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死んだ攻めAを想うあまり攻めAとの夢の世界に閉じ籠ってしまった受けと、攻めB

夕食の準備をしていたら、ベッドで寝ていたはずのアイツが、笑う声が聞こえた。
いつものことだ、と、頭のすみで思いながら、俺はコンロの火を消し、アイツの部屋に行く。
ドアの向こうでは、ベッドの上で、ギターを横にして、幸せそうに笑うアイツがいる。
「ねえ、おかしいよね。でさ…」
俺にはギターにしか見えないが、アイツの目には、ギターを抱えるAの姿が見えているのか。
楽しそうに、俺には向けない笑顔を見せて、しゃべり続ける。
会話がひとしきり済むまで、俺は戸口で待つ。
しばらくして、アイツがだまりこんだので、俺は歩み寄って、アイツの腕をつかんだ。

「…あれ、B…いたんだ…」
「ずっといたよ。さ、夕飯できたから、台所いこうか」
「でも…A君が…」
指は、ギターにかけたまま、アイツが言う。
「Aは死んだだろ?」
俺が冷たく言うと、アイツの目から、光が消えた。しばらくどんよりと濁った目で、
ギターを見る。そして、何も無い空間を、信じられない目で見る。
「A君? うそだろ? さっきまで、そこにいたのに… ねぇ、 A君が…」
俺は、暴れようとするアイツを、いつものように抱きしめた。
「Aは死んだんだ」
叫ぶ。暴れる。Aの名前を呼ぶアイツ。
俺は抱きしめたまま、Aが死んだことを諭し続ける。
Aの幻を見たままの世界で、生かしておいてあげたいけれど、アイツは、幻影と一緒に、また
死のうとするから。俺は、アイツを幻影の世界から現実の世界に引き戻さないといけない。
アイツにとっては、俺は死神に等しいんだろう。俺は、それしかできないから、抱きしめる。
ひとしきり暴れたら、今度は何も見なくなるから、俺はその隣でアイツに優しくする。
一度、アイツが寝てしまったら、アイツはAの幻を追いかけるから。
俺がアイツに優しくできるのは、その時間だけだから。
毎日毎日、くりかえす日常。

いっそ、アイツを殺して、Aの元に送った方がいいかもしれない。
でも、俺はアイツと離れたくない。毎日続く、俺のエゴ。
「A君…」
アイツの呟きを聞きながら、俺はアイツの髪をなでた。
なぁ、A。いつになったら、アイツは前みたいに戻るか、それだけでも教えてくれないかな。