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肉体派

話し合おうと言うのが、どだい無理な話だった。
気がつけば、いつもと同じ展開。
かわいげのない大男とふたり、ひとつ褥で組んず解れつ、時間を浪費している。

無為な時間だ。

この関係をそんな風に評した途端、お前は殴りかかってきた。
短い応戦は、距離を詰める手助けでしかなかった。
俺達は互いの股の強張りに気がつくよりも早く、いつしか激しく揉み合っていた。
相手を抱き潰さんとマウントポジションを争う姿は、端から見たらさぞや滑稽だろう。
だが俺達はいつだって真剣で、この瞬間は、この永遠にも等しい瞬間だけは、ひたすら相手を組み伏せたいと願っているのだ。
こんな糞ッたれな関係、とっとと終わらせてやると考えていても、挑まれれば本気で抗い、ねじ伏せにかかる。
向きになりすぎたのかもしれない。
わずかに足元が狂ったところを狙われ、バランスを崩し、俯せに倒れた。
床へ四つに這わされ、背後から伸し掛かられた。
膝を押さえ込まれ、喉を締め上げられ、動きを封じられる。
ここまでされれば、抵抗する方が無様だ。
無理な体勢で舌を吸うことをお前に許したのは、切れて血が滲む唇が哀れだったからじゃない。
今日は、たまたまお前に敵わなかった。
ただそれだけだ。

ずるりと汗で滑る肌と肌。
皮膚の下にみっちり詰まった肉の堅さに思わず、溜め息が漏れた。
しまったと思った。
女々しいと嗤われるかと恐れた。
なのにお前は背後から手を伸ばし、俺のものを掴んで扱きにかかる。
その手つきだけはやたらと優しく、心底俺を苛立たせてくれる。
敗北感に血が滾る。
勝てば勝ったで、血が沸き立つ。
絶対いつかは、切り捨ててやる。
そう勢う割りには、別れた後の時間の潰し方を、俺は知らない。