少しずつ死んでいく

最近、あいつは他の奴と仲が良いようだ。
悪い事じゃない。最近まであいつは俺に気持ち悪いくらいベッタリで、
他に友達くらい作れと散々言ってたのは俺自身だから、それを怒る義理もない。
一緒に帰るという、別に意識もしてなかったいつもの事がなくなって、
今更ながらそれは毎回やってた事で、しかも約束もなしに成立してた事に驚いた。
今日も一人で帰る。
むしろ俺の方が、あいつ以外友達居ない奴みたいじゃないか。

朝も一人。友達は居ない事もないが家が近いのはあいつだけなんで一人だ。
「よう」
席も近いので挨拶をする。あいつはよく知ってる顔で挨拶を返してくる。
まだ大丈夫だ、別に無視されてるわけじゃない。
でもその日の帰りも一緒じゃなかった。
勝手にしやがれバカヤロウ。俺はわざと一人で帰った。

あいつはまたアレと帰っているらしい。
これでもう一週間。さすがに付き合い悪すぎ。他の友達も大事にしろ。
「お前、最近付き合い悪くないか?」
「なんで? お前が他の奴とも遊べばって言ったんじゃん」
あいつは悪びれもせずに言った。いやだからそうじゃなくて、と言いたいが、
そんな女々しい話もしたくないし、する元気もないので放っておく。

アレとよくつるんでるらしい。
というか昨日、アレがあいつの家に行ってるのを部屋の窓から見た。
俺はゲームで遊んでいる。そういえば最近まともに外出してない。
なんだか寂しい。
さっさと俺と遊べバカヤロウ。

携帯が鳴った。あいつだった。
「最近どうしたんだよ、具合でも悪いのか?」
「死にそう」
むしろもう八割くらいは死んでる。
アレなんて知るか。友達なんて俺一人でいいからさっさと来い。
早く俺を生き返らせろバカヤロウ。


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最終更新:2010年03月06日 01:50