*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ
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*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ
ja
2020-03-25T23:18:14+09:00
1585145894
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6-629-1
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/1565.html
さぁ俺を踏み越えて行くが良い
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どうしてこうなったのだろうと、考えるのはやめにした。
考え方の違いは出会った時からわかっていて、それでも互いに手を伸ばしあった、
その過去は決して変わらない。
七年も前に袂を分ったからといって、今、敵軍の将として遭い見えたからといって、
貪るように抱き合ったあの日の想いに嘘などない。
たとえ、互いに遠慮容赦ない戦いを繰り広げようとも。
たとえ、今この瞬間に、お前の剣が俺を切り裂こうとも。
わざわざ跪いて、倒れ伏した俺を哀しげに見つめなくたって、いいんだ。
一軍の将たるものが、そんな様でどうする。
「―――…に、してやがる…」
どうにも掠れる声を振り絞る。情けないほどに弱々しいが、こいつに聴こえればそれで十分だ。
「さっさと、行け…!」
さぁ、俺を踏み越えて行くがいい。お前ならきっとどこまでだって行けるから。
俺の信念も忠誠も今の国を守りたいという願いも全て、お前の心には届いているだろう。
それこそ、七年前から、ずっと。
そんなお前だからこそ、辿り着ける未来もあるだろう。
「―――」
すぅっと息を吸う気配を感じて、目線を上げる。睨み付ける。
謝罪の言葉を紡ごうものなら、死んで後でも刃を取ると、そう瞳で突き放す。
踏み越えるとはそういうことだと、ほんの少しでも楽になることなど許されないのだと。
見開かれた懐かしい双眸がやがて細まり、そして最後に、まっすぐにこちらを射抜いた。
今この国に必要なものが何か、夜が明けるまで語り合った頃の、迷いのないそれを
思い出させる眼差し。記憶より重みが見て取れるのは、気のせいなんかじゃない。
―――…それでいい。
上がらない口の端の代わりに、瞼を伏せた。
立ち上がる気配がし、間もなく響き出した足音が、遠ざかり、おぼろげになり……消えた。
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[[喪服を脱ぐ時>6-639]]
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2020-03-25T23:18:14+09:00
1585145894
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13-859
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3257.html
<p>我が生涯において、主はただ一人だけである。<br /><br />
母と兄弟を失い、独り雨の中で途方に暮れていた私を拾ってくれたのが、我が主だった。<br />
自らが濡れるの厭わずに私を抱きかかえてくれたあの胸の温かさは、今でも覚えている。<br />
幼い私が主の許にやって来たとき、彼にはすでに8人の弟子がいた。つまり、私は9番目の弟子というわけだ。<br />
私の名が「クロ」であるのは、ただ毛の色が黒いからだけではなく「九郎」という意味も交えた主の洒落であるらしい。<br />
「先生はクロだけには甘いんですよね。いつもニコニコ笑って撫でてばっかり」<br />
「クロは叱る必要がないからな。賢いし、我慢強い。勤勉で同じ過ちは繰り返さない。どこかのシロ君にも見習ってほしいものだ」<br />
「ああもう、だからその呼び方はやめてくださいよ!」<br />
「いいじゃないか。クロにシロ、丁度よい組み合わせだ。なあクロ、お前もそう思うだろう?」<br />
主が笑いながら私の頭を撫でたので、私は尻尾を振って応える。<br />
それを見て士郎――15番目の末弟子で、私と共に住み込んでいる――は子供のように頬を膨らませた。<br />
「そうやって二人して僕を馬鹿にして……いいですよもう。僕は夕飯の買い物に行って来ます!」<br />
