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同僚カップルとその片方に片思いする後輩

「大槻さんってえ、ほんっと超かっこいいすよね。出来る男って感じでえ」
「もっと褒めていいよ」
大分酔ってたけど向こうも酔ってたみたいで、普段真面目な大槻さんが冗談めいたことを言っていた。
俺が注ぎすぎてこぼして、すいませんと言ったのも気に留めてないようだった。
何話したかよく覚えてないけど、とにかく大槻さあん大槻さあんと言っていたら先輩が来た。
「お前どんだけ飲んでんだよ、後輩に情けないとこ見せんな」
大槻さんはふいと顔を背けて、先輩を故意に無視している。まあ二人はそれだけ気安い仲なのだ。
俺は大槻さんの仕草が子供っぽすぎてちょっと笑った。
「早く帰れ。陣内さん一緒の方だろ、今帰るとこだから」
「帰らねーよ」
「帰れアホ」
先輩は口汚くそう言いつつもかいがいしく大槻さんの世話をして、酔ってふらふらな身体を引っ張り上げた。
「ごめんな、こいつ酔うと全然なんだよ」
わざわざ俺を振り返ってそう言ってくれたけど、俺は若干仲間はずれのような気がして寂しかった。

たまたま駅が近くて、先輩と俺も一緒に帰ることになった。まだほろ酔い気分でぽーっと歩いていると、先輩がふいにぽつんと言った。
「大槻につきまとうのやめてくんないかな」
「えっ」
それでいっきに酔いがさめた。
「つきまとってなんか」
先輩は睨むようにこっちを見ていた目をふっと逸らした。
そして少しためらうように間をおいたけれどきっぱり口にした。
「俺たち付き合ってんだよね」
何て言ったらいいのか分からず口ごもっていると、返事も待たずに先輩の方が先に歩き出した。
「ごめん」
そう呟く背中を慌てて追いかける。先輩はこっちを振り返らずに、また小さい声で言う。
「おかしいよな俺、こんなこと急に……おかしいよな」
その時俺は、もしかすると先輩と大槻さんは上手くいってないのかもしれないと思った。
そしてもしかすると先輩は今泣いているのかもしれないと思った。
「確かに俺は大槻さんに憧れてて、好きですよ。うらやましいです。大槻さんみたいな人になりたいです」
俺は誤解をときたくて、焦りすぎて気が動転してしまった。そして余計なことまで言ってしまった。
「だって大槻さんは先輩の恋人じゃないですか」