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二人まとめて

「兄様」
私が夜枷の術を教えたこの子達は、血の繋がっていない私をそう呼ぶ。
まだ声変りもしていない、少しだけ高く涼しげな声が、二つ。
つい、と藍色の着物の両袖をそれぞれ引かれ振り向けば、案の定そこには二人の少年の姿があった。

「兄様、今日の相手は僕でいいでしょう?」
そう言って笑い、左腕に仔猫のように纏わりついた少年は、それが当然の事であるかのように目を細めて笑う。
プライドが高く、高飛車で、どこか常に人を見下すような態度で他人に常に敵意を抱いている少年。
初めこそそのプライドの高さに手を焼いたが、慣れた今ではこうやって私に対しては本物の猫のように懐いてくる。

「ずるい、今日は僕が相手してもらうんだから」
そう言って私の右腕にぎゅう、と両の腕を絡ませた少年は、小さく細い声だったが強い意志を含んだ目を光らせた。
いつもおどおどとしているこの少年は、人に対して強く出ることが出来ず、伏し目がちに人の意見に従うことが多い。
しかし、どうも私が絡む時だけは譲れない何かがあるらしく、こうして少し尻込みしながらも自分の意見を発するのだ。

「何か最近生意気だぞ、おまえ!」
「そんなことないもん、だって君ばっか…」
「こら、喧嘩しない」
静かな声で二人を諫めると、はい、という返事の後に二人揃ってしゅんと項垂れた。
こういう所は二人ともそっくりで、何だか微笑ましくて、笑ってしまう。

「え、兄様、どうしたの?」
「兄様?具合悪いの?」
声を立てずに俯いて笑う私を心配そうに覗きこむ、二つの顔が可愛らしい。
さあ、今日の相手はどちらにしよう?