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女装男子高生×ツンツン化学教師

「見て、先生!」
突然の訪問者に肩がびくりと跳ねた。
扉を開く時はノックをしてからにしろ、と毎回毎回言っているのになぜ聞かないんだ。
心の中で文句を言いながら後ろを振り返ると、そこにいた人物の姿に驚いて、俺は持っていたビーカーを落としかけた。
「なんだ、その格好は」
「かわいいっしょ?」
毎日嫌がらせの様にこの部屋に訪れ、ろくでもないいたずらを俺にかます茶髪のひょろ長い男は、
なぜか黒と白を基調としたメイドの服を着て誇らしげにそこに立っていた。
俺は思わずめがねをかけ直してしまった。
アホだアホだとは思っていたが、なんだってコイツは……。
「文化祭で女装喫茶すんの。ねえ、かわいい?」
「へえー。それはご苦労さん。帰れ」
しっしっと右手で追い払う仕草をしていると、その手を掴まれて俺は黒革のソファに座らされた。
顔は化粧でもしたのか小綺麗になっているが骨格のせいで服が歪になったメイドは、俺の胸に抱きついて顔を埋める。
俺は化粧で白衣が汚れるんじゃないだろうかとぼんやり思った。
「先生、好き」
「……もうそれは聞き飽きた。笑えない」
「冗談じゃないよ」
男だからダメなのかなって。だからこの格好、先生に見せようと思って。
アホが俯いているせいでいつもと違う色の髪とひらひらのカチューシャが目の前にある。
そんなこと言ってお前が俺を押し倒すつもりしかないくせに。
そもそも女装したぐらいで性別は変わんないだろ。
本当にこいつ頭弱いな。
ほんと、どうしようもない……。
「……女に襲われる趣味はない」
「……え、」
「男に襲われる趣味もない」
一言目にぱっと顔を上げ、二言目には眉を下げた。
見事な百面相に吹き出しそうになるのを堪えて、耳が垂れた犬を引きはがした。
「……かわいいな、お前」
「えっ、せ、先生のがかわいい!」
「お前やっぱ帰れ」
アホだアホだとは思っていたが、俺にもそれが移ったらしい。