※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

死んだ攻めAを想うあまり攻めAとの夢の世界に閉じ籠ってしまった受けと、攻めB

お兄ちゃんの様子が最近おかしい。全然ご飯を食べないから、お兄ちゃんが小さい頃から
大好物のハンバーグを一生懸命作ってみたけど、やっぱり食べてくれなかった。初めて
作ったハンバーグだから形が歪んでいたし、見た目が美味しそうじゃなかったから食べて
くれなかったのかもしれない。そうだとしたら悲しいな、と考えながら自分で作った
失敗作の焦げたハンバーグを口に運んだけれども、とても食べられたものじゃなかった。
そのままその場に吐き出そうとした時にお兄ちゃんの怒った顔が浮かんだから、きちんと
ティッシュに包んでからゴミ箱に捨てた。お兄ちゃん、何か食べないと体に悪いんだよ。
ちゃんとご飯を食べないと、栄養失調っていうのになるって学校で先生が言ってた。僕、
お兄ちゃんが病気になっちゃうのは嫌だな。でも、いつも来るお医者様は、お兄ちゃんは
もう病気なんだって言ってた。それはいつ頃治るの?と聞いたらお医者様は、「お兄さんは
見えないものを探しているんだよ。それがないと気付くまでは治らないんだ」って。
見えないものって何だろう?僕にはよく分からなかった。お兄ちゃんは全然外出しなく
なったから肌がとっても青白い。元々きれいな人だなあと思っていたけど、滅多に動かないから
まるで人形が床に放り投げられているみたいだ。握力もどんどん弱くなっているのに、
お兄ちゃんは右手に握った銀の指輪を絶対に離そうとはしない。その指輪はこの前死んだ
ばかりの、お兄ちゃんととても仲良しだった男の人とペアのだって昔聞いたことがあった。
最初は薬指にしていたけど、痩せたせいで緩くなってもう嵌めることが出来ない。僕はそのペアの
指輪が大嫌いだったから、嵌められなくなったことに心底ほっとしたんだ。お兄ちゃんの薬指で
指輪がぎらりと銀色に光る度、給食で人参が出た時よりずっとずっと嫌な気分になる。
でも、もうお兄ちゃんとペアの指輪を持つ男の人はいないんだ。死んじゃったんだから。
「ねえ、指輪が大きくなったんだよ。銀だから歪んだのかなあ。また買ってくれない?」
違うよお兄ちゃん、指輪のサイズはそのままなんだ。お兄ちゃんは探している見えないものを
まだ見つけられないままだけど、僕はちゃあんと先に知っているんだよ。
お兄ちゃん、何か食べたいものはない?僕頑張って何だって作っちゃうから。

男の死体が詰まる冷蔵庫。その扉を開ける弟の手の薬指、銀色に鈍く輝く指輪。
お兄ちゃん、これ、どうしても欲しかったの。ごめんね。


……うふふ、嘘。