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頭痛持ち

「……」
「ダイジョブですか、先輩?」
先輩はいわゆる偏頭痛持ちらしい。僕にはよく分からなかったけど、『ふと気がついてみると何だか頭が痛い』。
曰く、そういうものらしい。
今日も今日とて、実に十分もデスクと睨めっこ。しきりに眉根を寄せては白髪頭をわしわしと掻き乱す姿は、とても辛そうだ。
「そろそろお昼終わっちゃいますよ。薬、飲みません?」
「……ん」
苦々しげに小さな返事をして、先輩は鞄から薬を取り出した。市販のものではなく、お医者さんに貰ってきた薬だ。
僕にはよく分からないけど、『優しさが半分』っていうアレは効き目が薄いらしい。
その丸い錠剤が、コーヒーでごくりと飲み下された。ちょっぴり剃り残した髭と一緒に喉仏が動く。
「何で急に頭が痛くなっちゃうんでしょうねぇ……」
「……さぁな……医学的にも、よく分かってないらしいぞ……」
気圧のせいだとか、遺伝だとか、色々説はあるらしいんだけどな。あと、何故か女の人に多いとか。
先輩はうなだれながら、そういったことをぽつぽつと語った。
僕はその話を聞きながら、やっと一つだけ分かったことがあった。
「なるほど。先輩が偏頭痛持ちな理由、もしかしたら分かったかも」
「……あん……?」
「先輩、女性的ですもんね。ほら、ふと垣間見えるちょっとしたところが」
「い、いつ俺が女性的だったよ……」
四十路のおっさんを捕まえて、こいつは何を。そんな目で見てきたから説明を付け加える。
「ほら、お酒が駄目で甘いもの好きだとか」
「……」
「手料理が得意で、こうして毎日お弁当作ってくれるとことか」
「……」
「あとは僕の下で毎日あんなにかわいく」
「あー! 治った! おさまった! よし仕事に戻ろう!」
先輩は慌てて椅子から立ち上がって、部屋の外に出ていってしまった。

先輩、貴方のデスクはここです。どこで仕事するんですか。
先輩、片手がまだ頭に添えられてます。頭痛、治ってないんでしょう。
先輩、ほっぺがうっすら赤いですよ。照れ隠しも女性的ですね。
「やっぱかわいいなぁ……」