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カリスマの恋

カリスマは孤独だった。皆に愛され崇拝されていても、本気で恋する相手は今だかつていない。
実はその事自体は、彼にあまり意識されていないのだが、本気で恋する相手に出会った時、初めて彼は今までの孤独に気付き、耐えられない烈しい想いを抱くようになる。

それは、今まで彼の周りには居なかった、側近でも、平伏す崇拝者達でも、敵でもない相手。
その青年は、彼をカリスマとして意識せず、崇拝するのでも、敵対するのでもなく、同じ人間として自然に対峙する。
そんな青年に初めて出会った時、カリスマは、澄んだ瞳でただ自分を真っ直ぐに見返してくる相手を疑かしく不思議に思い、次には相手を振り向かせようと夢中になる。
そうして本気の恋に堕ち入っていくのだが…。


本気の恋はいけない。
カリスマとは地上の存在であり、且つ、形而上の存在でなくてはならない。
だが、本気の恋は、そんな存在であるカリスマを、形而下へと引きずり下ろす性質を持つから。

これまで、常に完璧な存在であったカリスマが、普通の人間の様に恋に因って悩み苦しむ様子をみせる始める。

想いが一方通行の内はまだ良いが、想いが通じて互いに愛し合うようになると、その異変が顕著になる。


この恋の行く末は―。

恋のために何時しかカリスマ性が失われた彼は、これまで、彼の威光によって敵わないでいた敵対勢力に追われ、愛し合う相手と二人で行く当てもなく堕ちて逝く。


あるいは―。


彼を最も愛し、誰よりも理解していた側近が、間近でその異変を素早く感じとり、これが彼のためだからと、なんとかその青年と引き離そうとするが巧くいかず、
一時は、手を回してその青年を何処かへ幽閉する。
だが、青年を心配するあまりカリスマは、更に尋常でなくなってゆく。
それを視て、側近はその青年を殺す以外に方法がないと悟り、心を痛めながらも、誰かに殺られたものと見せかけて青年を殺してしまう。

青年の死体を抱き、カリスマは、深い悲しみに沈む。


そして本当は、間近に別に愛すべき相手(側近)がいる事には、ついに気付くことなく、生涯、失われた青年への想いだけを胸に生きる。