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夜明け前のカポー

「何見てんだ」
言われて初めて、自分がさっきから窓の外を見つめ続けていることに気がつく。
床に座っている相手の方に目線をやる。
「別に…何も」


俺が電話口で眠れない、と言うと、奴はすぐにうちにやってきた。
こんな明け方に、明日も学校があるのにもかかわらず。

奴ととは中学からの仲で、高校も同じだ。
不愛想な奴だが、何故か俺には優しい。だから今もこうして、インフルエンザで学校を休み続けている俺の側に居てくれるのだろう。

「お前、予防接種受けたよな?」
「二回もな」
窓を開けながら言う
「早く治せよ」
「わかってるよ。わかってるけど、そうすぐに治るもんじゃないし」
また無意識に目線が窓の外にいってしまう。
すると、背後で奴がいきおいよく立ち上がるのを感じた。振り向こうとしたとき
「寂しいんだよ」
優しく、抱きしめられた。
「バッ…何すんだよ!」
「学校行ってもお前居ないし。久しぶりにお前の顔見れたと思ったら、ずっと窓から空見てるし」
「……」
「体、すげぇ熱いよ?熱高いんじゃねーの?」
「そ、そうだよ!熱あるんだからそんなにくっつくなよ!移るぞ!」
「あ…」
奴の腕から力が抜けるのがわかった。

「みろよ」
窓の外の冬の夜空は遠くの方で薄く光が混じり始めていた。
「明けちまったな」
「お前、家帰ろよ。呼び出して悪かったから」
「帰らない。学校もサボる」
抱きしめる力が少し強くなる。
「そんなことより、空見てろって。キレイなんだから、見ないともったい」
「…」
「治るまで看病するから」