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どう見ても中学生です。本当にありがとうございまs(ry

「初体験かー……ミチノリ君はいつ?」
何の気なしに投げた言葉で、彼の動きはぴたりと止まった。
居酒屋の貸し切り一部屋。すっかり出来上がった一角では、サークルの同期と先輩達が下ネタで盛り上がっている。
「あ、ありますよ……初体験ぐらい」
あるなしじゃなくて時期を聞いたんだけどなぁ、とは言えなかった。かわいそうに、彼はもう氷しか入ってないグラスに口をつけたまま、気まずそうに俯いている。
これから先輩になる自分にぐらい、正直に本当のことを言えばいいのに。いや、まだ心を開いてないうちに突っ込みすぎてしまった自分の失敗か?
下ネタは万国共通のATフィールド中和ツールだと思っていたのだが、そんなこともないらしい。人間色々だ。そこんとこ、ちゃんと見極めようよ俺。何やってるんだ俺。何やってるんだ、新歓隊長。
ささいな自己嫌悪に陥っていると、今度は彼の方から聞き返してきた。
「先輩は、いつなんですか」
あ、先輩って呼んでくれた。二回生になるときに、一番楽しみだったことだ。
「俺は高3かな。なに、聞いちゃう?」
「き……聞きます」
「俺はね、そん時の彼女だったんだけどね。―――――」
彼がごくりと生唾を呑むのが聞こえた。

何かと細かい性格の自分は、こういう時の説明も細かい。
気が付くと、後輩君は真っ赤になって固まっていた。
「あ、ちょっと生々しすぎた?」
「……全く!」
そんなに元気よく答えられても。顔が「もう限界」って言ってますよ。
こういう時、デキる先輩なら空気を読んで違う話を振ってあげるのだろう。しかし、俺はそこで無駄な悪戯心が芽生え、少し突っ込んでやりたくなったのだった。
「じゃあ次はミチノリ君の番ね」
「え!」
「え!って。俺だけこんなに喋って不公平でしょ」
「そうですけど……」
「喋りたくない?喋れないならいいよ?色々事情もあるだろうし……」
ここであえて一歩引いて挑発してみる、と色々いっぱいいっぱいな彼は面白いぐらい乗っかってきた。
「っいいえ!喋れます!いけます!!」
…………あぁ、後輩ってかわいいなぁ。
「はいはいじゃあまず何したの?」
「えっと…………服を…………」
「服を?」
「…………脱がしました」
「おぉ~!それから?」
「それから…………キス…………」
「え、キスする前に脱がしちゃったの?あらやだ大胆!」
「い、え、いや、キスも、脱がす前にしてます!」
「ふーん、そうwはい続き続き」
「……キス……してから……えーと……ブラジャーを……」
「なに、君はすぐ脱がす子だね」
「い、いけませんか!」
「いけなくないけど?っくく。続けて」

それから後輩君は「やさしいほけんたいいく」のような内容を一生懸命にレポートしてくれた。ところどころでボロが出てるのも、まぁ見逃してあげた。
この感じは何だろう、懐かしい。……そうだ、あれに似ている。中学生の猥談。「女」という未知を前に必死に知ったかぶって、なけなしの知識をひけらかそうとするこの青い空気。
そうか、まだこんなに中学生めいた18歳がいたんだなぁ、日本には。捨てたもんじゃないな、ゆとり世代。

「なぁに?何の話してるの?」
いいところだったのに、同期の女子が間に割り込んできた。胸の開いたカットソーに後輩君がちらりと視線を動かしたのを俺は見逃さない。
俺はおどけて後輩君を庇うようなポーズをとった。

「やめてくれます?エロ菌が移るんで。うちの子は純粋培養なんですよ。ねーミチノリ君」
「え、えーと……」
「エロ菌なんてほっといても移るでしょ。男はみーんなエロなんだから。それよりきみ、この先輩にいじめられてない?大丈夫?」
「だ、大丈夫です……」
「いじめとは失敬な!俺はだな、こいつのあまりのピュアピュアさに感動して……」
そう、まるで中学生のような後輩に、俺は激萌えなのだ。
だからおまえみたいなエロが入ってエロエロされると至極迷惑被るのだ。
俺のかわいいかわいい後輩君に触るんじゃない。

「ほんと?何かあんたが楽しそうにしてるから、またてっきりいじめてるのかと」
「違うわ!エロはあっち行ってろ!」
「あはは、何必死になってんの。ほんと中学生ね」

…………は?

「さっきのあんた、好きな子をいじめる中学生みたいな顔してたよ?それからほらこうやって、人に邪魔されそうになると必死になるとこも」



ふざけんなふざけんな。中学生は俺じゃなくて後輩だっての。
同意を求めるつもりで、憮然とした顔で後輩君の方を見たら、あのやろう、一緒になってくすくすと笑っていた。