうだけで、お線香の煙も寂しかった。 去年は三回忌で、一昨年は一周忌だった。 父ちゃんも母ちゃんも『今年は特別じゃないからさみしいね』って言ってたのに。 でも、ぼくがいるからね。 ばーちゃんの大好きだったビールと、いい匂いのするお線香を、お年玉の残りで買って来たよ。 ばーちゃんに『また来るね』って言って、お寺から出るときに気付いた。 さっきからずっと、誰かが後を歩いてる。 ぼくが早足になると、足音も速くなる。 ゆっくりにすれば、ゆっくりになる。 おばけ...
  • 9-629-1
    年下の先輩 昨今の囲碁ブームに踊らされて、初級者教室の門を華麗にくぐったのが 半年前だ。仕事帰りに一端緩めたネクタイを、鉢巻代わりに、も一度 きりりと締め直すのが毎週水曜夜七時。パチリパチリといい音響かせ、 「音は良くなりましたね」と無理のある褒め方をしてもらったのが、 ついこの間の水曜日。たまにはサロンの方にも顔を出して、へぼ碁の 相手を探そうかなあと同じビルの階段を一つ昇ったところ、人の影、 聞き覚えのある話し声、震える言葉、駆け降りてくる、駆け抜けていく 見慣れた学生服の見知った少年の背に不穏なものを感じ、踊り場を 見上げると、いつも馴染んだ羽織姿の、温かな笑みを崩したことのない 指導の先生のその瞳、縁なし眼鏡の奥の底、青ざめた表情に反射的に きびすを返し、何があったのか、とにかくさっきの高校生の姿を求めて 追っかけっこを始めたのが五秒前、日曜日の午後...
  • 9-529-1
    男ばかり四兄弟の長兄×姉ばかり四姉弟の末弟 「駄目だ」 掴んだ腕は、簡単に振り払われてしまう。 「お前には背負っているものがあるだろう」 それでも僕は追いすがる。 離すものかと、両の手で彼の右腕を掴む。 「背負っているのは総一郎さんだって同じことだ。僕も一緒に」 「それは出来ない」 「どうして」 「お前がいなくなったら、家督は誰が継ぐ」 「元々僕には家を継ぐなんて無理です。知っているでしょう、僕は絵描きになりたいんだ」 「……」 「それに、才覚だったら夏子姉さんの方がずっと」 「篠塚の家に、男子はお前だけだ」 突き放すように言われた言葉に、僕は言い返すことができない。 ――嫌だ。 彼に会えなくなるのは嫌だ。 彼が僕の前から姿を消すなんて、耐えられない。 「黙っていますから」 気がつけば、自分でも惨めだと思うほど、彼に縋り付いて...
  • 17-779-1
    元カノの元彼 母さん、事件です。 僕、22歳にして、初めて告白されました。 「好きなんですよ君のことが」 なんて、頬を染めて言うのは、俺の上司です。 この慣れない生命保険の仕事を、手取り足取り教えてくれた、 2歳年上にも関わらず、ダンディな上司、高倉課長です。 確かに最近、二人で呑みに行くことは多いし、同期のやつらと 比べても、何か上司と距離が近いな、とは思っていたんです。 でもそれは、俺の意思でやっているんだと思っていました。 俺の大好きなタカコちゃん。俺が高校の時に1年つきあって、 他に好きな人ができた、とふられたタカコちゃん。 俺が唯一、誰かを好きになれて、告白してつきあえた人です。 あの時のタカコちゃんが、俺をにふった理由である、「他に好きな人」 が、この上司の高倉課長なんです。 なんたる偶然でしょう。高校時代の先輩が、俺の上司なんで...
