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寡黙な攻×おしゃべりな受

攻めが苦手だ。
別に性格が悪いとかじゃない。
頭が悪いわけでもないし、顔だって悪くない。
ただやつは無口なのだ。
だからおれは攻めが苦手だ。

ふたりきりでいると、息苦しくて仕方ない。
終始息つぐ暇なく喋り続けなきゃなんないからだ。
耳に入ってくる一人分の声は、馬鹿みたいに上擦っていて、われながら痛々しいと思うよ。
こいつじゃなければこんなふうになってない。
だからおれは攻めが苦手だ。

攻めはほんとに喋らない。だけど、だからその分、他の部分が発達して、おれに語りかけてくる。

たとえば、目線とか、息とか、皮膚とか。
表情とか、けして豊かなわけじゃないけど、ふと緩んだりしたら、たまんないし。
声とか、どこから出してんのかわかんないような低音、肌を這ってくるから、びびる。

喋らないくせに。

そういうので、おれの努力を、ぜんぶ無駄にする。
そういうのに触れてしまうと、一瞬にして、言葉を失うのだ。

このおれが。
何よりも沈黙を恐れる、このおれが。

だからおれは攻めが苦手だ。

もう少し、いつもみたいに単語だけでいいから、もう少しだけ、おれに喋ってくれるようになれば。
ふたりきりでいる時、言葉の代わりに、少しだけ、その大きな手で、おれに触れてくれるようになれば。

そうしたら、おれだって、少しだけ、好きになれるかもしれない。お前のこと。