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年下攻患者×医者

高校二年の夏休み、俺は交通事故が原因で入院した。
事故さえなければ、今頃気の合う仲間達と夏休みを謳歌しているはずだった。
海でナンパしたり、花火大会でナンパしたり、夏祭りでナンパしたり……そんな予定が全てパア。
来年はもう三年だ。大学受験を控えた高校最後の夏休みは気楽に遊んでいられない。
つまり、素晴らしき青春といえる時間を俺は失ったのだ。

「A君、調子はどうかな~?」

担当の先生が決まった時間にやって来る。俺の担当の先生はまだ若いらしい。母親が「担当の先生が若くてかっこよくて嬉しいわ。なんでもまだ30前らしいわよ」と弾んだ声で話していた。息子が入院事故で入院したっていうのに、なんて不謹慎な。
俺が先生と直接会うのは三回目。一回目は全身麻酔が効いていいたためあまり覚えていない。二回目に会ったとき、この先生の口調にげんなりした。まるで子どもを相手にしているようにしか聞こえない。俺はもう高二だっつーの。子ども扱いするなよな。

「別に……フツーです」
「そっか。じゃあ体温計ろうね~」

細い手が体温計を差し出す。ただ細いだけじゃなく、色も白かった。もしかしたらそこらの女の子より白いかもしれない。

体温計りながらぼんやり過ごす。先生はカルテに何かしら記入ししている。
そのとき初めて先生の顔を見た。すると今までちゃんと顔を見たことがなかったことに気づいた。

めちゃ好みだった。ちょっと茶色がかかった髪とか、キレイな形をした横顔とか。ちょっと愛敬のある瞳も可愛らしい。
じっと見てたら視線に気づいたのか先生がこっちを見てにこっと笑った。
優しそうな柔らかい笑顔。そんな笑顔もめちゃ好み。

今まで子ども相手の口調が気に入らなくて、ちゃんと先生の顔を見ていなかったことを後悔した。

「は~い、じゃあまた後で来るからね~。おとなしくしてるんだよ」

計り終えた体温計を渡すと先生はそう言い残して部屋から去っていった。
先生がまた来るなら部屋でじっとしているよ。次に先生が来たときはカノジョがいるかいないか聞かないと……

失われたと思っていた青春。それがこんなところにあったとは!
幸い、退院まではまだ時間がかかるらしい。それなら入院生活を楽しまないと。
夏休み当初の予定とは方向性が違うけれど、俺の青春は今動き始めた。