「ああ、だったらクロも一緒に……」<br />
「いくら僕でも、買い物くらい一人で行けますよ」<br />
低い声で言い返す士郎に、主は穏やかに微笑みかける。<br />
「分かっているよ。買い物のついでに、散歩をしてきてくれないか」<br />
今日は連れて行けそうにないのだ、そう言った主の顔を私は見上げた。<br /><br />
主は不思議な人だ。<br />
私達の言葉は人間には通じない筈なのに、主は私の言葉を理解することが出来るらしいのだ。<br />
言葉を発していないときですら、私の気持ちを察してくれることもある。<br /><br />
今も顔を上げた私にすぐ気付いて、私の目を真っ直ぐ見つめ「すまないな」と眉尻を下げている。<br />
そしてまた士郎を見て「夕飯までまだ時間はあるから、構わないだろう?」と言った。<br />
言われた士郎は不貞腐れた表情をすぐに引っ込めて、素直に「分かりました」と頷いた。<br />
(こういった彼の切り替えの早さ、素直さは美点であると、主が密かに語ってくれたことがある)<br />
「でも珍しいですね。先生がクロの散歩に行かないなんて」<br />
部屋の箪笥から財布を取り出しながら、士郎は首を傾げている。</p>
<p>「ちょっと頼まれた急ぎの書き物があってな」<br />
そう言ってから、再びこちらを見て「士郎と行っておいで」と私の頭と背を撫でる。<br />
本音を言えば、散歩などに行くよりも主の傍に控えていたかった。<br />
だが、そんな優しい表情で言われては、我侭が言えなくなる。<br /><br />
本当は「頼まれた急ぎの書き物」など無いと知っているのに。<br />
ここ一月ほど、主の身体の調子があまり思わしくないことを知っているのに。<br />
士郎と共に裏庭を出る間際に後ろを振り返ると、主は微笑みながらこちらに手を振っていた。<br />
――主と共に在る時間は、あとどれくらい残されているのだろう。<br /><br /><br /><br />
我が生涯において、主はただ一人だけである。他の誰にも仕えるつもりはない。<br />
主が新しい場所へ旅立ったのなら、それを追いかけていくのが道理であろう。<br />
しかし、と私は思う。<br />
今、私を抱き締めたまま声を殺して泣いている、この男を置いていくこともできない。<br />
私は少し頭を動かし――士郎は私の身体をぎゅうぎゅうと抱き締めていたので<br />
少し動くのにも骨が折れたが――、彼の頬を舐めてやる。<br />
士郎は驚いたように私の顔を見つめて、また顔をくしゃくしゃに歪めた。<br />
「情け無いなあ……僕よりクロの方がよっぽど強い」<br />
私はお前の兄弟子なのだから当たり前だ――小さくそう吠えると、不思議なことに士郎は応えるかの如く微かに頷いた。<br />
「そうだね、しっかりしないと……これじゃあ、先生に叱られる」<br />
自らに言い聞かせるように呟きながら、手の甲で目元を拭っているが、涙はあとからあとから溢れてくるようだ。<br />
やはり、このまま放ってはおけまい。<br />
この男が一人前になるまでもう少しの間、私は彼の傍についていてやろうと決めた。<br />
彼のことを誰よりも案じていたのは主であり、それを誰よりもよく知っているのが私なのだ。主の想いは私の望み。<br /><br />
我が主、貴方の元へ行くのはもう少し先になりそうです。<br />
しばしの間、そちらでお待ちくださいますか。</p>
2015-11-22T02:40:54+09:00
1448127654
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part29
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3174.html
&treemenu2(title=part29,none){[[酒は飲んでも呑まれるな>29-009]]|アホ犬との散歩で|[[ご飯にする?お風呂にする?それとも…>29-029]] [[■>29-029-1]]|[[明日まで待って>29-039]]|[[紫陽花>29-049]]|世界で一番怖い [[■>29-059-1]]|相合傘 [[■>29-069-1]]|ち、違う! お前の乳首を噛んだのはワザとじゃない! 事故だったんだ!!