※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ラーメン屋店長×見習い

 柳田俊彦は”可愛い”と評されるのを何よりも嫌う。
 上背のがっしりとした身体に岩を彷彿とさせる顔のせいか、人から避けられやすい。
 ただ、そんな彼は甘い物、例えばデパートの地下で扱っているケーキの類を何よりも好む。
いつものように有名所である店舗の前で並んでいた所、どうやら会社の者に目撃されていたようだ。
「柳田係長、この前東武デパートの地下にいませんでした?」
 翌日、席に座るなり部下たちが詰め寄ってくる。もし肯定すれば何を言われるかたまったものではない。
特に、可愛いだなんて言われたくも無い。
「ああ、ちょっと客人が来るものだからお茶請けにでもな」
 何だ、つまらんという反応が返ってくる。ほっとした瞬間、
「そうなんですよ。僕がいつもみたいに遊びに行ったら係長ったら先に食べてるもんだから。
この人ったらシュークリームが何よりも好きで……」
 最悪のタイミングで恋人である新入社員の三谷哲生が口を滑らせた。
 おそらくフォローするつもりだったのだろう。しかし、失敗どころか火に油をそそぐ結果となった。
この馬鹿とへらへらと笑う彼を睨みつけるがもう遅い。ああやっぱりという顔を浮かべ、いつも?と
疑問を浮かべる者もいる始末。
 柳田は一斉に向けられた視線に耐え切れずにその場から逃げ出した。
「待ってくださいよー」
 三谷は給湯室まで追いかけてきた。
「いいじゃないですか、別にばれたって。せいぜい”係長って可愛い!”って言われるだけなんですし」
 未だに心情を察しない三谷の頭に拳を振り下ろした。