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目を覚まさないで

 彼は毎夜俺に抱きしめられて眠る。俺の体は彼よりずっと大きい
から、彼をすっぽり包み込める。冬は自らくっついてくるくせに、
夏はあからさまに厭そうで、でも暑いからって服を脱いだ彼の素肌
が俺に触れるから、俺は夏のほうが好き。

 段々暑くなってきて、日を追うごとに薄着になっていく彼に幸福
を噛み締めて一晩を過ごしたある早朝、枕元で彼の携帯が鳴った。
ただ一人専用のメロディを聞いて、俺はいつもの朝よりもさらに強
く、起きるな、と願った。

 もちろん願いはむなしく彼は携帯に手を伸ばし、ぼんやりした声
で会話に応じる。何しろ殆ど年中彼と夜を過ごしている俺なので、
相手が誰だかはよく知っている。彼の恋人だ。俺がこの世で一番嫌
いな男だ。

 彼は携帯を切って俺を放って起き上がり、顔洗って歯を磨いて
トースターに食パンを突っ込んだ。朝食を済ませて着ていく服に悩
み髪を念入りにいじる彼を、俺は何も言えずに見つめていた。

 それから思い出したように戻ってきて俺を整えだすので、彼は今
日恋人を連れてくる気なのだと察した。憂鬱な夜になりそうである。





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 布団男