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自分は当て馬ポジションだと半ば諦めてたけどそんなことなかった攻め

「この野郎!!」
殴られてふっとばされ、背中を壁に打ち付ける。
咳込みながら止まった呼吸をなんとか取り戻し、俺は口元を拳で拭って河野を睨み返した。
「早かったな。こっちとしてはもうちょいゆっくりでもよかったんだけど」
「てめぇ!」
怒りに顔を歪ませ、河野が俺の胸倉を掴む。もう一度殴られるかもしれない。
あーあ、やっぱこういう役回りか。カップルの片割れに横恋慕なんざするもんじゃねーな。
ま、いっか。全裸で俺の部屋にいる長谷、なんて滅多に見られないだろう場面も拝ませてもらったし。ひん剥いたの俺だけど。
そんなことを走馬灯レベルのスピードで考えていると、第三者によって俺を締め上げる手が振りほどかれた。
「やめろって言ってるだろ!」
「ユウ?!」
あれ?なんで長谷が俺を庇ってんの?
てかなんで裸のままなんだ。せめてシャツを、せめてシャツ一枚でも。
「なにしてんだ、そいつはお前を無理やり」
「無理やりじゃない!合意の上だった!」
えっマジで?!聞いてないよ襲っていいかどうかなんて!
そもそもなだめすかして家に呼んで、有無を言わさず押し倒したんだけど。
って、わわわ待て待てしがみつくな、服を着てくれ服を!
「けど、服も破れてるし、さっきまで悲鳴も」
「あっ、あれはそういうプレイだったの!」
そんな事実はございません。
俺は本気で傷つけるつもりだったし、長谷も本気で嫌がってたし。あぁ、思い出したらなんか罪悪感がひしひしと。
「それに……ケンちゃんは知ってるだろ。……俺がずっと、タクミのこと好きだったの」
えーっ、誰だよそれ!
目の前のこの男は河野健太で、幼なじみの長谷はずっとケンちゃんって呼んでたし、タクミなんてやつ 俺 じ ゃ ん !!
何が起こっているのか理解できず呆けていると、河野はけわしい顔のまま俺に近づき、
「ユウを泣かせたら許さないからな」とドスを効かせてから足音高く出ていった。
……とりあえず状況を整理しよう。
俺は幼なじみカップルの片割れ・長谷を好きになって、自宅に呼んで襲ったら彼氏の河野に殴り込まれて、そしたら長谷が河野を追い返して、
あれ、俺前提から間違ってる?
俺にしがみついたままだった長谷の顔を眺めていると、視線に気付いてこちらに情けない笑みを向け、すぐさま俯いて涙をこぼしながら
「……さっきのは忘れて。俺、セフレでもおもちゃでも、なんでもいいから」
なんて殊勝通り越して自虐的な言葉を吐くもんだから、俺は迷わず震える肩を抱きしめた。