※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

50代×30代

「70年安保の頃?馬鹿な。私はノン・ポリだったんだよ。都市革命論なんてあり得ないってのが持論だったからね。」

彼の話を聞くのが好きだ。
それは越えられない20年の時の壁を感じさせるけれども、僕の知らない彼の、まだ若く生き生きとしていた時代の光を、感じさせてくれるから。

「でも、結構大学では有名だったって噂に聞きましたよ。」
「ああ、あれは他の大学の奴らが、うちの大学に乗り込んで来てね。革丸だか中核だか、知らないが、私の尊敬していた教授を取り囲んで吊し上げようとしたんだ。だから頭に血が昇って、怒鳴って、暴れて蹴散らかしてしまってね。それで一躍大学では有名人さ。武闘派の右翼だって、勘違いされたよ。」

「その教授が好きだったんですか?」
「いや、尊敬してた。それだけだよ。」

ちょっと嫉妬に駆られた僕の気持ちを、彼は何時も敏感に察知して僕の頭を撫でてくれる。
「好きだった人はいない訳じゃないけれど。それは今の私達には関係ないことだろ?」
優しく笑い掛けられて、僕は彼の胸に顔を埋める。

彼の話をもっと、もっと聞いていたい。
それは、どうしても僕の手の届かない若い頃の彼で、その時代そのものにさえも、僕は嫉妬せずにはいられないのだけれど。