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色黒攻めと色白受け

事を終えてぼんやりとする頭の中ガウンを羽織ろうとした俺に、奴が後ろからがばりと抱き付いてきた。
三度もイかせてやったのに何でこんなに元気なんだと思いながら向き直ると、相手は子供のようにぷぅっと頬を膨らませている。
「ずるいと思う」
「何が」
「だって、お前の肌だとキスマーク目立たないじゃん。不公平だ」
どうやら、首筋に点々と付けた口付けの痕に対して不平を言っているらしい。
今までそんな文句を吹っ掛けてきたのは皆無だったのでよくよく話を聞いてみれば、
なんでも仕事場の同僚に襟から覗いたそれを見咎められてしまったそうだ。
「すっげからかわれたんだ、俺は」
「あ、そう」
「だから今日は、無理やりにでもそっちの肌に痕を残してやろうと思います」
ぐっと拳を硬く握って宣言する奴に、俺は少々うんざりとした顔で尋ねる。
「……いや、お前俺の仕事知ってて言ってる?」
「プールの監視員。常に上半身素っ裸のやっらしいオシゴト」
「よく分かってんじゃねーか……」
だったら、情事の痕跡が身体に残っているのがどれほどまずいのかも理解できるだろうに。
お前のようにかっちりスーツを着込む職業じゃないんだから、ちょっとした痕でも見られたらすぐばれてしまう。
けれど相手はどうしてもそうしたいらしく、こちらの肌に向けてぷちゅりと柔らかい口唇を無理やり押し付けてきた。
そのまま子猫のように小さな舌を使って、俺の色黒の皮膚にちゅうちゅうと一心不乱に吸い付いてくる。
慣れていないのだろう。正直なところ、あまり巧みとはいえない舌の動きではある。
とはいえ、普段そんなに積極的なほうでもない奴にそんなことをされると、当然こちらの身体には熱が篭ってしまう。
先刻一度精を放ったばかりのそこがまた硬く張り詰め始めたのを感じて、ほの白い身体を再び押し倒したい欲求に襲われる。
俺の半身に覆い被さるように密着している肌は上等の絹のように滑らかで、
小学校から運動一筋だった真っ黒の俺のそれとは、まったく別の生き物のように思えた。
仕方ないだろうが。こんな綺麗な肌を目の前にしたら、誰だって汚したくなるってものだ。
そういえばガキの頃から積もったばかりの雪に足跡をつけるのが好きだったなぁなんてどうでもいい事を思い出しつつ、
俺はその俺だけの雪原にそぅっと熱い唇を寄せた。
少し力を込めて吸い上げるだけで、労細工のように白い首筋にぽつんと淫らな痕が残される。
それが愉しくて、頸部から鎖骨に至るまでのわざとYシャツの端から見えそうなぎりぎりの位置に幾箇所も口付けてしまう。
「ちょ……あっ……やめろ、馬鹿!」
そう罵倒しながらも必死に俺の背中に縋り付きぎりぎりと爪を立ててくる奴が愛しくて、俺はなおもその肌を赤く侵した。

――つーか、いい加減気づけ。
確かに俺の肌にはキスマークこそ残りづらいけどな、背中には毎晩お前がつける爪傷でいっぱいなんだよ。
職場でいっつもからかわれてんのは、俺の方だっつうの……。