  • 17-579-1
    中ボス  腹に熱の塊が食い込んで、俺の身体を容赦なく吹き飛ばした。柔らかい葉を焦がし、華奢な木々をへし折って熱風が後を追ってくる。瞬間目の前が暗転し、気がついたときには濡れた地面の上で、木々の間の狭い空を見上げていた。体中が痺れて感覚が無い。声も出ない。  積もった葉を踏み潰して、人影がこちらに近づいてくる。目がかすんで顔は見えないが、今しがた俺を吹き飛ばした魔術師か、勇者としてその名を轟かせている青年のどちらかだろう。他の者は皆彼等に殺されてしまったのだから。  彼等が何の為にこんな森まで来たのか、予想はつく。恐らく、あちらこちらで暴虐の限りを尽くしている俺の主を殺しに来たのだろう。  胸倉を掴んで引き起こされた。鎧の固い感触。唇が何事か動いているが、言葉が聴こえない。何事か俺に尋ねているようだったが、視界が水の中のようにぼやけていて、何も判らなかった。  殺すか。 ...
  • 4-129-1
    カリスマの恋 カリスマは孤独だった。皆に愛され崇拝されていても、本気で恋する相手は今だかつていない。 実はその事自体は、彼にあまり意識されていないのだが、本気で恋する相手に出会った時、初めて彼は今までの孤独に気付き、耐えられない烈しい想いを抱くようになる。 それは、今まで彼の周りには居なかった、側近でも、平伏す崇拝者達でも、敵でもない相手。 その青年は、彼をカリスマとして意識せず、崇拝するのでも、敵対するのでもなく、同じ人間として自然に対峙する。 そんな青年に初めて出会った時、カリスマは、澄んだ瞳でただ自分を真っ直ぐに見返してくる相手を疑かしく不思議に思い、次には相手を振り向かせようと夢中になる。 そうして本気の恋に堕ち入っていくのだが…。 本気の恋はいけない。 カリスマとは地上の存在であり、且つ、形而上の存在でなくてはならない。 だが、本気の恋は、...
  • 2-129-1
    天才×秀才  いつも、何の気負いもなくあいつは踏み越えていくんだ。  俺の一歩先を軽やかに。  凡人の俺は、そんなあいつの背中ばかり見ている。  悔しいけれど、どこかそんなあいつに憧れていた。  そう、俺はきっと、あいつに、夢を見ているんだ。  同じ学年、良く似た嗜好、共通の友人。重なり合う要因はいくつもある。最初はお互い友人を通してしかその存在を知らなかった。  歩み寄ったのは一体、どちらからだったか。俺にしては、単に目につくライバルへの対抗心だった筈だが。  いわば才能の違い。努力では埋められない格のようなものを見せ付けられて、ややもすれば劣等感に苛まれることが多かった。 「そんな風に自分を過小評価するの、お前の悪い癖だよ」  俺の眉間の皺を伸ばすように、あいつの指先が額を擽る。 「僕なんかより、きっとお前の方が何倍も分かってるんだから」...
  • 7-079-1
    左翼×右翼 「はい、あーん。」 「…ちょっと待て、何だそれは。」 「何ってりんごだよ。おいしいよーフレッシュだよー。」 「どこの世界にりんごを輪切りにするヤツがいるっっ!!」 テーブルの上から新しいりんごをひったくり、台所で実演してみせる。 「りんごって言ったら…こうだろっ、こう!!」 「…おー、ウサギさんだねぇ。」 すると、やつは何か思いついたように立ち上がって、部屋を出たと思ったらすぐ戻ってきた。 「かわいいウサギさんと記念写真撮ろう、笑って笑ってー。はい、ビーフ!」 「なんっだよビーフって!!チーズだろ!そーゆーもんだろ?!貸せっっ」 カメラを奪い取って、やつをりんごの脇に座らせる。 「笑え!…はい、チーズ!」 パシャ 「あ…そういえば、洗濯物乾いたかな。取り込んで畳まなきゃ。」 「…………………おい。」 「なに?」 「な・ん・な・ん・だ、その...
