*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「28-549-1」で検索した結果

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  • 28-549-01
    優等生弟×空回り兄 「一彦、悪いんだけど、今日は嗣史の保育園の送り迎えお願い出来ないかしら?」 いつもの起床時間よりも早めに体を揺すられ、母さんに起こされたのは、体調が悪いという母さんからピンチヒッターを頼まれたからだった。 嗣史は、母さんと再婚した義父との間に出来た弟で、高校生の俺とは10歳以上離れている。嗣史の保育園は、俺の通う高校を少し過ぎたところにあるため、普段はパート前に母が保育園へと送る。義父は刑事で、事件があれば昼夜関係なく出ていってしまうので、基本的に母さんがどうしても迎えに間に合わない日などは、俺が迎えに行くこともあった。しかし、朝を頼まれるのは初めてだった。 「じゃあ、母さんの自転車借りるね。嗣の迎えも俺が行くから、今日はゆっくり休んで。パートも休ませてもらいなよ?」 今日は、母の代わりに兄として俺がしっかりしなければ! ...
  • 28-549
    優等生弟×空回り兄 「制服のシャツ出せ、俺ワイシャツ洗うから一緒に洗濯してやる」 「は?もう自分でやったし」 「そ、そうか…」 「腹減ったよな? 晩飯何がいい?」 「カレー作っといた」 「そ、そうか…」 「勉強どうだ? 受験も近いし、 久振りにみてやろうか?」 「いらね。社会人4年目のやつが受験勉強教えられるかよ、忘れてんだろ」 「そ、そうかもな…」 「模試こないだA判定だった」 「そうか。夏までテニス部部長に生徒会長やってたのに、ちゃんと勉強してて偉いな」 「別に、ふつー」 「そ、そうか………」 しょんぼりするなよ。 勉強も部活も全部完璧にして、俺のことでお前を煩わせるようなマネはしない。 それが、学生の俺が大人のおまえのためにしてやれる精一杯のことだからやってんだ。 普段社畜で全然家にいないんだから、たまの定時上がりの日くらい、弟の...
  • 6-549-1
    君の背中で眠らせて 新幹線の発車時刻まで、あと1分。 ホームは、長い階段の上にあり、歩いていたのでは間に合わない。 あれに乗り遅れたら、次の仕事に遅刻してしまう。 前の会議が、想像以上に長引いたりなんかしたからだ。 そんな時に限って、すれ違ったサラリーマンに、階段で足をひっかけられた。 とっさに左足をついたら、階段を踏み外してしまった。足首に激痛が走る。 無様に転んで、階段の角に膝をついた。 あまりの痛さで声が出そうになったけれど、2、3歩先を走っていた尾上が振り返ったので、 耐えてすぐに起き上がる。部下の前で、無様な姿は見せられない。 「主任、どうかしました?」 「大丈夫」 手短に言って、俺は走り出そうとした。しかし、左足がそれを許してくれなかった。 「大丈夫ちゃうやないですか」 尾上が、腕をつかんだ。振り払いたいが、今はそれどころじゃない。新幹線に乗り...
  • 23-549-1
    天秤座×水瓶座 「『獅子座のあなたは、頼られるのが大好きな親分肌!』」 「何そのファンシーな本」 「妹の本棚にあったやつ。『でも時にそれが見栄になっちゃうことも。力が足りないときは、認める勇気もたいせつ!』」 「わははいうこと割と容赦ないな。獅子座って誰かいるっけ?」 「あいつあいつ、児島」 「あー。あー、あー。」 「うん」 「いや児島基本的にはいい奴なんだよ?」 「うん、まあ、うん。 君何座だっけ」 「俺? 天秤座。なんてなんて」 「てんびん……『天秤座のあなたは、理知的でバランス感覚に優れた人!』」 「おおー」 「まんざらでもない顔」 「なんだよいいじゃん」 「『でも、優柔不断で八方美人になりがちなことも。好きな子には、気持ちをはっきり言わなきゃ伝わらないゾ!』」 「怒られた」 「『気持ちをはっきり言わなきゃ伝わらないゾ!』」 「なぜ2回」 ...
  • 8-549
    完全陥落 絶対ありえないって思ってた。自分に自身があった。 だって、あいつは男で、僕だって男だ。 骨ばった節の高い指で頬を撫でられたって、柔らかくもない胸に抱きしめられたって、キモイだけ。 そう思ってたんだ。 なのに、あいつの低く押し殺したような呼気が首筋をくすぐると、背中をゾワリと何かが這い上がる。 くすくすと悪戯な笑いを含んだ声が、湿度を伴って僕の名前を呼べば、 それだけで、ひざからふわりと甘く力が抜けていく。 立ってるだけで、笑う気配だけで、官能に直結するなんてありえない。 女じゃないのに、僕の脳髄を焦がすのは、すべてあいつの男臭い仕草や表情だなんて。 『好きだ』って言われて、『ふざけろ、バカ』って鼻で哂って返したのは、まだたった一月前の事なのに。 まるで初心な女の子のように、あっさりと落とされている。 一月の攻防は、あっけ...
  • 18-549
    恋人は変人 「お前って奇人変人って言葉が足生やして歩いてるって感じだよな」 「失敬な」 廃材組み合わせてよく分かんねえ装置作ってるやつがよく言うよ。 何作ってんのって聞いたら「巨大割り箸鉄砲」だってさ。何それ。 休日の午後に廃材を真剣に組み立てて割り箸鉄砲作ってる大の大人って。 「んとに…変人め」 「俺を変人と呼ぶならあなただって変人ですよ」 「俺は普通だよ」 「変、というのは他と違うということですよね」 廃材鉄砲からようやく上がった目線。 真っ直ぐな目に少しだけどきりとした。 そのあと柔らかく微笑まれてさらにどきどきしてしまう。 「俺を変人と呼ぶなら、そんな変人を好きだと言ったのはあなたぐらいです」 好きですよ、という言葉と共にその笑顔が確信犯的なものに変わっていくのを 俺は何も言えずに見ていることしか出来なかった。 ...