|[[酔っ払いのたわごと>29-089]]|[[そろそろ寿命の長命種×まだまだ若い短命種>29-099]]|[[少年魔道士×獣人の戦士>29-109]]|物腰柔らか年上×クール年下|暑気あたりした先輩とSっぽい後輩|熱血とクール|コンプレックス持ち同士|[[最後に一回だけ>29-159]] [[■>29-159-1]]|妬ましい…|[[iPhoneとAndroid>29-179]] [[■>29-179-1]]|広島県民×京都府民|「もしもし」がきっかけで恋に落ちた二人 [[■>29-199-1]]|本当は大好きだよ|同窓会|息をするように|こうもり×むささび|[[剣士×勇者>29-249]]|[[常連客×喫茶店のマスター>29-259]]|待て!!!|[[思わぬところで幼馴染と再会>29-279]]|801学園生徒会|明後日来やがれ|[[コーヒー派と紅茶派>29-309]]|麦わら帽子はもう消えた|黄昏てるあいつ|[[香水>29-339]] [[■>29-339-1]]|オヤジの本気|子猫を拾ったら、恋人まで出来てしまった|のんびり屋さんとせっかち君|行き掛かりで恋に落ちた|フェティシズムの萌芽|旅行先で知り合った人|ヘラヘラしてるけど本気なんです|狼少年×熊男|[[検索履歴に衝撃的な単語があったのを発見してしまったとき>29-429]] [[■>29-429-1]]|[[人見知り年上×人懐こい年下>29-439]]|あいつの泣き顔に胸キュン|[[暑いからこそ>29-459]]|気苦労の多い弟×脳天気な兄|傍観者でいたかった|[[庶民×セレブ>29-489]]|[[刷り込みの恋>29-499]]|月見|幼馴染|[[受けが自分で服を脱ぐ>29-529]]|修羅場|常識人弟×変態兄|[[まわし>29-559]]|クローン人間とオリジナル|この夏のためにと用意した浴衣をことごとくタイミングを外して着そこねた|[[毛染め>29-589]]|[[深夜タクシー>29-599]]|外見チャラ男だけど中身大和撫子男子×外見儚げ文学青年だけど中身肉食系男子|ゴミ捨て場 [[■>29-619-1]]|[[甘すぎる>29-629]] [[■>29-629-1]]|[[隣の好敵手>29-639]]|一度でいいからさわりたい|合唱部|おっぱい? ……おっぱい。おっぱいおっぱい!!|[[好きじゃないけど嫌ではない>29-679]]|[[喧嘩ばかりしてるけど実は両片想い>29-689]]|たまには世話を焼かせてほしい|常識人×変態|最後の一線 [[■>29-719-1]]|[[思いがけず同居する事になった二人>29-729]]|寮長×新入生|深夜に突然呼び出される攻め|うるせえ変態!犯すぞ!|[[酔っ払い×車掌>29-769]] [[■>29-769-1]]|あなたの肩はいやらしい|意地悪な愛撫|[[無視される>29-799]]|お前が好きすぎて日常生活に支障をきたしてんだよ|[[泣き虫攻め>29-819]]|犬の散歩|軍服萌え|[[ささくれが痛い>29-849]]|もやしっ子×いかつい体育教師|[[犬かと思ったら狼だった>29-869]]|アニキ(隠れホモ)と舎弟(実は知ってる)|[[口元を隠して笑う>29-889]]|[[毎日見かけるだけの人>29-899]]|君は死んだはずなのに|罪の意識|惨め|[[後朝>29-939]] [[■>29-939-1]]|後悔だけはしなかった|おひとりさま|[[>29-969]]|[[>29-979]]}
2014-12-16T22:03:56+09:00
1418735036
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28-979
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3256.html
優しい復讐
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その人の姿を庭先に見つけたとき、僕は自分が幻を見ているのだと思った。
まるでモデルのように均整のとれた体躯を仕立ての良いスーツを包んだその姿は、この田舎町にはあまりにも似つかわしくなくて現実離れしている。
けれどもそれは、6年前までは確かに僕のすぐ側に現実としてあったものだ。
「久しぶりだね」
少し低めの落ち着いた声とともに、その人は6年前と同じように僕の側まで来てしゃがんだ。
6年前はそうしてもらえば僕はその人と目線を合わせることが出来たけれども、
あの頃よりも背が伸びた今ではそうされると僕はその人を見下ろさなければならなかった。
僕と同じことに気が付いたのだろう。
その人は苦笑して立ち上がり、今度は僕が見下ろされることになった。
「……どうして」
どうしてここが分かったのか。
どうして僕がこの人の前から姿を消してから6年も経った今、ここに来たのか。
様々な疑問が頭の中に浮かんでいるのにそれだけしか口に出来なかった僕に、その人は6年前には一度も見たことのない、何か含むところのあるような微笑みを見せた。