  • 4-579-1
    いやいやながら女装 この場合、学園物は定番過ぎると、時代劇の萌えあらすじを。 ある城に政略結婚をさせられそうな姫がいます。だが、姫には相思相愛の身分違いの相手がいて、ふたりで駆け落ち、でなければ心中しようかと。 そこで、姫の恋人に密かに恋をしている若侍が、恋する相手に悲しい思いをさせたくないがために、自分の想いは胸に秘めたまま、泣く泣く想い人の恋を成就させようと、深夜、ふたりを手助けして逃がしてやります。 当然、翌朝城は大騒ぎ。姫は居ないは、婚姻の日取りまで間がないは、なんせ弱小国ですから、この結婚を破棄して相手の大国に恥をかかすなんて死活問題。 そんな大騒ぎの中、姫を手助けして駆け落ちさせたのが、若侍だとばれて、責任を取って切腹させようかという事に。若侍も元よりそれは覚悟の上、白装束を身に纏い、いざ切腹をしようとした所、若侍の美貌に目を付けた侍従が、別の形で責任...
  • 6-679-1
    4年後にあの場所で また4年後、今度はあのスタジアムで会おうと笑って約束した日。 互いに、約束はいかにも簡単に実行出来る事のように思っていた。 だがそれから3年後俺とあいつの国の間で戦争が起こり、再会を約束したスタジアムも瓦礫と化して野戦病院となった。 当時、みながそう信じていたように「クリスマス迄には帰れる」と言う予想を疑わぬまま俺も戦地に駆り出されたが、予想されたクリスマス迄には戦争は終らず、約束の4年が過ぎても俺は今だ西部戦線の冷たい塹壕の中にいる。 * 「なあ、あの桜の咲く丘覚えてるだろ?またいつかあの場所で会わないか?そう……4年後、4年も経てばこの戦争も終わるだろう。」 「ああ。生きてたらな。」 「そんな事言うな。絶対帰って来いよ。」 「はは。お前もな。生きてるんだぞ。じゃあ、今日から4年後の夕日をあの場所で一緒に見よう。」 そう言ったあいつ...
  • 3-279-1
    決められたら二部落ちケテーイなGK、二人は幼馴染 勝負の世界ってのはとにかく厳しい。 一球入魂の馴れ合いなんて無いストイックな世界。サッカーなんかだと、個人のぶつかり合いが激しくて、そのくせ個人よりチームの事を考えなきゃいけないからそのストイックさはいや増すね。 そんな世界に幼なじみ同志がいたりしたらもう最高。 2人は小さい頃から一緒に、雨の日も風の日もボールを蹴って過ごしたきたわけだ。 夕日を眺めながら憧れの選手、監督、チームの話。最後には決まって、一緒にプロになろうな!と誓い合う。 FWは熱血、GKは反対に思慮深くて落ち着いてるイメージだなぁ。 2人は正反対だからこそ仲良くなって、補い合えて。そんな高校時代だけでも鼻血もの。 でもそんな2人も同じ世界に入ってしまったときに、違うチームに入ってしまったときに運命が分かたれるわけだ! 勝負の世界は厳し...
  • 8-779-1
    熱血受け お母さん、 あの熱血受けはどこへ行ったでしょうね とは、かの有名な偉大なる801詩人の言葉ですが。 最近は巡り会うのは難しいようですね でもそれは、 熱血の前に、はみ出してたり捻れてたりやけにスタイリッシュだったり、なヒーローが増えましたから 皆さんが見落としてるという事も多々あると思いますので 安易に「熱血受けじゃないや」と判断すると損をします。 まず、熱血受けとは何か。 燃えています どこぞのキャッチフレーズのような、 ど力・ゆう情・勝りや 協力する・一致団結することが基本的に好きです 心も体も明日を夢見る瞳も、内に秘めてる場合もありますが、とても熱いです。 それはベッドの中でも同様です。 パートナーと快楽を共にする努力も惜しみません しかし押さえ付けたりすると、戦っている気分になるのか強い抵抗を示す事もあります。 攻める際は怪...