  • 6-549-2
    君の背中で眠らせて 意外にガッシリとした背中。 最近ジム通ってるんだって?周りから聞いたよ。 少し痩せたと思っていたのは絞ったせいなんだ・・・ そんなことすら知らなくて・・・ごめん。 ここのところの俺たちは、なんだか会話がないね。 俺もお前も元々おしゃべりじゃなかったもんね。 それでも・・・それでもどこかで繋がってると・・・ だから眠るとき、お前の背中におでこを寄せる俺に何も言わないでいるんだよね。 お前の心音が聞こえて俺は目を瞑る。 やがて俺の心音も重なって・・・ こうしてひとつに繋がっていたいよ・・・ ここのところ会話もない俺たちだけど、 今はまだその背中で眠らせてほしい・・・ サディズム
  • 9-549
    着物の男と女装の男 「ね、見て見て~」 薄暗い照明の中、かけられた声のまま視線を上げると振り袖の着物を着た……心は淑女、が嬉しそうにくるりと回った。 「まぁ~ゆきちゃんってばどうしたの、それ?」 凍り付いたようにその姿を見て動けなくなった自分の変わりに、女言葉が似合わない低い声が尋ねた。 「ふふふ、今日は成人式だからちょっと気合いいれちゃった」 「あんたなんかとっくの昔に成人終えちゃってるでしょ!そのあっつい化粧じゃどう見ても20歳には見えないわよ」 「ひど~い。ね、佐藤さんあたしまだまだいけるわよねぇ?」 隆々とした肩を見せるタイプのドレスや、筋肉満載のおみ足を見せつけるようなスリットの入ったチャイナドレスに身を包んだ、 オカマバー『さくら』の面々に押しつぶされるように座っている自分にゆきちゃん、と呼ばれた彼女(店ではそう言わないとえらい目に遭わされる)が科を作...
  • 19-549
    貴方が優しいから僕は寂しい あの人はいつもめちゃくちゃ優しい。 俺だけに、じゃなくて、誰にでもみんなに。 でもそれってどう考えても長所だし、「俺だけに優しくしてくれなきゃやだ」とか言うのはサムすぎるし、第一俺あいつにそんなこと言える立場にいないし。 なんてったって先生と生徒ですからね。 担任の生徒ですらない俺のことなんか、そりゃ優しくあしらっちゃいますよね。 わかるよわかるよー、うん。……うん。 「先生」 小さく深呼吸してからガラリと社会科資料室のドアを開ける。 中を覗き込むと、先生が机についていた。 チラっともこっちを見てくれないのは、来訪者がどうせ今回も俺であることなんかお見通しだからだ。 さらに言うなら、そんな俺に全然まったく興味がないからだ。 「いますかー?」 「ハイハイいませんよ」 「いやいやいや」 「いやいやいやいや...
  • 7-549
    美術室×音楽室 「君には自由になる腕も脚もない。私の鈍重なからだも、この場所から  動くことを是としない。だのに何故だ。何故、君はその白皙の肌を削ってまで、  私の元を訪れてくれるのだ」 「会いたいからだよ。愛しのフリューゲル、この想いを理屈などで測ろうとしないでくれ。  君の歌が、フリューゲル(翼)を私に授けてくれたのだから。  さぁ、今宵も聞かせてくれ。君の声を」 「誰だ!誰か、教室に残っているのか!」  突然、誰何の声が割れ鐘のように響き渡った。それは深夜の音楽室を 大きく震わせるに十分な声量だった。ご、と何かの揺れる音がして、 続いて硬いものが地面にぶつかり、砕け散る音がした。  先ほど怒鳴り声を上げた事務員は、不審な物音の続く音楽室に踏み入ると、 まず電灯のスイッチをパチリと押し、教壇の脇に置かれているグランドピアノを、 見た。それから...
  • 6-549
    君の背中で眠らせて 「こら、重いよ」 笑い混じりに言われても離れる気になんてなれない。広いその背にもたれかかったまま、こんなの全然余裕でしょと体重を預ける。 それでも怒るでも体勢を崩すでもない彼はまだテレビの虜で、きっと試合が終わるまで変わらないに違いない。 相手にされていないのは、わかる。自分なんて彼よりもずっと子供なのだ。 今だって漫画に夢中になっている間に彼を野球なんぞに奪われてしまった。 とりあえず無防備なその背は取り返したが、いかんせん時計はもう就寝時間を示している。 ここだけは譲るまい。決意も新たに膝を抱えて目を閉じた。 君の背中で眠らせて
  • 4-549
    ハードボイルド 「死ぬんだね」  彼は何も言わなかった。運転席の窓枠で煙草の灰を落とした。白い煙が夜空に広がって、消えた。 「嫌だよ」  視界が滲んだ。助手席の足元に散乱した雑誌や、空いた缶詰なんかが、滲んで何がなんだかわからなくなった。 太腿に落ちたなみだがあたたかくて、止めようとする気も起きず、そのまま溢し続けた。  もうどうしようもないのだ。この人は一人で行くのだ。最後まで。  この人と本当の意味で交わることは、永遠にないのだ。  彼は最後に一つ息を吐いた。短くなった煙草をそっと放った。  突然引き寄せられ、唇が重ねられた。乾いた、冷たい唇だった。煙草の苦味が広がった。  骨張った大きな手が額を撫ぜた。信じられないぐらい優しい仕草だった。 「じゃあな、甘ちゃん」  彼は足元の拳銃を掴み取り、ドアを開けて外に出た。広い背中が、暗い道の向こうに消えていっ...
  • 1-549
    顔も性格も悪い良いとこなし×美少(青)年 顔も性格も悪い良し無しっていえば、必然的に背景キャラになる訳ですよ。 女にも男にもモテない、そんな自分にコンプレックスを抱いてる攻め。 そんな攻めの憧れは、いつも人に囲まれて爽やかな笑顔を振りまく受け。 攻めには手の届かない存在である受けにとって、攻めの存在はあまり重要では無い。 ところがある日、美少年であるからこそ負わされる、 特定の人々の嫉妬から始まった陰湿ないじめ。 今まで蝶よ花よとかまってくれていた人々も、次第に離れていく。 そんな状況に頭を抱えていた受けに、攻めは積極的に近づくようになる。 初めは「何でこんな奴と僕が一緒にいなくちゃいけないんだ」 とプライドを崩せなかった受けだが、 慰めてくれたり、できるだけ楽しい話題で話しかけてくれる攻めに対して嬉しさが湧く。 でもその一方で受けに嫉妬する者たちから、攻めも...