「君に復讐しに来たんだよ」
「え……復讐?」
「そう、復讐だよ」
戸惑った声を上げた僕の目を見つめてその人は再び微笑んだ。
「まさか、忘れたわけではないよね。
君が私の前から消えたあの日、君が私にしたことを」
言われた瞬間、あの日のことが脳裏に蘇り、僕は鏡を見なくても自分の耳が赤くなっていくのが分かった。
父の事業が失敗して、その日のうちに夜逃げ同然にあの高級住宅街の家を出るのだと聞かされた時、
僕が最後に会いたいと思ったのは、同じ小学校の友達ではなく、近所の優しい大学生のお兄さんだった。
お兄さんの家の前で彼の帰りを待っていた僕を見つけて、いつものようにしゃがんで僕と目線を合わせて「どうしたの」と聞いてくれたその人に、
僕は唇をぶつけるような勢いでキスをして、そのまま走って逃げ帰った。
幼い初恋とキスの思い出は、その後の辛い生活の中で僕の心の支えになってくれた。
けれどもそれはこの人にとっては、6年たった今になっても復讐したくなるような迷惑な行為だったのだろうか。
「あの日、君にくちづけされて、私は君に自分の浅ましい欲望を咎められたのだと思ったよ。
私が幼い君にくちづけ、抱きしめ、君を自分のものにしてしまいたいという欲望を持っていることを利発な君に見透かされて、からかわれたのだと思った」
「え……」
その人の言葉に、僕は言葉を失う。
それではまるで、この人が小学生だった僕のことを好きだったと言っているみたいではないか。
「あの時、私がどれだけ悩んだか君に分かるかい?
一晩眠らずに悩んだ末に、とにかく正直に自分の胸の内を話して謝ろうと決めて君の家を訪ねたら、そこにはもう、君たち家族はいなかった。
だから私は、君の居所を探し出してこうして訪ねるまで、ずっとその悩みを抱えて苦しむことしか出来なかった」
そこまで話すと、その人は僕のあごに指を添えて顔を上げさせた。
6年前のあの時はまだ幼すぎて分からなかったが、高校生になった今、
その人の瞳の中に浮かんでいるものの意味が少しは分かる。
「だから、私は君に復讐しに来たんだ。
あの時、君が私にしたのと同じように、君が私にしたいと思っていることを、代わりに私が君にしてあげよう。
君が、私と同じように、悩んで苦しむようにね」
何かを含むような皮肉げな、そのくせどこか優しげな笑みを口元に浮かべながら、その人の顔が僕の方に近づいてくる。
誘われるように、僕は目を閉じる。
その人の復讐は確かに果たされたけれども、きっと僕は彼のように悩み苦しむことはないだろう。
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2014-12-16T20:56:05+09:00
1418730965
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28-959
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3255.html
にっこり笑顔が二つ
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あのさ、とか言っているこの人が愛おしかった。
オレの恋人は、高校のころの先輩で今は会社の上司で頼れる人だ。
バリバリ仕事をして、余暇はしっかりと取るし公私混同は絶対にしない。
それにめちゃくちゃ頼りになるし優しい。
たとえば、めちゃくっちゃ困難なことがあってそれで話を振るとする。
そうしたら、この人はどんな相手にだって
(どんなにめんどくさい人にだってだ!)手を差し伸べる。
自分の仕事を抱えながらも、そっちの仕事もこなして、さらに周りに気も使える。
女子の同僚からは”高嶺の人”とか言われていて、
上司にしたい人理想の恋人私生活が気になる人ナンバー1。そんな人。
…のはずなんだけど、なぜかオレの前ではそんなそぶりは見せないし、
もっと力が抜けている。Jホラーの予告を見ただけで
ぎゃーぎゃー悲鳴を上げるぐらいの怖がりだし、
甘いものが好きでからかってみると目に見えてしょんぼりする。
料理をするのも好きで、オレの好きな料理を作るのが特に好きだという。
どこの新婚だよ、とオレは思うけど実際悪い気はしない。
だいぶ外と雰囲気が違うが欠点を上げるとしてもたったひとつしかない。
そして、この人の唯一無二な欠点。高校から変わりないし治らない癖みたいなもんだ。
「だから、何回言われたってオレがセンパイから離れるわけないじゃないっすか。
そりゃ、先輩がオレとの関係を終わりにしたいとかなら、
幸せになりますって誓えるんだったら応じますけど」
「そんなわけないだろ!?なんで俺から別れを切り出すんだよ!