  • 6-979-1
    身代わり 耳慣れない名で呼ばれたそのとき僕は気づいた、色々な事に。 いや、もう本当は随分前から気づいていたんだ彼の矛盾に。 でも僕のような人間でも人並みの愛情を貰えると思って浮かれて、全てをどこかに押し込めてた。 もう限界か、残念だけど、悲しいけれど。 「じゃあ、行ってきます」 玄関先で見送る彼に手を振った。 何も言わずに消えるのは、せめてもの虚勢だ。 声だけで
  • 7-679-1
    お前は幸せになれば良い。 「お前、何やってんの?」 金曜の夜。強か酔って帰ると、アパートの部屋の前に後輩の須藤が立っていた。 飲み終わったコーヒーの缶にタバコを捻り潰し、立ち上がる。 何が面白くないのか、たいそう不機嫌な面構えだ。 「飲んでたんですか」 「来るなんて聞いてなかったからな」 「誰と」 「誰でもいいだろ。それよりお前、こんなとこいていいのか?」 「いけませんか?」 こいつは明日、結婚する。 俺が今夜、飲まずにいられなかった理由である。 「今日中に伝えておきたいことがあって」 ドアの前から須藤をどかし、鍵を探して鞄の中を掻きまわす。 酔いの回った頭も手先も言うことを聞かず、鞄の中身がいくつか零れ落ちた。 スッと目の前に影が落ちたと思うと、須藤が俺のポケットから鍵を取り出していた。 身体を抱え込むように反対側に手を回し...
  • 19-229-1
    華道家とフラワーアレンジメント講師  花を生けていると背後で人の気配がした。斜め後ろの方からじっとこちらを見てくる気配はまず間違いなく彼だろう。いつもの紺の着流しを着て、腕組みをして。妙に熱心に観察してるはずだ。  いつものことだ。邪魔をしないようにとの気遣いだろう声をかけられたことはない。気になったのは、この家に住み始めた頃のこと。今はごく当然のこととして受け止めている。彼いわく、西洋の文化の良いところも学んで取り入れようと思うとか何とか。そのくせ、派手すぎるとばかり言っている。外国の文化にわびさびを求められても。 (ん……?)  背後の、どこか落ち着かないようなそわそわした気配に気づいて、そっと苦笑する。横目に時計を見て、もうこんな時間だったかと少し驚く。 (まあ、もう終わりますし)  もう少しだけ待ってもらうことにして、終わらせる。 (……よし) 「用事があるな...
  • 5-279-1
    ミラーボール 「ちょ、見て! コレ! 正に ミ ラ ー ボ ー ル 級 」 潰れたカラオケの解体作業中、 Aが薄いカーテンに包んだミラーボールを股間に押し当て、誇らしげにみせつけてきた。 「…なんか、逆に気持ち悪い」 「お前わかってねえなあ、この煌く姿、タヌキにも負けないデカさ。常に装着して歩きたい気分だ。  町中の視線が俺に集まるぞ…」 「逆の意味で集まるだろうね」 「まあ、集まりゃ何でもいいわ。いやー、これ貰えねえかなあ」 「…そんなにでかいと、セックスできないよ」 「!!」 「残念」 「やっぱ時代は小さめッスよね」 鬼と桃太郎
  • 3-879-1
    金髪が綺麗な受け  その人は、俺が資格を取ったときに初めて担当を任されたお客様だった。 見習いの頃から何度かシャンプーさせてもらったり、ブローさせてもらった りしてそのお客様の髪に触れたことがあるが、その手触りたるや極上の触り 心地、色もわざわざ染めずとも見事な金色。髪の痛みもほとんど無い。勤務 先が美容院だというのに度々先輩たちの実験台になっているおかげで毛先は 痛んで枝毛だらけ、もともとの色は赤だが何度もカラーリングされたりメッ シュを入れられたりしたから頭の上で泥まみれのチラシ広告が再現されてい るような様相を呈している俺にとっては、なんともうらやましい髪質の持ち 主だった。  もともとは先輩の1人が担当していたお客様。その髪を初めてカットした ときに資格を取ったばかりで慣れていないからすごく緊張してしまい、指定 されたよりも少し、いやかなり短く切って...