  • 2-549
    首席×教師 連戦連勝、常に成績トップの俺は、当然教授たちの覚えもいい。 しかしあのぼんやり教師には関係ないようで、顔を覚えてもらうだけで随分とかかった。 自分でも何をそんなに頑張ってるんだかよく分からなかったが、 何事にも手抜きを許せない性分の所為なんだろうと思った。その頃は。 「ああ、君か。よく来たね。」 お世辞にも片付いているとは言い難い研究室を訪ねると、 そこらじゅうをもそもそとひっかき回して道具を揃え、不慣れな手つきでお茶を淹れてくれた。 深緑の、あり得ない濃度のお茶を二人で啜りながら、論文のテーマについて話しはじめる。 (近いなぁ…。) 向かいの椅子から身を乗り出すように喋っている(彼の癖なのだ)ので、距離がとても近い。 おかげで、話の内容がものの見事に脳の表面を上滑りしていった。 視線が無意識にくちびるの輪郭をたどる。十...
  • 5-549
    受けをマフラーぐるぐる巻きに 「……寒い」 「大丈夫か? ―これ、巻いてやるよ」 「あ、ありがと……」 「ちょっと待ってろ、えーと、まずこうだろ? こうして……」 「適当でいいよ、適当で」 「いや、そうはいかないって。お前、明日……好きな奴に告白しに行くんだろ?  風邪とか引いたら大変じゃんか」 「…………………まぁな」 「―だから、マフラーくらいしてろよ。俺が巻いてやっから待ってろって。  こうだろ? ちょっと隙間があくな。こうか?」 「ちょ、息がくすぐったい。―顔近づけすぎ」 「ご、ごめん。でも何だかうまくいかなくてさ」 「別に焦らなくてもいいよ。その、ゆっくり巻けよ」 「おう、完璧に巻けるように頑張るぜ。―ぐるぐる巻きにしてやっからな」 「それちょっと苦しそうだな」 「そうか?」 「そうだよ。―あのさーところでさー」 「お、うまく出来た。こ...
  • 3-549
    懐中時計  まるで時に囚われているみたいだ。  俺が、初めて『その人』に出会ったときの感想が、それだった。  背はそれなりにあるくせに、華奢な体格。外界と自分を隔離 するかのような眼鏡。きっちり締められたネクタイが、窮屈そうに 見えない所が、逆にこちらを心苦しくさせる。  彼は何をする時でも、勿論仕事をしている時でも、その意識を 自分のポケットの中に注いでいる。  そのポケットの中には、小さくて古風な、懐中時計が入っている。  外装はそれほど傷ついていないのに、動かない時計。  ずっと2時43分で止まったままの時計。  それが『かつての恋人』の形見だと聞いたのは何時だったか。  その『恋人』が、女性ではないと知ったのは……  くすんだ銀色の懐中時計、その蓋には蔦の浮き彫りが施されている。  俺はその蔦が嫌いだ。  まるで彼を縛る過去そ...
  • 8-949-1
    ジャイアニズム 「お前のものは俺のもの」 とか言って上に乗っかって咥え込んでくれるのは大変うれしいんですがね? 俺もお前のを触ったりとか、イタズラしたいわけですよ。 なのになんで 「俺のものは俺のもの」 って怒るわけですか?とろけそうな可愛い顔してるくせに。 自分で弄ってないで俺にも触らせろ。 抗議の言葉に返ってきたのは、キッツイ締め付け。 「だ~め。今日は俺が王サマなの」なんて、すっげ色っぽい目をして言うな。 俺様の超我がままジャイアンに、うまうまと翻弄させてる自分が情けない。 ジャイアニズム
  • 8-529-1
    平民低身長×貴族高身長(のほほん) 「まったく、こんなご立派な靴で山道を歩けばこうなるってわかりそうなもんだけどな」 盛大にため息をついてみせながら、男は青年の白く伸びやかな足を手に取って眺めた。 くすみすら見当たらない肌理細やかな美しい肌に、泥がこびりつき、爪先は皮が剥け血がにじむ。 桶に水を汲んで洗い流してやると「ひゃっ」っと青年が声を上げた。 「冷たかったか?我慢しろ、こんな山小屋じゃ湯なんざ用意してやれねぇ」 「違う、傷にしみただけ」 じゃぁ尚更我慢しろと、取れかかってぶらぶらしている小指の皮膚をちょいと千切ると、青年は息を呑んで恨みがましい目を向けたが、黙って為されるが侭でいた。 泥のついた手で拭ったのだろう頬の跡が、まだ大人になりきれない幼い表情を引き出している。身体ばかりが先に成長して、今ではもう男を見下ろすほどの背丈になっても、まだまだ考えなしの子供な...
  • 8-749-1
    着物 小袖の手をご存知でありましょうか。 江戸は寛政年間、とある古刹へ一枚の小袖が納められました。 小袖とは文字通り、袖の小さく活動的に動けるような、公家から武家、庶民にまで広く着られた衣装のことです。 名の売れた遊女の亡き後、苦界をさすろうたその身の供養のためにと祀った衣に香を手向け、日々菩提を弔っていたところ、夜な夜なちりん、ちりんと鈴を鳴らす音がありました。 怪しみてそっと覗いてみたところ、衣紋掛けの小袖からぺらりとした紙のような白い手がすうっと伸び、壇の鈴棒をつまんでは、そうっと鈴を打つのです。 思えば人の、女の執着とは、儚くした後もその衣服に留まり、過ぎた浮き世を偲んでは、帰らぬ日々に、消えぬ未練に亡き身を妬くものなのでありましょうか。 ね、聞いてる?ちゃんと聞いてる? 「いや、そんなポエムは今はいいですから、背中!背中、のいて! 借り物なんです、皺...
