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紳士な吸血鬼受け

「AB型の血液が不足しています」
駅の改札を抜けると、こんなことが書いてある看板が置かれていた。停まっている献血車を見て
俺B型だからなあ、役に立てないなあと考えていると、じっと献血車を見てる不審者を発見した。
今にも倒れそうな青白い顔よりもそいつの奇妙な格好が一番不審で、この暑い中黒い長袖なのは
もちろん、何故か同じく黒いマントを身につけているのがかなり浮いている。あれ、もうハロウィンの
季節に?という思考をこの暑さが全力で否定していた。そんな格好でひたすら献血車を見詰めている
のだから、とんでもなく怪しい。マントだぞマント!誰か注意しろよ!と叫びたくなるのを
何とか堪えていると、いつのまにか一人ハロウィン野郎は俺の目の前に立っていた。
「女性が通りませんね。まさかこの男性からもらう訳にもいきませんし……」
「おい」
「え!?」
「お前怪しいと思ったらスリかよ?そんな服着てる時点で誰も近づかないから安心しろ」
不審者は急にきょろきょろと辺りを見回すと、もう一度不思議そうに俺の顔を見た。
「あのう、私のことが見えているのでしょうか?」
「そりゃーね、目がついてるからな!お前もっと他人の視力について知るべきだよ!」
「大変失礼致しました、近頃はどうも血液が入手しにくくなりましたよね……困ったものです」
そう言うと目の前の男は、俺に向かってハンカチを差し出した。
「……これはどういうこと?」
「初対面の吸血鬼同士はハンカチを交換するものだ、と聞いております」
えええええええええ……。ハンカチ?ハンカチて!これ小熊の刺繍入りだけど!
つーか俺そもそも吸血鬼じゃないし!そう絶叫するはずだったのに、男が困ったような顔を
しているのを見ると何故か俺は礼を言ってハンカチを受け取り、胡散臭い笑顔でこう言った。
「いやあ、本当に吸血鬼には住みにくい時代になったからね」
急激な俺の表情の変化も疑問に思わず、男は興奮したようにそうですよねを連呼しまくっている。
「私、もう数百年一人きりだったのであなたに会えて本当に嬉しいです」
……吸血鬼?マジで?嘘まで吐いちゃって、どうすんだ俺!
まぁとりあえずこの男の腰でも抱いてみるか。