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落ち込んでるで。

がっくりと落ちた肩に重苦しいため息。
そろそろ布団に入ろうかと思っていた矢先、激しく叩かれるドアに何事かと思い、
扉を開けばコンビニ袋を片手に下げて項垂れた彼の姿。
慌てて家の中に招き入れるも、敷かれた布団の上に座り込むなりうんともすんとも言やしない。
出そうな欠伸を噛み殺し、じっと相手の出方を待つも一向に何かが起こる気配はない。
どこか哀愁を漂わせる丸まった背中と、中途半端に染まった茶髪頭が時折微かに揺れる。
いつも屈託なく、馬鹿のように笑う顔が今どんな表情を浮かべているのかは、全くもってうかがえない。
少し居た堪れなくなって、相手の隣に自分もどかりと胡坐をかいた。
そして試しに頭をわしゃわしゃとかき混ぜてみたが、嫌がる素振りすら見せようとしない。

「なあ、どうしたん? 黙ってても俺、エスパーちゃうからわからんで」
初めて見た一面に、内心動揺しながらも声をかけてみる。だがそれも見事に無視られた。
眠さ限界の中、段々と相手のペースに巻き込まれ、何だか自分もがっくりしてくる。
地蔵のように固まった相手の肩を突付いてみたが、それでもやっぱり振り向いてくれない。

「なあ、どうしたんよ? 俺まで悲しなるやんか」
眠い、そしてどうしたらいいかもわからない。
眠気で意識も朦朧としている中、元より馬鹿な自分はまともな事や意味ある事などできるはずもない訳で。
相変わらず無視を決め込んだ相手の肩をぐっと掴むと、そのまま布団に押し倒した。
ああ、やっとこいつの顔が見れた。

突然の事に驚きで目を丸くしている顔を覗きこみ、泣いていないことに少し安堵する。
そして相手の片手に握られていたコンビニ袋を取り上げた。
結露した透明な袋。自分も相手も気に入っている桃酎ハイが数本入っているようだ。
「とりあえずこれ、ぬるなる前に飲もうや」
同意を求めるようにそう言うと、目を丸くしていた相手はようやくこっくりと頷いた。