  • 8-569-1
    懐いてる×懐かれてる 幽霊ネタ注意 チリ、チリと、夜風に吹かれて風鈴が鳴いている。ヒビでも入っているのか安っぽい無機質な音しか出さないが、ここのところ、そんなものは問題にならないほどの音害に悩まされる日々が続く。日が暮れるまでは蝉の放吟、月が出たなら蛙の合唱。そうして深夜ともなれば、俺の部屋を支配するのは幽霊のラップ音だ。 「騒いでも昼間は誰もいないからつまんなくってさあ。でも夜はあんたが帰ってくるもんね、頑張っちゃうよ、オレシャウトしちゃうよー」 鬱陶しい事この上ない。 背後からべたりと張りついてくる半透明の男を剥がそうという努力は一週間でやめた。俺の背中を特等席と決めたらしく、てこでも離れないのだ。自分の名前すら忘れてしまったというこのおんぶおばけ、俺が家にいる間は逞しくも色のない腕を肩口に回し、首筋にむしゃぶりついてはバキバキと怪音を立てる。郊外の借家で人家...
  • 17-549
    恋する眼鏡 「おはよう」 「お、園村。おはよう。……あれ、お前、眼鏡は?」 「ああ、俺、今日からコンタクトにしたんだ」 「えええー!?な、なんで?」 「なんでって、別に」 「別にって…。マジで?お前マジでもう眼鏡かけねーの?」 「そのつもりだけど…っていうか、杉野、お前のそのリアクションはなんだ? お前、俺に眼鏡かけて欲しいの?」 「………だって、似合ってたじゃん」 「似合ってた?俺?眼鏡が?」 「うん、園村、眼鏡がすごく似合ってた」 「…………いか」 「え?」 「杉野、この前、俺の眼鏡怖いっていったじゃないか」 「え、そんなこといってねーよ!」 「いった。悪の組織の幹部みたいで怖いって」 「え、それ違う!悪の組織の幹部みたいでカッコイイっていったの!」 「………悪の組織の幹部ってカッコイイのか?」 「カッコイイじゃん、眼鏡幹部。知的でクールで...
  • 11-549
    秘密の関係 この関係は、どうしたって秘密にしなければならないのだ。 だって、ありえないだろう! まさか自分の教え子と恋人同士になってしまっただなんて。 「先生!」 昼休みの廊下で俺を見つけた庄崎が駆け寄ってきた。 …また背が伸びたんじゃないか、こいつ。 着ている学生服の肩は少し窮屈そうで、目線は俺より頭半分ほど上だ。 その制服の下の筋肉が、実に機能的かつ高性能に完成されてきている事を 俺は知ってしまっている。そしてその肌の感触ですら。 「先生、今度の記録会見に来てよ!  俺最近すげー調子よくてさ、今のタイムなら多分インターハイ行けると思う!」 よし、ここまでは普通だ。 普通の、担任に部活の様子を話している生徒だ。 記録会が行われる競技場も、ここからたった2駅の場所だから 見に来いというのも不自然ではないはずだ。 「まあ、時間があったらな」 「え...
  • 13-549
    お前呼び×あんた呼び 「またお前か・・・・・・」 「久しぶり。元気だった?」 「万引きなんか繰り返して・・・・・・しかもこんなもの」 「ブラックサソダ―?うまいよ。食ったことねーの?」 「んなこた知ってるよ!わりと好きだよ!」 「お巡りでも、甘いもん食べるんだな」 「どんな偏見だ・・・・・・じゃなくて!これ30円かそころだろ。この間はアメだったし」 「変な味、いろいろ出てておもろいよな」 「そういうことじゃなくてだな。 学生っつたってお前、買えるだろこれぐらい。しかもわざわざ、見つかるようにレジの前で」 「それがさ、前に見つからなかった事があって。しょうがないから、翌日に返しに行ったよ」 「そりゃよかった。じゃなくて!なんでこんなことするのかって聞いてるんだよ!」 「本当にわかんないの? ――あんたに、会いたかったからだよ・・・・・・」 ヤバイ・・...
  • 23-549
    天秤座×水瓶座 「君って本当に鏡見てばっか」 「俺は美しいから見てて飽きない」 「それは僕も認めるよ?  だけどさ、限度ってもんがある。  そんなんだから恋人出来ないんだよ」  「そういうお前は彼女居んのかよ」 「……居ない、けど」 「じゃあ俺が立候補しても良いわけだ」 「えっ?」 「お前の面食いは有名なんだよ。  んで、お前が時々ずーっとこっち見てるのも知ってる。  付き合っちゃえば良いじゃん、俺ら」 「な、何を……」 「こんなに美しい俺を独り占め出来るんだぜ?  乗らない手は無いだろ」 「……美しい、美しいって」 「あ?」 「……僕はずっと君のこと『可愛い』って思ってたんだ」 僕=天秤座 俺=水瓶座 天秤座×水瓶座
  • 24-549
    行き過ぎた友情 俺と山田は親友で、赤ん坊の頃からずっと一緒だった。 家が向かい同士で、小学生の頃にゲームの通信プレイがお互いの部屋にいても繋がる事を発見してからは、夜に窓を開けて大声で話しながら徹夜でゲームした。(声が大き過ぎてお互いのかーちゃんに怒られた) 出席番号が男子の最初と最後で、クラスが一緒になると良い具合に隣の席になった。(授業中に話し過ぎて先生によく怒られた) いつも一緒だった。ある日山田が「一緒にいすぎてお前に秘密なんか一つも無い。何でも話せるしな!」と言われた時はすごく嬉しかった。 けどな山田、俺にはお前に秘密がある。話せなかったことが一つだけある。 ただ一言、好きだと言うことだけが言えないんだ。 けれど俺は、今日もお前と一緒にいるために、この気持ちを封印する。 これはきっと、行きすぎた友情だと信じて...
