※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

欲求不満

「おはようございます」
「ああ。昨日はよく眠れたか?」
「はい、おかげさまで」
「……そうか」
つまり、お前は俺が隣に寝ていてもぐっすり快眠できるってわけか。期待した俺が馬鹿だったよ。
子供のいる前でおっ始めようものなら即刻たたき出すんだが、腹立たしいのには変わりない。
「おはよう!」
「ああ、おはよう」
おっと、息子が起きてきた。説教モードはまた今度だ。
「あれ、珍しいね。普段はもっと遅くまで寝てるのに」
「うん。今日はね、みんなで遊びに行くんだ。8時半に公園に集合なの」
「どこに行くの?」
「博物館にね、機関車見に行くの」
「ほら、集合に遅れるぞ。朝ごはんだ」
「はーい!」

朝ごはんをしっかり食べさせて、リュックに弁当や水筒をつめて、遅れないように家から送り出す。
このあたりは田舎なだけあって治安は割といいので、一人で出すのもあまり怖くない。よかった。
「……さて」
ドアを閉めて、あいつの待つリビングに戻る。これで、二人きりなわけだ。
子供がいつ起きるか分からない以上、夜でもヤるわけにはいかないが、今日はかなり遅くなる。
絶好の機会に、体がうずく。

「あ、食器、洗っておきましたよ!」
「ああ、ありがとう。助かるよ」
ソファーに座ると、片付けの終わったあいつもいそいそとやって来て俺の隣に座った。
……ポテチを抱えて。
「朝ごはん、足りなかったか?」
「いいえ、せっかく二人きりだから、一緒にDVDでも見たいなって思って」
面白そうなのがあるんですよーとあいつが取り出したのは、お笑い芸人のDVDだった。
そういえば、こいつはお笑いが好きだったな。
「……つまり、お前は俺と二人でお笑いを見て笑いたい、と」
「はい! 好きな人と一緒に笑って過ごせるのって幸せですよね」
痛む頭をおさえて、確認のためにもう一度質問をする。
「ちなみに、昨日俺と一緒の布団で寝たことについてのご感想は?」
「あなたを抱きしめて眠れたのですっごく幸せでした。……あの、苦しかったですか?」
「ああ、苦しかったとも。主に下半身がな」
「あ、足回しちゃいましたか。すみません。でも、何だかすごく安心したんですよ、昨日は」
ニコニコと幸せそうに笑うその顔に、俺は頭のどこかがプチリと切れるのを感じた。
……そうか。この常春野郎め。そんなんだから彼女いない歴が年齢とイコールなんだよ。
「……つまり、現時点までで俺に手を出す気は皆無というわけか」
「え? だって、せっかくの休みですし、疲れさせたら申し訳ないかなー、と」
「お前と二人きりで何もできない方が生殺しで精神的に疲れるんだっ!」
ポテチとDVDを手の届かないところに放り投げる。
「さあやれ。今すぐやれ。出なくなるまで俺の中に出せ」
「え、で、でも」
「……俺を抱くのは、嫌か?」
「いえ、その……ク、クセになりそうで、でもあの、やりすぎるとあの、あなたが辛いかと」
真っ赤になってうろたえる、最高に愛しい馬鹿野郎を引き寄せてキスをする。
「クセになれ。俺に溺れろ。……子供の前でやらなければ、お前は俺に何をしてもいい」
「……はい」
ようやく、これで満たされる。
期待を込めて、俺は差し込まれた舌に自分の舌を絡めた。