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盲目の方が攻め

そっと手を伸ばす。指先が、てろりと奇妙なさわり心地の皮膚に届く。
にや、と彼が笑った。洋灯の黄色くあたたかなひかりに俺たちは包まれていた。
「痛みませんか、我が君」
「よせ、くすぐったい」
彼の両目の上を走る大きな、火傷のような刀傷は普段は黒い布で隠されている。
この傷を見ることが出来るのは多分床の中だけだと俺は思う。
ゆっくり、俺は傷をさわった。俺はこの傷の由来を知らない。
城の誰もが口を閉ざし、誰より彼が何も言わない。
もちろん、俺には問う資格も無ければ権利も無い。
「妙なやつだな、…おい、よせ…」
あまりに長くさわり続けていたために彼の気分を害してしまったらしい。
あ、失敗したな。
と思った時にはもう遅く、俺の足首の鎖がジャラリと音を立てた。
「奴隷風情が、調子に乗るな」
奴隷風情だから調子に乗るのですよ、我が君。
まだしつこく彼の傷にふれていた俺の手は、彼の手で押さえつけられてしまった。
ああ、失敗した。