  • 22-549
    農民受け 書かれていた文字は「農民」だった・・・オレは絶望した・・・ ここはダーマの転職樹という場所だ。樹齢十万年と言われる巨大な木の根元にある小さな祠がこの世界で唯一つの転職が行える施設だ この世界の転職システムは自分が希望する職に就くことは不可能だ。全て転職樹の思し召し次第だ 転職希望者は転職樹によじ登って若葉を一枚だけゲットしてくる。それを祠の神官に渡す。神官は呪文を長々と詠唱する そうすると葉にあぶり出しのように文字が浮かび、転職希望者はそこに書かれていた職業に転職することになる。拒否は不可能だ 転職するとレベルが二十に達するまで再転職は不可能だ。ハズレを引くととてもつらいことになる・・・ オレの幼馴染兼恋人の職歴は華麗だ。最初にいきなり「四元使い」を引き当てた。火水風土の四元属性のスキルを全部覚えられるお得な職業だ そして次に「黄金騎士」になった。戦士系の上...
  • 21-549
    誰が手加減しろって言った? 「おい……立てなくなるくらい、滅茶苦茶にしてくれるんじゃなかったのかよ……」  灯りのないじめつく空気の中で、荒い息遣いとともに僅かに掠れた声が吐き出された。  汗ばむ肢体を惜しげもなく晒し、だらしなくシーツに投げだしているこの男の名前も素性も、俺は何も知らない。この男が俺の下で組み敷かれている理由もだ。  ただ一つだけわかっているのは彼の願望だけだ。 「俺のこと犯り捨ててくれない?」  たまたま入った飲み屋のカウンターで隣に座って目があった。ただそれだけのことだったと思う。真っ赤に充血した目が、最初は酔っていたのかと思っていたが、泣きはらしていたのだと気付いたのは、この部屋へ入るなり口を吸われた時だ。  明かりを点けることを嫌いシャワーを浴びることもせず、俺にしがみついたままベッドになだれ込み乱暴に自分のシャツを破り捨てた。  俺に男の尻...
  • 27-549
    羊の皮をかぶった狼×草食系ツンギレ 「……まっきーって好きな人とかいないんだっけ」 「今んとこな。あんまり興味ないし。誰だよまっきーって」 「そっか。あ、これ半分食べる? 甘いの好きだったよね」 「食う。いただきます」 「はい、あーん」 「な、ふっざけんなよてめー!」 「……ふざけただけなのに」 「だからふざけんなって言ってんだろうが」 「全くその通りだね。ごめんなさい」 「……」 「真木君って恋愛話も割と興味ないよね」 「なんだよ今日は。武藤はそういう話したいのか?」 「そういう話がしたいというか……安心したいというか」 「は?」 「やー、ほら、僕と一番仲いいのって真木君だからさ。彼女できたりしちゃうと、こうやって日々だらだらしたりできなくなるかな、と。それって寂しいし」 「お前の方ができそうなんじゃねえの。モテるじゃん」 「どうかなー」 「好...
  • 16-549
    へたれ関西弁×クーデレ 「神部さん、いてはります? 大家さんから伝言頼まれましてん。開けてー」  隣の部屋の黒田が今日も私の部屋を訪ねてくる。  毎回毎回、くだらない用事をよく見つけてくるものだと感心する。  無視をしようと思ったが、一向にあきらめる様子がない上、 インターフォンではなく、ドアを叩き始めたので、仕方なくドアを開けた。 「……どうも」 「おるんやったら、さっさと出てくれまへん? 疲れますやん」 「用件は簡潔にお願いします、黒田さん」 「いややわー。いつも簡潔やないみたいな言い方」  簡潔だったことがあるみたいな言い方じゃないか。 「連絡は書面でお願いしますって、何度も申し上げていますけど」 「隣の部屋におるのに、なんでわざわざ紙切れに書かなあきまへんの」 「もう2分たってますよ。用件は」 「2日後に、火災報知器の点検やて」 「そうですか」...
  • 14-549
    あの頃の未来に僕らは立っているのかな 将来に何の不安も感じなかった。なりたいものに成れると心の底から信じてた。 自分たちの未来は光り輝いて開けていると、どうしてそんな夢みたいなことを腹の底から信じ込んでいたんだろう。 振り返ってみれば自分の道は醜い曲線を描いていて、その発端はお前を切り捨てたあの日だ。 オレは馬鹿で、だけどお前も馬鹿で、だから二人して気がつかなかった。 同性同士がずっと一緒に? そんな夢物語、成り立つのは可愛らしい御伽噺だけだ。 お前と将来とを天秤にかける日なんて生涯来ないと、そう思っていたのはオレが途方もない馬鹿野郎だったからだ。 例えばあの日、オレがお前を切り捨てなかったら、そうしたら。 そこから先はとてもじゃないが人に言える事じゃないので一生誰にも言うことはないけれど。 それでもあの日、違う決意を抱いたら。 そうしたら、オレは過去の自分に胸...
  • 26-549
    おバカ系DQN受け まぁたまには萌え語りでも おバカ系DQN受けは一目惚れした攻めの気を引きたくてあれこれやる しかしバカでDQNなので、良かれと思ってやった行動は大抵裏目に出る 例:攻めが欲しがっていたものを手に入れる為にパチンコ(※景品にあったから。当然買った方が安い)    深夜にドンツク煩い車で住宅街を爆走して会いに来る 何度も失敗し、DQN仲間からはm9(^Д^)プギャーーされ、涙目になりながら それでも懲りずにアタックし続ける受け でもバカでDQNだから学習能力はあまりない受け そうこうするうちに「バカな犬に懐かれた」程度にしか思っていなかった攻めも徐々に絆され 「バカだけどちょっと可愛いかも」とか「こいつは俺が更正させてやる」に変わってくる そして攻めが喜ぶならと少しずつ勉強を始め、喋り口調も服装も直す(DQNなりに)...