  • 4-779-1
    ギタリストとピアニストの恋 流花がきていることは知っていた。 多分ドアの前で聞いてるんだろう。 …入ってくればいいのに。 どうして入ってこないの? ずっと待ってたのに。 愛猫のミケ連れて、君に渡そうと思って花束買ってきて。 …僕も、わかっているのなら入れればいいのに。 でも気にしてしまったら、弾けなくなってしまうから 弾くことに集中して、気づいていないふりをしていた。 …わかってるよ。 君も凛に脅されてるんだろ。 僕だってそうだから。 同じなのに、ねえどうして。 ねえどうして、振り切ってくれないの。 僕もそうだ。 どうして脅しなんかに負けるの? 好きなんだから、言ってしまえばいいのに。 「行かないで」って言って、その胸に飛び込んでいけばいいのに。 ずっと一緒にいたいって言えばいいのに。 昨日…流花に呼ばれる少し前まで...
  • 3-479-1
    紳士な吸血鬼受け 腰を抱いたのはやたらとふらついているからで、それを支えるためなんだから決して他意は ないんだようんうん俺優しい、と心の中で自分に言い聞かせていたはずなのだが、いつの間にか うっかり声に出していたらしく男は弱弱しいながらも丁寧な口調で礼を言う。 「ありがとうございます、最近は血液を摂取するのを忘れていたもので……身体に疲労が」 「もしかして俺、何か今喋ってた……?」 「ええ、はい?他意がどうだとか……」 やべーやべーー何口に出してんだ俺、もっと落ち着け! 「昔は吸血鬼同士の遊びで斬り付けあうということをしていたようですが、もしかしてそれでしょうか?」 嬉しいのですが、今は残念ながら力がほとんどないので斬り付けられたら本当に死んでしまいますと 申し訳なさそうに謝罪する男を見て、盛大に顔が引き攣った。悪ふざけで斬り付け……?死ぬ。 間違いなく俺がや...
  • 6-279-1
    教師二人 さあ帰るかと、車のキーを取り出しながら中庭を横切っていると、 どこからともく「花村せんせー」と名前を呼ばれた。 立ち止まって辺りを見回すが、薄暗い中には誰の姿も見えない。 「ここですここー。上です」 見上げると、二階の理科準備室の窓から同僚が手を振っていた。 「鳥井先生。まだ残ってらっしゃったんですか?」 若干声を張り上げると、「それがですねぇ」と呑気な声が返ってきた。 「ちょっと今、大変なことに」 「は?」 「花村先生、もう帰るんですよね?」 「え。あ、はい」 「もし良ければ、ちょっと時間とってもらえないですか」 「え?」 「お願いします。このとおり。俺を助けると思って」 二階から拝まれては「いえ、お先に失礼します」とも言えない。 仕方なく、キーをポケットに仕舞って第二校舎へ入って二階へ上がる。 理科準備室のドアを開けると、そこは真...
  • 1-779-1
    卵とさいばしとフライパンの関係について 今日はぽかぽか いい天気になりそうです。 さぁ お弁当の卵焼きを作りましょう。 鈍器で強姦された卵さんをなぐさめるのは もっぱら菜箸さんの役目です。 だけど 血やボロボロになった肌が嫌いな 菜箸さんは ときどき卵さんを責めます。 言われてばかりで 何も言い返せない卵さん。 そんな時 「まぁイイじゃないの」と微笑んで 二人をなだめるのが 2人よりも年上のフライパンさんです。 サラダ油でお洒落をして フライパンさんに暖めてもらう卵さんを 菜箸さんはカッコよく 更にカッコよくします。 そうこうしている内に 現れたのは 四角くていい匂いのする美男子。 傷ついた卵さんからは 想像も出来ない姿になりました。 卵焼きの完成です。 鬼畜になりきれない受けにメロメロヘタレ攻め×計算小悪魔
  • 5-779-1
    見た目怖面中身わんこ×見た目クール中身天然小悪魔 うわ、お前、何でいるんだ。え? コレ…いや、話せば長くなるんだが…。 最初はな、冗談からはじまったはずなんだよ。 確か、アレは、新入社員同士で集まって呑んだ時だった。 その時の俺は、初めての仕事で大失敗した直後だったし、初めての一人暮らしで、 ろくなもの食べてなかったし、なんだかもう、何もかもが嫌になって、会社辞めようか どうしようか、とか、グチグチ言ってたんだよ。今では想像つかないだろ。あの頃は、 俺も若かったんだよな。多分、泣いてたと思う。だってな、他のヤツら、誰も近づいて 来なかったんだもん。そりゃなぁ、こんなゴツい顔の俺が泣いてたら、誰も近づいて 来ないよな。そうしたら、隣に座ったこいつが慰めてくれたのよ。 しかも、その慰め方が、男らしくてさ。「俺の胸か背中を貸してやる」だってさ。 だから、その時...