お前が言うならともかくも」
欠点。オレから告白して、べたぼれもいいところなのに、
なぜか見捨てられるんじゃないかって思うのが治らないことだ。
最初も遊びか冗談だと思われた。
「オレ、あんたのことがすごく好きなんすよ。何百回だって言いますけど」
「俺だって好きだよ、だから」
「だから、幸せになる邪魔をしたくないとかっすか?
耳にタコができるぐらい聞いたんですけど」
「 …なら、」
「じゃ、指輪いらないんですね」
…と間があいて。ぽかんとした顔の恋人はオレを見た。
「…今、なんて言った?」
「指輪いらないんですね」
「それって俺に?」
「あんた以外に贈るぐらい好きな人っていないんすけど」
「…めんどくさいよ、今以上にめんどくさくなるかもしれない」
「今でも十分めんどくさいっすよ」
「なら、」
「外で人の期待を裏切れないから頑張って、家じゃ甘えたでネガティブ。
そんな面倒な人と何年も付き合ってるんですよ?
いい加減信じてくれてもいいんじゃないですか、」
一緒にいる時間を信じてよ、なんて言外に含ませてみれば迷ったように目を伏せた後、
すごく聞き取れないぐらいの声で「ください」っと一言。
手を伸ばして、ぐいっと頬を無理やり上げる。笑うとかわいいんだぜ、この人。
「笑って受け取ってくださいよ、せめて」
「むちゃくちゃだぞ?」
「むちゃくちゃでも笑う。ほら、」
泣き笑いになりながらもにっこり笑ったこの人の指に指輪をはめてみる。
ちょっと緩かった。最後に決まらないって、恥ずかしい。
張りつめていた気持ちも切れて、俺も笑った。
笑顔で迎えるプロポーズもどきもなかなか良いものだ。
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[[優しい復讐 >28-979]]
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2014-12-16T20:50:13+09:00
1418730613
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28-949
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3254.html
真昼の決闘
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「今日こそ勝つからな!」
「出来るもんなら」
「今日も始まったかー」
昼休みの教室の後ろでは毎日“決闘”が行われる。決闘と言っても勿論物騒な意味ではない。
事の始まりは共に剣道部に所属するクラス一のチビ、小西がクラス一のノッポ、大東に試合で負けたことからだった。
負けず嫌いな小西はそれから毎日昼休みになると掃除用具入れから箒を取り出し、大東に試合を臨んでいるのである。
それを誰かが「決闘だ」と言いだし、今では“二年八組の決闘”は有名になってしまった。
「頑張れよー小西」
それを俺と一緒に教室の隅で眺める南原も剣道部員で、度々小西にアドバイスをしているらしい。
「小西もよく諦めないよな」
「そこはまあ…色々あるんじゃない?プライドとか、三年になったらこんな事もしてらんないだろうし」
「三年になるまでに、ねぇ」
タイムリミットはすぐにやって来る。それは俺も同じ。
「こっちの決着はいつ付けようかな…」
「え?何?何か言った?」
「いやー?別に何も」
同じ片想いの悩みを持つ者同士、大東を心の中で応援しつつ「あ、今日北海ん家行っていい?」なんて無邪気に聞いてくる南原の眩しい笑顔を見詰める。
それぞれの決闘の決着がつくのは、まだもう少し先の話。
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[[にっこり笑顔が二つ >28-959]]
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2014-12-16T20:41:00+09:00
1418730060
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28-939
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3253.html
朝から元気
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「……もう起きたのか」
黒から薄青い暗闇に変わった室内。時計をみればまだ早朝だ。
ベッドから上半身を起き上がらせた振動で、脇に寝るAが目を覚ましたようだ。
「仕事今日もあるだろ。早く支度しないと」
「えー。まだ余裕あるじゃんか。もっとゴロゴロしようぜー」
「俺シャワー浴びたいんだよ。昨夜そのまま寝ちまったし」
「――お前、あんな声出るんだな」
カアッ、と顔が火照る。
くそ。酒入ってたくせに覚えてるのかよ。
「しらねえよ、もう!シャワー行って――」
言いかけた言葉が途切れる。
Aがおもむろに身を起こし、唇を塞いできたから。
そして、布団の下の恥部に触れられる感覚。その手は、熱い。
「Bのあんな声、たまらなかった。……もっかい聞きたいなあ」
にやにやと笑う、Aの顔。
昨日まではただの同僚だったはずの、男の顔。