  • 25-549
    大掃除で発掘 年末ということもあり、俺と恭平は気合を入れて掃除をしていた。 いるもの、いらないものにきっちりとわけてものを漁っていると。 「(お)」 懐かしすぎるモノを、見つけた。 少し色あせた色の封筒をあけ、紙を開く。カサリ、という音がなんだか懐かしい。 高校生のときに貰った、彼からのラブレター。あまりに稚拙な字並びに思わず笑みがこぼれる。 「海?」 背後から声が聞こえて、心臓が大きく飛び跳ねる。振り返ると、恭平が人懐こい笑顔でこちらを見ていた。 俺は胸をなでおろしてこれ、と紙を見せると、彼の顔がかあ、と赤くなる。 「お前、ほんと、なんでとっておいてあるんだよ!」 「バッカとっておくだろそこは!」 当時、あまりにシンプルな一文に、ひどく胸が震えた。 真っ白い紙に、ただ一言「好きだよ」と。 「俺、これもらったとき嬉しくて仕方なかったんだぞ!」...
  • 15-549
    まんじゅうこわい 「なあ、お前って嫌いなものあったっけ?」 「いっぱいあるよー?例えば饅頭とか」 「へ、まんじゅうが怖いの?」 「ゲームに漫画にお菓子にジュース、全部嫌いだからもって来て俺を怖がらせて!」 「ちょ、それって全部水島の好きなものじゃん!うそつくなよ!」 「なにをいう!勉強中にやってくるゲーム漫画は最強に怖い存在であるぞ!」 「あ!…そっか…」 「おいおい信じるなよ」 「うそだったの!?やっぱり嘘ついたんじゃんかよー!」 「はいはい」 「なんだよー…俺は真面目に聞いてるのに…」 「な、泣くなよ…ここらでひとつ、そんな結城が怖いってね」 「…俺のことがこわいのか?」 「ち、違うよ!まんじゅうこわいの流れで察してくれよ!」 数学教師と不良生徒
  • 10-549
    and/or and/or 生粋の文系だね、と評価される僕は、大学の日文学科を卒業して老舗の書店に勤めていた。 対して彼は、情報学を専門に研究する頭まで理系の海に沈んだような男。 全く接点のない二人が出会ったのは僕の勤める書店。 月に二度、判で押したように同じ時間に現れて専門書を購入していく彼は、僕が初めて覚えた常連客だった。 そして、彼に「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と声をかけるようになった頃、驚くことが起こった。 「…あれ?」 いつも通り、店内かごから彼の専門である情報学の本を取り出してレジを打っていた僕は、その底に意外なものを見つけて驚く。 それは、この書店付近を扱う賃貸情報誌だった。 「こちらもお買い上げですか?」 間違って入れたのかもしれないな、そう思い彼に尋ねる。 「…それもお買い上げ、だ」 「はい、かしこまりました...
  • 20-549
    チョコレート×マシュマロ 冷え切った俺の体と心は、カチカチに固まっていた。 けれどそれは、強い力が加わればたちまちぽきりと折れてしまう脆さでもあった。 そんな俺と一緒になりたいと言うのか。その汚れない身を汚してまでも? 「君が僕を貫いてくれればいい」 恐れを知らぬ眼差しで彼は言った。 「もしくは、僕を潰してくれ。その腕で力一杯抱きしめて」 「馬鹿を言うな、俺は一人が気に入ってるんだ それに簡単じゃないぞ、そんなことしたらお前は元のお前じゃなくなる」 拒んだ。たとえようもなく惹かれる気持ちを押し殺して。 なのに、彼は晴れやかに笑うんだ。 「いいんだよ。確かに僕は元の僕じゃなくなるだろう、そして君も。 でもそれが今より良くないなんて、どうして思うの?」 なんのためらいもなく、白い手が差し出される。 「馬鹿、俺にさわるな」 「どう...
  • 28-569
    目と目で通じ合える 通じ合えるといっても色々パターンがあると思うのです。 ?幼馴染み 共に過ごした時間の分お互い相手の事をよく理解しているでしょう。 ちょっとやんちゃな子達の場合、近所で悪戯をしでかし 「チラッ(おい、逃げんぞ!)」「チラッ(了解!)」みたいなアイコンタクトを行うのも青春ですね。 また「見つめあってお互いの思ってることを当てるゲーム」といったフラグを建築することも可能でしょうか。 ?上司と部下 会社では単なる上司と部下でも、社外に出ればその関係は様変わり。 しかしどうしても周りには大っぴらにできない関係な二人は最初はメモや合図などを使いますが、いつしか 「チラッ(夜、いつもの店で)」「チラッ(分かりました)」と目と目で通じ合えるようになるのです。 ?軍の中で 隊長と部下でも同期同士でも構いません。チームプレイにはお互いの信頼度が非常に大...
  • 28-539
    二人で深夜のオリンピック観戦! 「うおおー!すげえ、ちょ、見ろよ!スケート!男子!金だって!!」 テレビの前ではしゃぐ竜輝を布団の中からチラと見て、俺はあくびを漏らした。 「はいはい…すげーな、よかったな」 「何そのうっすい反応…!日本人初なんだよ?!」 「分かってるからちょっと静かにね。今何時か知ってる?俺はそろそろちゃんと寝たいんだけど」 電気も消せないし竜輝が五月蠅いせいで、いつもなら既に夢の中にいる時間なのに逆に微妙に目が冴えてきてしまう。 仕方なしに布団の中からテレビを見ているが、まだ微かに残る眠気の方が勝っていた。 「あー、うん。ごめん、もう終わったから消すわ」 「よろしく」 暫くしてテレビが消され部屋の照明もカチリという音と共に消える。 「もうちょっとそっち行っていい?」 二人用キングサイズのベッドは俺達二人が横になったってまだ余裕があるという...