  • 5-379-1
    眼鏡と眼鏡 「眼鏡を外すと美人」だったなら、先輩は僕を見てくれただろうか。 よれよれのシャツ。くたびれたジーパン。寝癖だらけの髪。剃り残しの目立つ髭。そして、時代遅れの瓶底眼鏡。 自分に無頓着で野暮ったい先輩は、同じくらい他人にも無関心だ。 そのかわり、手掛けた物にはとことん執着する。あまりのしつこさから、一度全く同じ実験値をたたき出したという噂まで まことしやかに流れていて、ゼミじゃ上からも下からも変人扱いだ。 その変人の先輩に、僕は恋をしている。 いつからとか、どうしてとか、いくら考えてもいまだに分からない。 ただ、ぼさぼさの頭や薬品で荒れた指が僕はとても好きで、いつかレンズの奥の瞳を見てみたいと、 いつもそんな事を考えてしまう。 今日もまた考え事をしていたせいで、いつの間にか手元が疎かになっていたらしい。 「どうした小野ー。手が止まってるぞ」 ...
  • 24-79-1
    皆の人気者×一匹狼 どんなに煩い人ごみの中でも、お前のいる場所はすぐわかる。 お前が話すと、空気がやわらぐ。 お前が歩くと、空気が流れる。 お前が笑うと、空気が光る。 …下駄箱の向こうから、がやがやと声が聞こえる。 帰りにどこそこへ寄ろうだの、なんやかやを食べようだの。 全くお前は見かけるたびに誰かに何か誘われている。 「あー悪りい、今日用事あるから!」 つれないお前の返事の所為で、残念な空気がその場を覆うのが手に取るようにわかる。 罪な野郎だ。 同情の視線を横に流すと、大股で近づいてくるその影ひとつ。 馬鹿馬鹿しくも、胸がどきんと打った。 「よっ!おひとりさま?」 「……。」 「じゃあ、いっしょ帰ろ!」 「…用事は?」 「え?」 「用事があるって、今。」 「あーいや、てかあれ、お前と帰るから。」 「は」 「ね?」 「ね、って」...
  • 6-479-1
    雨に濡れて 「イヤだ、イヤだ……諦められない」  人気のない屋上には、梅雨の走りの雨が降りこめていた。跳ね返ったしぶきが煙のように視界を曇らせる。  後ろから追いついて抱きかかえるようにした風間の腕を振り払おうと、駄々をこねる子どものような仕種で朝比奈がもがく。 「絶対に行かせない」  風間はあらんかぎりの力をこめて、柵のほうへにじり寄ろうとする朝比奈の動きを封じんとする。 「どうして!!」  濡れた黒髪を振り乱して朝比奈が絶叫した。 「あんたに関係ないだろ!? 離せ、離してよ!」 「嫌だ、離さない」  見舞いに来た風間が居合わせたことは幸運だった。朝比奈は、医師からなんらかの宣告を受けたらしく完全に自暴自棄になっている。 「あんたに何が分かる!」  暴れる朝比奈の指が風間の頬をかすって、爪が皮膚を裂く。鋭い痛み。手の甲でこすると血が滲んでいた。  舌打ち...
