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なぜかやたら男にモテる攻め

一人目――魚正のご主人
「よう、おにいちゃん!今日は小イワシが安いよ!刺身にどうだい?」
「いいッスね~。でもすいません、今日はすき焼きなんですよ。また今度寄りますから」
「あちゃ~そうかい、じゃあまた来とくれ。でもすき焼きかい、いいねえ。何かいいことあったのかい?」
「ええまあ、お祝いです。それじゃ、失礼します」
「はいよ、またな!」

二人目――池上スポーツ用品店の店長
「お、伊藤君。こないだはお疲れさん」
「こんにちは。お疲れ様です」
「いやー、先週は君に助っ人に入ってもらって助かった。我がチームに正式に加入してほしいくらいだ」
「うーん…そうしたいのは山々なんですけどね。俺、土日に出勤が多いんでご迷惑かけてしまいますし」
「だよなあ……ま、しょうがないな。また時間あって気が向いたら来てくれ。君なら大歓迎だから」
「はい、また是非お願いします」

五・六人目――青木生花店の息子とヘアサロン・タナカの息子(両名とも小学生)
「あっ、伊藤さんだ!オッス!」「おっすー!」
「おお少年ども。今日も元気だな。ちゃんと宿題やったか?」
「今日は宿題はないんだよー」「なー」
「はは、そうか。じゃあ思いきり遊べるな」
「ねえねえ伊藤さん、通信やろうよ!」「交換しよ、交換!」
「あー…ごめんな。今日は俺ちょっと用事あって、もう帰らないといけないんだよ」
「えー」「えー」
「また今度な。その代わり、次のトレードはちょっとイイ奴出してやるから」
「うー。わかったー」「また今度ね。約束だよ」
「ああ、またな。お前らも遅くならないうちに家に帰れよ」


十人目――丸山毛糸のご隠居
「おやおや、こんにちは。ほらゴン太、お兄さんだぞ」
「あっどうも。散歩かゴン太、いいなあ。……あれからお身体の具合、どうですか?」
「お陰さんで大分いいよ。悪かったねえ、この間は家まで連れていってもらって」
「そんな、とんでもないです。困った時はお互い様ですから。大事にならなくて良かったです」
「また改めて御礼をさせてもらいたいんだが」
「そんな、お礼なんていいですよ。……あ、じゃあまたゴン太を散歩に連れてってもいいですか?」
「ゴン太を?そりゃあ構わないが、いいのかい?」
「犬が好きなんですけど、でも俺のとこマンションで飼えないんで」
「そうかい、ありがとうねえ。良かったな、ゴン太。お兄さんがまた散歩に連れて行ってくださるそうだ」


「……。お前、モテモテだな」
「今時珍しいだろ。こういうフレンドリーなアーケード商店街」
「じゃなくて、お前が凄いんだよ。数歩進むごとに声かけられてんじゃん。男ばっかに」
「そんなことないぞ。魚正には女将さんもいるし、あと八百屋にゆいちゃんって看板娘が…5歳なんだけど」
「別に男女比を聞きたかったわけじゃ…」
「ハッハー、妬くな妬くな!」
「だっ誰も嫉妬なんかしてねえよ!」
「ごめんごめん。冗談だよ。さ、早く帰ろう。お前のお祝いなんだから、パーッとやろうぜ」
「…………」
笑って歩き出す健一の背中を眺めながら、俺はコイツがモテることに改めて納得している。
モテるというか、つい話しかけたくなるのだ、この男は。そして話しかけると、次はもっと関わりたくなる。
健一の持つ屈託の無い雰囲気と優しげな笑顔には、そんな力がある。
俺はそれが羨ましくて、そして愛しい。
「どうした直也ー。先に行っちまうぞー」
……健一の前では口が裂けても「愛しい」なんて言えやしないが。

「あ、そうだ。忘れるところだった。あのさ、本人の名誉の為に言っておくけど」
「なんだよ」
「ゴン太はメスだからな」