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人相の悪い男

「…またお前告白されたんだって?B組のりさちゃん。あの子可愛いよね~…」
「ん」
何それ凄い短い返事。
もうちょっと何か言ってくれてもいいんじゃないか、…俺達付き合ってるんだしさあ…
と思いつつ俺は辰巳の顔を見る。
…相変わらず人相の悪い男だ。いつも怒ったような顔をしてる。目つき悪いなあ。
こんなに顔が怖いのに、女の子から割ともてるのはなんでだろう。

…アレかな、こいつ顔は怖いけど性格は優しいから、そのギャップにやられるのかな。
よく聞くもんな、そういう話。
かくいう俺だって…。

「飯食って行くだろう、マモル」
「んー…。あのさあ」
「何?」
顔こええ。顔こええよ。
…聞くのこええよ。
「…何でもない」
また俺は聞けなかった。どうしてなんだろう。
聞けばいいじゃん。
お前は今こうして俺と付き合ってるけど、それは本心なのかって聞けばいいじゃん。
女の子から告白されて、やっぱ女の子の方がいいなあ、とか思ってるんじゃないのかよ。
俺はお前の優しいとことか好きだけど、お前はどうなんだよ。
俺が付き合ってくれって言った時も、お前は「ん」って短い返事だけでさあ。
辰巳はいつも同じ顔してるから、よくわかんねえんだよ、考えてる事。

…って全部言えたらいいのに。

「今日、マモル機嫌悪いよな」
「…そんな事ないけど」
こいつ勘いいよね。顔怖いけど。いや顔関係ないけど。
「だっていつもにこにこしてるのに、今日は全然笑わない」
「……」
普段どんだけわかりやすいんだろうね、俺は。
「そんで考えてたんだけど、マモルが笑わない時って、俺が、告白とかされた時だから」
「………」
そうですね、その通りですね。つーかお前そんな事いちいち気にしてたのかよ。
俺の機嫌とか気にしてたの?ほんと?だったらちょっと嬉しいけど。

「でもやきもちとか妬かなくても俺全部断ってるから!」
凄い早口で辰巳が言った。早すぎて、最後の方あんまりよく聞き取れなかったから
俺の脳内補完なんだけど、
「マモルが好きだから」って言った気がする。ちょっと自分の耳を疑う。
だってあの辰巳が。

だけど多分俺の耳に間違いは無いのだ。

だって辰巳の顔が真っ赤になってるから。
…でも、人相の悪い男が顔を真っ赤にしてる様子なんて、あんまり見られたもんじゃないから、
俺は目を閉じる。
そして辰巳、って名前を呼ぶ。

そしたらきっと更に顔を赤くした人相の悪い男が俺にキスしてくれるだろう。