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勃起力検定

キーンコーンカーンコーン。
今日の授業が全て終了した。僕は黒板に板書された801妊娠の仕組みを慌てて写し終える。
担任でもある先生は、黒板をざっと消すとそのままHRに突入した。
「えー、明日はいよいよ本番です。攻めの皆も受けの皆も、落ち着いて頑張って下さいね。」
先生は、敬語受けらしい柔らかな笑みを浮かべ、受験前最後のHRをそう締めくくった。

ここ、801国の人間はまず大きく2つの性別に分類される。「攻め」と「受け」である。
(ごく稀に「リバ」という性別も存在するらしいが、僕はまだ見た事がない。)
そして攻め、受けは、高校を卒業する際にそれぞれ検定を受験する事が法律で義務付けられている。
この検定によって、〇〇攻め、〇〇受けという細かい分類がなされ、一生をその肩書きで過ごすのだ。
攻めである僕らが明日受けるのが「勃起力検定」、略して「勃検」だ。
「勃検を制する者は受けを制する」とよく言われるように、「勃検」はその後の攻めとしての人生を大きく左右する。
勃起力の高い、いわゆるスーパー攻めやエリート攻めは地位も高く、受けからもモテるのである。

「はぁ…」
僕は明日の事を考え、とぼとぼと家路についた。
テクニックの実技はいつも赤点、体力も持続力も平均を大きく下回る。そもそもサイズに難あり。
代々ヘタレ攻めや平凡受けの多い一般的な中流家庭だから仕方ないのだけれども。
「どうしたの、ため息ついて。」
声を掛けられて振り返ると、そこには幼なじみの受けがいた。
さらさらした髪に小さな顔、パーツもちんまりしてまるで人形のようなこの受けに、僕は実はずっと恋をしていた。
近所とは言え、この受けらしい受けの家は代々エリート攻め、エリート受けを輩出する名家だ。
だからこそ明日の勃検ではいい結果を出して、受けに堂々と告白したいのだ。
「…何でもない。明日頑張れよ。」
「うん。お互い頑張ろうね。」

その日の内に出た判定を手に、僕は夜の公園のブランコに揺られていた。
あんなに応援してくれた攻め父さんや受け父さんに合わす顔がない。そして何より受けに会いたくなくて。
「…やっぱりここにいた。」
「受け!?」
キィ、と隣のブランコをきしませて受けが腰を下ろす。静かな公園にその音が響いた。
「攻めちゃんは落ち込むといっつもここだもんね。パパさん達心配してたよ?」
ニコリと明るく笑う受けの顔をまともに見られず、足元に目を落とす。
「…ダメだった?」
傷付けまいとする受けの優しい声に、無言で認定証を渡す。
「…『当て馬』…。」
検定試験は散々だった。受けの為に頑張ろうと思えば思う程焦って空回りしてしまった。
ついでに試験官のオヤジにも萎えた。
「…やっぱり全然ダメだったよ受け。僕なんて頭も悪いし顔も悪いし良いとこひとつも無いし…」
「そんな事ないよ!攻めちゃんは誰よりも優しいしかっこいいよ。」
「でも『当て馬』だし…」
「関係ないよ!僕は…、僕は攻めちゃんが好きだよ!」
驚いて顔を上げると、隣の受けは顔を真っ赤にしていた。
「『当て馬』でも何でもいいよ…攻めちゃんだから好きなんだよ。」
「受け…。」
まさか受けも僕と同じ気持ちだったとは思わなかった。弾んだ心が、しかし受けの手にする認定証を見て再び沈む。
「…でもテクニックも無いし早漏だしお粗末だし…」
「あ、それは大丈夫。」
ふふ、と赤い顔で笑うと、受けは鞄から同じような認定証を取り出した。
「『敏感受け』…?」
「ね?」
だから大丈夫、と笑う受けを思わず抱きしめ、ついでに首筋にキスをすると受けは「あんっ」と早速喘いだ。
こうして801国にまた新たなベストカップルが生まれたという馬鹿馬鹿しいお話。