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へたれな君が好き

えーと、こんな時って何言えば良いんだ?
 頭の中をぐるぐると意味の無い言葉ばっかり回ってる。
 あーっと、えー、うーん……。
 ぱくぱくと、口だけが言葉を発しないまま動く。
 多分、顔も赤いし金魚みたいになってるんじゃないか? おれ。
 アイツは、なんか困ったみたいに笑ってる。
 ゆっくりと近付いて頬に触れた手に、少しだけ体が跳ねた。
「、ごめん」
 直ぐに離れた手。俯いて、ポツリと呟かれた。
 そうじゃないんだ。言おうとしても相変わらず空回りする唇。
 代わりに手を延ばして、おずおずとそいつの腰に腕を回した。
顔を見られないように胸に顔を押し付ける。
「ちがくて、さ」
 やっと言葉が出せた。
 伝えなくちゃ、伝えなくちゃ。気持ちだけが急いてしまう。
 こんな土壇場で怖がって、へたれなおれだけど。
「おまえが嫌なんじゃない。ただ、ちょっと怖くて……」
 言うと、そいつはふわりと笑った。
「大丈夫。そんなとこも好きだから」
 ぎゅう、と抱きしめられてアイツの体に包まれる。
 さっき押し倒された時とは違う、優しい腕の感覚に少しだけ笑えた。
「もうちょい、待ってて」
 顔を上げて、小さな声で言ってからそいつにそっとキスしてみた。
 あー、ダメだ。やっぱ無理。絶対、顔赤い。
 耐えられなくて、直ぐに顔を埋め直す。
 さらさらと髪を撫でる指の感覚は気持ちいいけど……。
 おれのへたれが直る時は、いつか来るのかなぁ。
 少しだけ不安になった。