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太陽×ひまわり

言葉の通り眩し過ぎるその姿をひまわりは見上げる。
「やあ、ひまわり」
はにかんだ表情は優しかった。ひまわりも彼に微笑み返す。
こんなことがどれだけ続いただろう。
ひまわりが物心ついたころから、太陽は彼の前にいつも姿を現した。
毎日とはいかなくとも、いつもその柔らかい笑顔でひまわりの様子を見てくれていた。
ひまわりはすぐに彼に惹かれて行った。
夕方になると必ずどこかへ帰ってしまう太陽を、追いかけたい気持ちが空回りする。
「何故僕はここから一歩も動くことができないんだろう?」
幼かった頃のひまわりの無知な問いに、太陽は困ったように優しく笑った。
やがて自分の幹がしっかりしてきた頃になると、
ひまわりは自分が植物であるということをようやく認識した。
マンションの屋上で、どこかの部屋の子供が夏休みの宿題に育てたひまわり。
眼下に揺れる街路樹やベランダに咲く花達と自分が同じなのだと気がつき
そして自分が
けして太陽のいる空へいくことが出来ない物だと悟った。
「さみしいかい?」
ある日太陽は言った。温かいその表情の中で、目だけが少し悲しそうに見えた。
太陽が帰ってしまったあと、しょぼくれて頭を垂れている姿を、彼に見られていたのだろうか。
ひまわりは赤面し、あわててどもりながら答えた。
「ま、まいにち、来てくれるから、ぼくは大丈夫」
「そう…」
うまく騙せただろうか?ひまわりは臆病に葉をすくめて空を見上げた。
太陽が何も言わずにじっとひまわりを見つめている。
ひまわりはまた赤面して何か言わなければと口を開いた。
「だって、だって明日も来てくれるでしょう?あさっても」
「ああ」
「ずっと、ずっと、一生ここに来ていっしょに…」
次の瞬間、感じたこともないような熱さの中でひまわりは言葉を失った。
太陽の大きくて逞しい胸にひまわりは抱きすくめられていた。
「た…たいよ…?」
少しそのまま沈黙してから太陽はひまわりの耳元でささやいた。
「一生、ずっといっしょだ」
ひまわりは幸せをかみしめながら必死にその言葉にうなづいた。

やがて夕方になるといつものように太陽は帰って行く。
背中が黄昏れてとても淋しそうに見えた。
「明日は…何か元気の出る話をしてあげよう」
ひまわりは葉を大きく振って太陽を見送る。
あまり激しく振ったせいか、黄色い花びらが2.3枚散ってしまったのも気にせずに。


もうすぐ、夏が終わる。