  • 28-509
    バレンタインデー バレンタインデーだった。 もちろん、俺もチョコをもらった。 マンガみたく、「紙袋いっぱい」ではないが、有志一同みたいなものをいくつか。 親兄弟からまとめてひとつ。 時折、本命チョコがいくつか。 断りの口上は毎年変わらず、だけど今年から本音が混じる。 「悪いけど、付き合ってる人、いるから」 ほんのり浮かべた涙に、少しの罪悪感が沸きつつ、それでもあの人に義理立てしたくて振り切った。 なのにあの人は、渡されるチョコ全部、告白ごと受け入れた。 よりにもよって、俺の目の前で、2つ返事で。 だから、今日の酒のつまみにする予定だった魚肉ソーセージとチーカマ、鮭とばにジャーキー入った袋を あの人に分投げた上で、ぶん殴って帰ってきた。 着信もメールも無視してやった、ざまーみろ! と、ふて寝した所で俺の記憶は途切れている。 今目の前には...
  • 28-449-01
    リアリスト×オカルト好き 「くだらねえよなあ」 出来上がった見本誌を興味なさそうにぺらぺら捲りつつ編集長がぼやいた。 読んでいるのは我が出版社の唯一にして看板の雑誌、その最新号である。 オカルト雑誌なんてくだらない、というのがうちの編集長の口癖だ。 この口癖を聞き続けてそろそろ一年になるが、そのときの俺はその言いようが聞き流せなかった。 「それじゃあ聞きますけど。なんで編集長は編集長なんですか」 「なんだその質問。哲学か?」 「違います。どうして編集長はオカルト雑誌の編集長やってるんですかってことです」 言い直すと、編集長は皮肉っぽく笑ってから答える。 「そんなもんお前、日々の生活の為だよ」 「生活の為に、くだらない雑誌作って世間にバラまいてるんですか」 先月いっぱい取材して二徹までして完成させた記事(『死の世界へ繋がる公衆電話』現地レポート)を 軽んじら...
  • 28-589
    ひまわり×月見草 神様はなんであいつの隣に僕を置いたんだろう。 ハルヒコと僕の間には何の共通点もない。 それなのに、家が隣同士というだけで、生まれてこの方13年、僕らはしばしばひとまとめで見られる。 ハルヒコはスポーツ万能だけど、僕は完全なインドア派。 ハルヒコは友だちが多いけど、僕は人と話すのが苦手。 ハルヒコはいつも「楽しそうだね」と言われるけど、僕はいつも「怒ってる?」と聞かれる。 ハルヒコは僕といたがるけど、僕はハルヒコと離れていたい。 「イツキー、絵描きに行こうぜ! 美術の宿題のやつ!」 「……一人で行けよ」 蝉よりもけたたましく上がり込んできたハルヒコを、僕は冷ややかな声で追い払おうとする。 「だって一人じゃつまんねーし。こういうのってパパっと終わらせたいじゃん」 「僕は僕で宿題計画立ててんだよ。こっちの都合ってもんが――」 イラッ...
  • 19-149-1
    俺の方が好きだよ! 「あ、猫!」  俺の隣を歩いていたツレが、突然足を止めて声を上げた。  振り返ると、道の隅に丸くなってまどろむキジトラの猫。  ツレは猫から1m程離れたところにしゃがみこむと、猫に向かって手を伸ばし、ちちち、と舌を鳴らした。  それに気付いた猫が目を開け、億劫そうにツレを見上げる。 「エサもねぇのに、野良猫が寄ってくるわけ……」  言いかけた俺の言葉が、途中で切れた。  のっそりと起き上がった猫がツレに歩み寄り、ふんふんと手の匂いを嗅いだ後、その掌に顔を擦り寄せる。 「うわー、かわいい。人に慣れてるんだね」  満面の笑みを浮かべるツレと、その手に撫でられて満足そうに目を閉じている猫を見て、ただ呆然。  いやいやいや、ねぇから。  学校の行き帰りに何度も見かけたその猫を、俺が何回撫でようとしてシカトこかれたと思ってんだよ。  最後の手段と...
  • 28-049-01
    許されない二人 「慶一…もう、ここに来るのはやめるんだ」 薄い布団の中、優(まさる)は自分を抱きかかえている慶一に言い聞かせた。 激しい情事に耐えた体はまだ重い。普段はどちらかと言えば物静かな少年である慶一は、 情事の時だけ、抑えていた何かを発散するかのように優を翻弄する。 十八歳の優とちょうど一歳差の十七歳で今年高校三年生になる慶一は、まだ優より 少し背が低かったけれど、このところまた背が伸びたようだから近々優を追い越すかもしれない。 「どうして…どうしてそんなことを言うの、優…」 慶一が身じろぎし、真冬であるにも関わらず汗にしっとりと湿った二人の素肌がこすれた。 窓の外にはしんしんと雪が積もっている。心なしか色素の薄い慶一の髪を優が撫でた。 「男同士だから? 僕がこの家の跡取りで君が使用人の子供だから? 僕が受験生になるから?」 その全部だよ、と優が...
  • 18-449-1
    照れ隠しで抱きしめる あまりに関谷が俺を褒めるものだから、照れ隠しに抱きしめてみた。 関谷はぎゅむ、と声ともつかないうめき声をあげ、じたばたしている。 参ったか、これで黙らざるを得まい、どうだ俺の嫌がらせは。言葉にすればそんな気持ち。 とにかく、いつも生意気な後輩に一矢報いたつもりだった。 実のところ、逆襲の必要はもうなかった。 真面目だが一本気すぎて扱いにくいと評判だった関谷は、 一緒に担当した今回のプロジェクトを通じて、徐々に素直になっていたから。 鼻っ柱の強い後輩に認めさせる……先輩としての勝利だ。 だからもう気は済んでいた。まさか薬が効きすぎているとは思いも寄らなかった。 「いい仕事でした……加納さんの企画は的確だった。  客も予測以上に入ったし……内容もよかった。ゲストも受けた。  地味なテーマなのに満足度高かったですよ。取材も結構来ましたし...
