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とにかく切なく

それというのもアイツが悪い。
昨日までげらげら笑いながら一緒に遊んだりしてたのに、いきなりだ。
突然呼び出し食らった俺は、何が何だか分からなかった。
呼び出した場所に突っ立っていたアイツは、俯きがちに俺にこう言ったのだ。
「引っ越すから。転校、するから」
その上何も言わずに走って逃げやがった。取り残された俺はどうすりゃ良いんだよ。
呼び出したのはお前だろうが。いきなり転校って何だよ。
教えてくれたっていいじゃねえか。親友じゃねえのか。
考えても胸の痛みは治まらない。もやもやする。気持ち悪い。

アイツが、いなくなる。
明日からもうバカみたいなこと言い合って笑ってはしゃいで、そんなことも、もう、出来ない。もしかしたら二度と出来ないかもしれない。
というか、アイツはきっとずっと前に、引っ越すことは分かってたはずなのに、
もしかして、昨日まで何も知らないふりして一緒に遊んでくれていたのだろうか。
引越しなんて大分前に決まるだろうから、きっと、長い間だっただろう。
引っ越す直前まで、俺と一緒にいるために。俺を悲しませないために。
アイツらしいと思った。
だとしたら。
アイツは俺以上に、この胸の痛みが酷かったに違いないのだ。
そうだ。アイツだって俺と同じ心境なんだ。
そう考えたら勝手に身体が動き出してて、気付いたら思い切り走っていた。あいつの家まで。全力疾走だった。
一言、一言でいいから、お礼が言いたかった。

トラックが止まっていて、ああ、引越しは本当だったんだと思う。
大急ぎで家の辺りを見渡して、アイツの後ろ姿を見つけて、声をかけようと口を開いた瞬間、

その肩が震えていることに気付いて。

俺は何も言えなくなった。
声、かけようと思ったのに、何も言えなくなってしまった。
俺まで一緒に泣きそうになって、上を向いた。雲が滲んで見えなくなった。