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馬鹿が風邪ひいた

友達が風邪ひいたみたいでさ。
一人暮らしだから、と言ったコイツの手には、救援物資と思われる物が入っているスーパー袋が下がっていた。
「風邪なんか引かないような馬鹿なんだけどな。」
困った様に、でもどこか嬉しそうに笑って緩む頬を夜の冷たい風が撫でていく。
風邪っ引きの病人の世話がそんなに楽しいのかよ。
そのトモダチとやらに会えるのがそんなに嬉しいのかよ。
そんな言葉が喉まで上がってくる。
ああ、この道を通らなきゃ良かった。
そしたらコイツに出くわさなかった。
嬉々として他のヤツの看病に向かう姿など、見なくて済んだ。
「んじゃあオレそろそろ行くわ。アイツ瀕死みたいだし。」
踏み出された一歩が人通りの少ない道に音となって響く。
足音はゆっくりゆっくり遠ざかり、何故か途中で止まった。
「…?」
振り返ると、遠い視線の先でアイツが声を上げた。
「お前も風邪引くから早く帰れ!最近の風邪は馬鹿にも容赦ねーぞ!」
遠目にもわかるくらい笑って手を振る姿にぐっと胸が熱くなる。
やっぱり好きだ、渡さない、渡したくない。
「もしオレが風邪引いたら、そんときゃ看病頼むぜ!」
わずかな期待を数メートル先に投げかけた。