  • 2-379-1
    右手×左手  何の変哲もない、いつもの帰り道。  そろそろ梅雨時も近くなったのかよく雨が降る。日が延びて暖かくなってはきたけれど まだまだ長袖が手放せなくもあり。  そんな中途半端な陽気の中で、俺達はのんびりとした調子で代わり映えのない風景の 中を歩いている。  滅多に車の通らない路地裏は、だからこそ路面の状態が悪いのか、あちらこちらに大き な水たまりが出来ていた。たまに道一杯に広がる池みたいな場所もあり、それを蹴散らし て歩く俺を朝比奈は子供みたいだと笑う。 「うるせ、引っ掛けるぞ」 「あはは、やめてよ。クリーニング代俺が出すんだから」 「げっ。お前んち結構キビシーのな……」  この道は駅までのショートカットで、民家が連なるだけの人通りも乏しい場所だ。普段 も道の真ん中を歩いてても問題ないくらいに人影がない。だから俺は油断していたのだと 思う。 ...
  • 4-479-1
    刑事 ここ二ヶ月、寝ても覚めても頭の中は奴のことばかりだ。 今や国中を震撼させてる、凶悪連続殺人犯。似たタイプの若い女ばかり七人殺ってる。 今週に入ってからまた一人。どれも美人だったなぁ。 …畜生、イイ女ってのは人類の貴重な財産なんだぞ。そう無闇に殺されてたまるか。 夢見は最悪だし、止めたはずの煙草にもつい手が出る。本数も順調に増量中だ。 明け方、仮眠室から這いずるようにして職場に戻る。 ブラインドから差し込む朝の光を受けて、銅貨のように輝く短い赤毛が目をふと惹いた。 山積みにされたファイルの谷間からちらりと覗くツンツン頭。 新米警部補殿は小難しい顔をして、パソコンの前でブツブツと独り言。ハッキリ言って薄気味悪い。 「オイ、朝っぱらから辛気臭い顔すんな。すこし力抜け。」 ガタガタと椅子の背を揺さぶると、驚いたように肩が大きく跳ねた。 「ああ…警部。ずい...
  • 6-779-1
    コーヒー牛乳ふいた とりあえず放課後、俺たちは図書館に行ってみた。 「アナルセックスのやり方」を調べるためだ。 調べ物といえば図書館、俺の中でごく当たり前の図式だった。 結構広い私立図書館は3階まであって、フロアごとにジャンル分けされてるわけだが、 俺は入り口の館内地図の前でフリーズ。 ジャンルですか…分類ですか…どんな本をお前は探してるんだよと、早くも関門登場ですね。 そもそも、どんな本に記載されているものなのか? ええっと…性の指南書とかそんな感じか?正しい性生活?ん?正しくないかも? あれか、子供の作り方が載ってそうな…いや、子供はできないから違う! なんて、グルグル考えているうちに、あああああああ… 俺の後ろにおとなしく控えているかと思ってた俺が間違っていました。 「すいませーん」 パタパタと小走りで、貸し出し口のおばさんに向かっていくあいつ。 ち...
  • 8-679-1
    遠足帰り オレンジ色の焚き火の上で、コトコトと湯が煮えている。使っているの は道で拾った鉄鍋だが、随分と役に立つものだ。くべた枯れ木がパチリ と弾けて、火の粉を散らす。遠くではフクロウの声。頭上でムササビの 滑空。地を這うような、野良犬の遠吠え。炎から少し離れた所では双子 の姉妹、ブルーとホワイトが身を寄せ合い、すやすやと寝息を立てて いる。それに重なるように聞こえるのは、朽木の欠けらを踏みながら、 わざと気配を絶たずに近づいてくる足音だ。じっと見守るうちに、夜闇 の中にゆらりと影がうごめき、一人の少年が姿を現わす。漆黒の髪、 普段通りの仏頂面に何故か無性に安堵を覚えつつ、白湯を汲んだ カップを差し出した。 「お帰り、ブラック。見張り番、ごくろうさん」 「お帰りじゃねえよ。寝てなかったのか、レッド。見張りを交代でやる 意味が無いだろうが」 「寝つけなかった...
  • 1-379-1
    リモコン×テレビ 「ほうらこんなくだらない番組を映しやがって。お前って本当、好き者だな」 「や、やめろぉっ!」 「こんなに大きな音を立てて、もうちょっと大人しくできないのか?」 「お、お前がやらせてるんだろ…」 デジタル時計×アナログ時計
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