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バカップルのシリアス大喧嘩

「何で逃げた」

「逃げただと?貴様、この我輩が逃げたとぬかしたか」

「ああそうだ。お前は逃げたんだ」

「…ふん、いいだろう。では、我輩が何から逃げたと?」

「俺からだ」

「貴様ごときに我輩が逃げる価値があったとでもいうつもりか。
大した自信だな」

「ああ。あの時のお前にとって、俺は唯一絶対の存在だった」

「……」

「あの小さな辺境の村に似合わない程、お前は優秀だったな。
学問、人望、剣の腕…全てにおいて村の奴らより遥か高みに立っていた。
…俺の次にな」

「貴様…」

「あの時のお前にとって俺は絶対だった。最高に苛立つ敵で、どうしても
届かない羨望の先で、そして、共に力を磨きあう友人だった。
一人で見つからないものも二人でなら発見できたし、いつ追い抜かされるかと
気を張り修行する日々もまた楽しいものだった。
俺の隣に並ぶ者はお前しかいないと俺は思っていたし、お前もそうだと俺は
確信していたんだ。だが、それは幻想だった。
お前が消えた。
お前の敵で、羨望で、友人で、絶対だった俺に何も言わずにだ。
この絶望が分かるか」

「…その仮定によると、敵で、羨望で、友人で絶対だったのは俺にとっての
貴様だろう。何故、貴様が絶望するのだ」

「分からないか。分からないだろうな。敵の癖に俺を見ず、羨望の癖に声を
聞かず、友人の癖に俺の言葉を信じなかったお前にはな。
俺は言ったぜ。
何度も、何度も繰り返した。
それで何も分からなかったと言うのならば、それは俺のせいではない。
お前が、俺の声を聞かなかったせいだ」

「……貴様の、声なぞ…」

「あの時はそれでもいいと思っていた。お前が俺の横に立ち、俺がお前の横に立つ
のが永遠に続くと思っていたからな。だが、その幻想は砕かれた。
だから俺はもう容赦はしない。
お前を追いかけて、追い詰めて、この手に捕まえる。
耳を塞ぐというのならその手を掴む。こちらを見ぬというのなら瞼をこじ開ける。
俺を信じぬというのなら、信じるまでこの手を掴んでいる。
決して逃がさない。そう決めた。
もう一度言うぜ。俺はあのままでも良かった。
お前が、この均衡を打ち砕いたんだ。」

「…村の生活を捨ててか」

「お前の居ない村はひどく退屈なものだった」

「……王に膝を付いたと聞いている」

「目的の為だったら自尊心なぞどうでもいい」

「………魔王と、駆け落ちする勇者など聞いたこともない……!」

「だがそれが俺の旅の目的だった。さあ、俺は全て白状したぜ。次はお前の番だ。
問いかけはただ一つ。答えもただ一つだ。さあ答えろ。

…この手を取るか?」


 HAPPY END