  • 28-509-01
    バレンタインデー 唐突だが、俺には恋人がいる。 幼馴染かつクラスメイトである俺たちの腐れ縁は発酵して、爛れて、どうしてか恋愛感情として落ち着いた。そいつも俺も男だが、俺達は立派な恋人である。今日も一緒に下校するため、校門でそいつの部活が終わるまで待っている。 話は変わるが、本日世間はバレンタインデー。店先には様々な種類のチョコレート製品が並び、おめかしをした女子たちがそれをきらきらと輝く瞳で見つめてはしゃいでいる。彼女らが各々の想い人に渡すのであろうチョコレートを購入している姿をなんとはなしに見ていると、隣から大きなため息が聞こえた。 「啓、」 いつの間にか部活は終わっていたらしい。女子たちを眺めている恋人の名前を呼ぶと、彼はこちらに目を向けた。 「華やかだよなあ、おい」 無視して歩きだすと、まてよ、と啓の足音が追いかけてくる。 「あーあ、今年は誰かさんのせいでチョ...
  • 18-589-1
    盲目のご主人様 「今日の天気はどうだ?」 ベッドの背に寄りかかり俺の手を握ったままご主人様が聞く 今日の彼は機嫌が良さそうだ 「とても良い天気ですよ。ぽかぽかしていて、風も丁度いいです」 手を握り返して俺はそう答える きっとピクニックをするには最高の天気だ 「そうか…そういえばなんとなく光が明るい気がする」 ふわりと笑う横顔が、俺の心を撫で上げる 貴方の目が見えなくなってどのくらいたっただろう 幼かった貴方は、今でも俺の顔を覚えているだろうか 「そういえばお母様たちへの手紙は出してくれたか?」 ああ、貴方はいつまでも無邪気なままでいて 握った手をそっと置いて俺は答える 「ええ、もちろんです。きっとまたすぐに返事が来ますよ」 俺の顔が貴方に見えていなくて良かった 「うん、返って来たらまた読んで聞かせてくれ。返事も僕が直接書けたらいいんだけど」 少し悔し...
  • 18-649-1
    チンコ見られた! 800 名前:801名無しさん[sage] 投稿日:2010/08/01(日) 04 07 51    |    |A`) ダレモイナイ・・ロシュツスルナラ イマノウチ    |⊂    |          (  ) ジブンヲ          (  )          | |        +。            * ヽ( A`)ノ *゚           +゚   (  )   トキハナツ!!!               ノω| 801 名前:801名無しさん[sage] 投稿日:2010/08/01(日) 04 08 01 <●><●> 802 名前:801名無しさん[sage] 投稿日:2010/08/01(日) 04 18 40  ( A`) ミナイデェェェェ  (ヽノ)   ...
  • 18-249-1
    仮性包茎を気にするドSな上司 「毎回シャワー出た時からギンギンだったのって」 「言うな」 「おれのこと責めてる時に道具しか使わないのって」 「黙れ」 「っていうか日本人の6割以上がそうだって言いますし」 「馬鹿が。アレ絶対嘘だからな。 銭湯行ってみろどいつもこいつもズル剥けだろうが! アレは世のホーケー共を哀れんだプロパガンダに過ぎん!!」 「いやー…… あっ、ホラ、ホーケーは銭湯行かないんですよきっと!」 「そんな『アイドルはうんこしない』話法で 誤魔化される俺ではないぞ……」 「っていうか課長、ベッドの上では王様のくせに そこ指摘されると弱いんだからー。 でもそんな所が好きです!」 「だからおれのチンコがズル剥けで課長よりデカくても 気にすることないんですからね!」 「貴ッ様ァァァ! 覚えていろよ!!後で泣かすからな!」 早...
  • 28-809-1
    木×葉っぱ おしべ、というのはみじめなものだと思う。 どんなに素晴らしい種を持っていても、実になれるのはめしべだけだ。 自分の種を受けた相手が実になっていく横で、寂しく枯れていかなければならない。 体が黄色くかさかさになり、落ちるのを一人待つだけ。 土に落ちれば、あとは腐るだけだ。 「・・・それでは」 だから俺は喜ぶべきなのかもしれない。自分が葉であったことを。 「ああ、じゃあな」 木に栄養を与えた後は、用済みになって落とされる。 葉もおしべも、用済みになれば木にとっては同じだ。 一生で幾度も出会うもののたった一つに過ぎない。 それでもまだ。 俺は足元に落ちたあいつとは違う。風に乗って、遠く離れていけるのだ。 木のように、次々と新たな命を生み出すあの人から。 この箱庭のような王宮から。 豆×さや
  • 28-779-1
    失恋してアル中一歩手前なあいつに片思い 彼が振られたことはフロアの人間全員が知っている。 たぶん、次の異動では彼と彼女の両方がここから姿を消すことになるのだろう。 「あれ、何とかした方がいいんじゃないですか、島野係長、うちは接客もある社なんですし」 今日も言われてしまった。お節介な女性社員のみならず、今回は総務課の、普段はうるさいことなど言わない人からの指摘。 彼はそんなに目立ってるのか、と認識し直す。僕が気になるだけじゃない、客観的に見てひどいのだと。 彼は僕の部下だから僕には管理責任がある。 だから僕には彼を叱咤し、立ち直らせる義務がある。 大丈夫、おかしくない。僕は自分に言い聞かせて席を立つ。 「稲田君、ちょっと」 「あ、はい」 呼び出して使われていない小会議室へ。 途中でコーヒーを買ってやったのは、目を覚ます意味ももちろんあったが、なによりこの漂う匂...
  • 28-739-1
    全部嘘  先生がこの家を私に残した、というのは、行き場のない僕をあわれんでくださったんでしょうな。  先生は、とうとう血のつながるお身内のないままに終わってしまいましたから、こんな、継ぐものもいない、辺鄙な場所で買い手もつかない古家など惜しまなかったのでしょう。ほかに行きどころのない僕にとっては実にありがたいことでしたが、まあ先生にとっては処分の手間が省けて、僕に恩も着せられる、一石二鳥の策といったところだったのではないかと思うのです。  ですから僕はこうして、先生なきあともせっせとこうして最低限の手をいれている。最低限の義理立てですな。  綺麗ですか。へぇ、行き届いてますか。  まあまあ、ありがとう存じます。  先生が聞いたら笑いなさるでしょうな。あの方、自分では縦のものを横にもしない人でしたが、僕にはたいそう小うるさくものを言いましたから。今もほら、あの松の摘み方が...
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