「……一回だけだぞ」
そして、悔しい事に、ときめきを感じてしまう顔。
遠くで鳴くスズメの声を聞きながら、俺達は身を重ね、ベッドに沈み込んだ。
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[[真昼の決闘 >28-949]]
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2014-12-16T20:34:48+09:00
1418729688
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28-929
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3252.html
泣いてるときにいきなりキス
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「あのさ、」
「なんですか」
「俺、なんでキスされたわけ」
「泣いていたので慰めないと、って思ったんです」
「それでキスなわけか、ませ過ぎだろ」
「でも、涙止まりましたよね」
「…男にキスしてもいいのかよ」
「あなたが嫌でないなら、僕は別に」
「…嫌、じゃないけどさ」
「ならよかった」
「よかったってなんだよ」
「僕があなたの恋人になれる可能性が見えたので」
僕じゃ、だめですか?なんて聞いてきたあいつは、俺に屈んで視線を合わす。
人生で3本の指に入るぐらい、こっぴどい振られ方をした日のこと。
いくら寂しくてもすぐに切り替えられるわけがない。
「すぐには、ムリだ」
「もう何年も待っているんですから、あと数年位待てますよ」
涙を止めるから、もうキスをしないでくれよ。
不覚にも、頷いてしまいそうだ。
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[[朝から元気 >28-939]]
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2014-12-16T20:32:28+09:00
1418729548
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28-899
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3251.html
ほっぺぷにぷに
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ぼくは彼が好きで、彼の薄くて柔らかなほっぺたが好きで、
「じゅんくん」
と、呼ぶとにこにこと笑うので、笑ったすきに集まったほっぺたを、ぷにぷにと。
僕は彼が好きで、彼のいつでもあたたかな優しい指先が好きで、
僕が笑うと頬をいじくりまわして、やたらと嬉しそうにするので、
「どうしたの、京平」
と、言いながら笑ったまま、ぷにぷにと。
ぷにぷに。
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[[泣いてるときにいきなりキス >28-929]]
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2014-12-10T23:01:18+09:00
1418220078
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28-879
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3250.html
ペロペロキャンディー
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「わー、懐かしい!」
弾んだ声をあげて、受也は駄菓子屋の店先に並ぶカラフルな飴を手に取った。渦巻き模様のそれは、子供の頃の記憶と比べると随分小さい。
受也はあっという間に飴を買って来た。セロハンをはいで、舌を伸ばして舐める。小さい口を開けて渦巻きの端をぱきりと噛む。薄い唇が飴に触れてつやつやと濡れる。
ふと、受也が此方を見た。俺は視線を外す暇もなくまともにこいつと見つめ合うハメになった。
「昔おまえこれ好きだったよね」
「子供の頃な」
「いる?」
受也がはい、と此方にキャンディを傾ける。
「…今は好きじゃねーんだよ」
「まあそう言わずに」
ほらほら、と目の前でキャンディが揺れる。白地にピンクやオレンジ、黄色の飴が渦巻いて、催眠術でもかけられてるみたいだ。
受也の舌が触れた飴を、結局俺もぺろりと舐めた。
「攻彦」
「あん?」
「子供の頃みたいだね」
大きかったペロペロキャンディーを一緒に食べた、子供の頃。
こんなエロくなかったつーの、あの頃の俺らは。
そう思ってフンと鼻をならすと、受也は楽しそうに声をあげて笑った。
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[[ほっぺぷにぷに >28-899]]
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2014-12-10T22:59:26+09:00
1418219966