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開業医×製薬会社の営業

その日はやっぱり忙しくて、午前の診療が終わる時間まで一息もつけない有様だった。
てんてこ舞いの診療時間が終わって看護婦が受付と一緒に食事に出てしまうと狭苦しい筈の
待合室ががらんと広く見える。

「やれやれ……」そう呟きながらぐるりと見回すと一人、長椅子の端に座っている。
どうやら眠っているらしい。
傍に寄って俯いたその顔を覗き込んでみる。

「なんだ、安藤さんじゃないか」

眠り男はたまに顔を出す製薬会社の営業。こんな片田舎のちっぽけな医院にまで来なきゃ
ならないなんてご苦労様だといつも思う。

「こらこら、こんなとこで寝てちゃ風邪を引くよ。ここに来て風邪引いたなんてことになったら
うちは商売あがったりだ。」

肩を揺すってみても起きる気配はない。

「疲れてんだねぇ……」

苦笑しながら肩をそっと押すと呆気ないほど簡単に長いすに倒れた。
それでも目を覚ます気配はない。
もう少し寝かせておいてやろうか。そっと毛布をかけてやり、髪を撫でる。
目が覚めたときどんな顔をするのか楽しみだ。